『アナザーコード』『ウィッシュルーム』の鈴木理香氏が手掛ける新作ADV!
記憶を対価とした奇妙なオークションに挑む本格ミステリーアドベンチャー『ダークオークション』が、イザナギゲームズとグッドスマイルカンパニーより、PC(Steam)/ニンテンドースイッチ/PS5にて1月29日に発売されました。
命を賭けたオークションが開かれる。落札に必要なのは、「お金」ではなく「記憶」。
会場となる古城に集められたのは、皆それぞれに取り返したい“思い出の品”を持つ者たち――そんな不穏な前提から始まる『ダークオークション』のプレイレポをお届けします。
本記事では、体験版で公開されている範囲(序章~1章)の情報を含みます。ストーリーやキャラクター、ゲームシステムなど斬新で魅力的な要素が盛りだくさんなので、少しでも気になった方はまずご自身で体験版(Steam/PS5)をプレイされることをおすすめいたします!(そのあとで本記事に戻ってきてくれると嬉しいです!)
※本記事の作成にあたっては、Steamキーの提供を受けています。
“落札”か“死”か――6人の訳アリ参加者たちが危険なオークションに挑む
ゲームの舞台は1981年、欧州の某国。主人公である18歳の青年ノアが、薄暗い森の奥にそびえたつ古城へと向かうところから物語は始まります。

ノアが古城を目指す理由。それは、奇妙なオークションへと参加しに出かけたきり帰らない父親・レオナルドを迎えに行くためです。
レオナルドは売れない小説家で、友人もおらず、金もない。おまけに、「独裁者X」という人物にまつわる品々を集めることにご執心で、どんなに経済的に困窮していても、様々なオークションへ出かけては資産を注ぎ込むのをやめません。今回のオークション参加に対してもノアは強く非難しましたが、レオナルドは「戻ってきたら全てを話す」と意味深な言葉を残し、家を出ていってしまったのです。

一見うだつの上がらない冴えない父親ですが、幼いころ母親に捨てられた記憶を抱えるノアにとって、いつもそばで見守ってくれていたレオナルドは心の拠り所でした。そんな父が、予定日を過ぎても帰ってこない。連絡すら取れないことに心配したノアは、レオナルドに届いた招待状に記載のあったゲハイムニス城へと向かいます。

辿り着いた古城で、ノアは衝撃的な光景を目にします。オークション会場から動揺した様子で出てくる参加者と思しき人々。静まり返った無人のオークション会場に入ってみると、そこには妙な装置を付けられ、動かなくなってしまった父親の姿が――

突然の出来事に混乱するノアの前に現れたのは、仕立ての良いスーツに身を包んだ、オウムの頭を持つ男。彼は自らをオークショニア(オークションで司会進行役を務める競売人)と名乗り、取り乱すノアに対して、「このオークションが対価として要求するのは“記憶”であり、レオナルドは“記憶の提供”を拒んだため命を落とした」のだと語ります。
こんな得体の知れないオークションに危険を承知で参加し、命を賭してまで手に入れたかった出品物とはなんだったのか。そして、父が“知られることを拒んだ記憶”とはなんだったのか……。どうしても父のことを知りたいと食い下がるノアに、オークショニアは提案します。
「父親のことが知りたければ、私と組んで、このオークションを“成立”させる手伝いをしてください」と――
こうしてノアは、父親が隠していた大きな秘密を知るため、オウム男の手先となり、サポーターとして飛び入りで命懸けのオークションに挑むことになるのです。
会話と探索で集めた情報をもとに推理して、参加者の記憶を正し、出品物を落札せよ
出品物を落札するには、EPOと呼ばれる記憶再現装置を通じて“正確な記憶”を提供する、というのがこのオークションのルールです。しかし、記憶とは存外曖昧なもの。時が経てば薄れるし、勘違いで捻じ曲がることもあります。ましてや、秘密やトラウマを抱えている人は、自分にとって都合の良い事実で記憶を塗り替えてしまうこともあるでしょう。思い込みや嘘で改ざんされた偽りの記憶でオークションに臨めば、落札は失敗。そして、参加者の身には危険が及びます。
ノアの父親と同じく古城に集められた訳ありの参加者たちは、みんなそれぞれに秘密や嘘を抱えています。オークションの開始は毎夜6時。それまでの間、今夜のターゲットになる参加者と交流を図り、それぞれが隠している嘘や歪みを暴いて真実を見極め、オークションの際に正しい記憶を提供できるよう誘導する……それが、ノアに課せられた“サポーター”としての役割です。

日中の探索パートでは、ゲハイムニス城の中を自由に歩き回ることができます。自室はもちろん、朝食時にみんなが集まる談話室や、図書室にダンスルーム、対応するエレベーターキーを入手すれば他の参加者の自室があるフロアに遊びに行くことも。欧州の深い森の奥に佇む古城内は、どこをとっても雰囲気たっぷり。BGMには全編ジャズが使用されており、“荘厳で息が詰まりそうな閉鎖空間”と、“妖しくも洒落たクローズドサークル”という二面性が楽しめます。

各部屋内では、視点移動とカーソル移動で調査や会話を行います。各章ごとに一人ずつオークションに挑んでいくのですが、誰が今宵のターゲットになるのかはその時になるまで明かされません。が、サポーターに任命されたノアだけは、その日のターゲットと出品物を事前にオークショニアから知らされます。オウム男と繋がっていることがバレないよう各参加者に近付き、会話や城内の探索を通して得た情報から推理して、EPOの判定に耐えうる“真実の記憶”を見つけ出さなければならないのですが……。
参加者はみな一様に曲者揃い。見るからに訳アリな人もいれば、話は通じるけれど腹の底で何を飼っているのかわからない人もいます。彼・彼女らの心の内に触れるのは、一筋縄ではいかないようです。

参加者たちとの会話や城内の探索で得た情報は、ワードクラウドというシステムに保存され、いつでも確認できるようになっています。海外を舞台にしたミステリー作品といえば耳慣れない片仮名の固有名詞や人物名、全体像のわからない端的な情報などで混乱しがちですが、多くの情報がこのワードクラウドにわかりやすく保存・管理されるため、緻密で奥深いミステリーながら迷子にならずに推理を楽しむことができます。
夜になれば、いよいよオークションの開始です。
このゲームの一番のフックは、「出品物の対価に要求されるのは記憶である」という突飛なルールではないでしょうか。それだけに、このオークションパートは本作最大の特徴であると言えます。

オークションは1stステージから3rdステージ、そしてファイナルステージと4段階で進行していきます。ターゲットとなる参加者の記憶はEPOを通して会場内のスクリーンに映し出され、全員が見守る中で“提供される記憶の真偽”を判定されるのですが、時間経過で薄れたり、思い出したくない辛い記憶があると、その部分は欠損・不鮮明になっています。ターゲット本人が意図的に“正しい記憶の提供”を拒んでいるわけではなくとも、EPOはそれを許しません。苦しみだすターゲットを救うため、そしてオークションを成立させるために、ノアは知り得た情報を用いてターゲットが正しい記憶に辿り着けるよう誘導します。

斬新なルールとスリリングな雰囲気に呑まれて非常にハードルの高い操作を要求されるような心構えでいましたが、いざやってみると、わかりやすいUIに簡潔な操作、会話をベースにして自然にヒントが提供されるので、文字通りパズルのピースを当てはめていくように進めることができます。物語への没入感を削がない設計でまったくストレスなく謎解きを楽しめるのはもちろん、真実の記憶が明らかになっていくにつれ、ターゲットが抱える心の闇が晴れていくことで味わえるカタルシスにも集中して浸ることができるのが嬉しい……。
日中の探索パートで各キャラクターへの愛着がしっかり湧いてしまった筆者は、落札成立後に真実の記憶と向き合って涙するターゲットを見るたびに泣きました……。
参加者それぞれの抱える真実は、やがてひとつの大きな謎へと集結する
斬新で画期的、かつスリリングな推理パートだけでも十分惹かれる要素ではあるのですが、恐ろしいことに本作にはさらなる魅力があります。それは、個性的なキャラクターたちと、彼・彼女らを巻き込んで展開してゆく緻密で重厚なストーリーです。

オークション主催団体から招待を受けて集まった6人(脱落したレオナルドの代わりに参加したノアを含む)に面識はないようです。無作為に招集されたかのように思われましたが、オークションが進んでいくにつれ、それぞれがこのオークションと何らかの所縁があることが明らかになっていきます。
各参加者がどんな秘密や嘘を抱え、どのような心持ちでオークションに臨んでいるのか。不安や猜疑心で心を開いてくれない参加者たちと対話を重ね、理解を示し、時にぶつかりながら交流を深めていくノア。その過程で登場人物たちの芯の部分が露わになっていくのですが、全員とっても魅力的で、物語が進むにつれ箱推し不可避に。
キャラクターの魅力に関しては、もう見てもらった方が早い、というより、自分で物語を追った先で「おまえ、こんな顔もするんだな……」という感動が味わえる楽しみをここで奪うわけにはいかないので、ぜひ製品版、もしくは体験版にてご自身の目で確かめていただきたい!

なお、体験版で遊べる1章では、エドガーというプライドの高い天才医師のオークションが体験できます。人を突き放すような物言いの裏に隠された彼の想いとは。彼をそうさせているのは何なのか……。真相は、第一章で彼のオークションを成立させることで知ることができます。エドガーは、いいぞ……!
他にも、ちょっとデリカシーに欠けるが気の良いマッチョなオットー、物憂げで何を考えているかわからない貴族のクリストフ、自分の美貌と人気に絶対の自信を持つ女優のロレーヌ、小鹿のような瞳を震わせながらも芯の強さが垣間見える最年少参加者カルラなど、個性豊かなキャラクターが勢ぞろいで、一目で釘付けになる美麗なキャラクタービジュアルも魅力です。

まだ18歳ということで、人生経験の不足もあり世渡りが上手いとは言えない主人公ノアが、自身の状況や感情と折り合いをつけながらも参加者たちに歩み寄っていく姿も、あの、その、めっちゃ良くて……!
あと忘れちゃいけないのが、最も謎の人物であるオウム男ことオークショニアですね。

鳥の頭にスマートな出で立ちで、振舞いも紳士的、そしてトドメに超低音ボイス。一部の人にはぶっ刺さるキャラクターかと思います。獣人が好きな人にぜひ教えてあげてください。

あともう一人ご紹介しておきたいのが、ヘルという図書館の守り人で、様々な局面においてノアの手助けをしてくれます。彼曰く、この城内で唯一オークション主催団体の指図を受けない人物とのこと。若く見えますが、ノアの父親であるレオナルドの過去を良く知っている素振りを見せたりと、謎の多い人物です。果たして、敵か味方か。これも楽しみな謎のひとつですね。

登場人物たちの情報はメニュー画面で確認することができます。イラストもデザインもカッコよくて、用もないのに何度もメニュー画面を開くこともしばしば。
これらのキャラクターたちを軸に展開する物語は、難解で複雑な秘密や過去、時に胸が苦しくなるような重たい話もありますが、魅力的なキャラクターたちのちからでグングン読まされます。ストーリーに関しても同じくで、過去に起こった戦争につながる記憶がモチーフとなることもあり、辛く、苦しい背景が垣間見えますが、過去と向き合い、勇気をもって平和な未来を守ろうと踏み出してゆくキャラクターたちの想いと、純粋に先が気になるストーリーによって、夢中で物語の先へと連れて行かれます。
ひとつ謎が解ければ新たな謎が浮上し、謎が解けて真実に近づくほど、大きな謎の輪郭が見えてくる。このオークションが開かれた目的とは一体何なのか、ノアの父親・レオナルドが隠していた秘密とは何だったのでしょうか……。
個性豊かで魅力的なキャラクターたちと共に、奇妙なオークションに隠された真実を競り落としましょう!
本作のシナリオを手がけているのは、『アナザーコード』や『ウィッシュルーム』を手掛けたADV界のレジェンド鈴木理香氏です。『ダークオークション』は、同氏にとって約15年ぶりとなる完全オリジナルのコンシューマー向けアドベンチャー作品にあたります。人物の感情や記憶といった内面に焦点を当てた語り口は本作でも随所に感じられ、物語全体の重厚な雰囲気を静かに支えています。
そうしたシナリオの密度を視覚的に立ち上げているのが、印象的なキャラクターデザインです。キャラクターデザインを担当しているのは漫画「GANGSTA.」で知られるコースケ氏。本作に登場するキャラクターたちは厚みや体温を感じさせる造形が印象的です。愁いを帯びた佇まいには色気が宿り、奇妙で妖しさをまとった古城という舞台設定と非常にマッチしています。絶望や救いに直面した際の人間味あふれる表情が丁寧に描かれており、さらに、河西健吾さん、速水奨さん、石田彰さんなど、実力派の豪華声優陣による演技が加わることで、登場人物それぞれの感情の揺れがより立体的に伝わり、キャラクターへの感情移入や没入感をいっそう高めています。
そして本作の音楽には『モンスターハンター』シリーズで知られる小見山優子氏と、『女神転生』シリーズを手がけてきた増子津可燦氏が参加しています。全編を通してジャズを基調とした生演奏が用いられており、古城という重厚で妖しい舞台に、ほどよい洒落っ気と余韻を与えています。物語やキャラクターの感情に静かに寄り添う音楽も、本作を支える重要な要素です。
オークションへの招待状は、もうあなたのお手元に
豪華なクリエーター陣が集い、長い時間をかけて形にしてきた本作には、作り手たちの強い思いが随所に込められています。ディレクター兼プロデューサーの梅田慎介氏が「魂が込められている」と語る言葉どおり、その熱量はプレイを通して確かに伝わってきました。
本作を長らく楽しみにしていた方には、待望の発売ですね。タイトルやあらすじ、キャラクターに触れてみて少しでも気になった方は、まずは体験版(Steam/PS5)をプレイしてみてはいかがでしょうか。序章から第一章までを通して、この奇妙なオークションの空気や、登場人物たちが抱える事情の一端に触れることができます。
このオークションに参加するかどうかを決めるのは、あなた自身です。記憶を賭けた取引の先に何が待っているのか――その答えを知りたいと思った時点で、あなたはすでに招待客として、この古城の扉の前に立っているのかもしれません。
『ダークオークション』はPC(Steam)/ニンテンドースイッチ/PS5向けに発売中です。
『ダークオークション』公式サイト












