Silent Chickenは、『Sliding Hero』を11月21日にPC(Steam)向けにリリースしました。主人公は壁にぶつかるまで滑ることしかできない。そんな制限のあるメトロイドヴァニアな本作。本記事では発売から1か月経過し、新たに2.0として生まれ変わった本作のプレイレポと製作者本人へのメールインタビューをお届けします。
滑ることしかできない主人公
本作の特徴として一番大きなものは主人公が滑ることでしか移動できない点です。RPGの氷ステージでしばしば見かける、壁にぶつかるまでまっすぐ進み、障害物にぶつかることでのみ方向転換ができるシステムを採用しています。敵への攻撃やアイテムの取得、謎解きに至るまでこの移動方法で行います。癖のある操作感ですが、きっとどこかで触れたことがあるはずです。
プレイヤーが操作する主人公「ルカ」は船での航海中難破してしまい、とある島へと迷い込みます。ほかに生存者はいない模様で、この島から脱出するためにも島の中央部へと向かいます。その最中、この島の謎を握っていると思しき人物と遭遇し、島に隠された謎へと身を投じていく……とストーリーは続いていきます。独特の語り口から繰り出されるストーリーもなかなか興味をそそります。


謎解きにおいては、例にあげたRPGのようにボタンを押して障害物を動かしたり、特定の順番に動いて地面から突き出るトゲを回避したりしながら先に進むものになります。本作はパズル要素の強いメトロイドヴァニアでありながら、戦闘もしっかり存在します。
各敵キャラクターには攻撃力と防御力、そしてHPがあり、適切な対処をしなければゲームオーバーになってしまいます。MAPに落ちている武器や防具にはステータスと耐久値が存在しており、2~3回の使用によって壊れてしまいます。攻撃力が高い敵には盾を拾ってぶつかり、防御力が高い敵には武器を拾ってぶつかるといったように武器や防具を切り替えつつ順番に敵を倒して行くことになります。戦闘も、ある意味パズル要素が含まれているかもしれません。

アートワークやサウンドも独特なセンスで、非常に見やすいUIと小気味いい効果音などが響きます。ただ、日本語フォントの癖は強く、読みづらさも少し感じました。今後のアップデートなどで修正されることを期待しています。
今回の再リリースは、いわば「第二のローンチ」
スライドパズルとPRGの融合である本作。その発想の原点と今回なぜ2.0としてリスタートしたのかについて深堀りするために、今回は本作の作者であるSilent Chicken氏にメールインタビューを実施しました。
――主人公が「滑ることしかできない」パズルゲームとのことですが、開発にあたって影響を受けた作品やアイデアはありますか?
Silent Chicken氏(以下、敬称略):ゲームプレイ面での直接的なインスピレーションは、『ポケモン』の氷の洞窟やジムのパズルです。
移動に厳格なルールを課したゲームを作りたかったんです。制限があるからこそ、他の部分で「コントロールされた自由」が生まれると信じています。また、これが初めてのゲームだったので、スケールが無限に広がらないようにする必要もありました。
他にも、『ゼルダ』の2Dシリーズ、『Blasphemous』、『スーパーメトロイド』、『ダークソウル』、『Hades』など、たくさんの作品から影響を受けています。それぞれがアートディレクションやレベルデザインなど、異なる側面に影響を与えています。
――今回のリリースはバージョン2.0という位置づけですが、大きな再リリースを決めた理由を教えてください。
Silent Chicken:正直に言うと、最初のローンチは期待外れでした。個人的な事情やタイミングの問題で、リリースを急がざるを得ず、十分なテストやメディア露出の時間を取れなかったんです。その結果、進行を妨げる致命的なバグが多く、プレイヤーはパッチを待たなければ先に進めない状態になってしまいました。
今回の再リリースは、いわば「第二のローンチ」です。このゲームはユニークで、きっと多くのゲーマーを驚かせられる体験だと思っているので、改めて注目を集めたいと考えています。
――初期ローンチはかなり大変だったと聞きましたが、実際どんな苦労がありましたか?
Silent Chicken:これは初めて完成させたゲームだったので、開発中の課題は本当にたくさんありました。正直、完成までに必要な作業量をかなり甘く見ていましたね。
一番大きな壁は、メディアやコンテンツクリエイターへのアプローチでした。今は本当に情報量が多く、毎日のように新作ゲームやフェスティバルが登場します。その中で目立つのはとても難しい。だからこそ、今回こうして取り上げてもらえるのは本当にありがたいです。
――アップデート後の反響はいかがですか?
Silent Chicken:今のところ、かなり良い反応をもらっています。特に、ゲームを中心に集まってくれた小規模ながら熱心なコミュニティからは、体験をより良くするための改善や、意見をしっかり聞いた姿勢を評価してもらえました。
売上的には、アップデートがSteamセールの直前だったこともあり、大きな変化はまだありません。セール終了後にSteamのビジビリティ枠を使って2.0版をプッシュし、様子を見たいと思っています。
――少人数、もしくは個人開発とのことですが、開発で一番大変だった部分は何でしたか?
Silent Chicken:基本的には一人でほとんどの作業をしています。プログラミング、ゲーム・レベルデザイン、クリエイティブディレクション、マーケティング、会計まで全部です。ただし、友人のGianmarco Veronesi(ぜひ調べてみてください!)には本当に助けられました。彼は素晴らしいアーティストで、コンセプトアートやイラスト、キャラクターデザインを担当し、ストーリー面でも協力してくれました。
また、国の助成金のおかげで、音楽やピクセルアートなどを担当する外注スタッフを雇うこともできました。
一番大変だったのは、疲労やバーンアウト寸前の状態でもモチベーションを保ち、継続することです。健全なワークライフバランスを保てなかったのは反省点ですね。実務的な面では、プロモーションを続けることがとにかく消耗する作業でした。
――プレイヤーからのフィードバックで、特に印象に残っているものはありますか?
Silent Chicken:リリース後には、本当に多くの有益なフィードバックをもらいました。 たとえば「セーブデータがある場合は、スタート時に『続きから』を強調表示したほうがいい」といった細かな指摘から、マップ操作の改善といった大きなQoL要素までさまざまです。
一番印象的だったのは、初期リリース時にバグや問題が多かったにもかかわらず、「それでもゲーム体験そのものが本当に良かった」と言ってくれたプレイヤーが多かったことです。ゲームプレイ、雰囲気、パズル、その全体を評価してもらえたのは、何よりの励みでした。リリースを急いでしまったことはいまだに悔やんでいます。
――最後に、プレイヤーへのメッセージをお願いします。
Silent Chicken: 『Sliding Hero』は、メトロイドヴァニアと倉庫番を組み合わせた、かなりニッチな作品です。でも、その分とてもユニークで、ジャンルが苦手な人でも意外と楽しめる体験になると信じています。
倉庫番系パズルがベースですが、テンポよく遊べますし、止まらずに滑り続けると移動速度が上がる秘密のアイテムもあります。パズルは短時間で解けるものが多く、分かりやすい仕組みを次々と導入して最後まで新鮮さを保っています。ボス戦もありますよ!それから、ちょっとネタバレになるので詳しくは言えませんが、「とても奇妙なファストトラベル」も用意しています。
体験版も配信しているので、少しでも気になったらぜひ遊んでみてください。合うかどうか、すぐに分かると思います。読んでくれてありがとう。そして、滑り続けてください!
――ありがとうございました!
『Sliding Hero』はPC(Steam)向けに発売中。1月20日まで20%オフ 1,440円で購入できるので、スライド移動の独特な楽しさを体験してみてはいかがでしょうか。









