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【GDC 2016】「VRは生活の一部になる」―PS VRのキーマン吉田修平を直撃

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【GDC 2016】「VRは生活の一部になる」―PS VRのキーマン吉田修平を直撃
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米サンフランシスコで開催中のGDCで最大級の注目を集めているPlayStation VR。本体価格や発売時期発表の興奮冷めやらぬ中、GDCのSCEAブースにてSCEワールドワイド・スタジオのプレジデント吉田修平氏に現地インタビューを行い、PS VRについて詳しく話を聞いてきました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――まず、PS VRの価格について。約45000円と発表されましたが、なぜその価格なったのでしょうか。

吉田修平氏(以下吉田):我々は価格ありきで開発してきたわけではないんですね。やはり、コンシューマーVRというものが立ち上がる一番大事な時で、我々はそこで最先端で取り組んでいる会社の一つとして、やっぱりVRってこんなに楽しいんだって気持ちよく使ってもらえるシステムを作らなければいけない。その自分たちに対して技術的なことで、これはクリアしなければいけないというマイルストーンをたくさん持っていて、それを実現するというのが一番大事だったんですね。それができるまでは出さない、という。今年まで待ったのは、120HzのOLEDとか、世の中にないような技術を真っ先に使って、こんなにいい体験ができる、というのが先にあって、それができたら可能な限りお買い求めいただきやすい価格で提供すると。その時の目標価格というのは、コンソールの導入価格だったわけです。ですから、ドルでいえば399ドルというところできっちり収められたという意味では我々は非常に満足していますね。ただ、日本の価格に関しては、その時期の事情もありまして違うものになってしまったのですが、レンジとしては我々の想定価格に収められたと思います。

――以前、PS VRの発売時期は2016年の上半期となっていましたが、10月の発売となった理由はなんでしょう。

吉田:ハードの開発自体は予定通りに進んできて開発も完了しているのですが、我々がいろんなところで展示する中で、すごく反響が良くて期待感も非常に上がってきて、それを我々の各地域のビジネスの担当者とかと話していたところ、発売日にこれだけの数が欲しいみたいな。そういうのを考えていくと、製造するのにもうちょっと期間を持ったほうがいいというので、製造の期間を長くとっているというのが1つですね。あと、最初から快適なVRの体験を届けるというところで、ハードのほうは我々はできたと思いますけども、その上でゲームとかアプリをちゃんと実現しなければいけないので、時間があるということは、その最後のすごく大事な調整期間やポリッシュの時間が稼げるという。それはソフトの開発チームにもいいことなので、基本的にはその2つの理由で10月に遅らせました。あともう1つ、遅らせて良かったと我々が思っているのは、体験してもらって初めてその良さがわかりますので、日本の「Game On」に出したりとか、水口さん(『Rez Infinite』のクリエイター)が出されているアートの六本木のイベントに出したりしてますけども、ああいった形でいろんなところでPS VRを体験していただく機会というのを長い間夏を通じてやっていけることも良いことだと思っています。

――それはグローバルな規模でツアーを行うということでしょうか。

吉田:そうですね。例えば、アメリカとかヨーロッパですとでっかいトラックにバーンと積んで、モールに着けてとか、或いは大きなベースがあるお店であれば、そういうところと組んでVRを楽しめるスペースをちゃんと作っていただいたりとか、或いはイベントをいろんな場所でやったりだとか、そういったことを考えています。

――日本でそういったイベントを行う場合、大都市だけでなく地方都市でも開催されるのでしょうか。

吉田:やりたいですね。TGSとか、そのあとの「PlayStation LIVE Circuit」というイベントを大阪や福岡、札幌で開催したのですが、一昨年、VRをもっていかなかったら地方の方に怒られて(笑)。「なんでないんやー!」って大阪の方に言われて。なので去年は持っていたんですね。それですごく喜んで頂けて。九州のユーザーさんも体験できましたという声もあったのですが、それでも抽選になってしまって。やっぱり列が長くてみんなは体験できなかった状況とか、それはすごく感じてますね。東京だけとか、関東だけとかならないようにSCEジャパンアジアの方で考えていくと思います。

――3000万台というPlayStation 4の市場があるわけですが、具体的にそこからどれだけのユーザーがPS VRを買うというのは読みにくいでのでしょうか。

吉田:読みにくいですね。

――ヨーロッパではすでに予約が始まっているわけですが、この早くからの予約はどれくらい売れるかを予想するための期間ということなのでしょうか。

吉田:それはありますね。やはプリオーダーを取り始めると、反響もより正確に予想できますよね。昨日発表したのはベースユニットで、ベースパッケージは世界共通になります。PS 4でもVitaでもそうなのですが、国によってPS Moveやカメラなどが追加されたプレミアムパックをそれぞれの地域で検討することになっています。そういうものを含めて、各地域ごとに予約を始めて、バンドルがあれば「バンドルというオプションもありますよ」という案内を差し上げることができるようになると思います。日本は予約はいつから始まるかはまだわからないです。

――日本の発売時期も10月で確定ですか?

吉田:10月に遅らせた理由はできるだけ多くの地域でほぼ同時に出したいということなので、日本が外れることはないと思いますけど、割と小さな国や地域で一部発売が遅れたりというのはありえますので、そういうものを見極めるのも必要ですね。ヨーロッパのほうでも昨日発表しました。Day Oneで発売できる国はこれですよ、と。すべての国ではないですね、やはり。PS4でも、アジアでは国によって発売日が違ったりとかありましたので、そういうところの調整をまだこれからやっていこうと思っています。


――PS Moveやカメラの生産ラインはどうなりますか?

吉田:需要がドンと増えると思いますので、切らさないように用意しようとは思っています。今朝の記事で見たんですが、イギリスでカメラの売り上げが750%アップしたというのを見ました。それはPS4の基本パックには入ってないと分かったからではないでしょうか。ヨーロッパではプリオーダーが始まって、いざ予約するときに私はカメラを持ってないから買わなきゃ、みたいな、そういうことかなと。ただ、カメラも数は発表してないのですが、けっこう多くの方がPS4と一緒に買っていただいてます。それをもしPS VRに同梱してしまうと、オプションでならいいと思いますが、全部に入れちゃうと2個持っててもしょうがなくなってしまいます。ですからできるだけ持ってる方はお安く買えるようにというのでカメラは必要だけど入れない。Moveはあればいろいろ楽しいゲームはあるけれどそれはすでに持ってる方もいらっしゃるので入れない、と。バンドルとかはあるかもしれないですが、そういう考えです。私もよくカメラとかMoveとか新しいものが出るのですかと聞かれるのですが、基本的に今出ているものでPS VRでちゃんと使えますのでそれは安心して買っていただいて大丈夫です。

――PS VRをムービーシアターとしてだけ使うということについては。

吉田:シネマティックモードがあります。200インチくらいの大きいスクリーンが真っ暗なところにポコンと浮かんでいるようになってまして、大きさは3段階に切り替えられるのですが、それでヘッドトラッキングに対応してますので、最初に場所を決めると頭を動かしてもそこに常に残るようになります。映画館で明かりを落とした状態ですね。私も映画とかPS VRで観ているのですが、集中できますよ。2時間の映画を通しで観たのですが、いかに普段、テレビのまわりにいろんなものがあって気が散っているのかよくわかります。

――シネマティックモードは3D Blu-rayには対応するのでしょうか。

吉田:3D Blu-rayはおそらくDay Oneでは2Dで表示されると思います。システムソフトの開発はずっと続きますので、将来に向けてニーズがあるのはわかってますので、3D対応も追加できるかというのは検討を続ける開発項目になっています。

――Day Oneで3D再生に対応しないというのはなぜですか。

吉田:それは単に開発項目ですね。PS4も発売当初になかった要素を発売後に追加しましたがこれも似たようなことです。


――50タイトルというラインナップについて、吉田さんはどう思われますか。

吉田:50タイトルはちょっと多すぎるかなという感じはありますね。タイトルの中には遅れたりするものもあるとは思いますが、新しいタイトルだと常に発表されてる状況ですし、これから増えることもあると思うんですよね。でも、まったくの一からの普及を考えたときに、あんまり多くのタイトルがいっぱい出てきても、一番大事なのは今この段階ですでに自社に投資していたりベンチャーキャピタルからお金をもらって投資して真っ先に取り組んでくださっているデベロッパーの方々がそれをリクープできないと、次に続かないですよね。そういった人たち全員は無理かもしれないですけども、特にクオリティの高いタイトルを最初から出されるような会社さんがちゃんとリクープして次につなげられるということができないと、VRという市場全体にとって非常によくない状況だと思うんですね。だから我々が今のPS VRとかVR全体の盛り上がりとかすごくいいと思っているのですが、一番大事なポイントというのは発売した後、半年後とか1年後とかにそうやって真っ先に取り組まれてタイトルを出されていた会社さんが、ちゃんとお金を回収できて、ちゃんと次に取り組まれていける状態になっているかというのが一番カギになると思います。たくさんPS VRを売って、インストールベースを稼がなければいけないというのは常にあるんですけども。

――現在発表されているタイトルには家族や友人とオフラインで同時に楽しめるタイトルが少なかったように見受けられるのですが、今後そういったタイトルを増やしていく計画はありますか?

吉田:家族で楽しめる『THE PLAYROOM VR』を作っているのは、こういうことができますよという他のデベロッパーさんへのアピールでもあるんです。実は『THE PLAYROOM VR』以外にも出ていて、PS VRでもデモをやっていただいた『Keep Talking and Nobody Explodes』という、ヘッドマウントディスプレイをかぶってる人だけが見える爆弾があって、それを解除するマニュアルが紙であるんですね。横にいる人がディスプレイに見えているものがわからない中で何が見えるかをマニュアルを見ながら教えてあげて、二人で協力してあげて爆発しないように時間内に解除するというゲームがあるのですが、それがめちゃくちゃ楽しいんですよ。それは紙のマニュアルででしたが、例えばPS VRでやるとすれば解体を助ける側の人はテレビに出ているマニュアルを見ながらかぶっている人に教えてあげるとか、そういう作り方もできます。あと今年の1月に発表されたゲームでOculusとHTC Vive用なのですが、『THE PLAYROOM VR』と同じような形で、「だるまさんがころんだ」に似たマルチプレイのゲームがあります。フィールドの真ん中にVR HMDをかぶっている人が立っていて、ほかのプレイヤーはモニターを見ながら2D上の映像でメタルギアのスネークみたいに箱を持ってるんですよ。箱が散らばっている中で、HMDをかぶってる人が違う方向を向いている間に歩いて、近づいて振り向かれる前に隠れるっている。それでHMD側のプレイヤーにタッチしたら勝ちみたいな、そういうマルチプレイヤーゲームは出ています。なので、そういう風な考えを持つデベロッパーさんは他にもいらっしゃいます。

――1台のPS4に2台のPS VRが接続できるようにはならないのでしょうか。

吉田:それはないです。PS4のパフォーマンスをフルにつかってますので120Hzの映像を2つに出すというのはできないですね。

――PS VRでキラータイトルというのはでると思われますか。

吉田:これはまったく新しいメディアですから、過去においてもFacebook上のゲーム市場が立ち上がった時に、やはりジンガという会社で『FarmVille』というタイトルがまったくみんな知らないところからいきなり現れましたよね。それで世界中で大ヒットして。モバイルでもやはり『アングリ―バード』とか『クラッシュオブクラン』とか、誰も知らないところからある会社がいきなりIP作って。でも、ああいう会社はいきなりああいうIPを作ったわけではないんですよね。やはり歴史があって新しいメディアに着目してずっと何作もやってたどり着いたのがそういうところなんです。ですから新しいハードが出る、新しい市場ができるとネームドのIPが大手のパブリッシャーから出るのが必要かといわれると、それはあった方がいいとは思うんですけども、やっぱりVRはまったく新しいメディアなので、そのメディアに特化して取り組んでそれをやっていく会社が何作目かにものすごいものを出してくるというというパターンは同じだと思います。


――VR向けタイトルを開発しているのはインディーが多く見られますが、それも吉田さんが仰ったことに起因していますか?

吉田:インディーが多いのはすごくいいことだと思うんですよね。やっぱり、大手さんだと今あるシリーズを何とかだとか、人がたくさんいるのである程度インストールベースがないと投資できないとかそういうのがあると思うんですけど、インディーは開発者イコール経営者だったりするので、やりたいからやる、とか、アイディアがあるからやる、とか、大手にいる人が自分がやりたいから大手を辞めて独立してやるとか。うちのスタジオでも、どうしてもVRやりたいからと独立してOculus DK1を買って、インディーとしてやっている人たちもいます。我々もPS VRをやってるんですけど、やっぱり自分の所属するスタジオは普通のPS4のゲームを作ってたりで、これはもう我慢できない、みたいな。そのほうが全然いいと思うんですよね。やっぱり、自分がやりたいからやる、会社がやれっていったからやるんじゃなくて。それで小さい規模で新しいものなので、何が楽しいのかVRは本当に作ってみないとわからない感じなんですよね。うちの『THE PLAYROOM VR』チームがそうなんですけど、たくさんプロトタイプを作って、白箱みたいな感じで作って、これはいけるというものをゲームに仕上げるという。それを大きなゲームにせずに、小さなゲームにして、早く出していって、世の中に通って、それでユーザーさんの反応とかを見た上で、また次につなげていったほうが絶対いいと思いますね。今から3年計画のゲームをVRで作っても、3年後には業界全体の知識レベルとか上がっちゃってて、今企画したものの内容の半分はダメなものなっちゃってる可能性があると思いますね。それよりは、1年とかそういうペースで少人数で、ここに特化して、ここが面白いから、という風に。『Eagle Fight』もそうですけど、フライトの機構は面白いものができたと、だからそれでゲームにまとめて出そうというアプローチは非常に正しいと思います。個人的には、『サマーレッスン』はキラータイトルになりえると思いますけどね。あれはVRに特化して考えてますよね。バンダイナムコさんの中にはいらっしゃいますけど、アプローチは本当にVRにというところから来てますよね。すでにお持ちのIPを、ではなくて。やはり、あの作り方がいいと思います

――PS VRをPCに繋げて使えるようにする予定はあるんでしょうか。

吉田:予定はないです。とにかくPS4とPS VRのタイトなインテグレーションがあるからこそ、120Hzで非常にレーテンシを落として、ソーシャルスクリーンの機能とかPS VRならではのものを作り上げてますので、それをきっちりやるだけです。すごく大変ですが。

――吉田さんは今後VRはどのように進化していくと思われますか。

吉田:生活の一部になると思いますね。いろんな局面で使われて、教育やビジネスの場で。今でも家を建てるときにレイアウトを変えたりとか、ビジュアライゼーションで見れるとか、あるいは車を買うときに実際に車に乗った感じを体験するとか、あるいは放送ですよね。アメリカでも今年大統領選があるので、ディベートなんかをパノラマビューでライブで配信したりとかスポーツの中継をやったりとかしていますけど、そういった感じで自分がそこにいる感覚、音楽のライブもそうだと思いますけども、そこに集まるソーシャルの繋がりとか、そういったところでいろんなVRを使ったサービスであるとかは広まっていて、ユーザーさんはOculusとかPS VRとかを特に買わなくてもどこかの場所に行ったら、そいうものがあって体験してよかった、みたいなことになると思っています。

――本日はありがとうございました。

※記事の内容・本文を一部修正・加筆しました。
《Daisuke Sato》

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