
2026年2月21日、大宮ソニックシティ大ホールにて、作曲家であるイトケンこと伊藤賢治さんの35周年記念ライブ「KENJI ITO CONCERT "35th Anniversary AS A COMPOSER" LIVE」が行われました。
1990年にスクウェアから始まった彼のキャリアを追いかける形式で、歴史の重みを感じる素敵なライブでした。

まずは軽いMCから。歯が欠けて大変だった……というひょうきんなお喋りからゆる~く始まります。
かと思いきや、早速『サガ』シリーズのオリジナルバンド「DESTINY 8」のメンバーが登壇。伊藤さんのデビュー作である『Sa・Ga2 秘宝伝説』から「必殺の一撃」「死闘の果てに」「Save the world」を立て続けに弾いてくれました。元々はゲームボーイ音源のチップチューンが、大胆にバンドアレンジされて大ホールで聴けるなんて最高ですね……!

続いて、MAGES.内にかつて存在した5pb.ブランドから発売したシューティングゲーム『バレットソウル - 弾魂 -』から「金城湯池」、声優の杉田智和さんとシナリオライターの熊川貴族さんが作り上げた同人小説から始まったプロジェクト『月英学園 -kou-』から「天地神人」を演奏。
そしてここでMCが挟まり、DESTINY 8のメンバーである森空青さんのオリジナルソング「BLACK STAR」を初披露。まだ音源化もされていない楽曲であり、とてもレアな体験になりました。

しかしながら、YouTuberのサンゾーGAMESが行った『ロマンシング サ・ガ2』の実況プレイ企画にて、クイックタイムを使用して楽曲を早回しにした件を、伊藤さんが糾弾ッ!
その際に一緒にライブ配信に出ていたバンドメンバーたちに対して、罰として「七英雄バトル」のクイックタイムverの演奏を命じられてしまいました。
早送りで演奏される情緒のない「七英雄バトル」……このクオリティで聴くのはなかなか面白い体験であり、思わず笑っちゃいました。
しかもセットリストにない無茶振りで、バンドメンバーも焦ったご様子。

そこから、世界一かっこいい下水道ソングと名高い『ロマンシング サ・ガ』の「下水道」。面白ムードから一気にボルテージを引き上げられました。
時代はもう少し下り『サガ フロンティア』から「Battle#4」「Battle#5」を演奏してくれました。時の君やメタルブラックとの激闘が蘇ります。
ここでまたMCが挟まります。なんと「DESTINY 8」という名前が変わる予定である、というなかなかに重大な告知をさらっと発表!
そもそも6人編成のバンドなのに、なんで8なのか……ということに関しては、河津神は何も教えてくれないようです。筆者が思うに、『ロマンシング サ・ガ』ではディスティニーストーンの数も足りなかったくらいですから、バンド名も余白を作りたかったんでしょうか。

ここから長らくサガゾーンが続きます。『ロマンシング サガ リ・ユニバース』から「頂を目指して」「女道化師イゴマール」。『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』から「死への招待状」「呼び醒まされた記憶 -The Battle with Sherah」。そして『ロマンシング サ・ガ2』よりDESTINY 8がアレンジした「七英雄バトル(”D8”ver.)」が演奏されました。
今回のライブでは色々な解釈の七英雄バトルが流れたので、聴き比べる楽しさがありましたね。

30分の休憩を挟み、DESTINY 8に代わって9人編成のスペシャルバンドが登壇します。
「バトル1メドレー」と題しまして『ロマンシング サ・ガ』3作品と『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』の戦闘BGMを連続で演奏。胸が高鳴るゴリゴリのサウンドのなかに、演歌のような泣きのメロディが入っているのがイトケンの素晴らしいところですよね~。

『サガ』シリーズの楽曲は一旦落ち着き、ここからは伊藤さんのスクウェア・ソフト以外のキャリアからピックアップした楽曲が流れます。『パズル&ドラゴンズ』から「Dragon’s Den(MORE ROCK!)」「Future Gate(MORE ROCK!)」の2曲をチョイス。筆者は『パズドラ』関連の楽曲をほとんど知りませんでしたが、初めて聴いてすぐ虜になりました。

そして、ゲストボーカルに小寺可南子さんが登場。
ゲームソングシンガーとして有名な彼女が、アニメ「アラド戦記~スラップアップパーティー」から「LEVEL∞ (Hard Rock ver.)」、声優の上坂すみれさんの活動10周年ソング「愛々々宣言」を高らかに歌い上げます。アニソンも声優ソングも書けちゃうイトケンの多才さにも驚きですし、小寺さんのパワフルなパフォーマンスにも感動です!
彼女のパートは『英雄伝説 空の軌跡SC』から「I swear…」で〆。こちらは伊藤さんの作曲ではなく、小寺さんが元々日本ファルコムのサウンドチーム「jdk BAND」で活動していたという経緯があります。森さんのオリジナルソングと言い、さまざまな曲が奏でられたところも面白かったですね。

彼女に代わって登場した二人目のゲストが、ドラマーのFUMIYAさん。元スクウェア・エニックスの社員で、時田貴司さんの下でデバッグ作業をしていたそうな。
「四魔貴族が弾きたいです!」というアピールが叶い、この場で『ロマンシング サ・ガ3』の「四魔貴族バトルメドレー」を演奏。長い楽曲で圧巻のドラムパフォーマンスを披露してくれました。

その後、FUMIYAと岡島俊治がそれぞれにドラムソロ&ツインセッションを披露。ドコドコとホールを揺らすパワフルなドラムを腹の底で感じました。

ドラムで揺さぶられた気持ちのまま『ロマンシング サ・ガ』『ロマンシング サ・ガ2』の「ラストバトル」、さらに『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』の「決戦!サルーイン」と畳み掛けられます。ラスボス戦の曲をここまで浴びせられるともう……とにかく踊るしかないッ!
といった具合で、そろそろライブも終わりが見えてきました。御年58歳の伊藤氏も、若干疲れが見え始めています。いやはや、とんでもない体力だ……。
皆の顔が見えなくなるからと言って、楽譜ナシでぶっ続けのライブ。なかなかにハードな興行で、その雄姿に震えます。
ここから最近の曲も弾いてくれました。『サガ エメラルド ビヨンド』から「高揚する魂」「軽い腕試し」「希望を捨てるな」。会場中のペンライトがエメラルド一色に染まります。

そして最後のスペシャルゲスト、岸川恭子さんが登場。ソウルフルな高音のスキャットが持ち味の、俳優兼ボーカリストの方です。
『聖剣伝説4』から「愚者の舞」、『サガ エメラルド ビヨンド』から「心躍らせて」を歌い上げます。MCでは伊藤さんに「もうオリジナルキーが出ないんです」という自虐を暴露されてしまいますが、全然そんなことはなく、お年を感じさせないスーパーパワフルなパフォーマンスでした。

もちろん、岸川さんと言えば『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』の「熱情の律動」! ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォーでお馴染みの、熱気を感じる素晴らしい一曲です(これがただの中ボス戦っていうのがサガらしいですね……)。会場のペンライトも真っ赤に染まっていました。

いよいよライブも大詰め。ここでDESTINY 8も合流し、とんでもない人数がステージに集まりました。「無茶です」とスタッフに言われながらも、みんなが見たがると思って我を通したとのこと。たしかに、これだけのプロがひとつのステージに集まるのはなかなか圧巻でした。
大人数で演奏される『ロマンシング サガ リ・ユニバース』の「四元像バトル1~Quartet vibration~」、『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』の「深く昏い奈落へ」「Dress in dread~恐怖を纏う者~」は筆舌に尽くし難いものがありました。暇なパートのときは楽器からペンライトに持ち替えて踊っているバンドメンバーが可愛かったです。

そしてそしてついにラスト一曲。DESTINY 8のリーダーである上倉紀行さんがアレンジした『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』の「七英雄バトル (”RS2R”ver.)」!
何度聴いても素晴らしい……『サガ』が作り出した傑作中の傑作です。そんな一曲を色々な人がアレンジしていく流れを楽しめた、そんなライブでした。
バンドメンバーが捌け、ステージにひとり残った伊藤さん。35年間の作曲家人生を涙ながらに振り返り、最後に『ロマンシング サガ リ・ユニバース』から「再生の絆~Re;univerSe~」をピアノソロで演奏してくれました。これにて本当にライブは終了です。

5時間もの長丁場でありながら、まったくダレることなく、イトケンの音楽をたっぷりと堪能することができました。サガのバトルBGMはもちろんのこと、毛色の違う曲も混じっていたところが良いアクセントになっていましたね。
40周年ライブも絶対に行きたい! そう思わせてくれるサイコーの一日でした。

photo by 砂流恵介











