
2001年6月21日に、PS2向けソフト『ギタルマン』がコーエー(現・コーエーテクモゲームス)から発売されました。開発を行ったのは、『押忍!闘え!応援団』や『Elite Beat Agents』などで知られたiNiS(イニス)です。
本作は、架空の楽器「ギタル」を使って、迫力ある音楽バトルを繰り広げる対戦リズムアクションゲームです。
演奏がそのまま攻撃に直結する爽快感のある新感覚アクション、伝説の音楽ユニット「19(ジューク)」などの活動でも知られる、人気イラストレーター・「326(ミツル)」氏が全面プロデュースしたカラフルでポップなキャラや世界観、ロック、レゲエ、HIPHOP、ジャズ、メタルまで幅広いオリジナル楽曲が展開するのが特徴です。

そして喜ばしいことに、『ギタルマン』は、発売から実に25周年目にあたる2026年6月より、PS5/PS4向けにPlayStation Plus(PS Plus)の「クラシックスカタログ」対象タイトルとして配信が開始されました。
PS Plusの最上位プランである「Premium(プレミアム)」に加入している方は、追加料金なしでプレイ可能です。また、カタログ加入者以外でも単体での購入(1,100円)が可能となっています。
というわけで今回は、四半世紀がたった今でも多くのファンを魅了し続けている本作の魅力を振り返ってみようと思います!
◆326氏のポップでカラフルな世界観と王道ストーリーが融合

本作の大きな魅力のひとつは、イラストレーター・326(ミツル)氏をキャラクターデザイン・ビジュアルプロデューサーに起用したことです。
まずはそんな氏のプロフィールを簡単にご紹介しましょう。326さんは本名を「中村 満(ナカムラミツル)」といい、1978年生まれ佐賀県のご出身です。
その活躍は多岐にわたり、イラストレーター、詩人、キャラクターデザイナー、絵本作家、ゲームクリエイターなど現在も精力的に活動されています。
とりわけ、1998年にデビューした音楽ユニット「19(ジューク/岡平健治・岩瀬敬吾)」のメンバーとして、前向きで等身大の作詞や、独特のポップなジャケットイラストなどを提供し、19にしかない世界観を作っていたことは有名です。
現在30代後半~40代前半の人間にとっては、まさに青春の象徴と言って過言ではない世代直撃のグループなんですが、本作も326氏の描くビジュアルにピンと来て遊んだファンの方も多くいるんではないでしょうか。

さて、326氏の魅力といえば、カラフルでポップな愛嬌のある唯一無二のキャラクターデザインと、そのイラストに添えられた「詩(メッセージ)」にあります。 綺麗事だけではない、人間の弱さ、孤独、葛藤に寄り添いながらも、最後には前を向かせてくれるような温かい「言葉の力」が本当に素敵なのです。
その魅力は『ギタルマン』でも存分に発揮されていて、要所要所で挿入されるイラストとメッセージは、ゲームの物語に沿ったものでありながら、ちゃんと普遍性をもっているため、思春期の少年少女にぶっ刺さりまくったはずです。もちろん筆者も326さんのメッセージに感動し勇気をもらっていましたね。
もうひとつ忘れてはならないのが、本作の音楽面でのプロデュースを手がけたユニット「COIL(コイル)」の存在です。
COILは、岡本定義さんと佐藤洋介さんによる音楽ユニットで、ハイクオリティかつひねりの効いたポップサウンドが大きな魅力。本作のオープニング曲はもちろん彼らによるもので、爽やかで疾走感のあるリフと透明感のあるメロウなボーカルが癖になる一曲です。
ゲーム全体の音楽制作を牽引しており、サウンドトラックもCOIL名義でリリースされています。

本作のキャラクターデザインもポップでめちゃくちゃ良いんです。では、登場する主要キャラクターを少しだけ紹介しちゃいましょう。
まず我らが主人公の「U-1(ユウイチ)」は、スケボーは下手だしでテストは0点、何をやってもダメな冴えない小学生の男の子。
けれども、愛犬プーマから「伝説のギタル」を託されたことで、ド派手な宇宙の戦士「ギタルマン」へと変身し、「グラビリン帝国」の刺客たちとの戦いの中で成長していく、非常に等身大かつ親近感のある愛すべきキャラクターです。CVは元声優の今井由香さんが担当しています。

次は、U-1の愛犬「プーマ」です。頼りないU-1の「メンター(師匠)」として彼を厳しく、時に優しく導きます。戦闘時には変形してアンプに変身し、ギタルマンをサポートしてくれる頼れる相棒です。ちなみに、戦闘時の名前は「プーマAC30」。CVは岩田光央さんです。


他にも、お金持ちでスポーツ万能、ルックスも良い「カズヤ(CV:石田彰)」は、何かとU-1を見下し、「お前にはムリだ!」と言い放つ天敵です。
学校のマドンナ的存在の「ピコ(CV:豊嶋真千子)」は天真爛漫な女の子で、U-1の憧れです。グラビリン帝国の襲撃に巻き込まれる、いわゆる「ヒロイン」ポジションです。今見てもキュートですね~。


一方で敵キャラもしっかり個性があり、サメのような外見をした「ベン-K」は巨大なサイボーグ戦士で、力強いターンテーブル攻撃を仕掛けてきます。
また、グラビリン帝国を率いる冷酷な支配者「ゾーイ」は、愛猫の「ミンミン」をいつも連れています。どのキャラクターも326氏の描くポップなデザインが光っており、敵でありながらファンから非常に愛されています。

そして本作は、単純明快かつ王道の物語が展開します。ストーリーの骨子は、勉強もスポーツもダメ、片思いのピコにも相手にされない気弱なU-1が、伝説の英雄の血を引く「ギタルマン」として覚醒し、宇宙の脅威に立ち向かうというものです。
最初は戦いを恐れていたU-1ですが、愛するピコちゃんや地球、そして宇宙を守るため、そして何より自分自身の弱さを克服するために我武者羅に戦っていきます。

とくにクライマックスシーンでの「僕はギタルマンだ!!」というU-1の叫びは、プレイヤーとシンクロしてとても大きな感動を覚えました。
ストーリーの起承転結も、まさに王道の少年漫画を見ているような感覚で、胸をアツくさせられたことは未だに記憶として残っています。
◆「ギタル」を武器に戦え!爽快な「演奏」アクションが楽しすぎる

『ギタルマン』という作品の核であり最大の魅力は、架空の楽器「ギタル」を武器にたたかう、斬新なリズムアクションにあります。
操作で使用するのは、基本的に左アナログスティックと◯ボタンで、各ステージの楽曲(ロックやレゲエなど色々とある)にあわせてアナログスティックで方向を定め、リズムに合わせてボタンを押すことによって楽器を「演奏」するというもの。
操作方法はかなりシンプルですが、その独特のシステムで「楽曲を演奏する」というフィーリングを完全に再現しており、なおかつ対戦ゲームとしての楽しさを共存させているのが特徴的でした。

ゲームモードは、「シングルプレイ」がストーリーを楽しめるモードで、「VSプレイ」が文字通り友達やCPUとのアツい対戦が可能なモードです。
そのほかにも、好きなムービーを再生できる「シアター」やキャラデータを閲覧できる「コレクション」など、充実したコンテンツ。ちなみに、クリア後にはさらに難易度激ムズの「マスターズプレイ」モードが追加されます。

今度はより具体的にゲームプレイ見ていきましょう。本作は「コントローラーを楽器に見立てる」ため、一般的なリズムゲームとは一線を画すアナログ感のある独特な操作を要求されます。

まず最初は、スティックと連動する扇状の「ブルーゾーン」の範囲内に沿って、360°動く「トレースライン」をなぞっていきます。もしトレースラインが青くなったら範囲外ということなので注意。


そして、トレースラインに乗って「フレーズバー」が流れてくるので、長さやタイミングを見極めながら◯ボタンを押し続け、バーの終点で◯ボタンを離します。このフレーズバーが、ギターの「ロングトーン」や「チョーキング」のような演奏フィールを再現しているというわけですね。
また、バーの入力が成功するたびに敵にダメージが入り、逆に失敗すると自分がダメージを食らってしまいます。うまくプレイした分いわゆるHPにあたる「パワゲージ」が増えていき、先にパワーがなくなったほうが負けになります。
これによって、「演奏がキマる=攻撃が敵にあたる」という、今までの音ゲーにはなかった新しい感覚を実現しており、初めてプレイする人や音楽演奏に慣れていない人でも、簡単操作で、驚くほど多彩な演奏をキメることが可能なのです。


一方、攻撃だけでなく「Guardモード」も戦闘における重要なフェーズ。その名の通り、今度は敵の攻撃をかわすため4方向から飛んでくる「Guardマーク」にあわせて、タイミング良く同じマークのボタン(◯✕△▢)を押していきます。


各セッションは全10ステージで構成され、楽曲のイントロ部分を演奏し戦闘エネルギーをためる「CHARGE」、敵キャラと交互にソロパートをプレイし、攻撃フェーズと防御フェーズを繰り返して戦う「BATTLE」、弱った敵にとどめを刺し、演奏のフィニッシュを決める「FINAL」の3セクションからなっています。

本編は、次々に現れる敵キャラクターとの対戦ステージをクリアすることで進行します。楽曲も、ポップで楽しいものから、ハードで疾走感のあるロックやメタル、グルーヴィなHIPHOP、レゲエ、R&B、優しくスウィートなアコースティックソングまで、各ステージごとに異なり多彩なことも非常に魅力的で、演奏する楽しさがトコトン詰め込まれています。

筆者がとくに好きなステージは、ノリノリなデジタル・ロックを背景にダイナミックな空中戦が展開する「フライング・オー」戦と、淡い恋心がくすぐられる「キラ」とのセッションステージ。それぞれに違いがあってプレイヤーを飽きさせない工夫が素晴らしいですね。

いっけんシンプルなプレイ操作に見えますが、独特のテンポと「攻撃」と「防御」が切り替わるシステム、そして後半のシビアな入力判定により、難易度は結構高めです。
とはいえ、上手く演奏がキマれば脳汁がドバ~ッと溢れ出す爽快感があり、自部屋がちょっとしたライブ会場になった気分。喜怒哀楽すべてを引き出してくれるゲームプレイがもう最高!当時はどハマりしてましたね。
◆おわりに:四半世紀経っても色褪せない名作を今こそプレイして欲しい

『ギタルマン』は、単に「音楽に合わせてボタンを押すリズムゲーム」ではないと筆者は思います。
326氏が描く不完全だからこそ愛おしいキャラクターたち、時代を超越したバラエティ豊かな名曲たち、そして楽器をかき鳴らすカタルシスを追求した独自のシステム。これら全てが「U-1の成長物語」という一つのベクトルに向かって結実した、奇跡的なバランスの作品だと、改めてプレイして感じました。

ただし、現代の洗練されたゲームと比べれば、その手触りは少し荒削りで、容赦のない難易度に突き放される瞬間もあるでしょう。しかし、本作が持つ「音楽とゲームが見事に融合した理屈抜きの魅力」は圧倒的な輝きを放ち続け、四半世紀たった今でも決して色褪せていません。
たとえば、コントローラーを握る指先に力を込め、必死にトレースラインを追いかけながら、画面の中のU-1と心が完全にシンクロしたあの瞬間の気持ち良さや、単にステージをクリアした達成感ではなく、極上のライブを全力で駆け抜けたあとのような、心地よい全能感など、久しぶりに遊んであの頃のワクワクしながらプレイした当時の自分を思い出せました。
ゲームと音楽が持つ楽しさの双方をぎゅっと一つにパッケージしたこの不朽の名作は、かつて熱狂したファンはもちろん、まだ触れたことがないゲーマーをも魅了するはずです。

冒頭でも紹介しましたが、本作は現在、PS Plus「クラシックスカタログ」にて配信中です。また、単体でも1,100円で購入可能です。
ちなみに、2006年には、協力要素である「デュエットプレイ」や、新規ステージも収録したPSP移植版『ギタルマン ライブ!』も発売されており、オークションサイトなどで比較的容易に入手可能ですので、ぜひこの名作の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

それと実は、なんと2001年当時の公式サイトが未だに残っていて閲覧することができます!こちらもぜひ覗いてみてください!スタッフさんのブログや、326氏のコメントなど貴重なコンテンツが盛りだくさんですよ。














