
2026年5月22日から3日間にかけて京都・みやこめっせで開催された日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH」。数多くの注目作が並ぶなかでKOCCA(韓国コンテンツ振興院)ブースにて展示されていたのが、SUPERWAVE STUDIOが手がける『There is NO PLAN B』です。
サイバーパンクな世界が舞台となり、とある男の身に起こった「社会的殺人事件」を引きこもりの探偵「B」が調査することに。未来の技術や個性豊かな仲間たちの力を借りながら、部屋から一歩も出ずに真相を暴く逆転裁判ライクな推理ADVとなっています。
本作の開発者でありSUPERWAVE STUDIO代表のYun Changsik氏にインタビューを実施。本記事では、独特な世界観やシステム、さらに日本の名作推理ゲームから受けた多大な影響について語っていただきました。
安楽椅子探偵の概念をサイバーパンクで再構築
――まずは、ご自身と開発チームの自己紹介をお願いします。
Yun Changsik氏(以下、Yun氏):我々の開発チームは現在6名で構成されています。いわゆる「オタク」が6人集まったという感じで、まず3年前に3人から始まり、そこから少しずつ加わって現在の6人体制になりました。
――今回出展されている『There Is No Plan B』について、改めてご紹介をお願いします
Yun氏:本作は「電脳探偵」が主人公のゲームです。舞台はサイバーパンクの世界。主人公の「B」は引きこもりなのですが、ロボットを使うことで自分自身は外に出ることなく外の世界を探索し、さまざまな事件を解決していく。そんなアドベンチャーゲームになっています。


――本作では、物理的な死ではなく「社会的な死」をメインに扱っているのが非常に面白いテーマだと感じました。どういった経緯で作られたコンセプトなのでしょうか?
Yun氏:実は私たちは、こうした事件を描くことで、プレイヤーの興味を促すことを目標としています。「社会的な死とは何か?」という疑問から物語が始まり、公開したトレイラーや今後ゲーム内で出てくる問題においても、その疑問を解き明かしていく過程にあります。ただ事件を解決するだけではなく、より深いテーマに踏み込んでいきたいと思っています。
サイバーパンクの世界観で、どういう事件が起こりうるのか。僕たちが考えるサイバーパンクの世界って、人間よりもお金のほうがもっと大事という世界観なのですが、そうした世界観の中で「こういう事件だったらサイバーパンクの世界観に合うだろうな」っていう事件を解決していく、という風に描いています。さらなる主題も用意していますが、それはぜひ本編を楽しみに待っていてください。

――開発にあたって、特にこだわっている部分はどこでしょうか?
Yun氏:これもサイバーパンクというテーマに繋がるのですが、家から出られない主人公が事件を解決するために、「仮想空間」をフル活用するという点にこだわっています。
皆さんは「安楽椅子探偵」という概念をご存知でしょうか? それをサイバーパンクのテーマに落とし込み、現場に行かずに話を聞いて情報を整理したり…。既存の探偵ゲームに、さらに独特な要素を追加して作ろうとしています。



また、仮想空間を再現しているからこそ可能な「フィルターシステム」なども導入しています。本編のヒントを少しお話しすると、「時間」を活用するシステムも考えています。仮想空間の中で事件現場を違う時間軸や目線で見たり、あるいは現場そのものをいじったりといった要素も追加される予定です。
日本の名作推理ゲームから受け継いだ「DNA」
ーー実際にプレイした方の反応はいかがですか?
Yun氏:キャラクターのデザインが好評ですね。アニメーションの技術を褒めていただいたり、仮想空間を利用するというコンセプトを気に入ってくださる方も多いです。何より一番良かったのは、私たちが「ここで笑ってほしい」と思っていたポイントで、実際にプレイヤーの皆さんが笑ってくれたことです。自分のツボやユーモアが、韓国だけでなく日本でも通じるんだな、と実感できたことがとても嬉しかったです。
実は、我々が作っているこのゲームは、日本で作られた数々の探偵ゲームから大きな影響を受けています。キャラクターのアートのトーンなどもそうです。日本で生まれたゲーム文化に親しんできた韓国のクリエイターが、それを元に新しいものを作ろうとする動きが今、非常に活発です。日本のアニメスタイルや、推理ゲームで言えば『逆転裁判』や『ダンガンロンパ』といった作品が我々の「DNA」になっています。そのDNAを元に、日本そしてグローバルに楽しんでもらえるゲームを目指して一生懸命作っています。
ーー韓国でも『逆転裁判』や『ダンガンロンパ』は人気なのですか?
Yun氏:『逆転裁判』について言えば、昔、韓国でモバイル版(フィーチャーフォン版)が出ていたことがあるんです。私も学生時代、小さい画面で授業中にこっそりプレイしていました(笑)。その時の面白さや感動が今も残っています。だから韓国人にとっても『逆転裁判』は非常に馴染み深い作品なんです。
『ダンガンロンパ』についても韓国では特別な存在です。実は韓国語版が公式に出たことがないのですが、ファンは日本語版のゲームを買って有志が作った翻訳本のような冊子を開きながらプレイしていたんです。私たちはそうやってゲームを楽しんで育ってきた世代なので、まさに愛の詰まった作品と言えます。
ーー実際に日本からどのような反響がありましたか?
Yun氏:現在、Steamのウィッシュリストが2万件を超えていますが、その半分以上が日本のユーザーなんです。また、現在公開しているデモ版の平均プレイタイムは50分で最終局面の達成率は70%を超えています。
実は開発チームが一番の強みとしているのがローカライズなんです。韓国のゲームと言われなければ「日本のゲームだ」と思ってしまうくらい、翻訳された日本語の文章が完璧であるという自負があります。我々自身がオタクということもあり、韓国語が堪能な翻訳者の方と共同でローカライズを進めています。その方の力が非常に大きく、本当に感謝しています。


ーー最後にメッセージをお願いします。
Yun氏:先ほど申し上げた通り、我々も『逆転裁判』や『ダンガンロンパ』をプレイして育ちました。それらの名作が今も愛され続けているように、我々の作品も日本の皆さん、そして世界中の皆さんに愛されるようなゲームになれるよう一生懸命作っています。ぜひ期待していてください。
ーーありがとうございました!
『There is NO PLAN B』はPC(Steam)向けに現在開発中。体験版も配信中です。













