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たぶん日本ではまだ知られてないけど、めちゃくちゃ面白い戦略ゲームが出る。『Worms: Galactic Tactics』試遊レポ

地形を壊し、敵を吹き飛ばし、迫るマグマから逃げながら次の一手を考える。簡単に遊べるのに、考え始めるとかなり深い。『Worms』を知らなくても注目したいターン制タクティカルローグライトでした。

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『オーバークック』や『WARDOGS』で知られるインディーパブリッシャー・Team17の「未発表タイトル」を見せてもらえる――そう聞いてgamescomの取材枠を入れたのですが、その正体が『Worms: Galactic Tactics』だとわかったとき、失礼ながら正直なところ少し困りました。

『Worms』は30年以上続くシリーズとはいえ、日本では決してメジャーな存在ではありません。そこに「タクティクス」とくれば、さらに人を選びそうです。筆者自身もシリーズにそこまで詳しいわけではなく、「さて、どういう記事にしようかな……」と考えながら試遊席に座りました。

ところが、開発者からプレゼンを受けながら遊び始めてみると印象は一変。これがめちゃくちゃ面白かったのです。

本作は、Absolutely Gamesが開発するターン制タクティカルローグライト。3体のワームでチームを組み、ステージを攻略しながら武器や能力を強化していきます。メインはシングルプレイですが、ローカル/オンラインでの1対1対戦も予定されています。開発元は第二次世界大戦を題材にした『Classified: France '44』を手掛けたスタジオで、同作の開発後に「自分たちのストラテジーのノウハウと『Worms』を組み合わせる」という企画をTeam17へ持ち込んだのが本作の始まりだそうです。

タクティクスと聞くと、ユニットを育てたり装備を整えたり、戦う前の準備から腰を据えて向き合うゲームを想像する人もいるかもしれません。しかし、今回触った範囲ではそうした重さはほとんどありませんでした。戦場に入ればすぐ状況を把握でき、すぐ考えて、すぐ行動できる。この「本題に入るまでの速さ」はかなり好印象でした。

地形を壊した“あと”に戦略が生まれる――しかも戦場はじっとしてくれない

本作で特に気持ちよかったのが、地形破壊をそのまま戦略として使えるところです。マップは大きく破壊でき、高低差や爆発物、足場の位置まで含めて戦況がどんどん変わっていきます。

試遊中、高所を取っている敵がいました。高い場所が有利なのは画面を見ただけでも直感的にわかりますし、「この辺は爆発で崩せそうだな」というのも把握しやすい。そこで爆弾を使って敵を吹き飛ばしたところ、高所から落下して追加ダメージが入りました。

ここまでは狙い通り。面白かったのはその先です。

落ちた敵の位置を見て、「これ、もう一段落とせるじゃん」と気付きました。そこで敵を引き寄せるアビリティを使い、さらに下へ落としてもう一度ダメージを与える。最初からコンボとして組み立てていたわけではなく、一発目で盤面が変わったのを見て、その場で次の一手を思いついた形です。

本作の気持ちよさは、まさにここにあると思います。最初から最適解を全部組み立てるというより、攻撃した結果で地形や敵の位置が変わり、そこに新しいチャンスが生まれる。爆発で吹っ飛ばす、引き寄せる、危険地帯へ落とす、爆発物の近くへ動かす――盤面が動いた“あと”にまた考えられるので、戦闘がパズルの答え合わせになりません。

そして、盤面を変えるのはプレイヤーだけではありません。今回試遊したステージでは、ターンが進むごとに下から水がせり上がってきました。最初は安全だった低地が徐々に使えなくなり、戦場そのものが少しずつ狭くなっていきます。

つまり、高所を取って安心、ではありません。「今は安全でも、数ターン後にはここにいられなくなるかもしれない」という状況が常につきまといます。開発陣も、位置取りでは「今の地形」だけでなく、数ターン後に周囲の環境がどう変わっているかまで考える必要があると話していました。自分から地形を壊して盤面を変える一方で、時間経過によって盤面そのものから追い立てられる。この二重の変化があるため、戦闘はかなり動的です。

しかも、複雑そうなことをやっているわりに状況はかなり把握しやすいです。高い場所が強い、ここは壊れそう、この敵はここへ落とせそう、といったことが直感的に伝わってきます。少し考える時間は必要ですが、敵側の行動もサクサク進むので、試遊中にストレスを感じる場面はほぼありませんでした。

◆「命中率○%」ではなく、自分で当てる

攻撃方法も少し変わっています。一般的なタクティクスのように「命中率○%」で結果を待つのではなく、武器ごとにタイミング合わせやチャージなどの簡単な操作が入ります。開発陣によれば、これは従来の『Worms』にある「攻撃の成否をプレイヤー自身の腕に委ねる」感覚を残すためのもの。ストラテジーの中にほんの少しアクション的な刺激が入っていて、これがいいスパイスになっていました。

さらに面白いのが、攻撃を外しても、それが単なる「失敗」で終わらないところです。狙いを外れた攻撃が別の敵やオブジェクトに当たり、そこから思わぬ連鎖が始まることがあります。

実際、試遊中に筆者が樽を狙った攻撃を外した際も、外れた一撃が別の敵に命中。試遊後のインタビューでは、開発陣自身がこの場面を例に挙げながら、大成功だけでなく予想外の失敗や偶然の連鎖も含めて『Worms』らしさなのだと話していました。

筆者は『Worms』シリーズに詳しいわけではありません。それでも、地形が壊れ、敵が飛び、外した弾が別の何かに当たり、そこからまた状況が変わる。そんなカオスさは素直に楽しいところでした。

一方で、武器を使うたびにミニゲーム的な操作が入るため、長時間プレイしたときに繰り返しを少し面倒に感じないかは気になります。短時間の試遊ではちょうどいい刺激として機能していましたが、この点は製品版で改めて確かめたいところです。

◆ローグライトだからこそメキメキ強くなる

ローグライトとしての成長もテンポが良好でした。戦闘で得たゴールドを使って武器やユーティリティにMODを付けられ、その数は全体で約200種類。武器やユーティリティごとに異なる強化が用意されています。

さらに、ゴールドには別の使い道もあります。チームが全滅すればそのランは終了しますが、1~2体のワームを失った程度なら、ステージ間のメディカルベイでゴールドを支払って復活・回復可能。つまり、稼いだ資金をMODによる強化へ回すのか、それともチームの立て直しに使うのか、という判断も生まれます。

今回は1回の試遊なので、ビルド構築がどこまで深くなるかまではわかりません。ただ、強化の機会が頻繁にあり、短い時間でも「さっきより明らかに強くなった」という感覚を味わえたのは良かったです。ユニットを長い時間かけて育てなくても、ランの中でメキメキ強くなる。リセットのあるローグライトだからこそ、このくらい景気よく強化させてもらえる方が気持ちいいと感じました。

ステージ自体も完全固定ではありません。開発中の段階で約60~70種類の手作りマップが用意されており、その登場順や敵のスポーン位置、敵編成などはランごとに変化するとのこと。同じ攻略手順を繰り返すというより、そのランで与えられた盤面と手札を見ながら、その場で戦い方を組み立てていくゲームになりそうです。

◆簡単に入れる。でも、絶対に浅くない

遊ぶ前に抱いていた「Wormsのタクティクスって、けっこうハードコアなんじゃないか」という印象もかなり変わりました。状況が見やすく、基本的な有利不利も直感的で、敵ターンも速い。かなり進めやすく、タクティクスに慣れていない人でも遊べそうです。

実際、開発陣も本作について、誰でも入りやすい軽快なタクティクスでありながら、初心者から熟練者まで楽しめる深さを持たせたいと話していました。

でも、簡単だから浅いわけではありません。地形をどう壊すか、壊れたあとの盤面をどう使うか、敵をどこへ動かすか。数ターン後にマグマがどこまで上がってくるのか、そのとき自分はどこにいるべきなのか。今回の短い試遊だけでも、考え始めればいくらでも工夫できそうな感触がありました。

そして何よりいいのが、考え抜いた完璧な一手だけが楽しいゲームではないことです。想定外に敵が吹き飛んだり、狙いを外した攻撃が別のものに当たったり、その結果を見て「じゃあ次はこうしよう」と考えたりする。計画とアドリブの両方が戦術になる。この感覚はかなり新鮮でした。

最終的には、時間の都合もありつつ、製品版が楽しみになりすぎて試遊をある程度のところで切り上げました。せっかくなら残りは発売後に、自分のペースでじっくり遊びたいと思ったからです。

取材前は「どう記事にしようかな」と悩んでいたのに、終わるころには「これ以上は製品版まで取っておこう」と思っていました。

日本では『Worms』自体をあまり知らない人も少なくないでしょう。でも、シリーズを知らないというだけでスルーするには、かなり惜しいゲームだと思います。タクティクスは難しそうだから、『Worms』は遊んだことがないから――そんな理由で候補から外してしまう前に、ちょっとだけ覚えておいてほしい作品です。

『Worms: Galactic Tactics』は、PC(Steam)/PS5/XBOX Series X|S/ニンテンドースイッチ2向けに2027年発売予定です。

《みお》

Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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