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【G-STAR 2017】『PUBG』開発者に訊く―ヒットの秘訣は「見る楽しみ」、今後の展開の情報も

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【G-STAR 2017】『PUBG』開発者に訊く―ヒットの秘訣は「見る楽しみ」、今後の展開の情報も
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11月16日~19日に韓国、釜山で開催されたG-STAR 2017。今年大ヒットを記録した『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)』は、ゲーム単体としては最大規模のブースを展開しているだけでなく、その他のブースの各地でも『PUBG』の戦闘の放映がされるなど、大変な盛り上がりを見せていました。


そんな中で今回は、Blueholeの子会社で『PUBG』を専門に手がけるPUBG Corp.の、CEOキム・チャンハン氏と副社長チョ・ウンヒ氏のお二方に、インタビューにお答えいただきました。

左:チョ・ウンヒ氏、右:キム・チャンハン氏

◆『PUBG』の大ヒット―その秘訣は「見る楽しさ」とタイミング


――『PUBG』の大躍進は、配信開始時にはどのくらい予想していましたか?

まったく予想していませんでした。予想というのは過去に基づくものですが、過去の作品をもとに考えると、マキシマムでも400万本ほどなのではないかと考えていました。

――『PUBG』がこれほどヒットした理由をどのようにお考えでしょうか?

基本的に、ゲームがヒットするには環境が伴わないといけないと思っています。もし2年前に『PUBG』が配信されていたら、ここまでは売れていなかったのではないでしょうか。『PUBG』のようなジャンルのゲームのニーズが高まったタイミングと環境が上手くマッチングした結果のものだと思うので、結局は運がすごく良かったのではないかと思います。

もう1つは、「見て楽しいゲーム」というのがポイントでして、モバイルが発達したことによってよりストリーミングサービスの重要度が高くなったことが影響しているのではないかと思います。ゲームを遊ぶプラットフォームとしてのモバイルもありますが、動画が近くで見やすくなる、というのがモバイルが普及してからなんじゃないかと思っていまして、動画を見る時間自体がすごく長くなったので、見て楽しいゲーム、つまり『PUBG』がより有利な状況で拡散できたのではないかと考えております。

◆PUBG Corp.設立―その目的や今後の体制とは



――先日PUBGコーポレーションという子会社を設立されましたが、その目的と狙いはどのようなものでしょうか?

親会社であるBlueholeのビジョンは「ゲームの制作のメーカー」であり、新しいゲームを作っていく、トライしていくというのが方針です。PUBGコーポレーションでは、『PUBG』に集中して、「見て楽しいゲーム」、「競技性のあるゲーム」という新しい文化を作り上げていきたいと考えています。

――開発については、Blueholeで続けていくのでしょうか?それともPUBG Corp.がすべて行っていくのでしょうか?

『PUBG』に関する全ては今後PUBGコーポレーションで行っていきます。

――各国ごとに事務所を設立するというような発表がありましたが、日本だとDMMさんがパートナーとしていらっしゃいます。どのような業務の住み分けを行っていくのでしょうか?

日本ではDMMさんの新しいユーザー層もいらっしゃいますし、既存のSteamのユーザーもいます。どのように協力していくかというのは、これからまた考えていきます。

◆e-Sportsについて―e-Sports界における新しいジャンルとしての『PUBG』



――これからPUBG Corp.でe-Sportsに取り組んでいくことになるのでしょうか?

『PUBG』のユーザーにもっと楽しんでいただきたい。その1つ目として、まずはもっと楽しくプレイしていただくことが大事です。そして次が、その楽しくプレイしているのを見る楽しみです。先程「競技性」という言葉を使用しましたが、それは「見る楽しみ」の強化につながっていくと考えてのことです。

e-Sportsに関しては、それを目的として『PUBG』が何かをするということはありません。見て楽しいゲームを我々が作ることが出来れば、e-Sportsは結果的についてくるのではないかと思います。そのため、今は全体的に「見て楽しいPUBG」を強化していくことに専念しています。

――e-Sportsにおいて、PUBGの特徴的な部分、PUBG独自の可能性を感じるような部分はありますでしょうか?

スポーツでは、バスケ、野球、ゴルフ、いろいろルールがあって楽しみ方が違うと思います。e-Sportsも同じで、ゲームのジャンルによって形がそれぞれ異なっています。

韓国で言うと、はじめに一番人気があったタイトルの『STAR CRAFT』は、1対1のルールで戦うe-Sportsでした。それでe-Sportsが1対1でしか成り立たないのではないかと思いきや、『LoL』や『CSGO』といった違ったジャンルのゲームが出てきました。

フォーマットが変わってくることによって、「既存と違って難しい」という先入観が壊れてきました。『PUBG』についても、4人スクワッド20チームが既存と違う戦い方、既存と違うゲームをするというところで、 「難しい」のではなくて、「新しい」ジャンルなんじゃないかと思います。そこで、「見る楽しみがある」というポイントを1つ申し上げますと、100人であれば100人、各自1人ずつのドラマがある、というところです。1試合に100人分のドラマがありますので、それをどういう風にうまく画面に収めていくか、という新しいe-Sportsのやり方を開拓していかなくてはならないと考えています。

――今回の大会ではソロ、デュオ、スクワッドのうちスクワッドが特に推されているようですが、ソロやデュオでの大会での見せ方などはどのようにお考えですか?

gamescom(8月にドイツで行われたゲームショウ)では、あらゆるモードの大会を試してみました。アジア圏では、FPP(一人称視点)モードは人気がないため、今回は省略しています。TwitchConの場合ですと、欧米ではデュオの20チーム40人で試合を行いました。どのようなルール、モードがよいのかは現在も実験段階にあります。今回の大会を「Invitational」、招待としているのもそのためです。

その中でスクワッドにちょっと寄っているのは、プロチームで既にチームを作ってPUBG部門を運営されているところもたくさんいらっしゃり、そういったニーズがあるためとなります。

――「見る楽しさ」に関してお話がありましたが、プロチームだけではなく、配信者やインフルエンサーの方たちに対する援助などは考えていますでしょうか?

援助に関しては、今までもしたことはありませんし、これからもすることはありません。PUBGではパートナー関係で、お互い成長するという考え方をしています。昔からパートナープログラムというものは実施していて、カスタムサーバーのゲーム部屋を建てる権限をパートナーの皆さんに付与させていただいています。カスタムサーバーの機能を拡張したりモードを増やしていくという部分では現在開発中でして、パートナープログラムを強化していく意思はあるのですが、まだそこまで具体的にはお話できません。

◆新要素の開発やゲームプレイ―ギルド的なコミュニティ強化要素の追加に意欲大



――夜のモードの話が以前にあったと思うのですが、その開発状況などはどうなっていますでしょうか?

夜のモードについては、計画には入っているのですが、技術的な問題が1点あります。夜にモードを変えたところで、結局明るさを明るくしてしまえば見えるというのが、公平性の観点から問題となっています。そこを技術的に解決し、公平なコンディションでプレイできるようになれば、いつかは実装したいと考えています。

――雨や霧といった天候はあまり人気がないという話を聞きますが、今後改善していく予定などはありますでしょうか?

雨と霧の場合、プレイ自体の難易度が少し上がりますので、勝つことを目指すプレイヤーからは人気が落ちているというのは、我々の方でも把握しています。ただ、バトルロワイヤルというものは、すごくランダムな状況で生存するというゲームです。今は雨だと抜けてしまう、というようなプレイヤーもいるかと思うのですが、ユーザーがそういう選択をしてしまうということ自体がすごく問題だと思っていますので、それをどのように止めればよいかというのは今いろいろと検討しています。

――SteamのワークショップのMODやカスタムスキンなどに対応する予定はありますでしょうか?

まだ計画はございません。

――ゲーム内でコミュニティを強化していくための、ギルドやクランといったものを拡張するような計画はありますでしょうか?

まだ具体的にそれがギルドであるのかクランであるのかといった部分は言えませんが、コミュニティ機能を拡張したいという気持ちは持っています。ただ、『PUBG』は短い期間に大きな成長があったため、コミュニティ機能の重要さはわかっていますが、優先順位的に開発が間に合っていない状態です。

――後から入ってくる初心者への方たちへの対応はどのように考えていますか?

『PUBG』は全てをマスターするにはとてもむずかしいゲームだと思います。マップも広いですし、新マップも追加しますし、銃器もこれから色々増やしていきます。すべての要素をマスターするのはとてもむずかしいゲームだと思います。それがむしろ、長くプレイしていただける強みでもあるんじゃないかなと。ただ、初心者にハードルが高いゲームなのか、というと、いろいろ意見がありまして、初心者でもとりあえずプレイできてしまう、拾って使ってみることは出来るすごくシンプルなゲーム性を持っているゲームです。「Easy to Play, Hard to Master」という言葉で整理しています。

これから初心者のために何かチュートリアルを増やしたりとか、何かゲームのコンテンツを追加するかというと、今はちょっと否定的な見解です。他人のプレイを見ることによってチュートリアルが出来てしまうゲームなので、その役割を配信が実は今、代わりにしてくれているんじゃないかと。チュートリアルや、練習できる場所があったりすると、より早くマスターできるゲームにはなるかもしれませんが、ゲームの寿命としてはよくないのではないかと思います。そのため現段階ではあまりいじりたくない部分です。

――言ってみれば、死んで覚えろってことですよね?

そのほうがお客さんも喜んでくれるのではないでしょうか。いちいち教えるより、やってみて、体験して覚えていくほうが、楽しいゲームなんじゃないかと思います。

――チーターへの対処に関しては、現在どのような状況でしょうか?

本格的な対応は2週間前くらいから実施していて、バトルAIの機能も今回アップグレードしていただいて、BANの数字も大きく上がっています。弊社のデータ分析チームも、チーターの行動パターンだったり数字の分析による対策をしています。24時間モニタリングチームを設けて、たくさんBANをさせていただいています。今すごく数字が良くなっていますので、もう少し待っていただければと思います。

――今なお新しいマップだったりモーションだったりが出てきますが、お二人の頭のなかにある構想の何パーセントくらいが表に出ているのでしょうか?

『PUBG』では、全体図を描いて動くよりも、とりあえず早く次のチャレンジをしていく、というのがモットーです。すごく短期的な計画で、トライしてみて、その結果のフィードバックによってまた次に行く、というようなやり方で開発しています。なので、全体図のようなイメージはまだありません。

今回、クライミングアクションのテストが今週始まりまして、よりバトルロワイヤルの本質に近いゲーム性に近づいてきているのではないかと思います。行けなかったルートを行けるようになったり、窓から飛び抜けられたりとか、ゲーム性が変わりますので、もっといろいろな状況が演出できるのではないかと思います。もう1点、新マップを開発中なのですが、その追加によってよりランダム性が強化されるのではないかと思いますので、さらにバトルロワイヤルの面白みが強くなっていくと考えています。

――この部分は力を入れて開発している、というような、ユーザーに注目してみてほしい追加要素などはありますでしょうか?

車両や武器の追加に関しては、できるだけ多様なもの、使い勝手の異なるものをチョイスするよう意識しています。車両も4人、5人、6人乗りと用意していますし、物理エンジンによって地形による車両の有利不利があるだけではなく、ちゃんとドライブする時にコントロールの仕方も違ったりと、多様性を追求したいと思っています。

それと今回特に注目していただきたいのはクライミングアクションで、既存のものとプレイパターンが大きく変わると思いますので、そこは皆さんに注目してもらいたいと思っています。

◆正式リリースとその後の展開―お客さんが認めてくれて、初めてそれが正式リリース



――新マップの追加は、正式リリース時を予定しているのでしょうか?それともまだリリース前に更新の予定がありますか?

内部のQAだけではすべてのポリシングが不可能ですので、1.0に入るコンテンツをそれぞれまずテストサーバーに乗せてテストして、皆さまからのフィードバックを頂いて、降ろして、というやり方でテストを行ってから正式に提供をさせていただきます。そのため提供は正式リリースにあわせてになります。

――既にサービスが行われ多くの方がプレイしている中で、一体何になったら正式版なのでしょうか?

確かに、アーリーアクセスでありながら長くサービスを続けていますし、たくさんのお客様にプレイしていただいていますので、我々としても何の意味があるのか、という疑問はあります。お客さんとの信頼関係というのが重要でして、どこまでがアーリーアクセスでどこまでが正式リリースだというよりは、お客さんが1.0を正式リリースだと認めてくださったら、それが正式リリースになるのではないかなと思います。

しかし、Steamの「アーリーアクセス」というタグが付いていますので、それを外すのに、今回新マップとクライミングアクションの追加によって、コアな部分のセットが完成したということで正式リリースとしています。それでもお客さんが、まだ1.0じゃない、完成度が足りていないとおっしゃるのだったら、それはまた1.0と言い難いことになるかもしれません。

1.0というのは終わりではなく、開発の1つのマイルストーンであり、これからもどんどんコンテンツを追加していきますので、そこまで1.0に拘る必要もないのかなと考えています。

――『PUBG』は買い切りゲームですが、どんどん要素を追加していくというオンラインゲーム的な計画ですよね。今後も正式ローンチ後のマップの追加などは、そのまま無料で行われるのでしょうか?それとも拡張パックのような形式を考えているのでしょうか?

ローンチ後の計画については正式な発表がありますので、もうしばらくお待ち下さい。

――プラットフォームはPCとXboxが現在発表されていますが、それ以外に広げていく予定はあるのでしょうか?

現状その2つのプラットフォームに集中していますが、いつかはすべてのプラットフォームに拡張して、より多くのお客さんに遊んでいただきたいと考えています。

――モバイルにも展開したいという思いがあるということですか?

モバイルも含め、可能であれば存在する全てのプラットフォームを目指していきたいと思っています。



――最後に、日本で遊んでいるプレイヤーの方に何かメッセージをいただけませんか?

業界の常識として、日本人はPvPを嫌うという偏見がありまして、特に『PUBG』は極端に戦わせるゲームですので、今たくさんのお客さんがプレイしてくださっているのがとても興味深いと思います。日本の映画にモチベーションを受けてこのゲームが企画されたという縁もありまして、日本人はPvPを嫌うけれども、嫌いながらもその文化に合うプレイのパターンで日本なりの楽しみ方で『PUBG』を楽しんでいただいてますので、非常に感謝しています。我々としても新しい発見でした。

これからはDMMさんとももっと連携を強化しつつ、『PUBG』の日本チームにももっとリソースを増やして、日本市場を攻略していきたいと思っています。既存になかった新しいジャンルと新しい楽しみ方を日本に拡散していきたいですし、 プレイするだけではなくて見る楽しみというのも含めて『PUBG』を拡散していきたいと考えていますので、皆さんに見守っていただければと思います。『LoL』や『Overwatch』など日本でのe-Sportsでは失敗していますが、『PUBG』で日本にe-Sportsを含む新しいゲーミング文化を作り上げていきたいと思っています。
《リバレー》

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