
2026年9月17日から21日までの5日間、幕張メッセにて開催されている「東京ゲームショウ2026」。
会場には、講談社クリエイターズラボのゲーム部門「講談社ゲームラボ」もブースを展開しており、発売中および今後発売予定のタイトルが多数出展されています。
今回は、その中でも筆者が実際に試遊し、特に気になった2タイトルをご紹介します。
『高価買盗』

『高価買盗』は、北岡しるくみる氏が開発を手掛ける“インモラル古物商アドベンチャー”です。2027年にSteamでの発売が予定されています。
プレイヤーが扮するのは古物商。客が持ち込んだ品物を査定して買い取り、それを売却することで利益を得ていくのですが、本作では単に正しく品定めをしているだけでは、なかなか大きな利益にはつながりません。

そこで登場するのが、本作を象徴する「でっちあげ」というシステムです。
客が目を離した隙を狙い、ノミなどの道具を使って商品に自らキズをつけ、その損傷を理由に査定額を下げて安く買い取るのです。
もちろん、客の目の前で堂々と商品を傷つければバレてしまいます。感覚としては「だるまさんがころんだ」に近く、相手がこちらを見ていないタイミングを見計らいながら、慎重に“でっちあげ”を行う必要があります。

試遊時はできませんでしたが、うまく買い叩いて利益を得れば、闇市で新たな道具を購入することも可能です。最初はノミ程度だった道具も、やがて電動ドリルやのこぎりへとエスカレートしていくとのことで、稼げば稼ぐほど悪徳古物商としての手段まで過激になっていく点も、本作ならではの面白さでしょう。
ここまで聞くと、主人公は完全な悪徳業者のように思えるかもしれません。しかし、彼女がお金を必要としているのには理由があります。
舞台となるのは、架空の時代「大昭(たいしょう)」。主人公は戦争によってそれまでの日常を奪われ、親戚が営む古物商に住み込みで働いている少女です。
かつて彼女は、生きるために大切にしていたピアノを手放しました。しかし、そのピアノがオークションに出品されることを知り、「ピアノを取り戻せば、失われた日常も取り戻せるかもしれない」と考えます。
そのために彼女が選んだのが、客を騙しながら金を稼ぐという方法なのです。
今回の試遊で興味深かったのは、必ずしも商品にキズをつけなければならないわけではなかったことです。あえて悪事を働かず、そのまま査定して取引を進めることもできました。

つまり、どこまで目的のために手を汚すのかは、ある程度プレイヤー自身の良心に委ねられています。
また、くすんだ色使いのドット絵と、どこか湿度を感じさせる世界観も非常に印象的でした。
ゲーム性こそ異なるものの、筆者としては『Papers, Please』のような「仕事をこなしながらプレイヤー自身の倫理観を問われる作品」や、『Coffee Talk』のようにドット絵と会話によって独特な空気を作り出す作品を連想しました。
単なる“悪徳業者シミュレーター”ではなく、「目的のためなら、あなたはどこまで悪人になれますか?」という問いをプレイヤーに突きつけてくる作品です。
あなたなら、大切なものを取り戻すためにどこまで手を汚せるでしょうか。
『Legacy Code』

『Legacy Code』は、127号室氏が開発する物理シミュレーションゲームです。2027年にSteam向けで発売が予定されています。
そして、このゲームを一言で説明するならば、とにかく自由で、とにかく予測不能な作品です。
子どもの頃、まったく違うおもちゃ同士を無理やり組み合わせて、「ぼくの考えた最強のおもちゃ」を作った経験はないでしょうか。
『Legacy Code』は、まさにその遊びをゲームとして本気で成立させたような作品です。プレイヤーが操作するのは、「メカニマル」と呼ばれる謎の生き物。
頭、腕、脚といった身体のパーツはもちろん、人形の頭やキャラクター雑貨、扇風機、テレビ、義歯、鎖、サボテンなど、生物素材から無機物まで、ありとあらゆるものを自由に組み合わせて自分だけのメカニマルを作ることができます。

たとえば段ボールのような胴体に、脚の代わりとなる腕を取り付け、その上に赤ちゃんの人形の頭部を乗せ、さらに攻撃手段としてサボテンを装着する――といった、常識では考えにくい組み合わせも可能です。
パーツの形や配置に応じて動きが生成されるため、作った本人ですら完成したメカニマルがどのように歩き、どのように暴れ出すのか、実際に動かしてみるまで分かりません。
筆者が作ったメカニマルが横向きに動き出した時は頭上に「?」が浮かびましたね…...。
狙い通りの強そうなメカニマルが完成することもあれば、見た目からは想像もできないような奇妙な動き方を始めることもあります。しかし、その「思った通りにならなさ」こそが非常に面白く、本作最大の魅力に感じられました。

基本的なゲームサイクルは、「つくる」「たたかう」「あつめる」の繰り返しです。
作り上げたメカニマルでほかのメカニマルと戦い、経験値や新たなパーツを獲得。それらを使ってさらに身体を組み替え、より強く、より大きく進化させていきます。
今回の試遊ではメカニマルの作成や戦闘といった部分が前面に押し出されていましたが、現在公開されている情報によれば、製品版ではプレイヤー自身がメカニマルとなり、「本当の自分」を探すために仲間と旅立つという物語も描かれるとのことです。
感覚的には、自由に生物を作り上げていく『Spore』的な遊びと、『動物番長』のような荒々しい進化やバトルの感触を掛け合わせ、そこへ物理演算による予測不能さを加えたような作品という印象を受けました。
「格好いいものを作ろう」という発想だけではなく、「とにかくデカくて、奇妙で、なんだか強そうなものを作りたい」という欲望まで受け止めてくれる懐の深さがあります。
なお、本作は東京ゲームショウ2026内で開催されたインディーゲームコンテスト「SENSE OF WONDER NIGHT 2026」において、「Best Technological Game Award」と「Best Arts Award」の2部門を受賞しました。

自由な発想と、ときには少し恐ろしいほどの想像力を存分に発揮できる『Legacy Code』。
既存のゲームにある“正しい遊び方”に縛られず、自分だけの奇妙な生き物を作って暴れ回りたい人には、ぜひ注目していただきたい一本です。











