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『エースコンバット』チームが「マクロス」のゲームを手がければ素晴らしい作品になると私が考える理由【オリーさんのロボゲーコラム】

実は、フライトコンバットゲームに共通する課題のひとつを解決しやすい題材こそが「マクロス」なのだそう。

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『エースコンバット』チームが「マクロス」のゲームを手がければ素晴らしい作品になると私が考える理由【オリーさんのロボゲーコラム】
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河森正治によって設計されたASF-X 震電II

先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。


弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。


2003年、セガはPlayStation 2向けに優れた『マクロス』のゲームを発売しました。同作は『エアロダンシング』シリーズをベースとしており、可変戦闘機の運用におけるフライトコンバットの側面に重点を置いていました。

この作品こそが、『エースコンバット』の開発チームであれば同様のアプローチを取り、ひょっとするとこれまでで最高の「マクロス」ゲームを作り上げられるのではないかと私に思わせる理由です。今回は、趣向を変えて、それをテーマとしたひとつの思考実験をお送りしたいと思います。

1982年に「マクロス」が初めて登場して以来、本シリーズには数多くのタイアップゲームが制作されてきました。オーソドックスな作品からシューティング、さらにはより複雑なアクションゲームに至るまで様々ですが、「可変戦闘機を操縦するとはどういうことか」を的確に表現しようとした作品は多くありません。

『Another Century's Episode 2』や『Another Century's Episode 3』のような作品は中間的なアプローチを試みており、またアートディンクがPlayStation Portable、PlayStation Vita、PlayStation 3向けに展開した優れた「マクロス」のアクションゲームは、戦闘を非常に分かりやすく魅力的なものにしていました。

しかしながら私としては、PlayStation 2向けに発売されたセガの『マクロス』こそが、「マクロス」という作品がフライトコンバットの視点から描かれることで最も魅力を発揮することを示した、際立った好例であると感じております。

なぜ『エースコンバット』なのか

『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』に登場するX-02Sストライク・ワイバーン

まず第一に、『エースコンバット』は、親しみやすさを備えたフライトコンバットゲームである点が挙げられます。同シリーズは長年の歴史の中で、実際のフライトシミュレーションに寄りすぎることなく、より直感的に楽しめる形へとフライトコンバットを洗練させてきました。

これは決して単純なゲームであるという意味ではなく、飛行の感覚をしっかりと体験させつつ、そのすべてを厳密に再現することなく、絶妙なバランスを実現しているということです。

さらに、『エースコンバット』シリーズには多彩なミッションが用意されており、「航空機で飛行し、敵にミサイルを撃ち込む」というゲーム性をより奥深いものにするため、常に柔軟で独創的な発想が取り入れられてきたことがうかがえます。

中でも、いわゆる“トンネルを飛び抜ける”最終ミッションは象徴的な見せ場の一つであり、現実性の観点では議論の余地があるにせよ、達成した際の爽快感と満足感は非常に大きなものです。

要するに、同シリーズの開発チームは、すでに斬新かつ興味深いシチュエーションを創出することに長けており、これは「マクロス」のタイアップ作品においても不可欠な要素であると言えます。

第二に、セガの『マクロス』とは異なり、『エースコンバット』の開発陣はこれまでに河森正治氏と協働してきた実績があります。具体的には、『エースコンバット アサルト・ホライゾン』に登場したASF-X震電IIがその代表例です。

一見すると些細な点に思われるかもしれませんが、メカデザイナーには独自の制作手法があり、それを理解していることは、ゲーム内でそのデザインを適切に機能させるうえで極めて重要です。

とりわけ河森氏は「マクロス」の創作者でもあるため、同氏の関与は『マクロス』ゲームにおいて不可欠であり、すでに協働経験があることは大きな利点となります。

最後に、『エースコンバット』シリーズは、ゲーム独自のユニークかつ高性能な戦闘機を数多く生み出してきた長い歴史を有しています。

たとえば、『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』に登場するX-02Sストライクワイバーンのように、これらの機体は現実的な技術の限界を押し広げる設計となっており、その延長として本格的な可変戦闘機へと発展させることも、決して困難ではないと考えられます。

ゲーム開発において、確立された使い慣れたツールセットがいかに重要か

あらゆるゲーム開発において、ツールセットは最も重要な要素の一つであると言えます。『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』では、開発チームはUnreal Engine 4を採用しました。

これは非常に汎用性の高いエンジンであり、私自身も過去に使用した経験がありますし、Epic Games在籍時にはUnreal Engine 3を用いて『ギアーズ・オブ・ウォー ジャッジメント』のようなタイトルの開発にも携わりました。

さらに、次回作とされる『エースコンバット』シリーズの新作(いわゆる『エースコンバット8』)では、Unreal Engine 5が採用されており、公開されている各種ゲームプレイトレーラーを見る限り、すでに非常に優れた仕上がりが期待されます。

いずれにせよ、ここで重要なのは、セガの『マクロス』が『エアロダンシング』を基盤として開発されたという点です。すなわち、開発チームは特定のツールセット上でフライトコンバットゲームをすでに構築しており、それを「マクロス」へと応用することで、プリプロダクションの多くが既に整っていたことになります。

同様に、本件においては、より現代的かつ柔軟性の高いツールセットであるUnreal Engineに精通した『エースコンバット』の開発チームが、フライトコンバットという枠組みで「マクロス」を適応させるうえで、大きな優位性を有しているという点です。

すなわち、彼らは既に慣れ親しんだワークフローとツールセットを有しているため、開発初期段階において大きなアドバンテージを持ち、スムーズに制作を進めることが可能であると考えられます。

可変戦闘機はフライトコンバットゲームにどのような利点をもたらすのか

多くのフライトコンバットゲームに共通する課題の一つとして、いわゆる「すれ違い(ジョスト)」が発生しやすい点が挙げられます。すなわち、目標と高速ですれ違った後に再び捕捉し直さなければならず、その間に相手から狙われる可能性が生じるという問題です。

「マクロス」においては、可変戦闘機は通常のファイター形態に加え、ガウォークおよびバトロイドという二つの形態を備えており、これらのモードでは空中での停止や減速が可能となり、目標の再捕捉を容易に行うことができます。

セガの『マクロス』では、この点が非常にうまく表現されており、遠距離では射撃戦を行い、接近後にバトロイド形態へ変形してガンポッドで仕留める、といった戦闘の流れが実現されていました。

もっとも、同作における実装上の課題として、三つの形態それぞれで使用可能な武装や挙動に制限が設けられていた点が挙げられます。具体的には、ファイター形態ではミサイルの追尾性能が高い一方で、ガウォークでは追尾性能が低下し、バトロイドではミサイル自体が使用できない仕様となっていました。

これらは各形態の差異を明確化するための設計であったと考えられますが、個人的には、もともと操作感や挙動が大きく異なるため、こうした制限は必ずしも必要ではなかったように感じております。『エースコンバット』の文脈で考えるならば、むしろ全形態で同一の武装構成を維持する方が、既存のゲームデザインとも整合的であるように思われます。

操作体系については、ガウォークおよびバトロイド形態ではデュアルアナログ操作の導入が望ましく、左スティックで移動、右スティックで視点操作を行う形式が適しているでしょう。この点に関しては、『機動戦士ガンダム 一年戦争』が良い参考例として挙げられます。

いずれにせよ、「マクロス」の本格的な据え置き機向けゲームが登場してから既に10年以上が経過しており、海外における『エースコンバット』の人気や、「マクロス」作品自体の海外展開の広がりを踏まえると、多彩な可変戦闘機で青空を駆け巡ることができる新たなフライトコンバットゲームの登場が、今こそ期待されるのではないでしょうか。


オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。

ライター:オリー・バーダー,編集:Akira Horie》



ライター/ゲームデザイナーであり、Forbes の寄稿者、そしてどうやら「日本のメカ専門家」。 オリー・バーダー

オリー・バーダーは、日本のゲーム業界やポップカルチャー全般を取材・執筆しており、日本のクリエイターへの数多くのインタビューも行っています。また、メカ系ゲーム専門サイト「Mecha Damashii」を創設し、パブリッシングおよび開発の両分野において、20年以上にわたるゲーム業界での豊富な経験を有しています。

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Akira Horie

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