【e-Sportsの裏側】「好きは仕事にできるんだぜ!」―CROOZとRascal Jesterが生み出すe-Sportsの新たな可能性とは 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【e-Sportsの裏側】「好きは仕事にできるんだぜ!」―CROOZとRascal Jesterが生み出すe-Sportsの新たな可能性とは

第4回目は、プロチーム「CROOZ Rascal Jester」とパートナーシップを結んでいるCROOZプライスレス担当執行役員 諸戸友氏(以下 諸戸)、チームのマネジメント・運営を務める大川孝行氏(以下 大川)に日本のe-Sportsの在り方についてお話を伺ってきました。

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―――最近、選手のSNSの使い方などが問題になったりしていますしね。

大川: そうですね。また私自身の想いとして「一般企業をもっと巻き込みたい」という気持ちがあります。一般企業が参入するということは、一般企業の先にいるステークホルダーにも興味を持ってもらえる可能性が高くなる。今までですと、デバイスメーカーやPCメーカーなど各社がスポンサーをしていたりしますが、どうしてもコアゲーマーや既存ユーザー寄りになってしまいます。e-Sports全体のパイを広げるためにはこういったところにもアプローチが必要ということで、クルーズと組んでいるというところもあります。

諸戸: 大川にこのプロジェクトを任せるにあたり、唯一お願いしていたことが「気持ち良いチームを作ってくれ」という部分です。プロゲーマーとしてはもちろんそうですが、選手達が、仮に引退したあともきちんとしたビジネスマンとして通用できるスキルを身につけてほしい。「所詮ゲーマーでしょ(笑)」と言われないような人材に育てていってほしいですね。

大川: 現状、生涯年収を稼げるような職種ではなかったりするので、その部分はかなり意識をしていたりします。


―――なるほど。選手がクルーズで勤務している理由としても、やはり先ほどの部分がありますでしょうか

大川: 生涯年収の話ももちろんそうなのですが「働くメリットっていっぱいあるよね」と思っておりまして。どうしても大人が少ないジャンルであったりしますので、きちんと社会や会社に所属して「大人の世界」と接することで選手自身の成長に確実に繋がると考えています。「ゲームに携わりながら、ビジネススキルも学んでいく」これは、e-Sports界が続いていくための必須項目だと私は考えています。人材のライフサイクルをきちんと作っていく必要があり、昔プレイヤーだった選手が、次の新しい世代をきちんとマネジメントしていく。その選手たちが大人になって、というサイクルを作っていきたいです。

―――e-Sports SQUARE店長の本田氏も近しいことを言っていました。「ゲーマー(笑)」と言われるので本当に悔しいと。ここの部分は業界全体で改善していってほしいですね。

大川: バッドマナーではなく、品行方正な選手をもっともっと輩出していきたいですね。

―――「品行方正」というワードがでましたが、その部分に関して、「CROOZ Rascal Jester」はどういった対策を行っているのでしょう。

大川: 「言う」以外ないですよね。考えてだめだと分かることはやるな、と。ビジネスマナーなどは別として、考えて分からないようであれば、それはもう素養が無いということだと思います。小学生・中学生であれば「道徳」の教育をしていけば良いですが、今の選手たちは10代後半もしくは20代中盤くらいの年齢です。その年齢で分からないということは、もうプロとしての素養が無い、ですね。

とはいえ、「我」が無くなるとダメですね。少し尖ったところが合ったほうがやはり選手としては輝きやすいかと。そのバランスを取るのは結構難しい。

―――最近のチームの調子はどうでしょう。

大川: 良くないですね。結果は出ていないです。さきほど説明させて頂いた「働きながら、練習をする」という部分も少し見直す必要があるかと考え始めていたりします。

このやり方が間違っている、というわけではなく、PDCA(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善))を繰り返すことによってチームも強くなると考えていますので、半年間この形でやってきましたが、見直す時期にきたのかなぁとは思いますね。「ビジネスを教える」ということであれば、他に方法があるかもしれない、実際に働く必要は無いかもしれない……。いろいろ考えている最中です。

―――ありがとうございます。現状「CROOZ Rascal Jester」は、『LoL(League of Legends)』のみをプレイしているかと思いますが、その他タイトルを取り扱う可能性はありますか

大川: ちょうど今、いろいろ考えているところです。なかなか決まらないのですが……。しかしながら夢があるのはValve、Blizzard、Riot Games各社のタイトルですかね。世界につながっていて、賞金額もすごいですし。他タイトルに参入となると、今の選手がゼロからプレイし直す、というよりは他のチームをRascalに招く形になると思います。まだ分かりませんが。


―――日本のe-Sportsの未来について。個人的にはコアゲーマーに寄りすぎていて、ライト・ミドルユーザーひいては一般層が非常に入りにくいのが現状だと考えています。その点についてはどうお考えでしょうか

諸戸: その点については大川と見解が違ってくるのですが、私も同じ感覚を持っていて「コアすぎるな」と。私自身ゲームを毎日プレイするわけではないですが、決して嫌いなわけではありません。かといってe-Sportsが盛り上がっているからといって、そっちに無理に入り込もうとも思いにくい。今のゲームは難しすぎて、ハードルが高いと考えています。

もっとハードルを下げてライト・ミドルユーザーも入ってきやすい環境を作っていく必要があると思います。当然そのためには、コアユーザーが盛り上がってくれるのが大事で、コアゲーマーが輝いてそれにファンがついていく。

そういった動きももちろん必要なのですが、私としてはその部分ではなくもっとライト層に刺さるような仕掛けを提供していきたいです。先日の「e-Sports甲子園」もそうで、若年層、極論中学生や小学生も巻き込んでいきたいですね。プロゲーマーのプレイを見て、自身もプレイをはじめたユーザーが表現をできる場を提供していきたい。それが「動画」なのかこういった甲子園のようなイベントなのか分かりませんが、そういった場を準備していけばもっと活性化していくと考えています。Jリーグだって、J1だけで作ったものでなくJ2,J3の盛り上がりがあって今のJリーグだと思いますので、そういった盛り上がりの波及や裾野を広げていけるような取り組みをしていく必要があると思います。

―――極論ですが、スマホのタイトルでもe-Sportsに参入できるかと思うのですが、クルーズとしてe-Sportsに参入していこうという戦略はありますか

諸戸: 私自身も「有り」だとは考えていますが、「今はまだ早いな」という結論に今は至っています。スマホタイトルが『LoL』くらいまで白熱できるタイトルになっているかと言うと、まだそこまではいけていないと感じてますし、そもそもPCオンラインとスマホゲームではやる目的も環境もまったく異なるので、まずは競技として成り立っている『LoL』やその他タイトルの裾野を広げることが重要だと。

クルーズとしても今はとにかくスマホユーザーにもっと満足してもらえるようなゲーム性やUI/UXのブラッシュアップをしており、その部分では他社にも負けないクオリティだと思っていますし、ゆくゆくはオンラインゲームと同じような水準までゲームのクオリティを上げて、いつか参入できればとは思いますね。

―――大川さんはいかがでしょう。



大川: 現状、新規のファンが増えてきている、という感じはしないですね。もともとそのゲームが好きで、そういったファンの方々が起き始めているフェーズです。商店街を歩いているおばちゃんが「今日、SKテレコムとKT(両社ともに韓国の携帯電話事業者。e-Sportsチームを運営)の試合があるのよ!見ないとね!」とはならないですよね。サッカーや野球はそういったところまでいっていますよね。サッカーやっていない人たちまでが盛り上がってしまうわけですし。それと比べると当たり前ですが、まだまだ道のりは長いです。

『LoL』をプレイしているユーザー全員がLJL(LEAGUE OF LEGENDS JAPAN LEAGUE)を見ているかというと、見てなくて、そもそもそこを拾いきれていないよね、という話かと。

スマホでどうか、という話ですが、私自身はメーカー側が大会を開催すればe-Sportsになり得るかとは思います。ここ数年スマホゲームでも大きなイベントが開かれていて、「あー、これってe-Sportsだよなぁ」と私は感じましたね。なぜメーカーがというと、イベントってスポンサー探しとかかなり大変でして。そこはハードルであったりしますね。先ほどのタイトルもそうですし、『LoL』『StarCraft』もモンスタータイトル。世界標準のゲームタイトルになっていないと、厳しい部分は正直あるかと思います。

一方で秋葉原のベルサールとかはで毎週のようにゲームのイベントをやっていますよね。本当に様々なゲームタイトルでイベントが開かれています。ただ、それが横に伝播していないですよね。それは非常にもったいないなぁと。

―――どうすればいいですかね

大川: とにかく盛り上がっているところをもっともっと見せていきましょう、と声を大にして言いたいです。究極に言えば、ゲーム画面は見せなくてもいいと思うんです。盛り上がっているファンや周りの様子を15秒なり30秒なりでいいのでうまく伝えて「楽しそう!」「良くわからないけど自分も混じりたい!」と感じさせることが必要だと思います。

―――「大人が本気でゲームに取り組んでいる姿」をもっと見せていきたいですね。お酒飲みながらプレイしている様子とか、カオスになりそうですが面白そうです。

大川: 深夜番組みたいな放送でもやりますか

(一同笑)

―――最後に、意気込みをお願い致します。

諸戸: 力の続く限り、e-sports発展に関わっていきたいですし、CROOZ Rascal Jesterのしえんも継続していきたいです。勝利することはもちろんそうなのですが、勝てないなりにもいろいろなことがあると思います。初心者にゲームプレイを教えてあげたり、ファンとのコミュニケーションをもっと増やしていったり…などいろいろ有りますよね。プロとして彼らが輝けるよう、これからも援護をしていくつもりです

―――「勝つ」のはもちろんそうですが、ファンとの交流強化などもプロとして大切ですからね。逆にファンのみんなからの声援がモチベーションになることもあるでしょうし。

大川: そうですね。ただ私としては「勝利」することは大前提としてもちろんあって、そこに向かって走って行きたいです。現状、結果がなかなか振るわなかったりするのですが、チームとしては確実に前進・成長はしています。この調子で、大会できちんと結果を出していけるように精進していきたいです。


「好きは仕事にできるんだぜ!」。インタビューの最中に諸戸氏が何度も発していた言葉です。「一つのことに熱中できるのはすごい才能で「ゲームが得意」ということは、スポーツや特技と一緒。その人の長所になり得る。クルーズとしては、そういった人達が弊社はもちろんゲーム業界に携わっていくことで、全体の底上げになると信じている」とその熱い想いを何度も漏らしていました。

働きながらプロゲーマーとして活動をしている「CROOZ Rascal Jester」のメンバー達を全力で支援している諸戸氏、大川氏。一般企業とプロチームが見出すe-Sportsの可能性に今後も注目をしていきたいところです。
《森元行》
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