まず「EL2870U」の見た目から。27.9インチというのは、これまで32型のテレビを使っていた筆者からすれば若干小さく感じましたが、PCモニターとしてもゲーム専用としても扱いやすいラインなのではないでしょうか。
土台とモニターが分離した状態で梱包されているので、最初はドライバーを使っての取り付けを行う必要があります。筆者的に高評価なのは、土台を取り付けても奥行きのスペースを必要としないこと。テレビ台やテーブルだけでなく、奥行き幅30cmくらいの棚の上でも問題なく設置することができます。
それとHDMIの2本差しができるので、ゲーム機の切り替えが楽にできるのもいいですね。
この「EL2870U」のセールスポイントは、ゲーム向け機能の「4K高解像度」「HDR(ハイダイナミックレンジ)対応」「1ms高速応答」とのことですが、実物を触って筆者が一番気になったのが、
右下に備えられた「HDR:エミュレート」と「B.I.+(ブライトネスインテリジェンス)」の切り替えスイッチです。「HDR」は言わずもがな、画面の“輝度”を向上させて色彩表現の幅を広げてくれるもの。対して、聞き馴染みのない「B.I.+」は、自動的にコンテンツの輝度を検知し、明るい場面は露出オーバーにならないよう、暗い部分は鮮明さが失われないように調整してくれる機能だとか。
文面だけ見ると一方は画面の輝きを上げ、もう一方は画面の眩しさを抑える……相反する機能のようにも見えるので、実際にゲームを使って検証をしてみることに(というか、それ以外はどう検証したものかわかりません……)。
◆まずはHDRを検証
まずは「HDR」の検証から。用いるゲームタイトルは『二ノ国II レヴァナントキングダム』です。ジブリアニメーションと3Dが融合したこちらは、HDRのON/OFFを切り替えることができます。
ゲームのHDRのOFFにした状態で、「EL2870U」の「HDR:エミュレート」機能を試してみました。草を比べてみるとわかりやすいですが、確かに画面の色見は明るくなります。あと輪郭をくっきりさせてくれるので文字などは認識しやすくなりました。ゲームは実質HDR非対応の状態なのに不思議。モニター側がコントラスト比を高める事でHDRを模擬表示しているそうです。
見違えるほどの変化ではありませんが、パソコンで色見をむりやり明るくした画像の気持ち悪さを考えると、ちょうどいい塩梅と言えるかもしれません。
そしてゲームのHDRをONした画面もチェック(ちょっとだけゲームを進めてしまいましたが……)。うおーこの美しさ、圧倒されてしまいますね。ちなみにこの状態だと「HDR:エミュレート」は常にONになっています。
◆お次はB.Iを検証
2本目に使用するタイトルは『人喰いの大鷲トリコ』。「B.I.+」は画面の眩しさを抑えてくれる機能とのことなので、独特の眩しいシーンが多いこのタイトルを選んでみました。なお、こちらは対応モニターを使っている場合、常にHDRがONのままとなります。
ちょうど画面を眩しく感じたところでスイッチオン!あれれ?変化が全くない……、
と思いきや10秒ほど経つとこの通り。撮影のために部屋の電気を暗くしていたこともあり、ずいぶんハッキリと調整してくれました。なるほど、これは目に優しい。そしてトリコが可愛い。
とりわけトリコが可愛いシーンでもトライ。うーむ、全然違う……。あとこういう細かいオブジェクトがいっぱいあると、4K高解像度の恩恵がかなり感じられますね。
◆用途に合わせたモードがいっぱい
不満点として、筆者は「リモコン」的な何かがあればいいなぁと思いました。でもPC用にせよゲーム用にせよ、無いのが普通なのかな……?画面の描写設定を細かく変更できるので、これがサッサッと切り替えられたら多用してしまいそうです。音もモニターからかなりいい感じで出力されるので、もっと音量調節がしやすかったらなぁと。
あとこれは豆知識ですが、普段はこのような多機能なモニターを「ZOWIE」ブランドからリリースしているBenQ。今回の「EL2870U」は“ゲーマーって程じゃないけどゲーム好きな方に、快適なプレイ環境を提供したい”ということから「BenQ」ブランドにラインナップしているそうです。
機能は申し分ありませんし、筆者のようにゲーミングモニターデビューを考えている方は是非チェックしておいて損はないと思います!