Game*Sparkレビュー:『The Blood of Dawnwalker』規制でアヤがついたのが惜しい。それでも新スタジオのデビュー作として堂々たる出来栄えのRPG | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『The Blood of Dawnwalker』規制でアヤがついたのが惜しい。それでも新スタジオのデビュー作として堂々たる出来栄えのRPG

コンパクトな世界に濃密な戦闘と探索、重厚なロアを詰め込んだ新世代ダークファンタジー

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『The Blood of Dawnwalker』規制でアヤがついたのが惜しい。それでも新スタジオのデビュー作として堂々たる出来栄えのRPG
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『ウィッチャー3 ワイルドハント』などの開発に携わったベテランクリエイター陣による新スタジオ「Rebel Wolves」のデビュー作として、9月3日に発売を迎えた完全新作ダークファンタジーRPG『The Blood of Dawnwalker』。

発売されるやいなや瞬く間に評判を呼んだ本作は、発売前からシリーズ展開の構想が明かされており、発売後には早くも“次章”に向けたスタッフ募集も始まるなど、すでになかなかの人気タイトルとなっています。しかしその反面国内版では表現規制の問題によって(流血表現の制限撤廃に向けた対応が明言されています)ユーザーの反感を買ってしまい、いまいち人気が伸び悩んでいるという側面もあるかと思います。

筆者は本作をメインストーリーを中心にプレイし、サイドクエストなどもそれなりにこなしつつ、一通りのエンディングまで到達したところです。以前お送りしたプレビュー記事では序盤のインプレッションをお伝えしましたが、本稿では製品版を最後まで遊びきったクリア後の視点から、一プレイヤーとして本作のレビューをお届けします。

1:グラフィックスや世界観

本作をプレイしてまず最初に感じるのは、陰鬱で美しいグラフィックスの雰囲気や、テキストやUIの演出などが『ウィッチャー3』に非常に似ているという点です。クエストの構造や、進行における多様性といった部分にも共通点が多く、同シリーズのファンが本作に触れれば、細部に至るまでその「ぽさ」を感じ取ることができるかと思います。制作陣が共通していることもあり、ゲーム内の多くの要素が“『ウィッチャー3』ライク”と言ってしまっていい手触りになっています。

ただ、もちろん完全に『ウィッチャー3』と同じというわけではありません。システム面など様々な違いがあるのですが、筆者が一プレイヤーとして最も大きな違いの一つだと感じたのは、ゲーム全体の「スケール感」です。

本作はメインストーリーを追うだけなら20時間程度でクリア可能となっており、近年のAAA大作オープンワールドRPGの中ではかなり「コンパクト」な部類に入ります。わかりやすいイメージを挙げるなら、『Fallout』シリーズに対する『The Outer Worlds』のような関係性でしょうか。あちらと同じように、本作もまた、良い意味で小ぶりにまとまった精神的フォロワー作品、といった立ち位置に近いと言えます。

舞台となる「サンゴラ谷」も、単体のゲームとして見れば十分に広いマップを持っています。ただ、クリアまでに100時間を要するような近年の巨大なAAAタイトルと比べてしまうと、やはりコンパクトですし、風景のバリエーションも決して多くはありません。「スヴァルトラウ」のような大規模な街も一つしか登場しませんし、マップ全体の色調も劇的に変化するわけではないため、ぶっ続けでプレイしているとやや一本調子に感じてしまうプレイヤーもいるかもしれません。

しかし、このコンパクトな規模感のお陰で、本作のゲーム体験の密度は高く、プレイしている中で「面白い」と感じる時間の割合が高くなっていると感じました。巨大すぎるマップにありがちな移動や探索の「中だるみ」を起こすことなく、最後まで一気に熱中して遊びきれるというのは、本作の持つ非常に大きな長所だと言っていいでしょう。

既存のファンタジー系RPGと異なり、カルパチア山脈の架空の地域「サンゴラ谷」が舞台でありつつも、実際の14世紀ヨーロッパを下敷きに世界が作られているという点も、世界観の大きな魅力の一つです。そのおかげで、単なるファンタジーRPGというよりは、歴史モノのタイトルに触れているような興味深さが備わっており、作品全体にどこか成熟した、骨太で落ち着いた雰囲気が漂っています。

また、膨大に用意されたゲーム内のロア(テキスト類)も実際の歴史知識が下敷きになっているものが多く、ちょっとした雑学やトリビアとして読み進めるだけでも純粋に楽しめます。総じて、本作の世界観やフィールドはややコンパクトでバリエーションに欠けるきらいはあるものの、それを補って余りあるほどの魅力に満ちていると筆者は感じました。

2:アクション、戦闘要素

主人公であるコーエンを操る戦闘システムは凝った作りになっており、攻撃や防御に「方向」の概念が存在するほか、敵の攻撃にタイミングを合わせる現代的なジャスト防御システムもしっかりと盛り込まれています。フィールドの道中では常に猪や狼といった野生動物に絡まれますし、用意されているクエストのほとんどが何らかの戦闘を伴うものになっています。

道中では常に緊張感のあるバトルが展開されるため、このあたりはプレイヤーによってやや好みが分かれる部分とも言えるかもしれません。個人的には「戦闘メインのARPG」に感じられるほど、ゲーム全体における戦闘の比重は高いように感じました。

ただ一方で、頻繁に戦闘が発生する割には敵の種類のバリエーションはそれほど豊富とは言えません。加えて、道中の通常の戦闘からボス戦に突入した途端に急激に難易度が跳ね上がるような場面もあり、戦闘の難易度バランスについてはやや不安定で大味な印象も受けました。

また、本作の醍醐味である夜間の吸血鬼状態では、移動の自由度が飛躍的に高まります。人間状態では行けないような高所への移動など、立体的で自由なマップ探索が可能になるのは非常に楽しい体験です。ただし、その自由度の高さゆえか、地形につっかえたり、本来行けないはずの空間に侵入してしまってスタック(進行不能)などのバグが発生したりする場面も散見されました。このあたりは、今後のアップデートによる継続的なブラッシュアップに期待したいところです。

3:ストーリーやロアなど

本作のストーリー展開はなかなか面白く、最後まで先が気になるものに仕上がっています。プレビュー記事の際にも触れましたが、物語の基本ラインは吸血鬼たちへの「復讐劇」であり、同時に「囚われた家族を救う」というタイムリミットが設けられています。そのため、プレイヤーとしての目的が非常に明確で、すんなりと主人公に感情移入できるのが良いところです。海外製の大作RPGにありがちな「専門用語や設定が多すぎて、いま何のために戦っているのかよくわからない」といった事態はほとんど起こりません。

もちろん、ストーリーがシンプルということは、内容が陳腐であるということを意味しません。堅実で優れた演出も相まって、非常に引き込まれる物語になっています。個人的には、これくらい真っ直ぐで理解しやすいストーリーラインはかなり好みでした。

また、ゲーム中でプレイヤーがどの勢力に加担したかによってラストクエストの展開が大きく変化する仕様は、同スタジオの開発陣がかつて携わった『サイバーパンク2077』を彷彿とさせるギミックとなっています。クエストやサイドクエストにも多くの選択肢や分岐があり、(性描写の変更が行われていますが)ロマンスなども用意されていてADV好きなプレイヤーもかなり楽しめるはずです。

世界観や物語を補強するテキストの充実ぶりには凄まじいものがあります。用語集やゲーム内の各地で拾える書物など、読み物系のボリュームはまさに膨大で、ロアを読み解くのが好きなプレイヤーにとってはたまらない仕様です。翻訳も不自然さはなく、読みやすいと感じました。

消耗品や装備品といったアイテムの種類もかなり多岐にわたります。ただ、だからといってゲームシステム全体が複雑で難解かというと、まったくそんなことはありません。そうした膨大なアイテム群や細かなシステムをすべて完璧に使いこなさずとも、基本のアクションさえしっかりと押さえていれば十分にクリア可能です。テキストの熱量で世界観を深く掘り下げつつも、ゲームプレイのハードル自体は高くなりすぎないよう調整されているのは、本作の遊びやすさに繋がっていると感じました。

また、要素に加え、本作のストーリーに絶妙な緊迫感を与えているのが、最大の特徴でもある「30日間」というタイムリミットの存在です。本作は特定のクエスト進行やスキルの習得によって明確に時間が経過していく斬新なシステムを採用しています。序盤こそ「時間を大切に使わなければ」と強く意識させられますが、実際に遊んでみると、順当にプレイしていけば20日前後でエンディングを迎えることができるバランスに調整されていました。もちろん、すべてのサブクエストを虱潰しにプレイしようとすると時間は足りなくなりますが、そうした別ルートは「周回プレイで楽しめばよい」と割り切れる作りになっています。そのため、筆者としてはこの30日制限によって過度に焦らされるような窮屈さは感じませんでした。むしろ、「限られた時間でどのクエストを選ぶか」という選択に重みが生まれ、進行にプレイヤーごとの多様性をもたらす面白いシステムだと感じます。

昼夜で進行できるクエストや行動が変化する仕様についても、多少面倒に感じる瞬間こそあったものの、プレイ全体を通してみればほぼ気にならない程度でした。最初は一番驚かされる時間経過システムですが、ひとつの勢力のストーリーを最後まで進め、いつでもエンディングに臨める状態となる後半になるとほとんど気にならなくなります。そういう意味ではゲーム後半にかけてどんどんと存在感が無くなっていくシステムだと言うこともできるかもしれませんが、基本的にはゲーム序盤に緊張感をつけるギミックとしては面白いし、あっていいシステムだと思います。(ちなみに家族を救えずに30日経過しても直ちにゲームが終わることがなく、それもまたプレイヤーの一つの多様性ある選択として尊重されるようです)。

4:総評

本作を評価する上で、一つだけどうしても触れておかなければならない残念な点があります。それは、国内版に適用されている表現規制です。本作は吸血鬼をテーマにしたダークファンタジーであり、過激な流血描写や残酷な表現も、世界観を構築するための重要なエッセンスとなっています。

しかし、国内版ではそうした描写に対して規制が入っており、オリジナル版が持つ本来の迫力がきっと削がれてしまっているはずです。ゲームプレイそのものの面白さを損なうわけではないものの、作品の持つポテンシャルを100%味わいきれないという点においては、一プレイヤーとしてどうしても減点せざるを得ません。このあたり修正が来ることは明言されているので、これから本作をプレイしたい方は、それを待ってみてもいいかもしれません。

しかしコンパクトなボリュームの中に、濃密な戦闘と探索、そして重厚な世界観が凝縮された『The Blood of Dawnwalker』は魅力的な作品です。巨大すぎるオープンワールドRPGには少し疲れてしまったという方にこそ、ぜひ本作を手に取っていただきたいと感じました。

Game*Spark レビュー 『The Blood of Dawnwalker』 PC / PlayStation 5 / Xbox Series X|S 2026年9月3日リリース

規制は問題だが新スタジオとしては堂々たる出来ばえ

GOOD

  • 膨大なテキストやロア
  • アクション性や自由度の高い戦闘
  • 一気に遊びきれるほどよいボリューム

BAD

  • 国内版における規制
  • 戦闘やマップはややバリエーション不足か

《文章書く彦》

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好きなガンダムは∀ガンダム、好きなマンガはレベルE、好きな映画監督はポール・トーマス・アンダーソン、好きなゲームジャンルはオープンワールドものとローグライク(ローグライト)、好きな昆虫はカマキリ、好きなバンドはFUGAZI、好きな作曲家は浜渦正志、好きな小説家はカート・ヴォネガット・ジュニアと舞城王太郎、好きなラッパーはポチョムキン、好きな焼酎は鳥飼、好きなルフィが言ってない言葉は「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!(ドン)」、好きな笑い男が書いてた言葉は「or should I?(だが、ならざるべきか?)」。

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