Game*Sparkライターと編集部が独断で選ぶ、「Steamセールのマストバイ」。第4弾となる本記事では、スパイク・チュンソフトの遂に復活したプロレスゲームの金字塔、『ファイヤープロレスリング ワールド』をご紹介します。
同シリーズは、PCエンジン時代から30年近い歴史を誇る、2Dのプロレスゲーム。かつては純粋なプロレスのみを扱っていたものの、シリーズを経ていくにつれ、同じシステム上に総合格闘技や女子プロなどもある程度内包する、包括的なプロレス全般ゲームといった趣になっています。
そのシステムとして特徴的なのは、敵とプレイヤーが重なり合うと、組み合うモーションに入り、その後タイミングを合わせて方向キーとボタンを押す勝負に勝ったほうが(基本的には)技をかけていくという流れ。プロレスで重要な技の“受け”をうまく表現した形となっています。また、特に試合中は画面UIの大半が排除されており、複雑なシステムもないため、感覚のみでプレイすることが可能となっており、非常に敷居の低いタイトルです。
更に、シリーズ途中から導入されたエディットモードは、様々なレスラーの制作が可能となっており、リアルの再現だけでなく、プレイヤーの「オリジナルレスラー」の作成や、CPU操作時の行動パターンの調整といった要素が非常に楽しく、試合部分よりハマってしまった、というユーザーも少なくないでしょう。
なお、後年のシリーズでは、『ファイプロ』自体の流れを反映してか、お遊び的なパーツとして動物キャラや、いわゆる萌えアニメ的な美少女レスラー用のパーツも収録。「ほら、だってプロレスって男臭いし……」という方でもそれなりに楽しめるようになっています。
同シリーズはPS2にて2005年にリリースされた『ファイプロ・リターンズ』から長らく、番外編的なタイトルを除いて展開が止まっていましたが、2017年にSteam早期アクセスの形で、『ファイヤープロレスリング ワールド』として復活しました。
本作の挙動の多くは『ファイプロ・リターンズ』に近しい物となっており、一見すると高解像度化された『ファイプロ・リターンズ』のPC移植と感じるユーザーもいるかも知れません。しかしながら、今作では試合・エディット共に着実なブラッシュアップがなされており、いわゆるシミュレーター系タイトルの“新バージョン”として見るならば、現代のゲーム環境に対応したことも含めて十分な完成度となっています。
既存のユーザーはまさしく“伝統の『ファイプロ』が帰って来た”という気分が味わえることでしょう。それは同時に、新規のユーザーも、分かりやすい昔ながらの対戦ゲームとして本作を楽しめることを示しています。今作は勿論オンラインプレイにも対応しています。
また、Steamワークショップにも対応した本作は、世界中の人々の制作した多くのレスラーをダウンロードすることも可能。その他にもリングや入場曲など、PCならではな、外部ファイルを用いたエディット要素が増えているのも魅力です。
逆に本作では、デフォルトのレスラーは、実在の人物のいわゆる“そっくりさん”であった過去作と異なり、バックボーンも何もない、どちらかと言えば「サンプルキャラクター」といった趣なので魅力が薄くなってしまっています。
本作の難点を上げるならば、ゲームの目標部分や大きなプレイスルーの欠如。現時点では特にゲーム上での演出もない、フリーバトルや、リーグ戦・トーナメントといった部分が主になっており、そのストイックすぎるとも言える作りは物語性やゲーム内でのシミュレーション要素を求めるユーザーには不満となるでしょう。
また、プレイバリューを出そうと考案されたであろう“ミッションモード”については、前述したデフォルトのレスラーを使用することを強制されるため、運要素の強いミッション内容や、操作レスラーの魅力の欠如と相まって厳しいものとなってしまっています。しかしながら、それら難点は基本的にはゲームの魅力とは離れた部分にあるのは救いではないでしょうか。
また、デフォルトのレスラーの魅力、ゲームの目標部分や大きなプレイスルーの欠如、いずれも2018年にはDLCながら、「団体運営シミュレーションモード」、「新日本プロレスとのコラボ・新日ストーリーモードの実装」という形でカバーされることが明らかになっています。
自作のエディットレスラーをいずれのDLCでも活躍させようと思うならば、その作成には時間もそれなりに掛かってしまうため、少しでも本作に興味があるなら、それらに備えてセール中に『ファイヤープロレスリング ワールド』を購入するのは悪い選択ではないことでしょう。
『ファイヤープロレスリング ワールド』は、Steamにて3240円で発売中。Steamウィンターセール期間中は1,447円で購入可能です。なお、2018年夏にはPS4での発売も予定されています。
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