「ジャンプスケア一切なし」でもしっかり怖い。“平成の香り”色濃く漂う秀逸短編ホラーADV『怪異番号~20✕✕(ニーマルバツバツ)~』プレイレポ | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「ジャンプスケア一切なし」でもしっかり怖い。“平成の香り”色濃く漂う秀逸短編ホラーADV『怪異番号~20✕✕(ニーマルバツバツ)~』プレイレポ

公衆トイレに落書きされた「謎の電話番号」を巡る奇妙な怪異譚をレポート。

連載・特集 プレイレポート
「ジャンプスケア一切なし」でもしっかり怖い。“平成の香り”色濃く漂う秀逸短編ホラーADV『怪異番号~20✕✕(ニーマルバツバツ)~』プレイレポ
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今回は、EBA GAMEが手がけるホラーADV『怪異番号~20✕✕(ニーマルバツバツ)~』のプレイレポートをお届けします。

◆「平成感」たっぷりな町を舞台に、奇妙な怪異譚の真相に迫る

本作は、テキストベースのホラーアドベンチャーゲームです。プレイヤーは平成時代のとある町を舞台に、残された噂や電話番号を辿りながら、この町に潜む怪異と関わっていき、真相を解き明かしていきます。

本作の特徴は、「ガラケー」や「公衆トイレに落書きされた電話番号」など、色濃く漂う“平成感”とその時期に流行った都市伝説をモチーフに構成された、4つの怪異エピソードを体験できることです。

また、突然の大きな音やグロテスクな画像による「ジャンプスケア」的な演出はいっさいなく、日常が少しずつ不気味になっていく恐怖を描いているので、ホラーが苦手なプレイヤーでも安心してプレイできるのも特徴です。

操作は、キーボード&マウスのみに対応しています。オプションは、BGMの音量から文字表示速度の変更など、テキストベースのゲームプレイに最適な設定をカスタマイズできます。

グラフィックは実写が主体

本編がスタートし、まずは物語のプロローグから始まります。

時は2005年の平成真っ只中。舞台となるのはS県にあるE町で、ここは中心部にオフィス街がありつつ、郊外にはマンションや住宅街が並ぶ、生活しやすい町です。

本作のグラフィックは「実写」が主体で、往年のサウンドノベル風の仕上がりになっています。
また「背景」の項目からテキストを非表示にでき、写真をじっくりと見ることも可能です。しかし、なぜ実写とノベルの相性ってこんなにも良いんでしょうか?めちゃくちゃ没入感があります。

そんな町を夜中に自転車で駆け抜けているのが、主人公の中学生です。彼がどうしてこの時間帯に活動しているのかというと──。

それは学校でウワサになっている「恋愛番号」を探すため。恋愛番号とは、町のどこかの公園のトイレに書かれている、「自分の好きな人と結ばれるかどうか占ってくれる」という謎の電話番号のことで、主人公がひそかに思いを寄せるクラスメイト「カミタニ」さんとの恋の行方をどうしても知りたいのです。

けれども、この安易な考えが主人公を奇妙な世界へ誘うことになります……。

主人公が住む町には、「カーニバル公園」「グランド公園」「三角公園」「五臓島公園」など、めぼしい公園が4つあり、それぞれを調査していきます。広園ごとに1つのエピソードが展開されますが、どこから行ってもプレイヤーの自由です。

筆者はまず「三角公園」から行くことにしました。

この三角公園は、道路の拡張、変則的な交差点、または線路や河川に沿った土地分割など、地形やインフラ整備の都合によってできたいわゆる「三角地」を利用した、住宅街にぽつんと鎮座する小さな公園です。

現実世界でもよく見かける場所ですが、実は古くから「角が立つ」「気が安定しない」など、風水的には大凶相として敬遠されがちです。

そんな縁起のよくない場所にも、一応公衆トイレは存在している模様。小さな公園にありがちな、外から丸見えの小便器と個室のみが設置された粗末なものですが、それゆえに「何か」が出そうな不気味な空気感が漂っています。果たして、恋愛番号はそこにあるのか…!?

ちなみに、テキストは早送りや自動読み込み、履歴の閲覧などが可能で、快適にプレイできました

トイレの壁にあったのは、「シクラコヨリ 0319-422」という奇妙な落書き。名前があるということは、残念ながら目当ての恋愛番号ではなかったのですが、いったい「シクラコヨリ」とは誰なのか…?逆に謎は深まるばかり。

余談ですが、平成初期~中期にかけて、公衆トイレ(駅、公園など)の壁には多くの落書きであふれていました

内容は、「疲れた」「死にたい」などのネガティブな吐露や、「合格するぞ!」といった個人的なつぶやき、出会いを求める文言や個人の電話番号(ポケベルや携帯)、卑猥なイラスト、誹謗中傷と多岐にわたり、SNSが普及する前の「匿名掲示板」のような役割を果たしていました

しかし、平成後期には、公衆トイレの環境美化やネットの発達によって落書きの数は減少していきます。とはいえ、トイレの密室空間が生む恐怖感や、未知の電話番号への好奇心などから、「公衆トイレの落書き」は怪談や都市伝説のモチーフになりやすい時代背景がありました

いよいよ覚悟を決め、「シノクラコヨリ」の番号にかけてみることに。ここで「かける」もしくは「かけない」の選択画面が出現、意を決して電話してみます。

すると、つながらないと思っていた電話が取られ、「早く見つけて…」と懇願する声が…!しかし、その第1声を最後に通話は終了しています。

「シノクラコヨリ」「見つけて」2つの言葉が点と点で繋がり、主人公はあることを思い出します。

それは、住宅街の片隅にひっそりと貼られた「行方不明者」のチラシ。なんと、その行方不明者こそが「シノクラコヨリ」という名前の女子高生だったのです。事件の概要は、およそ1年前、近所の高校生が「少し出かける」と言い残して失踪し、そのまま行方不明に……。周辺では非常にセンセーショナルな事件として扱われたとのこと。

偶然とは言え、この奇妙な事件に関わってしまった以上、あとに引くことはできません。事の真相を聞き出すため、シノクラコヨリに再度電話をかけた主人公は、衝撃の事実を告げられます。果たして、彼女はどこにいるのか、そして恋愛番号は手に入るのか。続きは、ぜひプレイヤー自身で確かめてください。


本作の良さは、単純なジャンプスケアに頼らない、怪談じみたJホラー風の物語が展開していくところで、読みやすさもあって、ホラーゲーム初心者には特におすすめできます

また、ゲームのいたるところに「平成時代」の懐かしさを感じられるミームも数多く登場するので、それらも魅力的でした。

『怪異番号~20✕✕(ニーマルバツバツ)~』は現在Steamにて配信中です。

  • タイトル:『怪異番号~20✕✕(ニーマルバツバツ)~』

  • 対応機種:Windows PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)

  • 著者プレイ時間:3時間

ライター:DOOMKID,編集:みお

ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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