“あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

“あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】

サイケデリック広島旅情百合サスペンスホラー奇譚!情報が……多い……!!

連載・特集 プレイレポート
“あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】
  • “あの頃”の国産PCゲームが令和に蘇る!超能力を持つ百合コンビが怪事件に挑む 『ハイパー・ユーフォリア』【プレイレポ】

近年はインディーゲームシーンでも、レトロな表現を採用した作品が数多く登場しています。ピクセルアートやチップチューンなど、往年のゲームを思わせる要素を現代的に取り入れた作品も珍しくありません。

キャット・ホイ商事合同会社が開発を手掛け、わくわくゲームズがパブリッシングを担当する『ハイパー・ユーフォリア』は、見た目だけでなく、1980年代後半の国産PCゲーム文化そのものを再構築しようとするユニークな作品です。

筆者自身、その時代のゲームをリアルタイムで遊んだ世代ではありませんが、それでもどこかで見聞きしてきた“レトロゲームらしさ”が随所に感じられ、その懐かしさをなぞるような感覚を楽しめました。 今回は、そんな『ハイパー・ユーフォリア』の物語やゲーム内容に触れつつ、 制作陣のこだわりと愛が光るレトロ表現についてご紹介します。

なお、先日開催された東京ゲームダンジョン12での出展レポートとインタビュー記事も掲載しています。レトロゲームへの想いや広島を舞台に選んだ経緯なども語られているので、あわせてチェックしてみてください。

※本記事の執筆にあたり、パブリッシャーよりSteamキーの提供を受けています。

超能力探偵コンビが追う不可解な連続怪死事件

サイケデリック広島旅情百合サスペンスホラー奇譚と銘打たれた本作は、超能力を持つ少女探偵たちが連続怪事件を追うコマンド選択式アドベンチャーゲームです。

物語は、埼玉県内の公園で発生した異様な殺人事件から始まります。被害者は突然身体が爆散したかのような状態で発見され、超能力犯罪の可能性が浮上。そこで捜査を任されるのが、超念動力という特殊な力を持つ探偵の土神エリザベスと天堂真有架、そして人の言葉がわかる飼い猫のオスカーです。

プレイヤーは真有架を操作し、傍若無人なエリザベスに振り回されるかたちで、事件現場の調査や関係者への聞き込みを進めていきます。舞台は埼玉だけでなく山口や広島へと広がり(クリア後に遊べる追加シナリオでは台湾も!)、旅をしながら事件の核心へ迫る構成になっています。数時間でクリアできるコンパクトな作品ながら、地方を巡るロードムービーのような雰囲気もあり、短編として密度の高い体験が味わえます。

超能力者が存在する世界観でありながら、本作で描かれる捜査は意外なほど地道です。主人公たちの能力は空き缶を転がしたり部屋の電気を消したりする程度のもので、異能力で事件を一気に解決するような超展開はありません。聞き込みや証拠探しを積み重ねて真相に迫る流れは、探偵ものらしい手触りがありました。

ゲームシステムは、「見る」「調べる」「話す」といったコマンドを選択しながら進行する昔ながらのアドベンチャー形式です。

一見すると古風ですが、遊びやすさは現代的に調整されています。昔の作品にありがちな不親切さは抑えられており、レトロな雰囲気を楽しみつつ快適に遊べました。

本作の見どころのひとつは、重い事件を扱いながらも、主人公2人の掛け合いが軽妙なことです。特に、金にがめつく警察を嫌うエリザベスの口の悪さは強烈です。「免停を食らった恨みつらみ」と「人の金で食べるご飯の美味さ」に異常な執着を見せるエリザベスの発言は、思わず笑ってしまうほど。

そんなエリザベスと、彼女に振り回されっぱなしの内気な真有架の百合展開にも乞うご期待。匂わせ程度ではなく、しっかり百合要素が描かれています。怪奇事件の不気味さと日常の軽妙さに加え、ちょっとドキッとする百合要素が独特の空気を生み出しています。

短編作品ながら各地を巡って事件を追う構成で、全3章を通してテンポよく展開します。連続怪死事件に対峙する真有架とエリザベスは、旅路の果てでどんな真相に辿り着くのか――ぜひ実際にプレイして見届けてみてください。

80年代後半のPCゲーム文化を現代に蘇らせる、徹底したこだわり

本作の開発を手掛けたキャット・ホイ商事合同会社の駒林貴行氏は、レトロゲーム復刻プロジェクトやアーケード基板の修理でも知られる人物。そうした経歴からもわかる通り、古いゲーム文化への造詣が深く、本作にも当時の作品への強いリスペクトが込められています。

80年代後半の国産PC向けアドベンチャーゲームを思わせる画面構成は象徴的で、右側に並ぶコマンド一覧やドット絵の色数、文字表示まで徹底して当時風。当時のゲームに親しんだ人であれば、随所に散りばめられたオマージュ元に気づく楽しみもありそうです。

そうしたこだわりは開発体制にも表れており、ビジュアルには『GGアレスタ』をはじめ数々の作品を手掛けた小玉大合体氏が参加。音楽面でも、坂本慎一氏、細江慎治氏、佐宗綾子氏といった顔ぶれが名を連ねており、当時の作品づくりに携わってきたクリエイターたちが本作を支えています。

メインテーマを手掛けるのは、スーパースィープの佐宗綾子氏。駒林氏たちが現在もゲームセンターで遊んでいる往年のレースゲームで佐宗氏の楽曲に親しんでいたことから依頼に至ったそうで、開発者の思い入れが音作りにも反映されています。

本作ではFM音源による楽曲が採用されています。現代のゲーム音楽とは異なる独特の存在感があり、プレイ中は単なるBGM以上に作品世界を形作る役割を果たしていました。もし現代的なオーケストラ音源や環境音主体のサウンドだったら、ここまで独特の没入感は生まれなかったかもしれません。

一方で、遊びやすさの面では現代的な配慮が感じられました。駒林氏によれば、本作はレトロな見た目を再現しつつも、昔の作品にありがちだった不親切さは意図的に取り除いているとのことです。実際、セーブやロードはいつでも可能で、同じ行動を何度も繰り返さなければ進めないような理不尽さはありません。レトロな雰囲気を味わいながらも、ストレスなく遊べる点は大きな魅力です。

こうした再現へのこだわりは、設定画面にも表れています。フォントの変更に加え、FDDアクセス音を模したSEのオン/オフ、CRTディスプレイ風のフィルター調整まで細かく設定可能。明るさやRGBのズレ、走査線の濃さまで変更でき、レトロゲームの移植作品以上に表示演出へのこだわりが感じられました。

さらに、「戻る」操作がキーボードのバックスペースキーに割り当てられているなど、細かな操作面にも当時を意識した工夫が見られました。遊びやすさは現代的でありながら、触れている感覚そのものにレトロさを宿そうとしている点が本作らしいところです。

当時を知らない世代にも伝わる“懐かしさ”

『ハイパー・ユーフォリア』は、超能力少女探偵が怪事件を追うミステリーとして楽しめる一方で、80年代後半の国産PCゲーム文化を現代に伝える作品でもあります。

当時を知る世代にとっては懐かしさを呼び起こす一本であり、筆者のようにリアルタイムで知らない世代にとっても、ゲーム雑誌やネットで断片的に見聞きしてきた“昔のPCゲーム”に触れられる新鮮な体験として楽しめる作品でした。


『ハイパー・ユーフォリア』はPC(Steam)向けに配信中。またニンテンドースイッチ向けにも配信が予定されています。

《ライター:難波》



ライター/ゲームと映画と小説と移動と格闘技と犬が好きな兼業ライター 難波

雪山のペンションで殺人事件に巻き込まれたり、きらめき高校で青春を謳歌したり、時を渡る翼で時代を駆け星の未来を救った経験を経て、現在はしがない会社員。主にRPGとADV、ホラゲーとギャルゲーが好きで、郷愁と可能性に満ちたドット絵のゲームに目がない。すてきなゲームを世に生み出してくれる作り手への感謝とリスペクトを原動力に文章を書いています。棺桶に入れてほしいゲームは『FF15』。

+ 続きを読む

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top