「文明の中に生きるキャラクターたちを、ただの「数」にはしたくなかった」ローグライトゴッドSLG『Pandora's Toybox』【開発者インタビュー】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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「文明の中に生きるキャラクターたちを、ただの「数」にはしたくなかった」ローグライトゴッドSLG『Pandora's Toybox』【開発者インタビュー】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、BetaLab開発、PC向けに5月15日にリリースされたローグライトゴッドシミュレーション『Pandora's Toybox』開発者へのミニインタビューをお届けします。

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「文明の中に生きるキャラクターたちを、ただの「数」にはしたくなかった」ローグライトゴッドSLG『Pandora's Toybox』【開発者インタビュー】
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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、BetaLab開発、PC向けに5月15日にリリースされたローグライトゴッドシミュレーション『Pandora's Toybox』開発者へのミニインタビューをお届けします。

本作は、ローグライト要素もあるゴッドシミュレーションゲーム。プレイヤーはギリシャ神話に登場するパンドラの夫「エピメテウス」となり、ランダム生成される世界のなかで人類や文明の発展を見守り、時には介入して導いていきます。記事執筆時点では日本語未対応。

『Pandora's Toybox』は、1,350円で配信中


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?

BetaCat皆さんこんにちは。『Pandora's Toybox』のプロデューサーを務めているBetaCatです。主に本作のプログラミングと全体のデザインを担当しました。

お気に入りのゲームを1つだけ選ぶとしたら、間違いなく『マインクラフト』ですね。初めてプレイした時は、本当に衝撃を受けました。このゲームが与えてくれる「自由」は凄まじいものです。最高に楽しい瞬間の多くは、開発者が用意したものではなく、ゲームシステムと関わり合う中で自然と生まれてくるのです。こうした「エマージェント・ゲームプレイ」という概念は、私に強烈な印象を残しました。

また、あの独特な雰囲気も大好きです。見知らぬ世界で一人、探索や建築をしていると、孤独感と絶対的な自由が入り混じったような感覚を覚えます。現実世界には多くの制約がありますので、完全に自分のペースで世界を探索できるというのは、本当に特別な体験でした。プレイヤーに自由に探索させ、予期せぬ発見を楽しんでもらうというこの哲学は、今でも私の作品作りに深い影響を与え続けています。

――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?

BetaCat『Pandora's Toybox』の何よりクールところは、「ゴッドシミュレーター」のように世界が進化していく様子を眺める楽しさを残しつつも、明確な目標とローグライクな進行要素を組み合わせている点だと思います。

私は昔から、サンドボックスゲームや、システムが自律して動いている様子を観察するのが大好きでした。しかし自分でプレイするとなると、やはり前に進むための「目標」が欲しくなります。例えば、『マインクラフト』を遊ぶ時も、目標がモチベーションに繋がるので、クリエイティブモードよりサバイバルモードを遊ぶことが多いです。

ある日、『WorldBox』をプレイしている時に「文明が成長していく様子を眺める体験と、ローグライクの持つ挑戦や成長要素を融合させたらどうなるだろう?」とふと思いました。これが、『Pandora's Toybox』のプロトタイプの始まりだったのです。

また、文明の中に生きるキャラクターたちを、ただの「数」にはしたくありませんでした。そこで追加したのが「日記システム」です。人々は、恋に落ちたり、子どもが生まれたり、働いたり、奇跡を目の当たりにしたり、人生の大きな転機を迎えたりした時に、自分自身のライフストーリーを記録していきます。プレイヤーはマクロな視点で文明を観察しながら、個々の人生が残した唯一無二の軌跡をのぞき見ることもできるのです。

私にとってゲームの楽しさとは、すべてを直接細かく管理(マイクロマネジメント)することではありません。それ自体が勝手に物語を紡ぎ出すようなシステムを作り上げ、プレイヤーが観察や少しの介入を通じて、その物語を発見していくことにあると考えているのです。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?

BetaCat最も大きな影響を受けたのは、間違いなくいくつかのインディーゲームです。

まずは『WorldBox』です。この作品は、ゴッドシミュレーションというジャンルそれ自体が、どれほど魅力的なものであるかを私に教えてくれました。何もないところから世界が進化していく様子を眺めるのは、とにかく最高にクールです。私はその自由度をベースにしつつも、より明確な目標とゲームの進行ループを加えたいと考えました。それが『Pandora's Toybox』の出発点です。

『マインクラフト』からも多大な影響を受けました。優れたシステムというものは、あらかじめ用意されたコンテンツに頼るのではなく、開発者すら予想していなかったゲームプレイを絶え間なく生み出し続けられるのだと気づかせてくれたのです。私はこうした「システム・ドリブン」のデザインアプローチが昔から大好きです。

最後に、私が『RimWorld』を心からリスペクトしている理由は、プレイヤーにすべてのキャラクターへの本物の愛着を抱かせる点にあります。もちろん、あそこまでディープなシミュレーションは現在の私の開発能力ではまだ難しいですが、「マクロ規模の文明シミュレーションであっても、個々の命に存在感を与える努力をすべきだ」と気づかせてくれました。それが、最終的に本作の「日記システム」へと繋がったのです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。

BetaCat最も印象に残っているのは、自分自身のゲームデザインを自分で何度も削ったり、ひっくり返したりし続けたことです。開発中、リアルタイム戦闘を追加したり、より素早いフィードバックを得るためにプレイヤーがユニットを直接操作できるようにしたりと、非常に魅力的なアイデアが思い浮かぶことがよくありました。

しかし開発中は「これが本当に、自分が当初作りたかったゲームなのだろうか?」と常に自分に問いかけ続けました。結果として、これらのアイデアはすべてボツにしたのです。私はプレイヤーに、戦場の指揮官ではなく、世界に影響を与える「神」としての感覚を常に持っていてほしかったのです。細かな管理(マイクロマネジメント)をさせるのではなく、一歩引いて、文明が自律して成長していく様子を眺めてほしいと思いました。今振り返ると、先ほど述べたような要素を手放したからこそ、本作は当初のビジョンに忠実でいることが出来たのだと思います。

――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。

BetaCatゴッドシミュレーションとローグライク要素を融合させるという私たちの試みに対して、プレイヤーの皆さんは全体的にとても好意的な反応を示してくれています。ただ受動的に世界が動くのを眺めるだけでなく、明確な目標を追いかけながら文明が発展していく様子を見るのが楽しい、という声を多くいただきました。

中でも私が最も胸を打たれたのは、プレイヤーの皆さんが実際にじっくりとキャラクターたちの「日記」を読み、そのライフストーリーを通じて、特定の小さなキャラクターたちのことまで覚えていてくれたのを目にした時です。これらのキャラクターたちが単なる「数」以上の存在になってほしいと願ってこのシステムをデザインしたので、プレイヤーの皆さんがそうしたディテールまで楽しんでくれているのを見て、自分の意図が本当に伝わったのだと感じました。

――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。

BetaCat現在、『Pandora's Toybox』は比較的完成し、安定した状態にあります。現段階で大規模な新規コンテンツのアップデートを行う予定はありませんが、ゲームの安定性を維持するために、今後も必要なメンテナンスを提供し、必要に応じてバグ修正を行っていきます。

私は今後は、次の新作プロジェクトの模索と開発へと徐々にシフトしていく予定です。これは簡単な決断ではありませんでしたが、自分の個々の作品が新鮮さを探求するものにしたいと思っているのです。『Pandora's Toybox』の開発の道のりは、私にかけがえのない経験をもたらしてくれましたし、次に作りたいものへの多くの新しいアイデアをひらめかせてくれました。

これまでのプレイヤーの皆様の温かいサポートとフィードバックには、本当に感謝しています。皆さんからいただいたご提案、共有してくださったプレイスタイル、そして本作を巡る議論のすべてが、信じられないほど実りあるものでした。これらの教訓を次のプロジェクトへと引き継ぎ、さらに優れたゲーム体験を皆様にお届けできることを楽しみにしています。

――本作の日本語対応について教えてください。有志翻訳は可能ですか?

BetaCat現在のところ、日本語には公式対応していません。もし、熱意のある日本のファンの皆さんの中に、翻訳を手伝ってくださる方がいらっしゃいましたら、大歓迎です!ご興味のある方は、私たちのDiscordサーバー、またはメールで直接ご連絡いただけると幸いです。

――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?

BetaCatもちろんです、ぜひやってください!ゲーム配信や動画投稿、さらには収益化に至るまで、全面的に応援します。

プレイヤーの皆さんが作ってくださるコンテンツは、ゲームの寿命を支える非常に大きな要素だと思っています。実を言うと、プレイヤーの皆さんは私自身が思いつきもしなかったような新しい戦略や物語を見つけてくれることがよくあり、一人ひとりが独自のやり方で本作を楽しんでいる様子を見るのは、私にとっても純粋に大きな喜びとなっています。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

BetaCatまず何よりも、『Pandora's Toybox』に興味を持っていただき、本当にありがとうございます。主要な開発フェーズは一段落していますが、こうして日本のメディアにインタビューしていただき、より多くの日本のプレイヤーの皆さんに本作を紹介できることを心から嬉しく思っています。

私は昔から、ゲームは言語や文化を超えられるものだと信じてきました。たとえ生まれ育った場所が違っても、同じ楽しさを共有することで私たちは繋がることができます。皆さんにこのゲームを楽しんでいただけることを心から願っていますし、将来的には次の新作プロジェクトでまた皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。温かいサポートをいただき、本当にありがとうございました!

――ありがとうございました。

◆「注目インディーミニ問答」について

本連載は、リリース直後インディーデベロッパーメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

ライター:Chandler,編集:Akira Horie》

ライター/バイク乗り Chandler

ゲームと風をこよなく愛する暇人。趣味は多い方だったはずが、最近は家でぼーっとしている時間が増えてきた気がしている

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

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