
多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになった、サブカル記者のオリー・バーダー氏。海外フォーブス誌などだけでなく近年では機動戦士ガンダム公式でも記者として名前を見る氏は、『フォートナイト』や『Gears of War: Judgment』など様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでもあります。
そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
『アーマード・コア3』を振り返る――なぜ『サイレントライン』は今でもシリーズの中で私が最も好きな作品の一つなのか
初代PlayStationの『アーマード・コア』三部作、そしてPlayStation 2の『アーマード・コア2』と『アーマード・コア2 アナザーエイジ』についての記事に続き、今回はシリーズ第3世代の作品と、それらが私にとってなぜ特別な存在なのかについて取り上げたいと思います。
『アーマード・コア2』が海外で大きな成功を収めたことは間違いありません。実際、日本国内よりも海外での売上の方がはるかに好調でした。しかし、『アナザーエイジ』では売上がかなり落ち込んでしまいました。そうした状況の中で登場したのが『アーマード・コア3』です。
海外のファンは、初代PlayStation時代の旧作のような、よりスピーディーなゲーム展開への回帰を強く望んでいました。また、アートディレクションやゲームプレイの面でも、よりハードで泥臭い雰囲気を求めていました。
幸いなことに、『アーマード・コア3』はまさにそうした期待に応える作品となり、発表された際には海外のファンの間で大きな期待と興奮を呼びました。
『アーマード・コア3』(2002年)

一見するとまったく新しい物語として始まる本作は、「レイヤード」と呼ばれる地下世界を舞台としており、初代『アーマード・コア』と多くの共通点がありました。当然ながら、この世界にも企業や「レイヴン」と呼ばれるメカのパイロットたちが存在していましたが、さらに世界を管理する別のAIも登場しました。
本作は、それまでのPlayStation 2向け作品と比べて、ビジュアル面でも大きく進化していました。単にグラフィックの品質が向上しただけでなく、パフォーマンスも改善され、フレームレートは過去作と比較してはるかに安定していました。
ゲームのスピード感や操作への反応も大幅に向上していました。また、特に海外のプレイヤーたちは、それまで非常に強力だったエネルギー兵器から、マシンガンやライフルを活用する戦闘スタイルへの変化を高く評価していました。

実際、新しいカラサワのレーザーライフルでは、『アーマード・コア2』にあったスタン効果がなくなっていました。その結果、武器としてのバランスが大幅に改善され、熟練度の低いプレイヤーがその性能を悪用しにくくなりました。
海外のファンは引き続き新しいカラサワを使用していましたが、それはよりバランスの取れた多様な武器の選択肢の一つとなっており、海外のプレイヤーたちはこの変化を非常に喜んでいました。
当時、私は三重県に住んでいたので、深夜0時に自転車で最寄りのセブン‐イレブンまで行き、本作を購入したことを今でも覚えています。その後の数日間は、ゲームをひたすらプレイし、すべての要素をアンロックすることに没頭しました。
今回も河森正治さんが手掛けたメカデザインは素晴らしく、ゲーム全体としても大きく進化したと感じました。そして、私が非常に愛していた初代PlayStationの三部作に、より近い作品になったと強く感じたのです。
ゲーム攻略ガイドを通じて海外のプレイヤーを支援

『アーマード・コア3』に関して、私にとって特に楽しかった出来事の一つは、アメリカのゲーム雑誌『Tips & Tricks』から連絡を受け、本作の攻略ガイド制作に協力したことです。
当時は日本とアメリカのゲーム発売時期に大きな差があることが一般的で、アメリカの多くのプレイヤーは発売に備えて、できるだけ多くの情報を集めたいと考えていました。
私は当時、アメリカの「Raven's Haven」という『アーマード・コア』のファンフォーラムでかなり積極的に活動していました。このフォーラムは現在では閉鎖されていますが、そこでの活動を通じて『Tips & Tricks』の編集者から連絡をいただき、協力を依頼されました。また、この頃にはイギリスのゲーム雑誌でもプロのライターとして執筆していたため、ゲーム雑誌の編集業務がどのようなものかについても理解していました。
本作で新たに導入された大きな要素は4人対戦への対応で、当然ながら「Raven's Haven」のメンバー全員がこの新機能に大いに興奮していました。
編集者からは、私のセーブデータを郵送してもらえないかとも頼まれたので、喜んで送りました。その後、ゲームの内容や、新たに登場したパーツ「OP-INTENSIFY」がどのように機能するのかについて、さまざまな質問を受けました。
嬉しかったことの一つは、この編集者が『Tips & Tricks』の『アーマード・コア』コラムの第1回に、私のACの機体構成を掲載してくれたことです。さらに、私の協力に対して感謝の言葉まで添えてくれました。
今振り返ると、当時は日本のゲームについて記事を書くことがとても楽しい時代でした。そして、アメリカの『アーマード・コア』ファンの仲間たちが『アーマード・コア3』の発売に備える手助けができたことを、今でも嬉しく思っています。
『アーマード・コア3 サイレントライン』(2003年)

本作が発売されたのは、ちょうど私がイギリスに帰国する頃でした。前作で私が気に入っていた要素は、『サイレントライン』ですべてさらに改善されていました。
機体の操作に対する反応もさらに良くなり、メカの操縦感覚は非常によく作り込まれていると感じました。ストーリーミッションの内容もはるかに多彩になり、一部のミッションではAIの僚機を同行させることもできました。
私はこのAI僚機のシステムも非常に気に入っていました。自分で機体を操作してプレイすることでAIを「育成」し、そのAIがゲーム内で自分のプレイスタイルを再現してくれるという仕組みでした。
育成したAIと対戦すると、時には自分のプレイスタイルを鏡に映したような動きをするため、少し不気味に感じることもありました。もちろん、完璧なシステムではありませんでしたが、いろいろと試して遊ぶのが楽しい仕組みでした。
本作がアメリカで発売された際、現地のファン仲間たちがゲームバランスやテンポを非常に高く評価していたことも覚えています。「Raven's Haven」では、数多くの機体構成を競うトーナメントが開催されていました。
これは、参加者が自分のACの機体構成を投稿し、アメリカにいる2人のプレイヤーがその機体を使って対戦を行い、結果をフォーラムに掲載するというものでした。
日本では『アーマード・コア3』と『サイレントライン』の両方がUSBモデムに対応していましたが、アメリカ版とヨーロッパ版ではこの機能が削除されていました。そのため、当時の私たちには、このような形で対戦を楽しむ方法しかありませんでした。
また、『サイレントライン』は、おそらく『アーマード・コア』シリーズ全体の中でも私が最も好きな作品であり、PlayStation 2の『アーマード・コア』作品の中では間違いなく一番のお気に入りです。
当時、エレクトロニック・アーツでゲームテスターとして働いていた頃、勤務時間が終わった後に職場で本作をプレイするのも非常に楽しかったです。もっとも、誰も私に勝つことはできませんでしたが。
私のお気に入りのサウンドトラック
『サイレントライン』には、シリーズ屈指の素晴らしい音楽が収録されており、サウンドトラックの「ブック」も素晴らしいものでした。
私はもともと音楽を学んでおり、トランペットを演奏したり、合唱団で歌ったりしていました(実は10代の頃、ロンドン・フィルハーモニー合唱団で歌っていたこともありますが、もうずいぶん昔の話です)。
そのため、アニメやゲームの音楽には昔から非常に強い関心を持っており、『サイレントライン』の音楽は、私が最も好きなゲーム音楽の一つであることは間違いありません。
サウンドトラックの中で特に好きな曲は、謎めいた雰囲気の「Out Like A Light」と、よりアクション性の強い「Rise In Arms」だと思います。しかし、サウンドトラック全体を通して、どの曲も実に素晴らしく作曲されています。
海外でも好調な売上を記録したものの、問題もあった
『アーマード・コア3』と『サイレントライン』は、どちらも海外で好調な売上を記録し、今回も日本国内を上回る売上となりました。しかし、ヨーロッパでは特殊な事情により、両作品が異なるパブリッシャーから発売されることになりました。
その結果、ヨーロッパ版では両作品の間でセーブデータを引き継ぐことができず、当時のファンを大いに失望させました。幸い、アメリカ版では両作品とも引き続きAgetecがパブリッシャーを務めたため、この問題の影響を受けることはありませんでした。
しかし、ヨーロッパ版のこうした問題は、同地域における『アーマード・コア』シリーズの受け止められ方にも悪影響を及ぼしました。その結果、当時のアメリカではほとんど見られなかったような、シリーズに対する反感がヨーロッパでは次第に強まっていきました。
その後、両作品はPlayStation Portable向けにも移植されましたが、個人的にはあまり好きになれませんでした。操作性が非常に扱いにくく、動作もPlayStation 2版ほど良好ではありませんでした。また、当時の海外ゲームメディアからも広く批判されていました。
もう一つ注目すべき点は、『サイレントライン』がアメリカでは『Silent Line: Armored Core』というタイトルで発売され、『アーマード・コア』よりも『サイレントライン』の部分が大きく強調されていたことです。そのため、アメリカの長年の『アーマード・コア』ファンは『サイレントライン』が何なのか分からず、混乱してしまいました。残念ながら、これが結果的に海外での売上にも悪影響を及ぼしました。
いずれにしても、私は今でもオリジナルの『アーマード・コア3』と『サイレントライン』を非常に懐かしく、愛着を持って振り返っています。当時、この2作品は私の『アーマード・コア』シリーズに対する情熱を再び燃え上がらせ、これから登場する新作への大きな期待と希望を抱かせてくれたのです。

なお、オリー氏はロボゲーを作るためのスタジオないし協力者を探しているそう。オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。











