2026年5月22日から24日にかけて、京都・みやこめっせにて日本国内最大級のインディゲーム展示会「BitSummit PUNCH」が開催されました。

本記事ではホラーゲームを専門とするパブリッシャーBlack Lantern Collectiveが出展していた『Kopernicus: Extraction』のプレイレポートと開発者へのインタビューをお届けします。
火炎放射で化け物を退けろ!極限環境シューター
男は不慮の事故にあい、未知の惑星へと不時着し、その地表へと投げ出された。ありがいことにスーツが無傷だったおかげで、一命はとりとめたようだ。だが、乗っていた宇宙船SCCコペルニクスは無惨な姿となり、飛び立つことは不可能だ。
暗闇の向こうから怪しいうめき声が響いてくる。手元にあるのは缶スプレーとライターのみ。火炎放射で化け物を退けるしか、生きる道はない。

『Kopernicus: Extraction』はそんな過酷な環境でサバイバルする見下ろし型の全方位シューターです。開発者は『バッド・チーズ』の開発者であるSimon Lukasik氏で、なんとこのBitSummit PUNCHに合わせて新作を発表されました。『バッド・チーズ』は日本でも大きなヒットとなった作品だけあり、会場での注目度は非常に高いものでした。
プレイヤーは惑星に不時着した男となり、決死の防衛戦を強いられることとなります。この星には恐ろしい化け物がひしめいており、夜な夜な彼の命を脅かしてきます。しかし、不時着ゆえに彼の手にはスプレーとライターしかありません。最初はこの心もとない装備でどうにか生き残るしかありません。

火炎放射がメイン武器ということもあり、このゲームは敵に攻撃を当てるというより、敵に攻撃を浴びせ続ける必要があるところがまず大きな特徴です。化け物たちは火でちょっとあぶられたぐらいでは全く倒れず、火で炙っていてもこちらの命を狙って攻撃を仕掛けてきます。頼むから死んでくれと願いながら、炎を当て続けることが求められます。
ですが、敵は四方八方から押し寄せてくるため、それも難しい状況です。しかもただの宇宙服は化け物攻撃でいとも簡単に破られ、すぐに死んでしまいます。『バッド・チーズ』のようなグロテスクな描写は今回も顕在で、死に方によって多様な死に様アニメーションがガンいっぱいに再生されます。

過酷すぎる環境ですが、このゲームは敵を倒して得られる宝石、どうにか一夜を生存することで手に入るクリア報酬の赤い輪(肉?)を使用して、アップグレードや設備の建設が可能です。設備を建てればスプレー缶はちゃんとした火炎放射になり、さらには自動迎撃するロボットや地雷といった追加武装、さらにはスーツの防御力も高められます。殺されてしまっても宝石は持ち帰れるので、すこしずつ装備を整えていけば生き残れる可能性が高まっていくわけです。
ちなみにプレイヤーだけでなく、敵キャラクターも死んだときのアニメーションにこだわられているようで、燃えて焼け落ちるさまや、爆発して体内の蛆虫が地面一面にばらまかれる様子などがしっかり描写されます。
グロテスクなルックスが目を引くゲームですが、火炎放射をメインとした立ち回りは面白く、シューティングゲームとしても楽しいゲームに仕上がっています。プレイアブルデモ版の時点でかなりの出来栄えを感じるゲームです。
実は本作は昨年の11月から制作がスタートしたばかりという超急ピッチで制作が進められているそうで、この完成度の高さには心底驚かされました。
今回BitSummit会場へ開発者のSimon Lukasik氏がはるばるポーランドから来日されていたので、早すぎる新作についてインタビューを行いました。
「君は時間をかければかけるほどだめだ」恩師の教えが息づくハイペース開発
――自己紹介をお願いします。
Simon氏:ポーランドのクラクフ市から来ましたサイモンです。 過去には『バッド・チーズ』を制作しました。今回のBitSummit初出しで展示したのが新作の『Kopernicus: Extraction』です。 一般デーに入ってからは行列もできるほど盛況いただいており、とてもうれしいです。
――今回初出しということで、ほとんどの方がまだ『Kopernicus: Extraction』について知らない状態です。どんなゲームかご説明いただけますか?
Simon氏:『Kopernicus: Extraction』は自分の宇宙船がどこかの惑星に墜落して、そこで生き残らないといけないという2ビットのサバイバルホラーゲームです。
サブタイトルに「Extraction」とつけているんですが、これには2つの意味があります。 1つが、惑星から自分を脱出させるという意味。そしてもう1つが、記憶を取り戻していくという意味です。当然主人公の彼には元の生活があり、家族がいます。そうした記憶を思い起こしていくこともこのゲームの大事な要素となります。
そういった部分に、例えば私の故郷であるポーランド・クラクフの文化であったり、私が伏見稲荷に旅行に行ったり鳥山明の展覧会に出向いたりした旅行の記憶を盛り込んでみました。私の日常を主人公に反映させ、より彼の元の人生・生き様を血の通ったものにしようと試みています。

――ゲームシステムとして非常に面白かったのが火炎放射器がメインのシューティングゲームだということです。これは一体どこから生まれたアイデアなのでしょう。
Simon氏:「遊星からの物体X」が好きで、火炎放射器にはロマンというか憧れみたいなものがあって。自分のゲームにも絶対火炎放射器をいつか出してやろうと考えていました。
そしてその火炎放射器を使うのが、平和な日常を送る、映画「PERFECT DAYS」の主人公のトイレ掃除のおじさんのような方だったらどうだろうと。
先にも触れましたが、私のメインのインスピレーション元となるホラーのエッセンスと、平和な日常の2つを組み合わせてみよう。というのが今作のポイントになっています。
―― なるほど。敵キャラクターが人間の体のパーツのようになっているのはもしかして「遊星からの物体X」の影響でしょうか?
Simon氏:ネタバレになってしまうので深く言及はしませんが、実はこのクリーチャーデザインには理由があります。記憶をたどることで、その答えは見えてくるでしょう。

――本作のプロトタイプ版が2025年11月に完成し、2026年2月にはパブリッシャーと契約、そして2026年5月にイベント初出し、さらには2026年内の発売を予定していると聞きました。とてつもないスピードです。このスピードは一体どこから生まれているのでしょう。
Simon氏:実は過去にPlaydate向けに1ビットアートの宇宙ゲームを作ったことがあって、そのときのノウハウが本作にも再利用できたんです。
それと、これは私が美術大学で学んでいたときのことなのですが、教授に「お前は時間をかければかけるほど質が落ちる」と言われたことがあるんです。たしかに8時間かけて書いた絵よりも、1時間グッと集中して描いたもののほうが自分で見てもよかった。その教えから、1つの絵に1時間半以上は時間をかけないようにルールを決めているんです。その方が集中のゾーンに入って、いいものができる。
また、『Kopernicus: Extraction』は各キャラクターの基本アニメーションを2コマで統一しています。素材の数もそれで抑えられ、効率よく作業ができるんです。

――なるほど。早く作ったほうがよいものができるという自身のスタイルにあわせ、ゲームも効率的な作業に特化させているんですね。しかも、主人公にはSimonさんの日常まで反映されている。まさにSimonさんの魅力が詰まったゲームで、今回展示されたデモ版からすでに高い完成度を感じました。会場にこられなかった方もぜひ遊んでみたいはずです。体験版の公開のご予定はありますか?
Simon氏:実は今回の出展でゲームをプレイしてくれる人の表情やプレイを観察していて、メモをしっかり取っているんです!こういうところに手こずっているんだなとか。今回の展示でわかった部分をアップデートで反映し、1か月~2か月後ぐらいにデモを公開できればと考えています。
――最後に日本のゲーマーに一メッセージをお願いします。
Simon氏:私のアートはグロテスクですがどこかキュートさを備えたスタイルです。この魅力を日本の方もきっと理解してくれると信じています。以前の作品である『バッド・チーズ』は日本でかなり評判が良いですし、きっと『Kopernicus: Extraction』も気に入っていただけるでしょう!
ハイスピードに制作を進めることがクオリティアップにつながるというスタイルを研ぎ澄ませ、自身のアートスタイルから日常までを注ぎ込んだ『Kopernicus: Extraction』は、デモ版の段階から濃い体験が味わえるものでした。
おそらく氏のスタイルならば、デモ版の公開も、それこそゲームの発売も、あっという間にやってくるはず。この濃い体験を自宅で確かめられる日をほんの少しだけ待ちましょう。
『Kopernicus: Extraction』は、PC(Steam)向けに2026年第4四半期に発売予定です。










