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傑作ファンタジーゲームの正統後継作『Heroes of Might and Magic: Olden Era』プレイレポー『HoMM3』の魅力そのまま、より強化

面倒くさいのが楽しい『HoMM3』の魅力はそのまま。

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傑作ファンタジーゲームの正統後継作『Heroes of Might and Magic: Olden Era』プレイレポー『HoMM3』の魅力そのまま、より強化
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有名ファンタジー・ストラテジーシリーズの最新作『Heroes of Might and Magic: Olden Era』が2025年にリリース予定です。シリーズ初の公式日本語対応に、ファンは期待を寄せているでしょう。本稿では同作の先行プレイ体験版のプレイレポートをお届けします。

その前に、本作がファンタジーゲームファンの注目を集める背景を説明します。本作はファンタジーゲーム史に名を刻む傑作、『Heroes of Might and Magic III』(1999)の正統後継作です(以下、シリーズをHoMMと略す)。フランチャイズオーナーUBISOFTがシリーズ30周年イベントで『HoMM3』トーナメントを開催したところからも、時代を超えて愛される人気作といってよいでしょう。「マイトマといえばコレ」なのです。(編注:3DダンジョンRPGのことはいったん頭から外しましょう)

近年では『HoMM3』フォロワー作が人気を博し、本作はその後を追う形となりました。先行するフォロワー作と何が違うのか、ファンタジーゲームファンは気になることでしょう。そこでまずは有識者向けのファーストインプレッションを述べ、その後に未経験者へ向けたゲーム内容を紹介します。

シリーズわかる人向けのお話

まずは有識者向けのファーストインプレションです。本稿執筆にあたり7時間プレイしました。ゲームモード・クラシック(AIライバル国家との戦争)の難度ハードで敗北確定が2回という結果ですが、あっという間に時間がとける『HoMM3』特有のプレイ体験は健在です。有識者は初回プレイから難度ハードで遊んでも問題ありません。今からはるか昔、剣と魔法の時代がそのままあります。勝手知ったる地を制覇できますので安心してください。

そのうえでユーザーインターフェースは現代ゲームのつくりで、ゲームの楽しさに関わらない煩雑な操作はなくなりました。約1時間半のチュートリアルで基本操作とゲーム展開が学べます。細かい攻略テクニックはチュートリアルが別途用意してあります。タクティカルコンバット制ファンタジーRPGのプレイ経験があればすぐに楽しめると感じました。

『Heroes of Might and Magic: Olden Era』は王国再興の出来映えです。あの頃の、剣と魔法の戦争を求めるファンタジーゲーマーの期待に応えます。本作の魅力を一言で要約すると「昔のゲームの良さ」――正確には、不便ゆえのアイコニックなプレイ体験です。本作が他のフォロワー作と一線を画す点は、昔のゲームならではの面倒くささをそのまま残したところにあります。面倒くささを楽しむ、それこそが剣と魔法の世界を知恵で制覇する『HoMM3』、ひいては本作の醍醐味なのです。

『HoMM』とは、ファンタジーRPGの上手さを競うゲーム

ここからはシリーズ未経験者向けに本作を紹介します。大まかな仕組みはファンタジーRPGの様式で遊ぶ国家間戦争ゲームです。

オールドスクールなファンタジーRPGでは、勇者一行がマップを探索し、野良モンスターを倒し、ダンジョンを制覇し、勇者一行を強化してラスボス撃破を目指します。ただし、本作のラスボスは他国の勇者です。他国の勇者もプレイヤー勇者と同じくファンタジーRPGしています。成長し続ける敵国の勇者を倒すため、より早く、強く成長しなくてはなりません。

勇者同士の決戦で国家の存亡が決まるこの世界では、国家と勇者が協力します。勇者は拾得物を国庫に納めます。国家は国庫で城を改築してユニット数を増やし、魔法を研究し、新たな勇者を雇います。こうして勇者、本作で「ヒーロー」と呼称される存在は数百体ものユニットを率いる部隊の指揮官となり、レベルアップで指揮力を鍛え、魔法を習得し、レア装備で身を固めるのです。

補注:街道をふさぐ国境モンスター。マップは山脈で隔たれ、その地を治める国家にちなんだ景色をもつ。

城から伸びる街道を歩めば他国の領土に侵入できますが、国境には強力なモンスターが居座っています。国境モンスターの撃破が戦争開始の合図となります。他国のヒーローをすべて倒し、他国の城をすべて落とせばゲーム勝利です。

以上の概要からゲーム展開は大きく2部構成となります。まずは国境モンスターを倒せるようになるまでヒーロー部隊を強化します。そして他国の主力ヒーロー部隊を倒せるようになるまでヒーロー部隊を強化するのです。

ゲーム内容の紹介にうつります。ゲーム開幕は城の周りに落ちている素材を拾い、城を増築して購入可能なユニットを増やします。ヒーロー部隊を増員し、中立モンスターを倒せるようになればゲーム序盤です。より上等な報酬を狙い、ロケーションを占拠する強敵を倒し、戦闘と成長をくりかえします。ヒーローは日中にマップ画面を進軍し、その移動距離は限られています。1日=1ターンのターン制です。他国ヒーローも同じ1日を過ごすので、限られた時間で成長の効率化を競うことになります。

補注:ユニット下の数字がスタック数。

戦闘はターン制タクティカルコンバットです。ここでは兵士の損害をおさえた勝利を目指します。なぜなら、城で購入するユニットの数の補充は1週間ごとだからです。また、1部隊のユニット枠は7つですが、同じ種類のユニットはスタックできます。

1週間の補充数は有限で、スタック数の制限がない。このルールが、損害をおさえた勝利の価値を保証しています。

戦闘報酬には素材の他に2種類の経験点、ヒーローXPと国家XPがあります。ヒーローのレベルアップはランダム選出した3つのパークから1つを取得します。タクティカルコンバットを味変する戦闘系パークが多く、レベルアップにワクワクできます。国家のレベルアップは国家ごとの固定スキルツリーで、国庫収入やユニット性能を強化します。戦闘していないヒーローや、後から雇用したヒーローにも恩恵があり、経験点配分を意識せずに戦えるのは好感です。

ここまでの流れは、シングルプレイのファンタジーRPGです。他国ヒーローと遭遇しないので戦争はありません。先述の通り、国境モンスターが自然の砦になっています。

そして国境モンスターの撃破でゲーム展開の第2部、ヒーロー同士の戦闘が始まります。中立モンスターの討伐とは格が違う相手です。ヒーローのステータスでユニットは大幅に強化されます。魔法も飛んできます。どれだけ効率良く部隊を大きくできたか。ヒーローが成長できたか。同じ時間をどれだけ濃厚に過ごせたかに勝敗を委ねるのですから、手に汗を握る戦いを楽しめます。

面倒くさいを楽しもう

ゲーム開始から積み重ねた苦労は主力ヒーロー同士の決戦で実ります。ここでいう苦労とはタクティカルコンバットの戦果です。自動戦闘の戦果予想よりも良い結果を求めて苦心し続ける、というのはゲーム序盤のザコ戦でも手動戦闘で時間をかけることを意味します。

オールドスクールな戦闘ルールがファンタジー世界の多様なモンスターに活躍の場を与えました。本作の戦闘ルールは近接攻撃への反撃攻撃と、射撃攻撃は移動後や敵ユニットに隣接されると使えない、の2点です。戦場は両軍が十分に離れており、射撃攻撃は初撃で敵スタックを削れるので強力です。反撃攻撃を受けないのも強みです。射撃攻撃の優位を守るよう近接ユニットで戦列を作りたいのですが、そうするとアローレインやドラゴンブレスといった範囲攻撃に弱くなります。多様なユニット種類=多様なスキルが追加ルールとなり、シンプルな戦闘ルールを盛りあげました。

ここにヒーローのパークや魔法が加わります。行動待機(行動順を後に回す)とダメージが増え、行動スキップすると防御力があがる、というパークは近接ユニットの活躍の出番を増やします。ヒーローのマナを消費する魔法は序盤こそバフ・デバフ程度ですが、城の改築で上位魔法を解禁すると強烈なダメージをたたき出し戦況を一気に傾けます。

補注:戦闘前に自動戦闘の結果を表示する。ここで自動戦闘に了承するか手動戦闘に挑むかを選択できる。

おもしろいのは、自動戦闘の予想結果が手動戦闘の「目標」となることです。目標を上回る戦果を出そうと頭をヒネる、パズル的な楽しさがあります。序盤から丹念に手動戦闘を繰り返せば、それだけユニット性能やスキル、ヒーローのパークや魔法への理解も深まります。効率良い成長から敵ヒーローとの決戦まで、すべてがタクティカルコンバットで繋がっていました。

25年経てもアイコニックなオールドスクール

今回プレイした限りでは『Heroes of Might and Magic: Olden Era』はまごうことなき『HoMM3』の正統後継作だと請け合いです。ゲーム序盤から成長速度を競うプレッシャーはヒーロー同士の決戦でクライマックスを迎え、その勝敗でカタルシスに昇華します。他国の主力ヒーローに勝てば、そのままスノーボールで消化試合となるのは昔のままでした。もちろん、その決戦で疲弊したときに第3国から横やりを食らうところも、そのままでした。

そうした昔のゲームならではのプレイ体験を想起させる画面作りが面白いです。地面をナナメに見下ろしたカメラ視点が伝統を感じさせながらも、ズームアップすれば垢抜けたアートワークを高解像度で堪能できます。コーラス入りの管弦楽も剣と魔法のファンタジーにマッチし、壮大な英雄譚にひたれます。

先述のとおり、今風のUIで操作が快適になったのもありがたいです。昔は良かった、ではなく昔から良かったのだと気付かされます。城から前線にユニットを運ぶには運搬役のヒーローを要する、という昔ながらの本当に面倒くさい作りも、ファンタジー世界で兵站運用しているのだと思えば楽しいものです。

ビジュアル・サウンド・UIの強化により、『HoMM3』の醍醐味がより際立ったと言えるでしょう。面倒くさいと感じながらも、プレイングをしっかりと積み重ねるからこそ、主力ヒーロー同士の決戦がもりあがるのです。ファンタジーゲームの初心者から、筋金入りのハードコアゲーマーまで、幅広く楽しめることでしょう。本稿で興味を持たれた方は、是非、本作をウィッシュリストに登録してください。

『Heroes of Might and Magic: Olden Era』はSteamにて2025年配信予定です。

ライター:野村光,編集:Akira Horie》

ライター/宇宙とSFとストラテジーと格ゲーが好きです。 野村光

ゲームレビュアー。2014年に商業誌デビューし、11年かけてレビュー・インプレッションを200本執筆。オールタイムインベストは『New Space Order』。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

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