【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る 3ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る

8月25日、Blizzardのデジタルカードゲーム『Hearthstone』に拡張セット「The Grand Tournament」が登場し、新カードが132枚追加されました。国内トップの3人が新要素の感想や最強のデッキとその対策、そして今週に控える世界大会日本予選への意気込みなどを語ります。

連載・特集 特集
【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
  • 【特集】『Hearthstone』座談会―新拡張「The Grand Tournament」を日本のトップ選手3人が語る
■ドルイドやウォーロックも強さは健在

――さて、シークレットパラディンで30分以上も話し込んでしまいましたが(笑)、そろそろ別の話に移りたいと思います。現在、皆さんはどんなデッキを試していますか?

civila: 昔の形にFlash Healを入れたり、Confuseで反転させてバーストダメージを出してみたり、プリースト関連でいろいろ試してるんですけどうまくいってないですね。どのタイプでもパトロンウォリアーに弱くて。TGTの新デッキを試す流れも落ち着いてきたのか、ランクドには以前のデッキも増えてきましたね。

――Confuseといえば、海外プレイヤーが6ターンでHandlockを倒す動画をYoutubeにアップロードしていましたね。


Confuse Priestの対戦動画

civila: 夢はありますが、さすがに遅いかなと思います(笑)。

――koronekoさんのほうは?

koroneko: 僕は一番最初にドルイドを研究してました。次にハンターを始めて、その研究が終わりかけ、っていう感じですね。

ドルイドは2マナ2/3でマナクリスタルを増やす「Darnassus Aspirant」が強いですね。最初はWild Growthを抜いて2コンボのデッキを試していたんですが、マナ加速できないと弱くて。結局、Innervateと合わせてマナ加速のカードが6枚になりました。

Darnassus Aspirantの何が強いかっていうと、今まで不利だったミッドレンジハンターやテンポメイジに刺さることなんですよ。

たとえばミッドレンジハンターだったらWrath使わなくてもKnife Jugglerを倒せたり、Freezing Trapを解除できたりします。手札に戻されてもマナ加速効果はそのまま残るので、それだけで大きなアドバンテージになるんですよね。テンポメイジには「Mirror Entityでコピーさせて倒すことで相手のマナクリスタルを壊せる」のが強かったです。


koroneko選手のドルイドとハンター
――Darnassus Aspirantのおかげで色々と動きやすくなったわけですか。

koroneko: アグロ相手に安定するようになりましたね。コンボドルイドはかなり強くなりました。僕の予想では、常にトップクラスに居続けるデッキになると思います。

――シークレットパラディンとの相性については?

koroneko: 戦えないこともないという感じです。ただ、シークレットパラディンはトーントが少ないのでコンボを決めやすいですね。結局は「マナ加速できるか否か」にかかっていると思います。「引きが良ければ圧倒的な威力を発揮する」というドルイドの特性が、さらに強まった印象です。

――研究中のハンターについては?

koroneko: 注目のカードは5マナ3/3のRam Ranglerです。ビーストがいるときに出すとランダムでビーストを召喚してくれるんですが、確率的には「1/3で当たりのビースト出る」んですよね。けっこう運要素はありますけど、良いビーストを引いたときはほぼ負けないです。

今日大会で相手がミッドレンジハンターを使ってきたんですが、Ram RanglerからKing Krushが相手に飛び出してきて……(笑)。「これは無理だ」って思いました(笑)。

――これからもいろいろとドラマが生まれそうですね(笑)。cross7224さんのほうはいかがですか?

cross7224: シークレットパラディンと戦えるデッキがどれぐらいあるかな、と思って試しているんですけど、なかなか見つからないですね。今のところ可能性を感じるのはウォーロックです。Hellfireなど全体除去が強いですし、Twilight Drakeといった大きなミニオンも、サイレンスが入っていないシークレットパラディンには有効だと思います。

――ミラクルローグやパトロンウォリアーの時代もそうですけど、ウォーロック(ハンドロック)は割と「環境トップのデッキと戦える」位置にいますよね。それと同じように、ハンドロックはシークレットパラディンにも強いのでしょうか。

cross7224: 基本的に、環境のトップに行くデッキってBig Game Hunterやサイレンスなどの対策カードが入っていないんですよ。ミラクルローグもパトロンウォリアーもシークレットパラディンもそうなんですけど、「自分のやりたいことに特化しているデッキ」なので対策カードを入れるスペースがないんです。

それでハンドロックはそういった対策カードを入れていない相手にものすごく強いから、環境トップのデッキにも強いことが多いんですよね。

――なるほど。

koroneko: 海外掲示板に「新しいカードが出ても強いデッキは何か」という話があったんですが、3つ挙げられていたうちの1つがハンドロック、もう1つがフリーズメイジでしたね。

cross7224: フリーズメイジも同じですね。いろいろと特殊なので、対策カードを入れていないと厳しいデッキです。

civila: TGTになって厄介なデスラトルのミニオンが減ったので、フリーズメイジやウォーロックの全体除去がよく刺さるようになりましたね。

 ウォーロックはやることが昔とあまり変わらないので今は人気ないですけど、落ち着いてきたらハンドロックにしろズーにしろ、ウォーロックの使用率が増えてくるんじゃないかと思います。

koroneko: 今日の大会ではベスト4まで行ったんですが、一番最後の試合以外相手全員にズーが入ってました(笑)。1回戦から4回戦まで全部ズー(笑)。実は今の流行なのかもしれません。

■現環境最弱のクラス?

――ウォーロックも強さは健在ということですね。ちなみにローグやシャーマンの声をあまり聞きませんが……この2つのクラスはどうなんでしょう?

civila: シャーマン……。

koroneko: シャーマン…………。

cross7224: シャーマン………………。

――その、「シャーマン(笑)」みたいなのはやめませんか(笑)。

koroneko: 個人的には嫌な思い出がありますね(笑)。TGTが出たばかりの頃、知り合いに「シャーマンすげー強い!」って言っちゃったんですよ。そしたら知り合いが専用レジェンダリーの「Al'Akil the Windlord」を持ってなかったから作ってしまったんです。で、その翌日ぐらいに自分「シャーマンすげー弱い」って言い直しちゃって……(笑)。

さすがにかわいそうだと思ったので、その夜ずっと試行錯誤して、トーテムシャーマンなどのデッキを作りまくったんです。

ランク1000位から2000~3000位に落ちて、ものすごく苦労したんですけど……それで出た結論が「シャーマン無理」(笑)。

一同: (笑)

koroneko: 僕はもうシャーマン使わないです(笑)。

――手札とデッキのミニオンをまとめて強化する「The Mistcaller」などは出てきましたけど、やはり弱いですか。

civila: メックシャーマンのようなアグロは出てきそうですけどね。


――ローグのほうは?

civila: 今のところデッキがオイルローグしかないですけど、ちょっと序盤のヘルスが持たないというか、除去が追いつかないんですよね。でもステータスの高いミニオンが揃っているので、研究されたテンポローグが出てきたら強いのかな、っていう気はします。

cross7224: シャーマンよりは可能性がありそうですね。

civila: ローグは出てくるとしたら今までにないデッキになるので、その意味では面白そうですね。

――気になるカードなどは?

koroneko: 相手クラスのカードをランダムで手札に加える「Burgle」などは面白そうでしたけどね。一回試してみたんですけど弱かったです(笑)。

cross7224: Burgle自体は3マナ2ドローで、プリーストの「Thoughtsteal」とほぼ同じなんですけど、コントロール向きなんですよね。それで今ローグのコントロールが強いかっていうと、あんまり強くない。カード自体は弱くないんですけど、このカードを入れるデッキが弱い、という感じですね。

――Burgle、あるいはNerubianを相手のデッキに埋め込む「Beneath the Grounds」などコントロール向きのカードを入れたデッキは現れそうにないですか。

cross7224: ローグってどうしてもヘルスが持たないクラスなんですよ。だからコントロールを組むのはちょっと難しいんですよね。


■バランスがよく、デッキ調整し甲斐のあるセット

――現状を一新するデッキが現れるかどうか、要注目ですね。それでは以前の「Blackrock Mountain」や「Goblins vs Gnomes」に比べ、TGTのゲームデザインはいかがでしたか?

civila: アドベンチャーと違ってカード枚数が多かったので「環境が変わった」部分が多くて面白ったですね。今はシークレットパラディンが暴れてますけど、これからいろいろなデッキが出てくるんじゃないかと思います。ゲームデザイン的にはとても好きです。

koroneko: 先ほども言ったように、インスパイアとジャウストは好きなアビリティですね。Frost Giantなどヒーローパワーに関連するカードも多いので、これから面白いデッキが登場するのを期待しています。

あとはDr.Boomみたいな「ほぼ全デッキに入る超強力なカード」がないのもバランスが良いかなと思います。Mysterious Challengerはたしかに強いですけど、パラディン専用ですから。

cross7224: 全体的にインスパイアなど新カードの強さが控えめに調整されているので地味な印象はあります。でも逆に「もしかしたら強いんじゃないか」というカードはとても多いですね。「デッキの細かい幅を広げる」にはとても良いセットだな、と思います。

■日本代表決定戦に向けて

――さて、9月12、13日(土日)にはe-sports SQUARE AKIHABARAで世界大会の日本代表決定戦(※)が開催されます。準備の程はいかがでしょうか?



Hearthstoneの世界大会「World Championship」

civila: 日程を見るとあっという間ですね。あと1週間もないじゃないですか。デッキが何も決まってないので……どうしよう、という感じです。

――シークレットパラディンは全員使うでしょうけれども。

civila: いや、絶対使わない人もいると思いますよ(笑)。

――ハンドロックとか、フリーズメイジとか……。

koroneko: 実はシークレットパラディンを作ったcross7224さんが別のパラディンとか(笑)。

――これも情報戦でしょうか(笑)。それでは皆さん、最後に大会への意気込みを教えていただけますか?

koroneko: 僕は……日本代表はあまり見てないですね。世界で1位になりたいと思っていて、その通路の1つが日本代表決定戦という感じでしょうか。

civila: 賞金がほしいですね(笑)。だって、日本代表になれば次のアジア太平洋予選での賞金1250ドル(約15万円)が確定なんですよ。そこで勝てば倍々で増えていくので……ボーナスゲーム突入という感じじゃないですか(笑)。そのためには代表にならなければいけないので、何よりもまず「目先の1勝」を目指します(笑)。

世界大会地域予選の賞金額

――この質問って意外と人の個性が出ますね(笑)。

civila: いや、やっぱりお金はほしいですよ(笑)。

cross7224: 僕の場合は、ゆったり普段通り、という感じです。気合を入れて勝てるゲームじゃないですからね。というのも、不利な状況ほどプレイングが要求されると思うんですが、気合を入れて臨んだ試合で負けそうになると、なんか、集中力が落ちちゃうんですよ。

だから気楽に行って、不利な状況でも「しょうがないな」と思いながら冷静に対戦したほうがいいと思うんです。将来への方針も同じですね。プロ選手になれればいいな、とは思いますが、koronekoさんほどの行動力はありません。僕はこれからもマイペースでやっていきたいと思います。

――本日は皆さんどうもありがとうございました。日本代表決定戦でのご活躍をお祈りしています!

■選手関連リンク

《nemuke》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top