『SpellForce 3』を手掛けたGrimlore Gamesが開発し、THQ Nordicがパブリッシャーのギリシャ神話アクションRPG『Titan Quest II』。ハックアンドスラッシュの金字塔として知られる前作から十数年の時を経て、待望の続編が早期アクセス版としてついに登場しました。
今回、Game*Sparkでは本作を事前にプレイする機会をいただきました。本稿ではシリーズ未経験者の筆者による、本作序盤のインプレッションをお届けします。この記事が、本作が気になっている方や前作ファンの方にとって、一つの判断材料となれば幸いです。
純粋なアイテムハントと、無限の可能性を秘めたビルド構築
今回の事前プレイで筆者が費やした時間は約7時間。物語の序盤を駆け抜けた段階で感じたのは、「これぞ王道ハクスラだ」という、清々しいまでのストレートな面白さでした。
美麗なグラフィックスで描かれる地中海を舞台に、シンプルなゲームシステムでひたすら敵を狩り、より良い性能の装備を求めてフィールドを駆け巡る。本作の魅力は、そんなハクスラの原点とも言える純粋なゲームプレイにあります。複雑な要素に気を取られることなく、キャラクターの成長とアイテムハントの喜びに没頭できるこの王道感は、ジャンルのファンにとっては何よりの魅力でしょう。



もちろん、ただ敵を狩り続けるだけではありません。広大なマップには無数のサイドクエストや探索ポイントが散りばめられ、時にはランダムイベントが発生したり、歯ごたえのあるボスが待ち構えていたりと、RPGらしい冒険の楽しみもしっかりと用意されています。


一方で、UIやチュートリアルはかなり簡素で、最初は少し取っ付き難さを感じたのも事実です。筆者も、クエストログがどこに表示されるのか分からず、メニュー画面を行ったり来たりと、しばらく戸惑ってしまいました(ちなみに、マップ画面の右側に表示されます)。


戦闘は、スキルをホットバーに割り当ててキーを押す馴染み深いスタイル。マウスカーソルで方向を指定してスキルを放つ感覚は、これまた古典的で直感的です。装備システムも、敵がドロップしたアイテムの数値を見て、より強いものに更新していくという極めてストレートなもの。まさに、ハクスラの“核”となる部分だけを抽出したような、ピュアな体験がここにはあります。



システムはシンプルですが、だからといって戦闘が退屈なわけではありません。むしろ、個人的には「敵がちょっと強いな」と感じる場面が何度もありました。一体一体の敵のHPがやや高めに設定されており、油断して囲まれると、あっという間にHPが削られてしまいます。ポーションをがぶ飲みしながら窮地を脱するシーンは、この7時間の中でも日常茶飯事でした。

この適度な歯ごたえが、シンプルなゲームプレイに程よい緊張感を与えています。強力な装備がドロップした時の喜びも、そうした少しの苦労があるからこそ、より大きなものに感じました。

ただ、敵が固いために戦闘のテンポが若干遅く感じられることもあり、無数の敵を薙ぎ払う爽快感を求めるプレイヤーには、少し物足りなく映るかもしれません。
もっとも、この手応えもプレイヤー次第でどうにでもなるのが面白いところ。フィールドの各地にある「儀式の祭壇(Ritual Shrine)」に触れると、ゲーム内通貨を使って、敵のレベルを強化したり、弱体化させたりと難易度が調整できます。

正直、筆者も「今のエリアは少しキツいな」と感じた場面で、敵を弱体化させて先に進んだことがあります。逆に、もっと歯応えが欲しければ敵を強化して、より良いドロップを狙うこともできるかもしれません。プレイヤー自身の手で稼ぎの環境を作れるという仕組みは嬉しいポイントです。

では、このシンプルな世界でプレイヤーを夢中にさせるものは何か。その答えは、間違いなく「デュアルマスタリーシステム」にあります。早期アクセスの時点では「ウォーフェア」「ローグ」「アース」「ストーム」の4種類から2つを組み合わせ、自分だけのオリジナルクラスを創造できます。これこそが、現状の『Titan Quest II』における深みであり、面白さの核です。

筆者は最初、近接戦闘に特化した「ウォーフェア」と、炎の魔法を操る「アース」を組み合わせましたが、思ったように立ち回れず、苦戦が続きました。しかし、本作では比較的安価なゴールドでスキルをリセットできます。同じマスタリーの組み合わせのままでも、スキルポイントの振り方を変えるだけで、戦闘の安定感が劇的に変わるのです。例えば、一つの強力な攻撃スキルに特化させるのか、複数の補助スキルを組み合わせて戦うのか。その選択一つで、キャラクターの得意なことや立ち回りが全くの別物になります。



この「ビルドを試行錯誤する楽しさ」こそが、本作の真骨頂。他の強化要素が少ないからこそ、プレイヤーの意識は純粋にスキルとマスタリーの組み合わせに集中できます。キャラクター能力値と睨めっこしながら、自分だけの最強ビルドを模索する時間は、ハクスラのファンならば、たまらない時間でしょう。


物足りなさは、むしろ伸びしろ。クラフト、MOD、日本語対応に期待!
ここまでプレイして、筆者の感想は「面白い。だが、もっと“何か”が欲しい」というものです。やはり欲しくなるのは、キャラクターへの愛着を深める「トランスモグ(見た目変更)」や、装備を自らの手で生み出す「クラフト」といった、さらなるカスタマイズ要素。欲を言えば、ルーンやジェムのようにビルドをさらに細かく調整できるシステムがあれば、とも思います。
幸いなことに、こうした点の多くは今後のアップデートで解消される見込み。「クラフト」や「トランスモグ」といった機能は、今後のアップデートで追加されることが明言されています。
さらに、開発陣はコミュニティからのフィードバックを非常に重視しているようで、3ヶ月ごとのメジャーアップデートでゲームを進化させていくとしており、ゲームにさらなる深みを与えるシステムも、プレイヤーの声次第では実現するかもしれません。
これに加えて、MODへの対応や、本格的なキャラクタークリエイターの導入、そして待望の日本語対応も正式版までに実装が予定されています。現在のバージョンはまだ土台の段階であり、今後のアップデートでゲームが大きく進化していくことは間違いないでしょう。
ビルド構築の面白さは既に完成形。『Titan Quest II』の確かなポテンシャル
『Titan Quest II』の早期アクセス版は、ハクスラの根源的な楽しさをストレートに味わえる作品でした。確かに、現状ではクラフトなどの要素がなく、物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、ゲームの心臓部である「デュアルマスタリーシステム」がもたらすビルド構築の楽しさは、すでに高い完成度を誇っており、これだけでも十分に没頭できます。



この確かな面白さの土台がある上で、今後のアップデート計画も非常に魅力的です。
もし、純粋なトレジャーハンティングとビルド構築の喜びに没頭したいのであれば、この未完成の神話に今から飛び込む価値は十分にあります。現状でも楽しめる本作が、今後のアップデートでどう進化を遂げていくのか、大いに期待したいところです。











