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映画、ドラマに続いて、今度はインドゲームにホラームーブメント到来!要注目の最新インドホラーゲームをご紹介

新進気鋭のゲームクリエイターたちによる、新作インドホラー・ゲームを紹介します

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映画、ドラマに続いて、今度はインドゲームにホラームーブメント到来!要注目の最新インドホラーゲームをご紹介
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インドは現在、空前のホラーブーム!!

近年、映画やドラマ、コミックといったメディアでホラー色の強い作品が人気を博しています。インドの映画館でも2月27日からシリーズ最新作「スクリーム7」が公開されているように、ほかにも多くの欧米ホラーが普通に上映されており、目に触れる機会は、この数年で圧倒的に多くなっているといえるでしょう。

ゲームの話をするのに、どうして映画?と思うかもしれませんが、実は映画業界がホラーというジャンルを積極的に取り扱うようになった経緯は、その後のホラーゲーム開発ムーブメントの過程として、触れなくてはならないからです。

ホラーコメディからのアプローチの変化

ということで、インドのホラー映画のことから話をはじめますが、インド産ホラー映画というと、ケーブルテレビで放送されたり、一部地域で吹替え版が上映されていた中国・香港映画の影響が強く、「霊幻道士」や「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」シリーズのような、コメディ色の強いものが主流となっていました。

そのため「Bhool Bhulaiyaa」や「ストゥリー」シリーズのように、「死霊館」や「エクソシスト」を意識したような作品であっても、急にコミカルになったり、ミュージカルシーンが挿入されたりで、緊張感が全く無い“ホラー・コメディ”が逆にスタンダードとなっていました。

ところが2010年後半頃から、圧倒的にインターネットが普及したことで、世界中の映画やドラマ、それこそゲームも含めて、簡単にアクセスが可能になってきたことから、徐々にインドホラーの構造自体が、より欧米的なアプローチの作品に変化していきました。そして2020年代に入ると、それが激的に加速していくことになります。

例えば西インドのグジャラート州で小規模公開されたのち、口コミでインド全土に広がった「Vash」(2023)は、ミュージカルシーンなど一切存在しておらず、悪魔に大切な人の精神と身体が蝕まれていく恐怖を家族の視点から描いた作品で、インド国内のみならず、世界のホラーファンを唸らせるクオリティといえるでしょう。

インド特有の神話や民話を取り入れるスタイルは変わらないものの、ホラー色を強化していくことで、唯一無二の作品が多く制作される時代に突入しました。それでもボリウッド(ヒンディー語映画)は、コメディやミュージカルシーン盛り盛りホラーを維持していましたが、ここ最近になって、そんなボリウッドにおいても本格的なホラーを目指すようになってきたことが感じられるようになってきました。

そしてさらに、レーティングを細かく設定できる配信系作品においては、人体破壊は当たり前なゴア描写満載の映画やドラマも多く制作されています。日本のAmazonプライムで配信されている「ザ・ヴィレッジ 呪われた村」(2023)は、同名のコミックを原作とした、ミュータントゾンビ・ホラーで、インド版『バイオハザード』ともいえる作品です。……とにかく悪趣味な死体アートが多く登場します。

映画やドラマ、あるいは海外ゲームを通して、観る目が肥えてきたインドのホラーマインドは、ゲーム界にも大きな影響をもたらすことになります。

2024年に、インドで初めてのホラーゲームといわれている『Kamla』がリリースされると、多くのインディーゲームクリエイターが刺激され、こぞってホラーゲームの開発に乗り出す時代に突入しました。

それが一斉に世に放たれるタイミングが、まさに2026~27年なのです。実際に1~2月内に、10本近くのホラーゲームのトレーラーが公開されました。インドのゲーム業界が大飛躍する理由のひとつは、インディー・ホラーゲームの役割も大きいといえるでしょう。

そのなかでも、とくに多いのが、「村」系ホラーです。『Kamla』も、1980年代の保守的な地域が舞台になっていました。

見知らぬ土地、保守的な村の風習、概念、常軌を逸したレベルの女性蔑視などをホラーに変換することは、日本でも欧米でも変わらないことではありますが、インドの場合も同様、というか、インドの方が神秘的で未開拓の地が多いことや、神話や民話が交じり合ったりして、ホラーマインドは育ちやすい環境にあるといえます。

さらにそれだけではなく、2026年内にリリース予定の『MUKTI』のように、人身売買や名誉殺人(親が不倫や駆け落ちをした娘を家族の名誉回復のために殺害する行為)といった、ホラーよりも怖い社会問題もあるため、インド社会の闇をメタファーとしたゲームも今後増えていきそうです。

グラフィックのクオリティに関しては、まちまちではありますが、テーマの奥深さは、インディーゲームであっても伝わってくるのではないでしょうか。

ここからは、注目すべき最新インド・ホラーゲームを紹介していきます!!

■OOTY : Silence Remains(2026年3月リリース予定)

タミル・ナードゥ州を拠点とする、ふたりのクリエイターによる、"インゼロス・ゲームズ(Inzeros Games)"が開発しています。

1960年代にニザーム王が住んでいたが、放火によって家族が亡くなった後、廃墟化した宮殿に、4人の若者グループが興味本位で訪れるところから物語は展開されます。その道中で事故にあい、森で迷子になってしまった女性を主人公に、森に潜む謎のクリーチャーたちから逃げながら、謎を解き、生還を目指すサバイバルホラーです。

タミルは、映画やドラマにおいても、ホラーに対して、非常にアクティブな地域ともいえるだけに、それがゲームにどう反映されているかが、かなり気になる作品です。

■Thekku Island(2月27日より配信開始)

ケーララ州を拠点とする5人の開発チーム"アレス・デーヴス・ゲームズ(Ales Devs Games)"によって開発された、ケーララ州では初となる3Dホラーゲームですが、"レッド・ウィルズ・インタラクティブ"によるゲームプロジェクトのひとつでもあります。

1980年代、ケーララ州の架空の島を舞台に、ケーララ州の奥地、民話、文化、そして雰囲気のある風景を色濃く反映し、ローカル感が溢れるフィールドを、行方不明になった妻を探す主人公の一人称視点で探検していきます。

トレーラーを観ると、1753年の物語も関わってくるようですが、この時期のケーララ州といえば、トラヴァンコール王国の時代です。何か関係があるのでしょうか……。

ゲームディレクターのアレス・デーヴスは、子どもの頃から家庭用ゲーム機やPCでゲームを楽しんでいて、いつかケーララ州を舞台にしたゲームをプレイしたいと思っていたものの、それが自分中心のプロジェクトになるとは夢にも思っていませんでした。アレスの地元愛とゲーム愛が、どうフュージョンされているのでしょうか。

■Forgotten Villa(2月14日より配信中)

ほぼひとりのクリエイター"ディラジラル・ヴィシュワカルマ(Dhirajlal Vishwakarma)"による、"デッドロジックス(DeadLogics)"が、わずか4か月で開発した作品です。

亡き叔父から最近相続した、森の中にある別荘を舞台にした、一人称視点。友人と週末旅行をしていたはずの主人公は、目を覚ますと、周りには誰もいません……。誰かの声、勝手に閉まるドアの音といった、謎の超常現象の不安とジャンプスケアが、プレイヤーの心理を逆なでします。

グラフィックはチープかもしれませんが、それを補うホラー演出に拘りと工夫が感じられます。無駄に(?)、『GTA』シリーズのように車で人を跳ね飛ばせるギミックもあります……。

■Vocal Horror Stories - Gaja(2026年春リリース予定)

"ベジタリアン・ゲームズ(Vejitarian Games)"と名乗るクリエイターがひとりで、学生ローン返済のために制作した、音声インタラクティブ・心理ホラーシリーズです。

舞台は、新型コロナウイルスによるロックダウン中の2020年。母親が失踪した事件を調査しているインド・チェンナイ出身の若い女性、シヴァーニの精神状態をユーザー自身の声で行動を変化させ、謎を解いていきます。

必要以上に話しすぎたり、声を荒らげたり、自制心を失ったりすると、シヴァーニの不安は高まり、精神状態に反応する象の頭を持つガジャが近づいてきます。

ガジャは、実はクリーチャーとして襲ってくる存在ではなく、シヴァーニとは協力関係です。ガジャが協力してくれる本当の目的は、ストーリーを進めていくことで解明されていきます。

舞台はインドのチェンナイですが、英語とタイ語で制作されているため、開発しているのはタイ人、もしくはインド系タイ人と思われます。

■Occult Chambers(2026年リリース予定)

2023年からハイデラバードを拠点とする"ボーン・モンキー(BornMonkie)"によって開発されている、長期プロジェクトのひとつです。

当初は2025年前後にリリース予定でした。グラフィック部分でのクオリティ強化をするため、追加資金援助を求めていた関係で、しばらく延期になっていましたが、いよいよ2026年にリリースされるようで、すでにデモ版のプレイ動画が解禁になっています。

行方不明になった父親の謎を探るために、ヒマラヤ山脈の渓谷を訪れることになるオカルト研究家を主人公とした、三人称視点のアクションホラーゲームです。怪しさ満点なオカルト儀式の恐怖要素と、豊かで奥深いヒンドゥー神話に登場する幻想的な生き物を探求していきます。


ほかにもMARZUDevi : A light in the darkといったホラーゲームが開発中です。そして、また数週間で新たな作品も続々と解禁になっていくはずです。

インドのゲームであると積極的にアピールしていないだけで、実はアッサム州のクリエイターが開発したThe 9th Charnelのような作品がゴロゴロと転がっています。

インドのゲーム開発会社、もしくは公表されているクリエイターチームは、2010年の時点で30社前後しかないとされていました。ところが2024年の時点で、それが2,600社を越えているとされています。

ただし、それは個人クリエイターや開発チームは含まれていない数です。もちろんピンキリで、極端なほどにシンプルなパズルゲームを開発しているところも含まれていますが、いくつかの作品は、世界で話題になるような作品となるでしょう。

だからこそ、インドのゲーム業界は、メジャーにしてもインディーズにしても、目が離せないのです!!

ライター:バフィー吉川,編集:みお


ライター/映画・インド現代音楽評論家、アメコミショップオーナー。 バフィー吉川

NHK「ABUソングフェスティバル」監修、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」、日本テレビ「ZIP!」などに出演経験あり。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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