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【特集】カードで世界に挑む東大生―『Hearthstone』日本代表Kno選手インタビュー

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【特集】カードで世界に挑む東大生―『Hearthstone』日本代表Kno選手インタビュー
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9月12~13日、秋葉原で『Hearthstone』世界大会の日本代表を決める戦い「Japan Sub-Regional Tournament Final」が開催されました。国内の強豪をなぎ倒し、日本代表の座を手にしたのは千葉県在住21歳のKno選手です。東京大学の4年生で、マテリアル工学科に所属しています。

これまで大会での活躍は少なかったものの、Kno選手はほぼ毎シーズンでアメリカサーバーのトップ10に入る活躍を見せており、国内プレイヤーの間では密かに「世界を獲れる実力の持ち主」と囁かれていました。


日本代表として10月1~3日(木金土)に台湾・台北で行われる『Hearthstone』アジア太平洋予選「Asia-Pacific Championship」に出場するKno選手。日本予選の感想や勝つための心構え、世界大会への意気込みを訊きました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――優勝おめでとうございます。日本代表となった実感はありますか?

Kno選手: ありがとうございます。まだ大きな実感はありません。家族やクラスメイトも「ふーん」という感じでしたし(笑)。でも観戦していたプレイヤーの皆さんに「ミスが無かった」と言ってもらえたのは良かったですね。

――東大生のトッププレイヤーは珍しいですが、入試もゲームに近いものなんでしょうか。

Kno: そうかもしれません。入試では「答えがある問題を解けばいい」だけなので、ゲームと同じくやり込み量で何とかなるんです。一方、私のマテリアル工学科などで行っている研究だとまた違いますね。

――『Hearthstone』を始めるまでのゲーム暦を教えてください。

Kno: 小学生の頃は『ポケモン』など携帯ゲーム機の有名なものをやっていました。『ポケモン』は今でも好きで、最新作が出ればとりあえず買っています。PCゲームでは中学生の頃に『東方Project』シリーズのシューティングゲームを始め、それからRTSの『Age of Empires III: アジアの覇王』、MOBAの『League of Legends』をプレイし、2014年9月頃に友だちに薦められて『Hearthstone』を始めました。ほかのTCGをプレイしていたことはありません。

――ジャンルに関係なく、幅広いゲームをプレイされているんですね。

Kno: そうですね。ただ、広く浅くというよりはその都度1つのゲームに集中して取り組んでいます。

――ご家族からゲームについて何か言われることは?

Kno: 特にありません。というより、母親が今『ドラゴンクエストX』をオンラインでやってますからね……。ある意味ゲーム家族と言えるかもしれません。

――良いご家族ですね(笑)。『Hearthstone』の対戦に打ち込むようになったのは?

Kno: 特に興味を持つようになったのは2014年11月の「Dreamhack Winter 2014」でKolento対StrifeCroの試合を観たのがきっかけです。ウォリアー対メイジの試合だったんですが、どちらも相手のカードを警戒して一歩も動かない、という展開でした。非常に高いレベルで戦っているように見えましたね。「このゲーム深いなあ」と思って対戦に打ち込むようになりました。


――毎日どのぐらい『Hearthstone』をやっていますか?

Kno: 基本的にはその日のモチベーション次第です。18時間ぐらいずっとやり続ける日もあれば、まったくやらない日もあります。日本予選前だと観戦等の時間も含め、1日10時間ぐらいでした。

――『Hearthstone』の上達には何が大切でしょうか。

Kno: 「数をこなす」「上手い人のプレイを見る」「上手い人に教えてもらう」といったところでしょうか。英語がわかる人なら海外で有名なStrifeCro選手の解説配信などを観ると良いと思います。私の場合は特に教えてくれる人はいなかったので、ひたすら数をこなしているうちに上手くなった印象ですね。スマートな人なら観戦したり教えてもらうだけで強くなれるかもしれません。

――では、Kno選手が特に好きな選手はいますか?

Kno: Kolento選手です。理由は最強だから(笑)。プレイングが一番上手い選手ではないでしょうか。私はどちらかというとデッキ構築よりもプレイングが上手い選手が好きですね。たとえば昨年世界大会王者のFirebat選手は「大会で使う3デッキの選択」という点で非常に上手い選手なのですが、プレイングそのものはKolento選手のほうが上手いと思っています。

――日本予選について伺います。勝ち抜いた印象は?

Kno: どちらかというと選手の皆さんに「変なミスが多かった」という印象です。たとえばKoroneko選手が処理順を間違えて相手のミニオンを破壊できなくなってしまったり、lynx選手が2ターン目にコインを使い、出せるはずのない4マナのミニオンを出そうとしたり……。普段なら絶対にこんなミスはしないレベルのプレイヤーなので、日本予選や放送試合というプレッシャーがあったように思いました。

――決勝戦は「最後の最後にキーカードを引き当てる」という劇的な勝利でした。

Kno: 総じて運もよかったですね。ただ、あれも相手が盤面のミニオンを処理していればこちらに勝ち筋は無かったんですよ。相手のミスとドロー運に救われた印象でした。


決勝戦でキーカード「Savage Roar」を引き、勝利が決まった瞬間(大会配信録画より)

――逆にKno選手は終始落ち着いているように見えました。

Kno: え、どこがですか(笑)。

――試合前後の受け答えなどですね。たとえば「私のテンポメイジとミッドレンジパラディンは世界一レベルです」といった発言を堂々としていました。

Kno: あれは「配信なのでこういうことを言えば観てる人は楽しいかな」と思って言っただけですよ(笑)。会場では緊張しまくってました。自分が配信される試合の直前なんか、「出たくないなあ、出たくないなあ」とつぶやいてましたから(笑)。私はどちらかというとメンタルが弱いほうだと思っています。なので適当さを心がけるというか、なるべく責任を負わないように立ち回ってます(笑)。

――なるほど(笑)。「ミッドレンジパラディン、テンポメイジ、コンボドルイド」という日本予選での使用デッキはどんな理由から選択したのですか?

Kno: どれも扱いに慣れていて、かつ極端に苦手なマッチアップが存在しないデッキを選びました。ミッドレンジパラディンは環境にパトロンウォリアーが減って戦いやすくなったほか、コンボドルイドは新カードの「Darnassus Aspirant」で以前苦手だったアグロ(速攻)系のデッキと戦えるようになりました。テンポメイジも新カードの「Spellslinger」が加わって強化された印象です。スペルシナジーを有効活用できるほか、3/3/4というサイズが良いですね。


――現環境で最強と称されるシークレットパラディンを使わなかったのは?

Kno: シークレットをゲーム後半に引いてしまい、イラッとする光景が目に浮かんだので……。パラディン対決ならミッドレンジパラディンのほうが強い、というのもあります。

――ところで、『Hearthstone』で強いプレイヤーはどこが違うのでしょうか?

Kno: 誰かが以前「強い人とそうでない人の違いは、ゲームプランを持っているかどうかだ」と言っていたことがあります。「1つの盤面を見ての最善手」は誰でも考えられるのですが、終始「この方法で勝つ」というプランを持って戦える人はなかなかいません。違いはそこでしょう。

――具体例としては?

Kno: 日本予選だとheidrun選手のフリーズメイジ対Zarathustra選手のパトロンウォリアーの試合ですね。Zarathustra選手が最初から「ファティーグ(デッキ切れ)を狙って勝つ」というプランを貫き、デッキの最後の1枚を利用して勝利しました。あれはお見事でしたね。


Zarathustra選手が相手のヘルスを調整し、ファティーグでの勝利を決めた場面(大会配信録画より)

――確かに。

Kno: でも彼、次の試合で私と対戦するときはパトロンウォリアーを使わずにアグロデッキ×3でやってきたんですよね。「なんて奴だ」と思いながら3-2でなんとか勝利しました。日本予選で一番厳しかった試合です(笑)。

――配信の裏でそんなことが起きていたとは(笑)。ほかに試合中意識していることはありますか?

Kno: なるべく長考することです。各プレイヤーにリソースとして毎ターン75秒の時間が用意されている以上、使わないのはもったいないと思います。海外にLifecoachという選手がいて、「毎ターン時間切れの導火線(ロープ)が出るまで考えるからRopecoach(ロープコーチ)」とコミュニティに揶揄されていますが、彼のやっていることは正しいですね。

――日本予選決勝戦の試合でも、Kno選手は1ターン目に出せるカードが手札にないのにしばらく考えてからターンを終了していました。

Kno選手: あのときは「このマッチアップではどんな展開があるか」「相手にはどんな手札の可能性があるか」といったことを考えていました。「1ターン目に出せるカードを持っているんだよ」というブラフ(はったり)も少しありますが。

――長考して逆に疲れてしまう、ということはありませんか?

Kno選手: 私の場合はないですね。使っているデッキが比較的簡単だから、というのもあるかもしれませんが……。試合中は「ムダなことを考えない」ということも大事だと思います。Lifecoach選手は以前配信で「テンポメイジ相手にMind Control Tech(※相手の場に4体のミニオンがいないと効果を発揮しないミニオン)を使える状況はあるか」といったことを考えていましたが、可能性が低くてまず起こり得ないのであまり意味がないと思います。

基本的には「勝率を上げるにはどうするか」を考えて行動し、結果として低い可能性にぶち当たって負けてしまっても「それはあきらめる」。このゲームでは思い切りの良さも必要ではないでしょうか。

――日本予選に向けてはどのように準備していたのでしょうか。

Kno: 自分で特別なことはしていませんが、予選の区分が異なるプレイヤーに頼まれて練習に付き合うことはありました。アメリカやANZ(オーストラリア・ニュージランド)、SEA(東南アジア)地区の予選を目指すプレイヤーとかですね。そのうちの1人、ANZ代表のDeckizzとはアジア太平洋予選で会うことになりましたが(笑)。


日本予選が開催された「e-sports SQUARE AKIHABARA」にて

――それでは10月1~3日(木金土)のアジア太平洋予選について伺います。海外での試合となりますが、気がかりな点はありませんか?

Kno: 「食べ物が合うかどうか」と「ほかのプレイヤーと会話できるかどうか」が気がかりですね。食べ物の好みが割と激しいのと、英語も本当に必要最小限しか話せないので……。通訳できるスタッフの方がいれば頼りにしたいと思います(笑)。海外は初めてですが、飛行機には乗ったことがありますし、おそらく大丈夫でしょう。

――出場者の中で気になっている選手はいますか?

Kno: 韓国の選手は台湾よりもミスが少なくて強い印象です。特に昨年世界大会でベスト4を獲得したKranich選手はしっかり勝ち上がってきましたから。もっとも警戒したところでどうにかなる問題ではないので、警戒しすぎて自分の調子を崩すことがないようにしたいですね。

――試合に臨む意気込みを聞かせてください。

Kno: やはりアジア太平洋予選を勝ち抜いて、アメリカ・アナハイムのBlizzConで開催される世界大会に行けるように、といったところでしょうか。アジア太平洋予選の8人中4人が進めるので、その可能性は低くないはずです。もっとも「半分のプレイヤーが落ちる」ということですので、まあ、何とも言えませんが。

運が大きく絡むゲームですし、日本代表としてプレッシャーを感じると逆に疲れてしまうので、自分のペースで臨みたいと思います。

――本日はどうもありがとうございました。大会での活躍を期待しています。
《nemuke》

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