Steamウインターセールものこり、わずか数時間となりました。読者の皆様はなにかお買い忘れはないでしょうか?本稿では、そんな「お買い忘れ」にはきっと入らないだろう、そして代替えもないひとつのタイトルをご紹介していきます。
ゲームとしての規模は戦術級だけど『大戦略』
今回ご紹介するのはシステムソフト・アルファー(現:システムソフト・ベータ)が手掛けた『大戦略パーフェクト4.0』です。2025年に40周年を迎えた『大戦略』は、いわゆるヘックス型のマス目を採用した戦術ストラテジーシリーズで、シリーズの中にはゲーム形式のいくつもの変遷もありましたが、今日主流なものも含め、ほとんどのタイトルはターン制で展開します。

プレイヤーはひたすらユニットを生産し、あるいは配置されたユニットを使い、勝利条件――たいていの場合敵首都の占領や破壊、特定ポイントの占領など――を敵のユニットと一進一退の押し合いを繰り広げながら目指すことになります。
シリーズで扱うユニットの単位は、複数の同機体がひとつの集団となった1部隊ごと。同じ機体がキレイに並ぶ素朴な戦闘シーンはいまでは牧歌的な雰囲気すら感じさせます。

『大戦略パーフェクト4.0』はそのシリーズの中でも、収録ユニットやマップなどの物量と、豊富なモード、マッチ設定の自由さと各種のエディタ機能を特色とした作品であり、2026年の年始時点では唯一のSteamで遊べる『大戦略』でもあります。
軍事ゲームというだけならば代替えはある
――実際のところ、同シリーズが作った基礎概念はその数年後には『ファミコンウォーズ』に引き継がれ、『ゲームボーイウォーズアドバンス』で花開いた後は、いまでも毎年数本ぐらいはそのフォロワー作品を見るほどに一般的なものとなりました。その多くはスピーディーな展開や演出、体系立ったグラフィック、わかりやすく種類が整備されたユニット群、いずれをとっても遊びやすい作りです。
ターン制の戦略規模のゲームというだけならSlithelineがパブリッシングしているような、ボードゲームに源流を持つタイトルが多々あるし、戦場のユニットのデータに細やかさを求めるならば『Steel Panthers』でもやればよい。リアルタイムも視野に入れて軍事マニア向けゲームがやりたいなら『HoI』でも『Combat Mission』でも『Call to Arms』でも『WARNO』でもなんでもいいでしょう。
しかし、それでも『大戦略パーフェクト4.0』を時々起動してしまうのです。
『大戦略パーフェクト』だからこそ
「適度な模型ジオラマ感」と呼ぶのが正しいかはわかりませんが、同シリーズに覚える感情は軍事ゲームに、そして対戦ゲームに求められているものとは別のものです。
実際には有用なのはそのうち数種類程度だとわかっていても兵器の生産カタログを眺め、今回はこのユニットで遊ぼう、と現実的かはともかく前線にユニットを並べ、進軍していく、あるいは適度に戦闘をしたところで満足して1ゲームを終わらせ次のマップへ。このユニットを使ったらこういう展開が見られるのではないかと考え、ルールを(時に有利に都度弄りながら)実行する、まるでボードゲームやTRPGのルールブックだけを読んで最高のゲーム展開を想像する、ゲーム原体験の忘れえぬもののような楽しみは、ゲームとしての進化を進めた、あるいは大規模すぎたり抽象化されすぎたほかのゲームでは味わえませんでした。

あくまでこのソフトはルールを実行するマニュアルなのだ、とでもいいたいかのように、ルール上の殆どのインチキを認める、誰でも扱えるような兵器エディタまでついているので、こういった範囲の楽しみでは本当に他の追随を許しません。
不具合は多い、本当に。台無しになるものも多々、それでも…
『大戦略』といえば、システムソフト・アルファー時代に多くの不具合が指摘されるシリーズであったことも多くの読者が指摘したいことでしょう。本作も例には漏れません。
売りのはずの武器エディタが使えない(正確には武器エディタで作った武器を兵器の武装として設定すると、再起動後に兵器の武装リストからその武器が完全に消えてしまう)
マップの名称がマニュアル記載の24字と違って8字までしか入らない(おかげでデフォルトのマップ名すら入れられない)
【Steam】ゲームファイルの整合性チェックが起こるとセーブデータが初期化される(常にバックアップを取りましょう…[1敗])
発売から8年経ち、きっとこれらの不具合は永久にこのままなのでしょう。回避方法のない武器エディタについてはどうしようもないですが、他については付き合う方策があるのは不幸中の幸いかもしれません。少なくとも前述した楽しさをすべて奪い去るものではないからです。
戦術ゲームとしてはどう?
なお、諸々の感傷を抜きにしたうえで『大戦略パーフェクト4.0』を見た場合、最低限の基礎は十分に整っているほか、ルールエディタで生産の有無や生産制限数を変えたルールも作れるので、いわゆるこのジャンル特有の消耗戦、我慢勝負が苦手な人でも遊べます。
また、いつでも敵味方両方の人間操作/CPU操作を切り替えられるので(CPU戦専用のネオマスターコンバットモードでも、マップ開始後なら可能)おいしいところだけかいつまんで遊ぶことも容易です。ストーリーらしいストーリーもなければ攻略をせかされる要素もなし。プレイヤー側で強ユニットも自由に作れると思えば、かなりの初心者向けタイトルです。
CPUも頭がいいと言えるほどではありませんが、初心者向けと考えれば十分です。
いずれにしても、「これしかない、だから、これがいちばんいい」
2026年、『大戦略』シリーズは、新シリーズ『大戦略SSB』を主軸として、多くの部分を引き締めつつその歩みを進めています。新作『大戦略SSB2』もまもなく発売となります。
しかし、本稿で触れたような楽しさをもっとも持つのは『大戦略パーフェクト』シリーズで、それを現行プラットフォームとして体験できるのは『大戦略パーフェクト4.0』だけです。

だから古い有名マンガのジャングルに取り残された狙撃兵のように、『大戦略パーフェクト5.0』が現実になるその日までは、『大戦略パーフェクト4.0』を手に言い続けるのです。「おれには、これしかないんだ!」
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