「フラストレーションと達成感の絶妙なバランスの上に成り立つ他に類を見ない体験だ」海外レビューハイスコア『Baby Steps』

『Baby Steps』は意図的に作り込まれたぎこちない物理演算がプレイヤーを苛む、過酷な試練だ。それは理不尽で、信じられないほど馬鹿げており、そして文句なしに素晴らしい。

『Baby Steps』は間違いなく2025年で最も尖った作品であり、筆者が味わった中でも屈指の常軌を逸した体験だ。まったくもって救いようのない主人公と、コントローラーを壁に投げつけたくなるゲームプレイを前にしても、気がつけば毎日プレイに戻り、主人公の「ネイト」を前進させようと心に決めていた。

『Baby Steps』はフラストレーションと達成感の絶妙なバランスの上に成り立っている。そして、そのウォーキングシミュレーターとクライミング体験は他に類を見ないものだ。

物理演算ベースのスラップスティック・オープンワールド・ウォーキングシミュレーターであると同時に、現代ゲームの悪しき側面を風刺する『Baby Steps』。「スタンブルコア」とでも呼ぶべき新ジャンルの快作だ。ただし、本作を楽しめるのは苦行を愛し、超リアルなロバのイチモツにも動じぬ者に限られる。

『Baby Steps』は独創的だが、やや好みの分かれる体験だ。皮肉の効いたユーモア、ままならない操作性、そして実験的な試みは、一風変わった挑戦を好み、苛立ちを乗り越える過程そのものを楽しめるプレイヤーには刺さるだろう。しかし、それ以外のプレイヤーにとっては、ただフラストレーションが溜まるだけの作品に終わってしまうかもしれない。

タイトルにかけた洒落ではないが、『Baby Steps』はBennett Foddy氏と開発チームにとって文字通り後退の「ステップ」であると言わざるを得ない。本作は楽しさとフラストレーションのせめぎ合いに敗北しており、常にフラストレーションと煩わしさに軍配が上がる。

プレイヤーにひたすら山を登らせる『Baby Steps』は、今年最も評価が分かれる作品の一つとなるだろう。その突き放したアプローチのもと、プレイヤーは登りながら自力で面白さを見つけ出さねばならず、ただ歩くことにも悪戦苦闘する。結局のところ、本作はあまりにも無目的かつ理不尽で、かえって自身の魅力を損なっていると言える。