【TGS 2016】『Vainglory(べイングローリー)』代表者が明かした「日本愛」とモバイルe-Sportsの未来 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【TGS 2016】『Vainglory(べイングローリー)』代表者が明かした「日本愛」とモバイルe-Sportsの未来

Super Evil Megacorpが贈るモバイル向けMOBA『Vainglory(べイングローリー)』。本記事では、東京ゲームショウ 2016のビジネスデイ2日目にTwitchブースで行われたステージレポと、開発元CEO、Bo Daly氏に日本のe-Sportsの印象などを訊いたインタビューをお届けします。

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Super Evil Megacorpが贈るモバイル向けMOBA『Vainglory(べイングローリー)』。本記事では、東京ゲームショウ 2016のビジネスデイ2日目にTwitchブースで行われたステージレポと、開発元CEO、Bo Daly氏に日本のe-Sportsの印象などを訊いたインタビューをお届けします。


StanSmith氏(左)うしろシティ阿諏訪氏(右)


Bo Daly氏(左)

「重大発表&Vainglory東西対決ステージ」と題された本ステージでは、実況解説でお馴染みのStanSmith氏と、お笑いコンビうしろシティ阿諏訪氏による司会で進行しました。まず、最初にBo Daly(ボー・デイリー)氏が登壇すると、先日実装されたばかりのに大型アップデートの詳細が、Daly氏から説明されました。




今回の大型アップデートでの特徴は、新ヒーロー「バロン」や新スキンの数々、そして、スマホプレイヤー向けに施したUIの変更など。また、本アップデートにあわせて、新たなシーズンである「オータムシーズン」も同様に開幕しています。詳しくはGame*Sparkの過去記事を参照ください。


Mokson氏

その後行われたのは、日本の『Vainglory』トッププレイヤーが東西に分かれて戦うスペシャルマッチ。解説にMokson氏が加わり、今日限りの対抗戦が行われました。序盤から攻勢に出たのはTeam East。マッチが始まって間もないうちにEastがキルを量産。Team Westは終盤まで主導権を掴めず、そのまま押し負けてしまいました。


Game*Spark編集部は、ビジネスデイ2日目終了後、会場近くのホテルにてDaly氏にインタビューを敢行。『Vainglory』におけるe-Sportsの環境、日本のモバイルゲーム市場、他機種への展開などを始め、様々な事柄を訊いてきました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――日本での『Vainglory』ローンチから1年と数か月が経ちましたが、率直な感想はいかがでしょう

Bo Daly氏(以下Daly): これまでを振り返ってみて、素晴らしい旅だったと思います。特に日本ではe‐Sportsの文化があまり根付いていなかったにもかかわらず、日本のプレイヤーが『Vainglory』を好んでくださったことやe‐Sportsという文化を受け入れてくれたのは嬉しい驚きでした。実は、日本の『Vainglory』プレイヤーの7割ほどがe‐Sportsに参加する、もしくは観戦しており、半数が定期的に大会を視聴しています。

――日本のユーザー/アクティブユーザーは、世界に比べるとどれくらいになりますか

Daly: お答えできない部分もあるのですが、私たちが指標にしているのは、単純なプレイヤー数だけではなく、各プレイヤーが1日にどれくらい長くプレイしているか、という点で、日本のプレイヤーは1日に最も長くプレイしています。また、『Vainglory』を配信視聴者数や、配信者数も指標にしているので、その面では日本のコミュニティはとても本作に愛着を持っていてくれてますし、アクティブにプレイしてくださっていると思っています。

――『Vainglory』はスマホ向けのタイトルになりますが、スマホ向けのe-Sportsとコンソール/PC向けのe-Sportsの違いはありますでしょうか

Daly: モバイルの一番いいところは手の届きやすさです。e-Sportsの特徴として、敵と対決するところのほかに、味方と協力するところが魅力だと思いますが、コンソール/PCだと、実際に同じ部屋でプレイすることはモバイルに比べると難しいです。

モバイルのe-Sportsの良さというのは、まずPCの良さでもある、コアな戦略性と深いゲームプレイ、そしてコンソールの良さでもある隣り合わせで一緒にプレイできるという点、どちらの良さもモバイルにはあると思います。すぐにスマホを出して出来るということは、大会などでもプレイがしやすく、既に持っているデバイスでも出来るので、ゲームに愛着が湧きやすいのではないかと思います。

――先日スマホプレイヤー向けの操作を向上させるパッチを配信しましたが、今後もそういった施策は続けていきますか

Daly: 私たちの会社はまだ小さいのですが、おかげさまで少し規模を拡大しました。その増えたチームメンバーたちによって、いくつかの機能を開発できるようになりましたので、スマホ/タブレット両方で楽しんでいただけるような開発を続けていきますし、プレイヤーがどのデバイスを使っているか、というのももっと聞けるようになるのではないかと考えています。


――とすると、やはり他のプラットフォームに展開するという考えは無い、ということでしょうか

Daly: 私たちは(自分たちを)決してスマートフォン向けゲームの開発会社だとは思っていません。最高の技術やクリエイティビティを持っている会社だと思っていますし、例えば、これからのゲームに最適なプラットフォームがあれば、そちらも取り入れる可能性はあります。

ただ、今は最高のプラットフォームがモバイルだと信じていますし、モバイルでもまだ出来ることが多いので、当面はモバイルにフォーカスするつもりです。私たちの会社のゲームエンジンは自社開発のEvil Engineというものを使用していて、コンソール級のタイトルも作れるますが、今はモバイル向けに集中しています。

――実際にユーザーから他のプラットフォームで出してほしいという要望はありましたか

Daly: そういった要望はまれにありますし、なかにはAndroid用のエミュレーターを使ってPCでやろうとする方もいましたが、『Vainglory』はタッチで直感的に、自然に操作できるようにしており、そこに最も時間と労力をかけました。もし仮にPCや他のプラットフォームで出すとするなら、タッチほど満足できる体験でない限り、リリースしたくはありませんし、最高の体験を届けたいと思います。

興味深いと思うのは、あるジャンルが、あるプラットフォームで出来たが、(他のプラットフォームで)最も自然な形に落ち着く、ということです。例えば、FPSは当初PCのジャンルだったと思うんですが、今ではコンソールでFPSが受け入れられ、多くのプレイヤーがコンソールでFPSを遊んでいます。MOBAも同様で、当初はPCで開発されていて、当時のスマホ/タブレットにそのパワーはありませんでしたが、現在になって開発を進めていくうちにモバイルがMOBAにとって自然なことなのではないか、と思うようになりました。

――e-Sportsが日本でも定着しつつあり、コアなプレイヤーは1つのイベントとして楽しんでいますが、一方で新規ユーザーはそこを敬遠してしまうような印象があります。そういった人たちをコアユーザーにするための施策、または行ってきたことはありますでしょうか

Daly: 昨年の1年間は、コアなゲームがモバイルで成功するんだ、ということを証明する1年だったと思います。今年に入ってからは、新規プレイヤーが入ってきやすいような機能の開発に努めました。例えば、Bot戦(対CPU)を強化して、対人戦でなく、自らが打開していくさまや、アクションを楽しんでもらえる機能を追加しました。

こういったゲームは、対人戦を強調されることが多いのですが、結局は自分が上手くなりたい、昨日の自分に勝ちたい、といった欲求を満たすものだと思いますので、そういった楽しさを感じていただけるようにこれからも開発を進めていきたいです。

――RAGE(※CyberZが主催する日本のe-Sports大会)の第1弾で採用されたことを始め、日本で『Vainglory』の大会を開く意義は大いにあると思うのですが、そういったことは今後も続けていきますか

Daly: おっしゃる通りで大いにあると思います。日本はモバイルゲーム市場として世界有数で、日本のゲーマーにもこのジャンルを楽しんでもらいたいですし、これは大きな機会だと思いますので、これからも日本のパートナーとともにe-Sportsに努めていきたいです。

今後e-Sportsをどうしていくか、というのは『Vainglory』のプレイヤーに委ねていて、プレイヤーがこれからも大会を見たい、参加したいという要求があれば、それに従って動きます。多くの会社がe-Sportsをマーケティングのツールとして見ていると思うのですが、そうではなく、プレイヤーの望む場を作りたいと思っているので、決してSuper Evil Megacorpが『Vainglory』をe-Sportsにしたわけではありません。プレイヤーが『Vainglory』をe-Sportsにしてくれたのではないかと考えています。

――今の日本のモバイル向けゲームはどう映っていますか

Daly: 大変進んでいると感じています。例えば、スクウェア・エニックスさんなど、素晴らしいゲーム会社がモバイルに質の高いコンテンツを出しています。とても賢いビジネスモデルを展開されているモバイルタイトルも多いので、とてもワクワクする市場ですし、たくさんのゲームがあるため、ゲーマーの皆さんも非常に目が肥えていて、良いコンテンツを判別する力もありますから、私たちもこの市場で成功したい、プレイヤーに受け入れていただきたい、と思っています。

私たちの開発チームは皆、日本のゲームをプレイして育ってきたので、日本で『Vainglory』を展開できてワクワクしています。

――先日追加された新ヒーロー、バロンや新スキンは、最初の『Vainglory』の世界観とはちょっと違った形のものも多いですが、そういったものを選ぶ基準などはありますか

Daly: 新ヒーローやスキンのコンセプトは、アートチームに委ねていて、彼らがこれが良い、と思ったものを開発するようにしています。『Vainglory』というのは、開発当初から東洋と西洋を融合させたような世界観を持っていて、アートディレクターのカーロは、フィリピン出身でアメリカに移住したんですが、彼は色々なものにインスパイアされ、複数の文化を混ぜ合わせたようなデザインをしています。特にスキンは、自由度を持って、ファンに喜んでもらえるようなデザインを心がけています。


――MOBAというジャンルは好みが分かれるところだと思うのですが、初めて『Vainglory』を遊ぶ日本のユーザーには、どのような部分を楽しんでもらいたいでしょうか

Daly: まず1番は、コミュニティを楽しんでほしいですね。『Vainglory』を始めたときに一緒に遊んでくれた友達や、その過程で出会ったゲーム内の友達と、もっと楽しい時間を過ごすために本作を利用してもらいたいと思っています。『Vainglory』のコミュニティだったり、Super Evil MegacorpのSNSなどを通じてもっと会話してもらいたいです。

MOBAというジャンルには意地悪な人がいる、という風にも言われていますが、『Vainglory』のコミュニティは新しいプレイヤーを歓迎してくれますし、ぜひコミュニティの一員になってほしいなと思います。

――最後に、プレイ中のファンに一言お願いします

Daly: まずは、『Vainglory』の初期から私たちを信じてくれてありがとうございます。まだまだこの先に続く、長い旅の始めですし、10年20年経ってもプレイヤーの皆さまに良いコンテンツを届けようと思っています。毎月、より素晴らしいアップデートを実装していきますので、これからもプレイしていただけると嬉しいです。

――ありがとうございました。
《秋夏》
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