2026年1月30日、KwaleeよりFPS『Don't Stop, Girlypop!』がPC(Steam)向けに発売されます。本作はオーストラリアの2名のオーストラリアのクリエイターによるFunny Fintan Softworksが手掛けた作品です。
パブリッシャーより先行プレイの機会をいただいたため、この記事ではプレイレポートをお届けします。
奴らにラブを止めさせるな!ピンクでガーリーな唯一無二のFPS!

ラブに溢れた惑星ザイサンシーナム。平和であったこの星だが、地中に埋蔵された鉱石とそのエネルギーに目をつけられ採掘会社ティグリス・ニクスに侵略される。
やつらに対抗するためには生身ではいられない。超兵士へと生まれ変わったインバーはラブを守るため善戦する。だが、あと一歩のところで敗れてしまう。
……それから5年。星はティグリス・ニクスに支配され、搾取が続いていた。だが、もう心配はいらない。インバーが目を覚ましたのだ。革命の始まりだ!

そんな出だしで始まる『Don't Stop, Girlypop!』でプレイヤーはこのインバーとなって、侵略者たちをぶっ飛ばしていきます。
まず目を引くのはそのゲーム全体のカラーリングで、とにかくピンク色です。本作の大きな特徴はいわゆるY2K(2000年代前後)カルチャーへの強いリスペクトで、タイトルにあるガーリーポップはゲームのBGMとして流れまくり、味方との通信はピンクのガラケーで行い、敵を倒したときにはハートが飛び散ってスコアである「ラブ」が貯まります。Y2K、2000年前後の女子カルチャーをこれでもかと推した作品というわけです。

その推しぶりはすさまじく、なんと武器をラインストーンやステッカーでデコってビカビカにできます。さらにはプレイヤーの腕もデニムやチェック柄、メタルにパールと好きなファブリック・マテリアルに変更可能。もちろん、これらは戦闘にはなんら影響を与えません。ですが、星を蝕む悪漢を倒すヒーローは当然オシャレでなければならない。そういう平成女児の強いマインドが表れたシステムというわけです。(平成女児がFPSを遊ぶのか?とかそういう疑問は脇に置いておいて)
日本でも最近は平成カルチャーに注目が集まっており、なかなかタイムリー。日本語ローカライズも実装されているのもありがたいところです。

楽曲にはかなり力が入っておりクオリティが高いのもこの雰囲気を後押ししています。血みどろでマッチョなイメージのFPSとは一見合いそうにないカワイイ系のガーリーポップですが、これが意外にもマッチしており、女性シンガーの歌声に合わせて暴れまわるのはなかなか気持ちがいいんです。
とにかく加速しろ!あの頃のスピードも推すY2K激推しぶり
ですが、本作がフォローしているのはなにもY2Kな女子カルチャーだけではありません。2000年前後は『Quake』シリーズや『Unrea』」シリーズが誕生した、いわゆるアリーナ系と呼ばれるFPSの全盛期です。
そしてアリーナ系FPSといえば重要なのが、ゲームの仕様を逆手に取ったもはやバグ技の超高速移動でしょう。

Y2Kカルチャーをとにかくプッシュしまくる本作がここを推さないはずがない!『Don't Stop, Girlypop!』も当然のように高速移動システムを採用しています。しかも本作ではなんと移動速度が高ければ高いほど攻撃力と自動回復量が高まるという、とんでもないシステムを採用しています!加速を続け最高速度域に達すると画面がピンク色に染まり、攻撃力が馬鹿みたいに高くなり、HPはみるみるうちに全回復します。このゲームがシングルプレイ専用のFPSだから許されるあり得ない性能です。
もちろん、このシステム前提で敵は大挙として押し寄せてきます。とにかく高速で移動して敵の攻撃を避ける、あるいはダメージを食らっても即回復する必要がこのゲームの攻略には求められます。
つまり、このゲームは2000年前後のKAWAII女子カルチャーと2000年前後のイカれた高速移動アリーナFPSを融合させた、Y2Kをありえん角度で切り取ったFPSというわけです。……何を食べたらその発想が生まれるの?

ただ、なにも2000年代そのままではないというのもポイント。本作の高速移動はストレイフジャンプとバニーホップを組み合わせたアレではありません。
本作にはウェーブホッピングというシステムが用意されており、空中から急落下して衝撃を発生させるグランドスラム(Ctrl)後にジャンプ(Space)、その後空中でダッシュ(Shift)を行うとウェーブホッピング成功の判定が入ってグッと移動速度が上がります。ウェーブホッピングにすばやい操作は必要なく、ある程度ゆっくり操作しても問題なく加速が可能です。
また本作ではW(前進)を押している間は減速の度合いが緩やかになり、ジャンプを行うだけでも少し加速します。加えてジャンプの落下もゆるやか。なので、1回ウェーブホッピングを行ったらあとは空中をふわふわ飛びながら敵と戦い、速度が落ちてきたらまたウェーブホッピングをする……という操作でもある程度加速が保てる仕様になっています。

物理演算を利用して加速するストレイフジャンプとシステムの穴を突いて減速を拒否するバニーホップの合わせ技とは異なり、システムで加速ができ、その速度をシステム側が維持しやすいようにサポートしているわけです。またこのゲームは敵から攻撃を食らってしまうと速度が落ちる仕様なのですが、こうしたピンチもウェーブホッピングを手順通りに行うだけで再加速できるため立て直しもしやすくなっています。
正直2000年代前後のFPSにあった狂気のスピードは卓越したプレイヤーだからこそ実現できたものです。それをそのまま持ってきても体験できるのは一部のみ。このゲームは当時を再現するわけではなく、あの頃の雰囲気を多くの人が感じられるように作られているわけです。
もちろんこれにも弊害はあり、加速は15倍で打ち止めで際限無く加速はできませんし、高速入力だと判定を抜けてしまって加速できない場面もあり、当時の狂気を知るFPSプレイヤーほどシステムの限界をどうしても感じてしまいます。
ですが2000年前後の雰囲気を見た目からもシステムからも楽しむというコンセプトを考えればより広くそれを楽しめるほうがいい。ボタンをタイミングよく順番に押す儀式じみた操作は本来のそれとは違うもののそれっぽさはしっかりあり、あの頃のFPSに慣れていないかつての平成女児も、安心してあの頃の超高速バトルを楽しめるゲームに仕上がっています。
いろんな意味であの頃のFPSのプレイ感を味わえるかも?

ゲームの進行もステージを進んでいくとバトルエリアが現れ、そこで敵を全部倒したら先に進めるというもので、こちらも当時っぽさがあります。敵を全滅させると魔法少女が敵をやっつけたかのような平成女児敵演出が差し込まれるのもY2Kな雰囲気を感じさせます。
あと、ステージが「E1M1」という古式ゆかしい書式で登場するのも昔っぽさを意識しています。まあこれはY2Kどころかもっと前のFPSの様式ですが……。
レトロを意識したFPSが数多く登場している中で、Y2K女子カルチャーを強く押し出すことで他とは違った雰囲気があり、なかなか面白いゲームに仕上がっています。

ただ不満がないかと言うとそうではなく、ゲーム中盤以降にジャンプで足場をぴょんぴょん進んでいくプラットフォームエリアがかなりの頻度で登場し、ゲームのテンポが途切れてしまうのがこのゲームの本当に残念なところ。しかも横でなく縦方向に登らされるところが多く、システムでの加速も役に立たず、プラットフォームエリアでは気持ちよく移動ができないのがつらい……。ガーリーポップのリズムに合わせてスピーディに動き回るのはめちゃくちゃ気持ちいいのに、なんでこんなステージ構成に!と思ってしまいます。
でも思い返してみると、当時のFPSってこういうプラットフォームエリアを絶対入れたがっていたんですよね。
「なんでこんなステージ構成なんだ……これ絶対いらないよ……」という当時の負の記憶を思い起こさせるという意味では成功しているようにも感じます。そこまで狙って開発しているのかは定かではありませんが、とにかくいろんな意味であの頃の雰囲気を感じられるゲームなのは間違いありません!
プロローグも含めると全部で26ステージ、全クリアまで3~4時間程度の短いゲームですが、レトロ推しFPSの中ではひときわ異彩を放つだけあるこのゲームならではの体験はあります。
あの頃高速移動で敵を蹴散らしていたFPSプレイヤーも、ラインストーンで何でもキラキラにデコっていたかつての平成女児も、プレイしてみてはいかがでしょうか?













