個人開発者のGarkimasera Gamesは、惑星シミュレーションゲーム『Gaia Maker』を2026年3月5日にPC(Steam)向けに無料でリリースしました。
本作は、プレイヤーが高度な惑星工学技術を駆使して惑星をテラフォーミングしながら、さまざまな生物を育成していく作品。惑星の環境まで整えることで生命は繁栄していき、やがて文明を持つことになります。刻一刻と変化する惑星を観察するのか、介入して導いていくのか、すべてはプレイヤーの自由です。
1990年に発売された、ウィル・ライトの『シムアース』を参考にしたという本作は、Steamにて無料公開されています。この理由として、開発者による「今後の『シムアース』ライクゲームの勃興を願う」という思いがあるようです。本作のプレイレポートも掲載中です。
Game*Sparkでは、開発者のGarkimasera Gamesへのメールインタビューを実施。『Gaia Maker』の制作経緯や工夫したこと、そして『シムアース』への想いなど、さまざまな質問に答えていただきました!
『Gaia Maker』開発者インタビュー
◆『シムアース』愛と受け継いだ精神
――まずは自己紹介と『Gaia Maker』の開発経緯について教えてください。
Garkimasera Games:初めまして。SteamでGarkimasera Gamesと名乗っております『Gaia Maker』の開発者です。元々GitHubでgarkimaseraというアカウント名で個人プロジェクトを公開していました。本業はソフトウェアエンジニアで、趣味でゲームの作成をやっています。
『Gaia Maker』の開発を始めた理由は、子供時代に遊んでいた『シムアース』を、今の自分で同じようなものを作れないかと思いついたことです。当時の『シムアース』では、速度が遅すぎてシミュレーションを進めるのにSFCを何十分も放置したり、納得できないバグのような挙動があったりしましたから、そこを直したものを見てみたかったということです。
また、惑星環境の挙動を簡単な実装で再現できないか、という個人的な学術的興味もありました。当初は、GitHubにひっそりと公開するつもりで、Steamに出す気はなかったですね。

――影響を受けたという『シムアース』にしかない魅力や、絶対に『Gaia Maker』で取り上げたかった要素を教えてください。
Garkimasera Games:『シムアース』の特異な点は、プレイヤーの行動に対しての応答というゲーム性の根本が、物理学・地学的に根拠のあるシミュレーションに基づいているところだと考えています。プレイヤーが火災を起こせば、二酸化炭素やエアロゾルの増加といった複数の要因が惑星に影響を与え、これが様々なところに伝播していきます。
これは一般的なゲームをプレイするより複雑で、予測の難しいものです。その中で、『シムアース』の中のテラフォーミングシナリオは惑星を人為的に大きく改変するという点で大変面白く、子供の頃何度もプレイした部分です。この部分を何度もテンポよくプレイしたい、というのがGaia Makerをテラフォーミング主体にした理由です。
また、ゲーム内の要素が複雑に相互作用するという点では、シムシティなどと同様ではありますが、『シムアース』はそれよりさらにスケールが大きいという点も特筆すべきことです。惑星スケールで文明を含めたシミュレーションは、我々が惑星上のわずかなエネルギーを取り合って生きる小さな存在であることを否応なく理解させてきます。
人間は自分たちが高尚な存在だと勘違いしていますが、実際は自然の摂理に縛られて生きるちっぽけな存在です。環境保護などを表面上の理解だけで主張することは簡単ですが、本当の文明の持続性は何によってもたらせるかを考えるにはこのような視点は必要だと考えます。これを強調するため、プレイヤーがその気になれば文明はあっさり滅ぶという要素を『シムアース』から受け継いでいます。
――『シムアース』を継ぐゲームがほぼ存在しない現状について、どのように感じていますか。
Garkimasera Games:『シムアース』のようなゲームの需要はあると思います。実際テラフォーミングだけでなく色々な物理学・生物学的現象を扱おうとするタイトルはたくさんありますから。ただ、科学的なシミュレーションの世界に携わろうとする人は少なく、その中でゲーム制作のノウハウまで両立できる人は極めて珍しいと思います。
自分も学生時代は物理シミュレーションの研究をやっていましたが、そんな学部でも物理学とプログラミング等のゲーム制作に関わる技術に両方精通している人は稀でした。一方で、そういった学問に関わったことがなく、かつゲームを作りたいという人はたくさんいます。結果、物理学・生物学的現象を過度にデフォルメしたタイトルばかりしかゲーム業界は提供できないのだと思います。これは勿体ないことです。
とはいえ『Oxygen Not Included』など、ゲーム体験が物理学的現象を基礎とする設計で成功しているタイトルも存在します。インディーから大手まで、このような方向性のゲームが増えることを、一人のゲーマーとして、また科学好きとして願っています。子供のときの自分のように、若い世代がゲーム体験を通じて物理学・生物学・地学などに興味をもてるようになって欲しいです。

◆『Gaia Maker』で目指したもの
――『Gaia Maker』は細かく数値をシミュレートする作品ですが、開発時に苦労したことがあれば教えてください。
Garkimasera Games:物理シミュレーターとしてはそこまで複雑なことはやっていませんが、ゲームとしてプレイしたときに不自然にならないようにパラメーターを調整するのは時間がかかりました。惑星の気温が激しく振動したり、少し気温が下がるとすぐに氷原だらけになったり、もしくはあっという間に溶けたりするといったことがありました。
これらの解決のため、ゲームのために現実から離れたパラメータにしたり、逆により現実に近くなるようシミュレーションを複雑化させたり、と複数のアプローチを組み合わせています。もちろん、これには多少の自然科学とシミュレーションの知識が必要です。
あと、実は施設の維持エネルギーや性能なども物理学的に不自然ではない程度に調整されています。ゲームバランスとの兼ね合いで恣意的な値になっている部分もありますね。

――最初のチュートリアルやゲーム内ヒント、各種データの見やすさもあり、とてもプレイしやすいゲームでした。ゲームを遊びやすくする工夫について教えてください。
Garkimasera Games:今作もまだユーザビリティは改善の余地があると考えていますので、あまり偉そうなことは言えないのですが、やはり既存のゲームを参考にすることが重要だと思います。
自分のやったことのあるシミュレーションゲームのスクリーンショットを集めたりしてインターフェイスの調査もしました。普段やっているゲームでも、開発者がどうプレイヤーを誘導しようとしているかを見てみると、その苦労が見えて面白いです。
また、今作は取っつきやすいように単純化を目指しています。開発初期は資源の種類がいくつかあり、それに関連した建造物もありました。恒星系内の他の星から物資を集める流通要素などを考えたこともありました。結局、テラフォーミングと惑星の変化に集中できるよう、それらの要素を切り捨て、世界観を表現できる最小限の資源と施設の種類にしました。
ゴテゴテに様々な宇宙・SF要素を詰め込んだ惑星開拓シムがあったら魅力的ですが、それをゲームとして成り立たせるには相当な開発力と掴みになる美麗なグラフィックが必要でしょう。開発力が小さい場合は、根本になるゲームデザインを活かせるように要素を切り捨てることも重要だと思います。

――『Gaia Maker』に登場する生物のピックアップ基準を教えてください。また、生物ごとの文明化確率などの設定はどのようなデータを考慮したのでしょうか。
Garkimasera Games:魚類や哺乳類といった各分類から、代表的なものを個人的な好みで選出しています。文明化確率は割と適当な設定ですが、小さくて単純な生物より、中程度の大きさで複雑な生物がより文明を持ちやすく、海より陸のほうが文明に適するよう調整してます。これは生物学的に根拠があるものです。
――本作ではテラフォーミングだけでなく惑星や文明の傾向なども細かく調整可能です。ゴッドゲームらしい直接的な介入もできますが、開発として想定しているプレイヤーの介入頻度はどれくらいでしょうか?
Garkimasera Games:基本的に一度生命が増えてしまえばずっと放置で問題ないようにするのが目標です。ただ、条件次第では、放置しているとだんだん気候バランスが崩れるようにしているのは意図的なもので、現実の再現です。放置で眺めつつ時々修正を入れ、プレイヤーがその気になれば動物や文明にちょっかいを出せる、というのが基本的な想定ですね。

◆『シムアース』ライクゲームの勃興を願う
――今後のアップデート計画などがあれば教えてください。生物や惑星などの種類が増えることはあるのでしょうか?
Garkimasera Games:いくつかゲーム内容を拡充するプランはあります。いつごろ実装できるかはまだわかりませんが、ある程度の制限や拡張要素がある惑星で目標を達成する、シナリオモードのようなものは付け加えたいと考えています。
――同じく『シムアース』に影響を受けたというタイトルとして、2025年8月に早期アクセスを開始した『Planetary Life』があります。同作はプレイしましたか?
Garkimasera Games:体験版のときにプレイしたことがあります。早期アクセス開始後の状況はわかりませんが、ゲームデザインとしては『シムアース』も含むものの『Spore』の要素が強く、惑星全体の変化より生物の進化や生態系に重点を置いていた印象です。
自分が『Gaia Maker』で重視していたところと違う視点ではありますが、『シムアース』ライクゲームが登場したことは喜ばしいことだと思っています。
――「今後の『シムアース』ライクゲームの勃興を願い、完全無料でSteamに公開」という、驚くべき無料配信理由です。あらためてその情熱について語って頂ければ幸いです。
Garkimasera Games:今作は元々オープンソースにする予定であり、何らかの形で無料版は提供する想定でした。Steam版は固有の要素を入れて有料にすることも検討しましたが、結局無料で統一することにしました。なるべく多くの方にプレイしていただき、興味があればゲームデザインでもソースコードの中身でも真似してもらいたいです。そして『シムアース』ライクゲームとして後続が出てくることを願っています。
――最後にプレイヤーおよび読者の方にメッセージをお願いします!
Garkimasera Games:『シムアース』を過去プレイしたことのある方は、ぜひ今作もプレイして懐かしんでもらいたいです。そうでない方も、興味があればぜひプレイして楽しんでもらえたら幸いです。


『Gaia Maker』はPC(Steam)にて無料配信中。itch.io/GitHubでも公開されています。とても遊びやすく、プレイごとに異なる生命のシミュレートが楽しめるので、気になる方は是非ともプレイしてください!











