気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Slime King Games開発、PC/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/スイッチ向けに2月17日にリリースされたアクションアドベンチャー『Under the Island ニアと不思議な歯車』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、やがて海に沈むというシーシェル島を舞台に、17歳の少女ニアが冒険を繰り広げる2D見下ろし視点アクションアドベンチャー。スニーカーとホッケースティックを装備し、探索や怪物との戦い、謎解きなどをこなして島を救う方法を探ります。日本語にも対応済み。
『Under the Island ニアと不思議な歯車』は、1,800円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Johannesドイツのゲーム開発者で、『Under the Island ニアと不思議な歯車』のクリエイター、Johannes Grünewaldです。本作を手がける前は、主にモバイルゲームのUIアーティストとして活動していました。昔から趣味でプログラミングをするのが好きだったのですが、そのプロジェクトの一つが発展し、日本のゲームへの愛が詰まったこのアクションアドベンチャーゲームとなったのです。
一番好きなゲームはその日の気分にもよりますが、常に『ゼルダの伝説 夢をみる島(GBC版)』、『ファイナルファンタジーVII(初代PS版)』、そして『風ノ旅ビト(PS3版)』の3つのうちのどれかです。これら3作品は、私の人生に決定的な影響を与えてくれました。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Johannes『Under the Island ニアと不思議な歯車』のアイデアは、時間をかけて形になっていきました。最初は「たった6つの部屋だけで、アクションアドベンチャーゲームが成立するか?」という実験から始まったのです。その6部屋にはとにかくたくさんの秘密を詰め込もうと考えました。
しかし、最初のプロトタイプは自分でも気に入らず、最終的な方向性が見つかるまで試行錯誤を繰り返しました。それでも、本作の中心にあるのは「密度の高い秘密」です。実際、ゲーム内のすべての部屋に、何かしらの発見があるのです。
本作を開発するにあたり、私は2つのデザイン上の大きな柱を据えることとしました。
1つ目は、探索と試行錯誤です。プレイヤーの「何か発見したい」という衝動には、必ず報酬で応えるべきだと考えました。どうすればプレイヤーを喜ばせられるか、あらゆるパターンを熟考したのです。リリース後、まさにこの点を最も高く評価していただけたので、この試みは概ね成功したと思っています。
2つ目は、本作の世界にいるだけで心地良いということです。本作の世界に身を置くこと自体が気持ちよければ、自然と自分で探索したいという気持ちが湧いてくるはずです。
このゲームを特徴的なものにしているのは、「90年代」と「ファンタジー」が混ざり合った世界観だと思っています。そこに、昔ながらのダンジョン攻略と自由な選択を組み合わせた、セミオープンな構造が加わっていますよ。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Johannes本作は、私が子供時代に触れた日本のゲームから強い影響を受けています。『天地創造』、『アランドラ』、『MOTHER3』(これは数年前にプレイしたばかりですが)、そしてもちろん『ゼルダの伝説』シリーズです。
また、アニメ「怪奇ゾーングラビティフォールズ」やディズニーの「ガミー・ベアの冒険」からも多くのインスピレーションを得ました。今は思いつきませんが、他にもたくさんの作品から影響を受けているはずです。
さらに、私自身の子供時代の体験も本作の中に盛り込んでいます。例えば「製材所」の部分ですね。子供の頃、私は地元の製材所にいつもこっそり忍び込んで遊んでいたのです。皆さんは絶対に真似しないでくださいね!

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Johannes少し恥ずかしいのですが、おそらく一生忘れない出来事がありました。本作のリリース当日、私は息子と一緒にテレビの前に座っており、ある配信者が本作のプレビュー配信している様子を一緒に見ていたのです。私はまだノートパソコンで作業をしていてバタバタしていたのですが、小さな息子がふと「ねえ、今あの人、チートメニュー開いてなかった?」と言ったのです。
…その瞬間、全身の血の気が引くような、熱さと寒さが同時に襲ってくるような感覚に陥りました。
「まさか完成版で、チートメニュー(ゲームのテストではよく使用されます)を無効化し忘れていたのか?」
私は大急ぎで仕事部屋に駆け込み確認すると、案の定、有効になったままだったのです…。
私は急いでパブリッシャーに連絡し、本作のバージョンを差し替えました(Steamなら数分で変更できます)。これらすべてがリリースのわずか1~2時間前に起こったのです。本当に恥ずかしいことではあるのですが、今となっては笑い話ですね。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Johannes最も多く寄せられたフィードバックは、「心から楽しめた」というものと、「特に世界観や細部にわたるこだわりがとても気に入った」というものでした。本作のパズルについても非常に高い評価をいただけています。
一方で、ネガティブな意見もありました。あるプレイヤーは「もっとゼルダに寄せてほしかった」と残念がっていましたし、別のプレイヤーは「ゼルダに似すぎている」と感じたようです。
また、何人かは「楽しかった子供時代にタイムスリップさせてくれた」というメッセージを送ってくれました。開発者として、これほど嬉しいことはありません。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Johannesすでにいくつかの細かな機能追加と最適化を行いました。例えば、100%コンプリートを目指す熱心なプレイヤーの皆さんから、「進捗状況を確認できる機能がほしい」というリクエストを多くいただいていました。
そこで、村の中に「進捗状況を表示する宝箱」を隠しました。様々なカテゴリーの達成度を確認できるようになっています。すべての項目を100%アンロックすると、その宝箱が開き、特別なアイテムが手に入るようになっています。そのアイテムがなんなのかは秘密ですが、「とってもキュートで、猫に関係する何か」ということだけは教えてしまいましょう。
それ以外については、現時点ではこれ以上の大きな機能追加は予定していません。しかし、引き続きすべてのバグを修正し、細かなディテールをさらに磨き上げていくことに全力を注いでいきます。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Johannesまったく問題ありません。特にインディー開発者にとっては、星の数ほどあるゲームの中で注目を集めるというのは、本当に、本当に難しいことです。私たちは、日々リリースされる新作だけでなく、リリースから何年経っても売れ続けている過去の名作たちとも競い合わなければならないのですから。
だからこそ、本作に関するコンテンツを作ってくれたり、口コミで魅力を広めてくれたりするすべての人には、心から感謝しています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Johannes『Under the Island ニアと不思議な歯車』に関心を持っていただき、本当にありがとうございます。
そしてぜひ、小さなインディー開発者たちを応援していただけると嬉しいです。彼らの作るゲームは、大規模スタジオが作るものほど洗練されていないかもしれません。しかし、新しい作品をリリースするたび、彼らは確実に進化していきます。そして何より、彼らの存在こそが、ゲーム業界に彩り豊かなゲームをもたらしてくれているのです。
もし、小さなスタジオが作ったゲームで気に入ったものがあれば、ぜひ友達にも教えてあげてください。それだけで、とてつもなく大きな支えになるのですから。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








