三角頭、赤いセーブポイント、『シャッタードメモリーズ』を思わせる仕掛けまで…『SILENT HILL: Townfall』で見つけたシリーズの「DNA」【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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三角頭、赤いセーブポイント、『シャッタードメモリーズ』を思わせる仕掛けまで…『SILENT HILL: Townfall』で見つけたシリーズの「DNA」【特集】

シリーズへのラブレターとも言える、数々のオマージュや元ネタをご紹介。

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三角頭、赤いセーブポイント、『シャッタードメモリーズ』を思わせる仕掛けまで…『SILENT HILL: Townfall』で見つけたシリーズの「DNA」【特集】
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2026年9月24日、コナミデジタルエンタテインメントとAnnapurna Interactiveより、シリーズ最新作『SILENT HILL: Townfall』が発売されました。

『SILENT HILL』シリーズは、2024年のリメイク版『SILENT HILL 2』を皮切りに本格的な再始動をみせ、2025年には初の日本を舞台に選んだ『SILENT HILL f』が話題となるなど、今なお新たな挑戦を続けている、サイコロジカルホラーゲームの金字塔的な作品です。

そして、最新作である『SILENT HILL: Townfall』は、スコットランドの霧深い孤島「セントアメリア」を舞台に、シリーズの長編作品として初の「一人称視点(FPV)」での探索や、従来のラジオに代わり、携帯型ポケットテレビ「CRTV」を使った戦闘や謎解きなど、新たなシステムと表現を取り入れているのが特徴です。

既存の作品に囚われない方向性に挑戦している本作ですが、もちろん『SILENT HILL』らしさは健在。シリーズの象徴でもある、深い霧の表現や、異形のクリーチャー、変貌する町、社会の歪みと人間の罪悪感といった心理的なテーマなど、シリーズの伝統はしっかりと受け継がれています。

加えて、本作は『SILENT HILL』シリーズへの愛が目一杯詰まったオマージュが作中で多く確認できます。

そこで本稿では、生粋のSHファンである筆者が『SILENT HILL: Townfall』の中で発見した、シリーズの「遺伝子」とも言うべき数々のモチーフを紹介し、解説していきます。なお、あくまで個人的な考察であり、公式に明言されているわけではありませんのでご了承ください。

また、当然ながら記事中多くのネタバレがあります。閲覧には十分ご注意ください。

◆『SILENT HILL』愛が詰まった、多くのオマージュと影響

まず最初に紹介するのは、本作主人公の「サイモン・オーデル (Simon Ordell)」です。

サイモンは、1959年10月15日生まれの黒人男性。物語冒頭、島に流れ着いた時点で彼は過去の記憶を失っており、そのうえ左腕には医療用の輸液バッグが直接繋がっている奇妙な出で立ちで、主人公でありながら非常に謎めいた存在です。

サイモン・オーデル

さて、そのサイモンの服装を見てみると、紺色のニット帽、マルーン色(やや紫がかった暗い赤色)のボリュームのあるダウンベスト、その下には、袖を少しまくったブルーの長袖シャツを着ています。

また、ややゆったりとしたシルエットのインディゴブルーのジーンズを着用しているのも特徴的で、胸ポケットには、シリーズでお馴染みの「懐中電灯(ポケットライト)」も入っており、かなり印象深い格好です。

トラヴィス・グレイディ

こうしたサイモンの姿をみると、筆者はPSP/PS2で発売された『サイレントヒル ゼロ』の主人公、「トラヴィス・グレイディ(Travis Grady)」を思い出します。

黒のメッシュキャップ、黄色のダウンベスト、ロールアップしたチェック柄の長袖シャツ、無骨なジーンズ、ポケットライト……何だか二人ともどこか似てませんか?

トラヴィスは、トラック運転手という設定なので、このクラシックなワーカースタイル自体には何の違和感もないのですが、一方サイモンの出自はエンディングまで明かされません。

それを踏まえると、なぜサイモンの服装はこういったスタイルなのか、納得のいく必然性が見当たりません。なので、どうしてもトラヴィスからの影響があったように思えてならないのです。

もちろん、偶然似ているだけだったり、1996年という時代設定を考慮した結果ああなっただけと言われれば、それまでですが…。

見覚えのあるオブジェ

続いては、『SILENT HILL: Townfall』でのセーブ画面についてです。

本作は、今となってはアナログな電話機がセーブポイントとして機能するのですが、よく見てください。ボタンの横のあたりに、9マスの「赤い正方形」が描かれていますよね。

実は一見関係のなさそうなこのオブジェこそ、『SILENT HILL』シリーズにおいて非常に重要な意味を持つものなんです。

『SILENT HILL 2』(2001)

というのも、この「赤い正方形」は元々『SILENT HILL 2』における手動セーブポイントを指す象徴的なオブジェクト。それがそっくりそのまま電話機(セーブポイント)に描かれているわけです。

またこのオブジェクトは、ゲーム内での機能だけでなく、ストーリーや主人公ジェイムスの精神状態と密接に結びついています。

リメイク版『SILENT HILL 2』

例えばこれ自体が、「亡き妻メアリーから届いた手紙」のメタファーであり、ジェイムスの罪の意識を反映したものであるという解釈ができたり、特に『SILENT HILL 2』終盤になると、上記のように9つの正方体が集合したものに変化しますが、これもジェイムスの精神の変容に対応しているのです。

このように、『2』およびシリーズにとって非常にアイコニックかつ、深い意味を持つモチーフが描かれているということは、開発陣の『SILENT HILL』に対するリスペクトを非常に感じさせます。

メニュー画面

ちなみに、アイテム選択画面(メニュー)やセーブ時のサウンドエフェクトをよく聞くと、『SILENT HILL 2』のものと酷似している点にも感動を覚えましたし、シリーズファンであるならば絶対にニヤッとしてしまうでしょう。最高です。

◆『シャッタードメモリーズ』を思わせる、電話とガジェットの使い方

初期の作品以外にも、2010年に日本で発売された異色作『サイレントヒル:シャッタードメモリーズ』との興味深い共通点が見られます。

下にある「セントアメリア町民広場」の番号にかけられる

本作『SILENT HILL: Townfall』では、「電話機」が非常に重要な役割を担っています。セーブポイントとして機能するだけでなく、資料アイテムなどに記載された電話番号へ実際に電話をかけることができ、物語の背景を知ったり、探索時のヒントを得たりすることが可能です。

実は、この「ゲーム内で見つけた電話番号へ、プレイヤー自身が電話をかける」という仕組みは、『シャッタードメモリーズ』にも存在していました。

『サイレントヒル:シャッタードメモリーズ』

同作では、主人公ハリーが所持する携帯電話から、街の看板やポスター、メモなどに記載された電話番号へ発信できます。通話や録音メッセージを通じて、ストーリーの進行に必要な情報を得たり、街に隠された物語を知ったりできるのです。また、ハリーは携帯電話(スマホ)というガジェットを駆使し、不気味な写真やテキストメッセージ、音声を受け取り、街の過去の断片を暴いていくのも特徴です。

単に電話が登場するというだけでなく、街の中で発見した情報を、実際に電話をかけるという行動へ結びつける点は、両作品に共通しています。さらに『シャッタードメモリーズ』では、携帯電話が写真撮影やメッセージの受信などにも活用され、街を探索するための重要なガジェットとして機能していました。

CRTV
今作における象徴的なガジェット

一方、『Townfall』において象徴的なガジェットとなるのが、小型のアナログテレビ「CRTV」です。チューニングによって映像や音声を拾い、目には見えない情報や物語の断片に触れていく仕組みは、携帯電話を通じて街の秘密を探っていく『シャッタードメモリーズ』をどこか思い起こさせます。

もちろん、CRTVは従来の『SILENT HILL』シリーズでお馴染みだったラジオを発展させたものであり、『シャッタードメモリーズ』から直接着想を得たと明言されているわけではありません。それでも、日常的な電子機器を通して、目に見えない恐怖や物語の断片を探っていくという点には、シリーズに通じる面白さを感じます。

戦闘自体を排除し、チェイスシステムを採用した『シャッタードメモリーズ』

また、ゲームプレイに目を向けると、敵との戦闘を廃止し、逃走を中心とした設計を採用した『シャッタードメモリーズ』に対し、『Townfall』では武器による戦闘とステルスの両方が用意されています。

従来のシリーズのように、大っぴらに戦うのではなくステルスが基本となる

武器や銃が登場するものの、弾薬は極めて少なくリロードも遅いため、基本は戦闘を避ける「ステルス回避」が前提です。

物音で敵を誘導したりクローゼットに隠れたりする「無力な一般人の必死の逃走劇」という緊迫感は、『シャッタードメモリーズ』の戦闘フリーな設計思想をベースに、現代サバイバルホラーとして昇華させたものと捉えても良いかもしれません。

◆新たな方向性と受け継がれる「シリーズのDNA」

変異後の町の様子(裏世界)

一人称視点やCRTVガジェットなど、新たな方向性を示した『SILENT HILL: Townfall』ですが、シリーズの伝統を体現するようなモチーフも作中でいくつか発見できます。

まずその一つが、「裏世界」と呼ばれる『SILENT HILL』ではお馴染みの世界。

『SILENT HILL 2』の裏世界。血と赤錆、そして暗闇が支配する

シリーズにおける「裏世界(Otherworld)」とは、霧に包まれた通常の街(表世界)から、血と錆、闇、あるいは個人の悪夢が具現化した不気味な異空間(超自然的状態)に変貌した世界のこと。

巨大な配管が町を侵食していく姿が恐ろしい

本作においてはご覧の通り、セントアメリア島全体が不気味な赤色へと一変し、辺りに無数の巨大なパイプや無機質な構造物、配線が剥き出しで姿を現します。

まるで巨大な工場の内部のように街が侵食されていく姿に、プレイヤーは圧倒的な恐怖を感じるでしょう。個人的には、『SILENT HILL f』で不気味な彼岸花一色に覆われる「裏世界」の演出も見事だと感じましたが、本作での裏世界の描き方も独自性があって本当に素晴らしいと思います。

「三角頭(レッドピラミッドシング)」を想起させる絵画
お馴染みの武器である鉄パイプ

他にも、ゾーイの自宅には、シリーズ屈指の象徴的キャラクターである「三角頭」を思わせるような絵画があったり、ほぼ全作品(『シャッタードメモリーズ』を除く)に出てくる、お馴染みすぎる近接武器「鉄パイプ」も登場しています。

リメイク版で追加された収集要素

また、リメイク版『SILENT HILL 2』では、ゲーム全編にわたって「奇妙な写真(Strange Photos)」というポラロイド写真を集めるコレクション要素が追加されています。

奇妙なハガキ

それを模倣するように、『SILENT HILL: Townfall』でも探索エリアで「奇妙なハガキ」という名のコレクションアイテムが隠されているのです。


本作は、新たに進化した部分と、これまでの『SILENT HILL』シリーズの「遺伝子(DNA)」を丁寧に拾い集めて血肉へと変えた部分とがうまく混ざり合った、歴代でもトップクラスの傑作ホラーゲームだと感じています。

根っからのSHファンはもちろん、新規プレイヤーも惹き込まれること間違いなし。ぜひ一度遊んでみてください。



『SILENT HILL: Townfall』は、PS5/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中です。

《ライター:DOOMKID,編集:みお》



ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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