
『メダロット』シリーズ最新作となるデジタルカードゲーム『メダロット カードロボトルRB(以下、メダロットRB)』が、『カブトVer.』『クワガタVer.』の両バージョンで6月25日に発売します。今回は、そんな本作を先行プレイする機会に恵まれました。
筆者は『メダロット』シリーズ初期作のほか、『マジック・ザ・ギャザリング』といった、いくつかのTCG(トレーディングカードゲーム)のプレイ経験があります。そのため、『メダロットRB』を見たとき「『メダロット』をカードゲームにしたら、結局は一般的なTCGへ寄っていくのではないか」という印象も少なからず抱いていました。しかし、実際に触れてみるとその印象は大きく変わりました。
本作は確かに、一般的なTCGから大きく逸脱した作品ではありません。しかし同時に「『メダロット』的な駆け引き」を極めて強く意識して設計されている作品でもありました。
本稿では、カードゲーム経験者かつ『メダロット』経験者の視点で、『メダロットRB』の先行プレイレポートをお届けします。

『メダロット』シリーズにおける「メダロット」とは、自律思考AIの核となる「メダル」を、小型ロボットの素体「ティンペット」へ装着した存在です。そして、頭部・両腕・脚部へパーツを換装することで、多彩な戦術を実現するという、その“カスタマイズ性”こそがシリーズ最大の魅力でした。
本作は、その「パーツ戦略」をカードゲームへ落とし込むだけではなく、“パーツを壊されながら戦う”というシリーズ独特の感覚まで、かなり丁寧に再構築していたのです。
“メダロットらしいライフ”―破壊されること前提で戦うゲームデザイン


本作のライフシステムはかなり独特です。
プレイヤーは「ライフ」に該当するリソースとして「6枚のバリア」に加え、「リーダーメダロット」「右腕パーツ」「左腕パーツ」を持っています。つまり、単純に(いわゆる)ライフを削り合うのではなく、“機体を徐々に破壊されていく”こと自体がゲーム進行なのです。

特に面白かったのは、リーダーメダロットが攻撃された際の処理でした。プレイヤーは、その攻撃をバリアで受けるか、あるいは腕パーツを犠牲にして耐えるかを選択できます。
この時点で「どのパーツが残ったら嬉しいだろうか」という、原作『メダロット』シリーズらしい状況判断が発生しています。

右腕は火力補強、左腕は特殊能力を持つケースが多く、どちらを残すかでゲームプランが変わってきます。スタンバイフェイズでは予備パーツへの換装も可能。単なる装備変更ではなく、「少ない枠の中で、破壊される前提でどんな腕パーツをデッキに設定するか」という戦略になっていました。
これは一般的なライフ制カードゲームというより、シリーズの“部位破壊型ロボトル”の感覚に近いと感じます。
また、本作の戦闘はダメージ蓄積制ではなく、「パワー比較」によって処理される形です。同値以上のパワーがないと戦闘破壊ができないため、ほんの少しのパワー差が勝敗へ直結する場面も少なくありません。
そのため、単純なハンドアドバンテージの押し付けだけではなく、「どこまでパワー補強を使うか」「デッキ全体のリソースをどう配分するか」といった細かな読み合いが発生していました。
「1マナからスタート」ではない―序盤から発生する重厚な駆け引き
本作では、一般的なTCGにありがちだった「序盤はジャブのような地味なリソース準備に終始しがち」という感覚をあまり抱きませんでした。その理由が、エネルギーの初期量です。

1ターン目から10エネルギーを使用できるため、ゲーム開始直後から「小さい行動を複数」から「大型行動をひとつ」まで、多彩な選択肢が発生する構築が可能です。
実際にプレイしていても、「まず軽量カードを並べるだけのターン」が少なく、初手からかなり柔軟なゲームプランを考えることができました。
また、『メダロット』シリーズらしく、射撃・格闘パーツの付け替えも比較的自由です。本編シリーズでは脚部相性などの制約も実質強めでしたが、本作ではカードゲーム化に伴い、より大胆に組み替えられる印象を受けました。


これに加えて、後述する「ドロー量の多さ」も手伝って、構築段階で用意した戦術をかなり素直にゲーム中へ持ち込みやすい設計になっています。
「急速冷却」―ルール側に存在するプレイングの深み
そして、本作で特に印象に残ったのが「急速冷却」システムです。

場に出したサポートメダロットは通常、そのターンは行動できません。ターン制のカードゲームにはよくある、いわゆる「召喚酔い」です。しかし、「急速冷却」を行うことで、この制限を無効化できます。
その方法はシンプルで、手札を一定枚数捨てること。一見すると単なるテンポ加速能力にも見えるのですが、実際にはかなり奥深いシステムでした。

例えば攻撃に同じエネルギーが必要なカードでも、急速冷却コストが重いカードと軽いカードでは役割が変わってきます。1ターンの瞬間的な効率と、通常通りターンをまたいだ時のエネルギー効率は異なるのです。
このシステムによるプレイングの余地が大きいため、ゲームを終わらせることができる、リーサル場面を見切るスキルが求められているように感じました。
つまり本作は、「カード効果そのもの」だけでなく、「ルール側」にも強いプレイング要素を埋め込んでいるのです。
自由な手札交換―高速で試行できる構築とコンボ
デッキの最大枚数は35枚で、ターン開始時に手札が6枚になるよう補充されます。そして、その前に不要な手札を自由に捨てられるのです。
このシステムによって毎ターン、カードの効果ではなくルールにより、6枚ものドローを行え、“事故感”がかなり抑えられています。

そのため細かいハンドアドバンテージを積み重ねるというより、「狙った動きを高速で再現する」方向へ寄せられている印象でした。
例えば、ライブラリアウトの危険を承知で大量ドローを行い、必要パーツをかき集めるプレイが常に可能です。また、状態異常を中心とした拘束戦術や、細かなキーワード効果を軸にしたコンボデッキも、ドローの強さから安定して成立しそうです。

ドローの強さは、「構築」と「プレイング」の距離がかなり近いゲームとなるアプローチといえます。
デッキのアイデアを思いついた時、それを長時間かけて再現するのではなく、かなり短いサイクルで試行錯誤できるようにしているものと思われます。これはまさに、『メダロット』のカードゲーム化のアプローチだと感じます。
それでいて、キーカードが引き込めるかどうかという不確実性、スリルも存在している塩梅です。
さらに、メダルごとに設定された「メダフォース」も強力でした。試合中一度きりではあるものの、条件さえ満たせばエネルギーを消費せず発動可能です。そのため、終盤の逆転要素として非常に存在感があります。


“カードを集める楽しさ”も高水準―安心感ある資産形成
また、本作ではカードの入手周りもかなり好印象でした。

特にリーダーメダロット以外のカードについては、かなり高頻度で入手できます。ゲーム内通貨や報酬カードの配布量が多く、プレイしているだけで次々と新カードへ触れられるのです。



「ロボトルタワー」モードのクリア時にはコイン獲得倍率も存在するため、周回そのものにも挑戦しがいがあります。
そして、本作は「パック開封の快感」を高頻度で味わわせつつも、重複カードは別リソースである“ダスト”へ変換されます。そのため、欲しいカードへ辿り着くまでの安心感も強いのです。

単なるコレクション欲求だけでなく、「このデッキを組みたい」というプレイヤーの意思を、かなり尊重している設計だと思えました。
往年の演出もしっかり健在―“メダロットらしさ”への強いこだわり
一方で、本作は単なる競技性重視にも寄っていません。

先攻後攻決定時には、初代『メダロット』を思わせる往年のゲーム画面演出が挿入され、シリーズファンとして思わずニヤリとしてしまいました。
さらに、「メダチェンジ」も存在。単なるファンサービスに留まらず、「メダロットらしいギミック」をゲームプレイへ落とし込もうという意志を受けます。
他にも、「ミスターうるち」のボイス実装も確認できました。こうした細かな演出面も含め、「カードゲームになったメダロット」ではなく、「メダロットとして成立するカードゲーム」を目指している印象を受けます。



今回は先行プレイのため、3時間程度の短いプレイではありましたが、筆者としては本作はかなり好感触でした。
TCG的な駆け引きと、『メダロット』シリーズ特有のパーツ戦略やロボトル感覚を、予想以上に高いレベルで両立しているのでしょう。手札を大胆にリソースにしたゲームシステムは、今後の対戦環境や構築研究によってさらに深みを増していきそうです。
『メダロット カードロボトルRB カブトVer.』『メダロット カードロボトルRB クワガタVer.』は、6月25日よりニンテンドースイッチ向けに発売予定。価格は通常版が各5,478円(税込)、Deluxe Editionが17,600円(税込)で予約受付中です。また、体験版も配信中。詳細は公式サイトをご確認ください。
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