「アクションRPG」と聞くと、多くの人は歯ごたえのある戦闘や奥深いビルド構築など、ハードコアなゲーマー向けの要素を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、2026年第2四半期発売予定の『Luminary』は、そういった要素を踏襲しつつも、複雑すぎる要素や過剰なペナルティを避けた、誰もがアソビやすい作品を目指しています。有人や家族と気軽に遊べるアクションRPGとは一体どんなものなのか、開発者にインタビューしました。

――自己紹介と、『Luminary』での役割について教えてください。
キース:こんにちは、キース・コロッドです。Refractive Entertainmentのオーナーを務めています。『Luminary』ではクリエイティブディレクターですが、開発チームは2人だけなので、実際にはデザイナー、アーティスト、アニメーターなど、C++コード以外のほぼすべてを担当しています。
――開発者としてのこれまでの経歴についても教えてください。どのようなプロジェクトや分野に関わってきたのでしょうか。
キース:もともとはハリウッドでビジュアルエフェクトアーティスト兼スーパーバイザーとして、大作映画に関わっていました(実績はこちら)。それを10年ほど続けたあと、シミュレーションやVRといった成長分野に取り組むためRefractiveを立ち上げました。
Unreal Engineでシミュレーション制作を行い、Sea Worldのようなテーマパーク向けゲームの開発も請け負っていました。プロジェクトの合間にEpic Mega Game Jamにも参加し、1週間で作った太っちょネコの2.5Dアクション『Space Claws』が約2,000作品の中でトップ10に入りました。それでコンシューマーゲームも本格的に作れると確信したんです。
――チームとして、本作に持ち込んだ経験や開発哲学はどのようなものですか。
キース:パートナーのマットとは15年一緒に仕事をしています。ハリウッド時代には私が彼の上司として一緒に働いていましたし、多様なプロジェクトを経験しながら納期を守る力を培ってきました。私たちの最大の目標は「大規模チームが作ったように見える作品」に仕上げることです。小規模で無駄を省き、スピード感を持って開発しています。
――本作を初めて知る読者に向けて、『Luminary』をあらためて教えてください。
キース:『Luminary』は“帰ってきたような感覚”のゲームです(ちょっとベタですが本当にそうなんです)。子どもの頃に感じたファンタジーやゲームの楽しさを思い出せる、幅広いプレイヤーが一緒に楽しめるアクションRPGです。難しすぎず、簡単すぎず、ちょうどいいバランスです。広大な探索、ダイナミックな戦闘、成長、ジョブスキル、素材収集といったARPGに必要な要素は揃えつつ、不要な要素は省いています。
最近のARPGは高難度でダーク寄り、複雑なシステムが多く、久しぶりに遊ぶと操作を思い出すのも大変です。それは一部のプレイヤーには良いですが、みんなに向いているわけではありません。

『Luminary』は常に「楽しさ」を最優先に設計されています。シンプルなUI、分かりやすいスキル成長、明確な目的。ARPGに触れてこなかった人への橋渡しになる作品を目指しています。明るく親しみやすいファンタジー世界で、初心者には遊びやすく、経験者には十分な深みもあります。最大の目的は、人を一緒に遊ばせることです。
好きなタイミングで参加・離脱できるCo-opも特徴で、ソロで育てたキャラをそのまま友達の世界に持ち込み、進行や装備を共有したまま遊べます。そしてまたソロに戻ることもできます。時間を無駄にさせない設計も重視していて、重量制限や細かいインベントリ管理、装備劣化、死亡時のロストなど、ストレス要因になる要素は意図的に排除しています。
――本作はどういった作品に影響を受けていますか。
キース:『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『Fable』、『モンスターハンター』です。5年前、家族で『ブレス オブ ザ ワイルド』を遊んでいたのですが、とても楽しい反面、1人用であることが惜しかったんです。30分ごとにコントローラーを回して遊んでいました。「これがマルチで遊べたらいいのに」と思って探しましたが、理想のものは見つかりませんでした。それで「自分で作るしかない」と決めました。
――他のオープンワールドARPGと比べて、本作の独自性はどこにあると考えていますか。
キース:まず大きいのはCo-opです。オープンワールドARPGでCo-opに対応している作品は意外と少なく、あってもサバイバル寄りのものが多いです。また、ソロとマルチで同じキャラクターを使い続けられる点も重要で、あまり見られない仕組みです。さらに、プレイヤースキルの幅に対応した設計も特徴だと思います。
――「バランスが取れていて遊びやすい」オープンワールドARPGとされていますが、「遊びやすさ」とは具体的に何を意味しますか。
キース:普段ARPGを「楽しい」と感じない人にも楽しめることです。年齢や経験を問わず、誰でも遊べるようにシステムをシンプルにしています。自分と妻と息子が一緒に遊んで楽しめるか、それが基準です。

――現代のARPGは高難度志向かビルドの奥深さかが重視されがちであるように感じます。本作ではどのようにバランスを取っていますか。
キース:その通りで、そういったゲームは特定のハードコアプレイヤーにはとても魅力的です。私自身も『ELDEN RING』や『SEKIRO』、『ソウル』シリーズのような作品が大好きです。ただ、そうしたゲームは妻や息子にとっては“難しすぎる”。だから家族みんなで遊べるゲームが必要でした。
一方で、ハードコアプレイヤー向けにはスキルベースの戦闘を用意しています。つまり、プレイヤースキル次第で低レベルでも効率よく進行できます。さらにクリア後にはTier2、3、4といった段階が解放されます。いわばNew Game+のようなものですが、キャラクターや街、マップの進行状況を引き継ぎます。敵はより強くなりますが、その分報酬も増えるため、それぞれの腕前に応じた楽しみ方ができます。
――序盤数時間ではどのような体験が味わえますか。
キース:あらゆるプレイヤーに対応するよう設計しています。経験者はより速く世界を進み、高いTierを早期に解放できますが、初心者向けには丁寧なチュートリアルや段階的に慣れていく導線があります。
重要なのは「後退しない」ことです。攻撃するたびに経験値が入り、死亡しても何も失いません。たとえプレイが苦手でも、時間をかければ確実にキャラクターは成長していきます。

――近接・遠距離・魔法を自由に切り替えられる戦闘は、どのように設計されていますか。
キース:それぞれまったく異なるプレイスタイルになっていて、最終的にはプレイヤー次第です。近接はタイミングや力押しを重視したハック&スラッシュ、遠距離はFPSのような精度やスキルが求められ、魔法は範囲攻撃やサポート寄りの役割になります。
熟練したプレイヤーであれば状況に応じて使い分けるでしょうが、それを強制するつもりはありません。たとえば近接が好きなら、それ一本でもしっかり楽しめるようにしています。
――プレイヤーにビルドの実験を促す仕組みはありますか。
キース:クラスが固定されていない点が大きいです。武器ごとに独立したレベルとスキルがあり、キャラクターのレベルとは別に成長します。そのため、いつでも別のプレイスタイルに切り替えることができます。
例えばソロでは剣と盾で戦い、マルチでは同じキャラクターで杖を使って範囲攻撃やサポートに回る、といったことも可能です。ひとつのキャラクターで複数のスタイルを育てられます。
――より高難度志向のアクションRPGと比べて、本作における「プレイヤースキルの表現」はどのように位置付けていますか。
キース:例えば私は、回避の無敵フレームを活用して敵の攻撃をタイミングよく避け、スキルを叩き込み、数発攻撃してまた離脱する、という戦い方をします。その分、回復薬や重装備に頼る必要が少なくなります。
一方で、体力を重視して敵の群れに突っ込み、攻撃を受けながら戦うプレイスタイルもあります(これは妻のスタイルです)。どちらも正解で、プレイヤー自身のやり方で遊べるようにしています。
――移動や探索は本作において大きな要素となっているようですが、全体のゲームループの中でどのような役割を担っていますか。
キース:『Luminary』では移動や探索そのものを大きな柱として重視しています。世界を移動すること自体が、戦闘と同じくらい楽しい体験であってほしいと考えています。探索は驚きと報酬に満ちたものであるべきですし、実際に探索だけでもキャラクターや街を成長させることができます。ほかにもさまざまな秘密や宝物が隠されています。ゲーム開始時から移動の自由度は高いですが、プレイを進めることで新たなルートも解放されていきます。
――探索に対して「意味のある報酬」をどのように設計していますか。
キース:どこにでも何かしらがあります。プレイヤーが道を進めば、その先には必ず何かがあるべきだと考えています。それが必ずしも強力な装備である必要はありませんが、小さな発見でもプレイヤーの行動をきちんと肯定することが重要です。私はイースターエッグが大好きで、他の人が見逃すようなユニークな要素を見つけるのが楽しいんです。その喜びを『Luminary』でも届けたいと思っています。
――手作業で作られた環境と自動生成・ランダム要素のバランスはどのように取っていますか。
キース:自動生成・ランダム要素はあくまで軽めです。たとえば宝箱の中に巻物を隠したい場合、あらかじめ20か所の候補地点を手作業で用意しておき、マップ生成時にその中から1つが選ばれる、という仕組みです。これによってプレイごとに変化がありつつも、完全にランダムになりすぎないよう制御しています。世界自体は100%手作りです。

――ソロとCo-opで進行状況が共有される設計にした理由は何ですか。
キース:多くのゲームでは、ソロ用とマルチ用で別々のキャラクターを作ることになりますよね。でもそうすると、どちらかの進行が遅れたり、すでに育てたキャラがあると新しく育てるのが億劫になったりします。その結果、友達と遊ぶこと自体に消極的になってしまうこともある。
『Luminary』ではその問題を解消しています。ソロでもCo-opでも同じキャラクターを使えますし、もちろん用途に応じて複数キャラを作ることもできます。私自身も忙しくて複数キャラを育てる時間がないので、この仕組みは重要でした。
――Co-opによってゲームが簡単になりすぎないような調整はしていますか。
キース:Co-opはあくまで体験を拡張するものであり、難易度を人数に応じて自動調整することはしていません。たとえば家族と遊ぶとき、戦闘への貢献度が低い場合でも難易度だけ上がってしまうと、かえって遊びづらくなりますよね。
その代わりに、プレイヤー自身が難易度を選べるようにしています。熟練者同士ならTier2や3の世界を選べばいいし、カジュアルなメンバーならそのまま遊べばいい。人数が増えたことで不利になることはありません。
――マルチプレイでは、どのような役割分担やプレイヤー間の関係性を想定していますか。
キース:それぞれのプレイヤーが異なる形で貢献できると理想的です。たとえば、盾を持ったプレイヤーが敵の注意を引きつけてまとめ、そこに魔法使いが範囲攻撃を叩き込み、さらに遠距離プレイヤーが弓で後方から敵を処理する、といった形ですね。これが理想的な連携ですが、3人でひたすら雷魔法を撃ちまくるような遊び方ももちろん可能です。

――オンラインだけでなく、ローカルCo-opにも対応する理由は何ですか。
キース:単純に、家族でソファに座って一緒にゲームを遊ぶ体験が好きだからです。そういう時間を懐かしく思っている人も多いと思います。早期アクセス開始時点では画面分割Co-opは未対応ですが、将来的には実現したいと考えています。開発上の課題はありますが、時間をかけてでも実現したいですね。
――街づくりやNPCの成長要素も含まれていますが、戦闘や探索と比べてどの程度重要な位置付けですか。
キース:『Luminary』には複数の成長ルートがあり、そのひとつが街と商人の発展です。ショップでは装備が販売されますが、素材を提供することで品揃えや性能が向上していきます。これはあくまでひとつの遊び方で、探索や戦闘だけでも十分に進行可能です。ただ、戦闘をできるだけ避けたいプレイヤーにとっては、もうひとつの選択肢になります。
――街やキャラクターの成長を通じて、どのようにモチベーションを維持しますか。
キース:キャラクターが成長すれば新しい能力が解放され、戦い方やプレイ体験が広がっていきます。それは街についても同様です。もちろん、小規模チームなので追加できる能力にも限界がありますが、長く遊び続けてもらうための仕組みは用意しています。
そのひとつが「プレステージ」システムです。キャラクターを初期状態に戻す代わりに、新しい見た目要素を獲得できます。一方で転生を選ばずにレベルを上げ続けると、外見がより邪悪になっていきます。これは「力を持ちすぎると魂が腐敗する」という本作のテーマにも関わっています。詳細は今後お伝えする予定です。
――「光と腐敗」というテーマは、ゲームプレイやレベルデザインにどのように反映されていますか。
キース:かつて美しかった世界が闇に覆われていく様子が視覚的にも表現されています。生命を育んでいた黄金の木は闇を放つ存在へと変わり、住民たちもその影響を受けています。プレイヤーは“Luminary”として、この闇を払い、光を取り戻す役割を担います。
たとえばチェックポイントを起動すると、穢れた木が生命の木へと浄化され、リスポーン地点になります。邪悪なクリスタルを破壊するとファストトラベル地点になります。そして最終的には「エボナーク」と呼ばれる存在を倒すことになります。彼らはかつて光を授かりながら、その力に飲まれてしまった存在です。
――物語要素とプレイヤー主導の探索はどのようにバランスを取っていますか。
キース:基本的にはすべてプレイヤー主導です。NPCとの会話や、旅の中で見つけるアイテムや手紙を通じて、少しずつ世界観や物語が明らかになります。分岐型のストーリーよりも、ゲームプレイそのものを重視した設計です。

――早期アクセスという形でのリリースを選んだ理由は何ですか。
キース:完全に自己資金で開発しているためです。パブリッシャーもクラウドファンディングもありません。この1年は貯金を切り崩してフルタイムで開発してきました。早期アクセスによって収益を得ることで、開発継続やチーム拡大につなげたいと考えています。
また、私たちはコンシューマーゲーム開発が初めてで、コミュニティから多くを学んでいます。Steamで公開したデモも、事前のフィードバック収集の場として活用しました。今後もコミュニティと密接に関わりながら開発を進めていきます。
――この段階でプレイヤーからどのようなフィードバックを期待していますか。
キース:バランス調整、ゲームプレイ上のつまずき、システムの分かりやすさ、QoL改善など、あらゆる意見です。実際にデモでは、マウス&キーボード操作が不十分だという指摘を受けました。私はコントローラー中心で設計していたため見落としていた部分です。その結果、すぐにパッチで改善しました。コミュニティの声がなければ気づかなかった点です。
――正式リリースに向けて、どのような進化を予定していますか。
キース:フィードバックの反映に加えて、世界そのものを拡張していきます。プレイエリア、敵、武器、防具、スキルなど、すべてが増えていきます。早期アクセス版はゲームの基盤となる部分は完成していますが、コンテンツは今後どんどん拡充していきます。
――日本からの注目も高く、ウィッシュリスト数では第2位(2万7,000件以上)とのことですが、この反響をどう受け止めていますか。
キース:本当に嬉しいです。私は日本のゲームや映画、アニメに影響を受けて育ったので、その日本のプレイヤーに自分の作品を評価してもらえるのは言葉にできないほど感慨深いです。いつか日本を訪れて直接感謝を伝えたいと思っています。
――日本のプレイヤーに特に響くと考えている要素は何ですか。
キース:自分のルーツが日本のRPGにあるので、日本のプレイヤーにも親しみを感じてもらえるのではと思っています。具体的にどの要素が刺さるかは分かりませんが、この作品の持つ穏やかで居心地の良い雰囲気かもしれません。ぜひ読者の皆さんの意見も聞いてみたいですね。
――影響を受けた日本の作品やRPGはありますか。
キース:『ファイナルファンタジー』シリーズは特別な存在ですし、『ドラゴンクエスト』も多くプレイしました。さらに『ゼルダ』シリーズやフロム・ソフトウェア作品からの影響も大きいです。

――日本語対応の予定はありますか。日本語ローカライズを進める上で、どの程度の需要を指標としていますか。
キース:すでに対応しています。デモ版には日本語翻訳が含まれており、早期アクセスでも継続します。翻訳には日本のプレイヤーコミュニティにも協力してもらっています。
ウィッシュリストで第2位の国である以上、日本語対応は今後も続けます。将来的には日本語ボイスも入れたいと考えていますが、それは早期アクセスの成功次第です。明確な数値基準はありませんが、需要があれば実現したいですね。
――最後に、『Luminary』に興味を持っているプレイヤーへメッセージをお願いします。
キース:ここまで支えてくれた皆さんに感謝しています。現在は2人だけで開発していますが、皆さんの応援がなければここまで来られませんでした。
『Luminary』がすべてを満たすゲームだとは言いませんが、情熱を込めて、デザインと体験に徹底的に向き合って作っています。
もし、余計なストレス要素を排除し、純粋な楽しさにフォーカスしたファンタジーのオープンワールドARPGを求めているなら。ソロでもマルチでも同じキャラクターで遊びたいなら。そしてプレイヤーの時間を大切にするゲームを求めているなら、ぜひ触れてみてください。
あるいは、小さなインディー作品の成功を応援したいという方も、ぜひウィッシュリスト登録や周囲への共有をお願いします。
一緒にこの世界の闇を、光で押し返しましょう。
『Luminary』は、PC(Steam)向けに2026年第2四半期発売予定です。











