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可愛いキャラクターに伏線の張り方まで―とにかくビジュアルで”魅せる”ADV、『久我山栞の死様手帳』プレイレポ

イラストの構図や色彩が物語の謎を暗示する、ビジュアルノベルならではの仕掛けが秀逸。

連載・特集 プレイレポート
可愛いキャラクターに伏線の張り方まで―とにかくビジュアルで”魅せる”ADV、『久我山栞の死様手帳』プレイレポ
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4月30日、Laplacian(ラプラシアン)から、ビジュアルノベルADV『久我山栞の死様手帖』がリリースされました。

この記事では、全エンディング回収までプレイした筆者による、本作のプレイレポートをお届けします。(記事執筆にあたって、LaplacianよりSteamキーの提供を受けています。

それでは早速……と言いたいところですが、まずは前情報を知らない方のために、本作を手がけたゲームブランド「Laplacian」について軽く説明をいたしましょう。

Laplacianと言えば、『白昼夢の青写真』や『記憶の鍵盤』といったタイトルで知られる新進気鋭のADVゲームブランドであり、さらに『白昼夢の青写真』はスニーカー文庫で書籍化、代表の緒乃ワサビ氏が著者の小説『記憶の鍵盤』が新潮社から刊行され大ヒット、後者は小説からゲーム化するなど、まさに「新時代のヒットメーカー」として今もっとも注目されているゲーム会社の一つです。

そんな今をときめくLaplacianですが、新作『久我山栞の死様手帖』は、これまで同社が手がけてきたSFや青春ドラマといった路線とは打って変わって、ジャンルはオカルト×コメディになり、同社としても新たな挑戦を行った意欲作となっています。

そしてオカルトといえば、『都市伝説解体センター』や『パラノマサイトシリーズ』などの名作ADVが近年大量に生まれている人気ジャンルのひとつ。つまり、本作は今最も勢いに乗っているメーカーが、今最も勢いに乗っているジャンルに挑戦するという、ADV・ビジュアルノベルファンとしては超が付くほどの期待作となっているのです。

そんな『久我山栞の死様手帖』、一体どんな内容になっているのか?それでは前置きもこのくらいにして、早速本作の内容について迫っていきましょう!

まず、ビジュが良い

本作の魅力の一つは、何と言ってもそのビジュアルの良さにあります。中でもまず推したいのは、作中に登場するヒロインたちのキャラクターデザイン。

タイトルにもなっている「久我山栞」ちゃんや、非常に豊満なギャル属性ヒロイン「ギャル子さん」、メガネをかけた理知的なお姉さんである「司書さん」など、どのキャラクターもとにかくメチャクチャ可愛い!

どうです、みんな可愛らしいでしょう。

本作に登場するキャラクターは、とにかくみんな顔が良い。この3人以外にも、地雷系少女や気だるげな女子高生など様々なキャラクターが登場するのですが、彼女たちも滅茶苦茶に顔が良い。はてはメインキャラクターではない脇役まで、みんなとても顔が良い。大事なことなので3回言いましたが、とにかくこのゲームに登場する人物たちはどれも素晴らしいキャラクターデザインをしているのです。

ちなみに、私の推しはこの地雷系オカルト少女こと「カシマレイコ」ちゃんです。

このキャラクターデザインだけでも本作を遊ぶ価値はある、そう言っても過言ではないでしょう。とにかく、このビジュアルの良さに少しでも惹かれたのであれば、本作は「買い」です。キャラクターデザインの好みは人によって違うでしょうが、少なくとも私にはめちゃくちゃ好みのビジュアルでした。

さらに、ビジュアルが良いのはキャラクターデザインだけではありません。本作にはアニメのようなOPムービーが付いており、これも物凄く豪華。fuki氏が唄う本作のオープニングテーマ、『レイカレイへ』に乗せて展開される外連味ある映像が、プレイヤーを物語世界へといざなってくれます。OP映像は公式サイトやSteamストアページからも確認できるので、気になる方はぜひご覧ください。

自殺しまくる幽霊と、記憶を巡る調査へ

それではここからは、本作のシナリオ部分について触れていきたいと思います。まずは本作のあらすじについて、ストアページから抜粋しつつ紹介します。

<ストーリー>

久我山栞は死しても尚、自殺を繰り返していた。
もう一度死ねば、成仏できるのではないか。
だが何度死んでみても、魂は現世にしがみついたまま。
失った記憶の中に、手がかりがあるのかもしれない。
忘れてしまった未練があるのかもしれない。
名前以外、なにも覚えていない。
自分はどういう人間なのか。
なぜ死んだのか。
意思疎通のできる唯一の生者である“あなた”と共に、栞は自らの記憶と死様を追い求める。
(公式サイトより)

上記を読んでいただければお分かりになる通り、本作は「記憶の無い幽霊」である久我山栞ちゃんと共に、彼女の死の真相を解き明かすというのが物語の本筋となっています。そうしたミステリー作品的な筋がありつつ、ところどころで幽霊を活かしたコメディ要素(あるいはオカルト要素)が絡んでいくのが本作の基本的なストーリラインと言えるでしょう。

さて、その中でも特に目を引くのは、やはり本作のメインヒロインである久我山栞の「自殺を繰り返す」という部分。記憶を失ってしまった幽霊であり、なぜか自殺衝動にかられている彼女は、自らの死に様を記録したノート「死様手帳」と共に、自殺を繰り返すことで少しずつ自らの記憶に近づいていきます。

この死に様というのが、とにかくバラエティー豊かで面白い。首吊りや飛び降り、車に轢かれたり木の枝に刺さったりと、様々な死亡シーンを見ることが出来ます。しかし、本作は美少女が痛そうに死ぬのを眺める悪趣味なゲームではありません。

というのも、久我山栞は幽霊なので痛覚が無いらしく、実際の自殺シーンはグロテスクさというよりは滑稽さが強調されて描かれているのです。笑顔で、ときにコミカルに、そして様々な方法で自殺を試みていく彼女の場面は、設定上のユニークなフックであると同時に、物語を協力に推進するエンジンとして機能しています。

もちろん、物語を盛り上げるのは自殺シーンだけではありません。先ほど紹介した「ギャル子さん」「司書さん」などの幽霊たち、地雷系少女「カシマレイコ」が語るこの街に潜む「都市伝説」のウワサ、そして5年前に起きた未解決の誘拐事件など……様々な要素が飛び出し、軽いテンションで始まった「記憶探し」は少しずつ複雑な様相を呈していきます。

自殺を繰り返しながら、そして時には他の幽霊の力を借りながら、少しずつ真相に近づいていく久我山栞と”あなた”。物語中盤からは、ここまで紹介した諸要素が一気に一つの真相へ結びつく「まさにミステリー」な展開へと移行し、プレイヤーのテンションも最高潮に高まります。

そして、最後には全プレイヤー驚愕のどんでん返しが。残念ながらその内容についてこの記事で種明かしをすることはできませんが、それについて、少しだけ思うところがあるので語らせていただきましょう。若干のネタバレを含むので、一切情報を遮断したい方はここから下の部分は飛ばしていただいて結構です。

”ビジュアルノベルだからこそ出来る”伏線の張り方について


こういったミステリー展開の作品の場合、物語中の様々な場面で伏線が張られていることがあります。登場人物たちの何気ない会話だったり、ちょっとした設定上の違和感がそのまま物語の真相に繋がっているということが非常に多い。そうした伏線を探すべく、プレイヤーは登場人物たちの会話に注意深く耳を傾けるわけです。

では、『久我山栞の死様手帖』の場合はどうでしょうか。もちろん、この作品にもそういった会話上の伏線は多数登場します。序盤で登場した脇役が実はとてつもなく重要な情報を喋っていたり、あるいは無関係な人物が共通のキーワードで繋がったりするというパターンです。

もちろんこれはこれで面白いのですが、しかし私が本作でより面白いと感じたのは、そうした会話上の伏線ではなく、もっと別の方法――伏線の張り方に”ビジュアル”を活用しているという点です。

例えば、ここまで挙げた登場人物たちのCGイラストが、妙に特定の構図に偏っていることにお気づきでしょうか。私も実際にプレイしている最中はほとんど気にすることも無かったのですが、最後の結末を知ってビックリ。なるほど、今まで何気なく眺めていたこのイラストには意味があったのか!と、思わず膝を打って感心してしまいました。

それ以外にも、特定のシーンで使われる”色”が、実は物語上の重要なヒントになっているようなパターンもあります。初見だと、勘のいい人であれば初見で伏線だと気づけるかもしれないという些細な違和感でしかないのですが、これも後から気付いて非常に納得。なんと結末に繋がる重要な情報になっているのです。

こうした視覚的表現によるメッセージ、言葉ではなく絵によって張られる伏線は、小説やサウンドノベルといった文字をメインにして進行するゲームではおよそ不可能なものでしょう。
そうした意味では、本作の伏線の張り方はビジュアルノベルだからこそ実現できたものと言えます。
Laplacian作品はそのほとんどが小説化されていますが、おそらく『久我山栞の死様手帳』は小説化されることは無いでしょう。あるいはされるにしても、かなり大胆な改変を行わなければ難しいと思われます。それほどまでに、本作のストーリーは直接ゲームプレイと結びついているのです。

”ビジュアルノベルだからこそ出来る”伏線の張り方について、とても感心させられる非常に良いゲームだと感じました。


以上、『久我山栞の死様手帳』のプレイレポートでした。キャラクターデザインから伏線の張り方まで、とにかくビジュアルの良さとその活かし方にこだわった作品となっています。

ゲームのボリューム自体は他のビジュアルノベル作品と比較してコンパクトで、物語も全体として綺麗にまとまっており、作中で提示される謎も最後には全部スパッと解決、感動的なエンディングも用意されておりスッキリとした読後感を味わえます。

誰でも気軽に楽しめる一作なので、この春遊ぶゲームに迷っている方はぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

『久我山栞の死様手帳』はPC(Steam)向けに配信中。5月14日 2時までは20%オフ 2,720円で購入できます。ニンテンドースイッチ版も7月30日に発売予定です。

現在スイッチパッケージ版の予約受付中で、各種店舗特典も用意されているため、ぜひ公式サイトをチェックしてみましょう。


久我山栞の死様手帖 - Switch
¥4,493
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:植田亮平,編集:みお

編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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