【文章書く彦のハードコアゲーマー占い】好きなゲームシリーズがスマホゲーム化…ガチャにハマりそうで不安 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【文章書く彦のハードコアゲーマー占い】好きなゲームシリーズがスマホゲーム化…ガチャにハマりそうで不安

現代日本――冷たいコンクリートジャングルの中で、人々は笑顔を忘れ、すれ違い、時間に追われ、心をすり減らしている。犯罪は多発し、インターネットでは炎上が起こり、誰もが罵倒しあって、倫理や品格、人間性を失ったものたちがひしめきあっている……。

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現代日本――冷たいコンクリートジャングルの中で、人々は笑顔を忘れ、すれ違い、時間に追われ、心をすり減らしている。犯罪は多発し、インターネットでは炎上が起こり、誰もが罵倒しあって、倫理や品格、人間性を失ったものたちがひしめきあっている……。

そんな時代を鋭利に解剖するGame*Sparkきっての社会派ドキュメント系占い連載「文章書く彦のハードコアゲーマー占い(略称:ヒコセン)」の時間がやってまいりました。早いものでもう第四回ですが、今回は“ガチャが怖い”さんからの、とっても現代的なお悩みをPick Up。

好きなゲームシリーズが、スマホゲーとして、出ることが決まり、悩んでいます。
性格的にガチャを止められそうになくて、いままでスマホゲーには手を出して来ませんでした。
でも、ホントに好きなゲームシリーズなので、やりたいのです。私がガチャにハマってしまうか、占って下さい(ガチャが怖いさん)


ザー。ザー。
雨が降っている。けばけばしいネオンの灯が滲み、人々の輪郭はぼやけ、街はさながら印象派絵画が並ぶギャラリーのようだ。さすがに傘を持ってこないってのは失敗だったか……。オレは雑踏を避け、人混みから隠れるように歩いてゆく。

やがて、表通りの喧騒が嘘のように寂れた一角にたどり着いた。まるでここだけが異世界のような質感。不思議なことに、うるさいはずの街の音が一つも聞こえない。そんな中に一つ、びしょびしょに濡れて元の形から崩れかけてしまった段ボールがあった。街灯の光をスポットライトにして照らされている。オレはなにか運命的なものを感じ、その段ボールを覗き込む。すると中には一匹の子犬がいた。子犬はクゥンと弱った鳴き声をあげている。

探偵「お前も一人なのか?」

オレは煙草に火をつけようとする。煙草はすっかり湿ってしまっていて、なかなか火がつかない。カチ、カチとライターの音が鳴り響く中で、子犬はもう一度「クゥン」と声をあげた。

探偵「孤独が怖いのか?」

犬はぶるぶると体を振った。雨粒を払うためなのか……それとも否定の意思表示なのか……。犬の目を覗き込むためにしゃがみ込む。水たまりに街灯の光が映り込んで、まるで夢の中のワンシーンみたいだ。

探偵「……お前さんは、孤独が怖いんじゃないな」

犬は頷くように首を振った。言葉が通じているのかどうかは誰にもわからない。しかし、そう感じられたということが重要だ。

探偵「そうか――お前も――」

一瞬言い淀む。この動物に人間性が宿っている……そういう風に感じてしまうのは幻想なのだろうか?馬鹿らしい、と内心思いながらも、オレはその疑問を喉に押し止めることができない。

探偵「お前も――ガチャが怖いのか?」

ワン!

ひときわ大きい声で犬は吠えた――。


怪しい男「ガチャを怖がるやつは、この街には沢山いるよ。なにせこの街は、ガチャが怖いってンで逃げてきたやつの巣窟みたいなもんだからなァ。だからここではスマートフォンは使えないんだよ。強力な妨害電波のドームが街を覆っているからな。ガチャからは逃げられるが、その代わりに家族とも連絡がつかないし、“存在しない人間(ノット・イグジスト)”になってしまうんだよ。脛に傷持つってヤツも多いみたいさ……ヤクザから金を借りてガチャに費やし、挙げ句の果てに逃げてきたっていうようなやつもいる……だから命が惜しけりゃ、あんまり他人のことは詮索しないほうがいい」

探偵「いや、オレは人を探しているだけさ」

言いながら時計に目を落とす。そんなに悠長に聞き込みをやってはいられないな。タイムリミットはあと五時間。

探偵「オレが探しているのはこの写真の男だ。名前は“ガチャが怖い”と名乗っていたらしい。どうも好きなゲームのシリーズがソシャゲになるというので葛藤していたらしい」

怪しい男「……そんな男、ここにゃごまんといるからねえ……心当たりといっても……そうだ、情報屋のチャンに話を聞いてみるといい。ちいと金はかかるが、あいつならこのあたりのことで知らないことはねえよ」

探偵「チャンって男はどこに?」

怪しい男「三つ先の角を曲がった“方来旅社”ってところにいつもいるよ」

探偵「助かる……ああ、それともうひとつ聞いていいかい?」

怪しい男「なんだ?」

探偵「このあたりでドッグフードが売ってる場所を知らないか?」


20XX年、ネオ・ワンチャイ。オレが運営するネオ探偵BBSに風変わりな依頼が舞い込んだのは三日前のことだった。書き込み人は不明。しかし報酬は破格。内容は……「ある男を探してくれないか」というものだった。男の本名は不明だが、界隈では“ガチャが怖い”さんとして通っている。彼はここ数日行方をくらませていた。オレの必死の調査が実り、彼がガチャを恐れていたこと、彼が好きだったゲームがソシャゲ化すること、ガチャを恐れたものが集まる街があること、この三点を突き止めたのだった。しかし依頼の期日はもう今晩にまで迫ってきていた――。

オレは方来旅社の目の前まで来ていた。ここにいるチャンという男が“ガチャが怖い”さんの居場所を知っているかもしれない。

探偵「あんたがチャンか……?」

チャン「……よう探偵さん……このあたりでいろいろ嗅ぎ回ってるらしいじゃあないか」

探偵「なるほど……情報屋というのは伊達じゃあないみたいだな」

チャン「そんな大した話じゃないさ。よそ者ってのはよく目立つ。外の匂いがするからなァ……ガチャが怖いさんも、最初はそうだった」

探偵「ッ!?やはり……お前!居場所を!」

チャン「タダじゃ教えられねえなあ?」

チャンは下品な笑みを浮かべている。こういう手合いには金を握らせてしまうのが一番手っ取り早い。オレは財布を取り出すためにポケットの中に手をつっこんだ。しかしチャンの口から発されたのは意外な一言だった。

チャン「金を直接もらうってんじゃ味気ない……あんたには、ガチャガチャをやってもらう」

探偵「ガチャガチャ!?このあたりには無いハズじゃないのか……?」

チャン「そのガチャじゃない。オモチャが出るほうの、本物のガチャガチャさ。ここにある、一回5ドル」

探偵「一回5ドルか……

YouTube:https://youtu.be/SXeMjL7_Iro

オレは言われるがまま、ガチャガチャに金を入れレバーをひねる。出てきたのは『バーチャファイター』の“ジェフリー”のフィギュアだった。

探偵「これは……?」

チャン「外れさ。アタリだったらガチャが怖いさんの情報が出てくるっていう仕組みになっている。どうだい、続けるかい?」

探偵「クソッ……もっと続けてみるか」

また5ドルを投入し、レバーを回す。『ファンタジーゾーン』の“オパオパ”のフィギュアが出てきた。

探偵「もう少し遊ぶか……

オレは完全にやつの手の上で遊ばれていた。財布の中の金がどんどんとガチャに吸い込まれていく。しかし出てくるのは“テムジン”だの“ナイツ”だのうれしいセガ関係のフィギュアばかり……一向に情報が出てくる気配はない。そうこうしているうちに財布の中は残り5ドル……。ガチャを回せるのはあと一回……。あんなにあったはずのお金がみるみる溶けてしまい、オレはガチャの恐ろしさに心底震え上がっていた。

探偵「もっと続けてみるか……

口調では平静を装いながら、祈るような気持ち最後のガチャを引く。レバーを握る手には汗が滲み、目は血走っているのが自分でもわかった。これがガチャ中毒者の気持ちだったのか……。ギシという音がしてレバーが回る。回ってしまう。永遠にも感じられる一瞬。コロコロと音がして出てくるカプセル……恐る恐る開けてみると中には布切れが入っていた。

チャン「探偵さん、あんた運がいいよ。そいつがSSRさ」

探偵「この布切れが……?」

ぱっと見なんの変哲もない布切れだ。なにか手がかりになるような情報はどこにもない。……まったく検討がつかない。いったいこれはどういうことなんだ……!絶望しかかっていると……後ろで犬がワンと吠えた。チャンはにこりと笑って犬を顎で指し示す。

チャン「オレも犬が好きでね」

探偵「お前……」

ドッグフードをいっぱいにかきこみ、すっかり元気を取り戻した犬が、しっぽを振りながら布切れの匂いを嗅ぐ。しばらくそうしていたかと思うと急にワンと吠え、どこかへ向かって一目散に走り出す。オレもあわててその後をつけて走り出した――!


細い路地を走り抜け、表通りを横断する。たどり着いたのは街外れの河川敷だった……そして、そこで寝ている一人の男の足元に、犬は寄り添っていた。男は浮浪者のようにも見えるが……スーツは新しく、日焼けもしていない。まだ路上生活を始めてから日が浅いのだとわかった。

探偵「あんたが……ガチャが怖いさんだな……」

ガチャが怖いさん「なぜその名を!」

探偵「依頼だよ。あんたの場所を探してほしいってな、匿名で」

ガチャが怖いさん「……そうか、俗世にも私のことを探してくれる人がいたんですね……しかしもう戻れないのです……戻れやしないんだ……私はガチャの怖さを知ってしまった……自分がガチャにハマって……抜け出せなくなってしまうんじゃないかと思ってね……それが怖くて……」

探偵「たしかに、オレもガチャの怖さを痛いほど思い知った。自分では止められない魔力のようなものがガチャにはある……それは事実だ」

ガチャが怖いさん「それじゃあ!それじゃあ私はいったいどうしたら!」

探偵「……でも、ガチャにハマってみて、それも無駄じゃなかったって思うんだ」

オレは犬の頭を撫でる。

探偵「新しい家族もできたし……なにせ大好きなセガの小さいフィギュアも沢山手に入った。それに、大好きなゲーム……たとえば『シェンムー』の続編がでたり、リマスターが出るんだとしたら、金を惜しんでなんかいられないだろ?」

ガチャが怖いさん「……た、たしかに」

今回の事件ではいろいろなことを学んだ。ガチャの恐ろしさ……犬の可愛さ……あと中国っぽい世界観の便利さ……それと……まあ……いろいろ……。しかし今のオレなら自信を持って言える。オレはガチャが怖いさんの正面にたち、彼の肩に手をかけた。

探偵「なにごともやってみなくちゃわからない。ガチャが怖いだなんて恐れてないで、新しい一歩を踏み出してみろよ。そしたら、きっと得るものだってあるはずさ」

文章書く彦「と、いうことで今回のご相談への解答としましては“なにごともやってみなくちゃわからない。ガチャが怖いだなんて恐れてないで、新しい一歩を踏み出してみろよ。そしたら、きっと得るものがあるはずさ”です。あと相談希望者が思ったよりいないのでガンガン相談よろしくお願いします」



Game*Sparkでは、ゲーム占い師の文章書く彦さんに占ってもらいたい迷える子羊を募集しています。「ゲームが原因でフラれてしまった」「ゲーム機から老人の声が聞こえる」「最近どうも調子が出ない」など、さまざまな人生相談に無料で対応します。

占いをご希望の方は本記事のコメント欄に、「お名前」と「お悩みごと」をお寄せください。抽選で、数日から一週間の間にお答えします。また、Game*Spark公式Twitterのダイレクトメッセージでもご相談を受け付けています。過去の占い記事のコメント欄からお悩みを取り上げる場合もありますので、ご了承ください。
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