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「キムタクを動かせる」想像できない未来を実現した『JUDGE EYES』―名越総合監督と細川Pに訊く【TGS2018】

期待が高まる『JUDGE EYES:死神の遺言』について、セガゲームス取締役CPOで、本作の総合監督である名越稔洋氏と細川一毅プロデューサーに話をうかがいました。

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9月10日に突如発表された『JUDGE EYES:死神の遺言』。主演の木村拓哉さんをはじめ、「龍が如くスタジオ」が手がける新たなゲームとして、大きく注目を集めました。『龍が如く』シリーズのファンはもちろん、それ以外のゲームユーザーたちにも響き、今でもSNSで盛り上がりを見せています。さらに9月20日より4日間開催された「TGS2018」では試遊とシアターでの映像上映を展開し、多くの人が列に並んでいました。

発表当日には体験版も配信され、12月13日発売の情報も話題になった本作。インサイド編集部では、「『JUDGE EYES:死神の遺言』先行体験版の感想を一挙公開―探偵らしい新要素「調査アクション」が面白い!【読者アンケート】」でいち早くプレイヤーの感想を募集、期待値の高さが分かる結果となりました。そんな期待が高まる『JUDGE EYES:死神の遺言』について、セガゲームス取締役CPOで、本作の総合監督である名越稔洋氏と細川一毅プロデューサーに話をうかがいました。


─このタイミングで『龍が如く』シリーズではなく、あえて別のジャンルで新タイトルを作ったのはなぜなのでしょうか?

名越:
『龍が如く』シリーズも大事なIPですけど、ゲームエンジンがどんどん進化していく中で、それ以外のカラー、ゲームプレイの応用ができるものを作りたい。随分前からそういう気持ちが、私だけじゃなく現場にもありました。それがようやく今回できたという感じですね。

─実際に『JUDGE EYES:死神の遺言』の企画がスタートしたのは、いつ頃ですか?

名越:
まず企画の前に、脚本があったんです。ゲーム用ではなく、僕が個人的にオファーをもらっていたものなのですが、結局なくなってしまって。それで「違うプロジェクトをどこかのタイミングでやりたい」という時に、暖めていたこの脚本にそろそろトライしようとチームを作っていきました。なのでいつ頃からかというと、微妙なんですよね。


─先程おっしゃられていたように、ようやく今回という形なんですね。『JUDGE EYES:死神の遺言』は出演者が話題になりましたが、『龍が如く』シリーズも毎回すごい方々が出演されています。決める時にこだわりはありますか?

名越:
基本的に脚本と世界観有りきですから、ネームバリューだけではだめだと思っています。かといって、ものすごい実力はあるけどバリューがなければ「この人誰だろう?」となってしまいます。映画でも「誰が出てるんだろう?」と調べて見る作品を決める方が多いと思うので、バリューや脚本に合っているかどうかのバランスを考えて決めていますね。

─出演者の皆さんの年齢層が幅広く、あまりゲームに親しみのない方もいると思うのですが、出演の交渉にあたってどういったアプローチをされているのでしょうか?

名越:
今の時代だと、ゲームというものがどんなものかさっぱり分からないっていう方はいないんですよ。もうファミコンが誕生して三十年以上経ってますし、仮に今七十歳の方でも、当時は四十代だったわけです。ということはまだ精神的にも肉体的にも若い頃で、極端に言うとその当時から一回はコントローラーを握ったことがある人がほとんどなんですよ。ゲームセンターに行った事がない人も、多分いないと思います。

細川:
おかげさまで『龍が如く』シリーズをずっとやってきて、作品自体の知名度もかなり高くなりました。なので俳優さんがあまりゲームを嗜まれない方でも、周りにゲームが好きであったり『龍が如く』のファンっていう方がいたりするんです。その方にお力添えをいただいてってことも、結構ありますね。


名越:
これがさらに二十年前だったら、コントローラーを触った事もない、ゲームセンターに行った事もないって人もいたと思うんですけど、既に世代交代を果たしているんですよ。そうなってくると、もうゲームに対するそもそもの構え方が違う。なので「え?ゲーム?」って戸惑う人が減ってきているのが事実です。もちろん普段遊びとして嗜まれない方がいたとしても、最初から「いやいや無理無理」となるのはむしろ少ないですね。

─今回木村拓哉さんというトップスターが主人公を演じていますが、木村さんをゲームで自由に動かせる未来なんて誰も想像していなかったと思うんです。そんなスターを主人公に据えよう、という決断に至ったきっかけや理由を教えてください。

名越:
その決断は僕がしたところですけど、実現するかどうかは彼がやる気があるかどうかということ。そして等しくその決断がお互いにないと、実現しない。理由という意味で言えば、まさに今言った「そんな未来考えられない」っていう驚きであり、そこに作品としての価値があるからです。でも変な話、木村さんをゲームで動かせそうなチームって、世界中で多分うちだけだと思うんですよね。それは僕らが脈々とやってきて積みあげてきた、ある種の潜在的な期待値だったのかもしれない。それが実際に目の前に出てきたから驚くんですけど、いい意味で「あのチームだったらやりかねないな」って思えることが、ちゃんとできたと思います。


名越:
でもあくまで脚本有りきなので、やはり主人公像がありました。今までのゲームではオリジナルの主人公でしたけど、そこに誰かを立てるなら認知度が高いほどいいと思ったんです。その人がその人らしくゲームになる。ゲーム以外のコンテンツだとやらないような芝居とか、言わないようなセリフを言う。ゲームに存在していると、そうしたいい意味での裏切りがあるんです。そこの比較ができる対象じゃないといけなかった。その点木村さんって、彼に対してどう思ってるとか抜きにして、声とかが100%浮かぶ人ですからね。そういう人だからこそ、主人公に据える価値がある。本来であればそういう人にお願いするのはなかなか難しいし、できるとは限らないと思うんですが、今回それが叶ったっていうことにすごく満足しています。

─そんな木村さんが出演するにあたって、気を付けたところはどこでしょうか?

名越:
それはやっぱり、かっこ悪いことは許されませんから……。もちろんデジタル的にキャプチャしてデータは取るんですが、それはベースの技術がある上で、センスや木村さんらしくないとか、木村さんらしいとかの問題なんです。木村さんに実際会ったことがある人はなかなかいないでしょう?だいたいの人は画面の向こうというか、違う世界でしか彼を見たことがない。その彼の印象と、実際の印象、ゲームの印象って少しずつズレが起きたりするんです。じゃあどこに合せるのかというと、ゲームの画面に合わせる。ちょっといじる部分もありますが、最終的にはかっこよく。それぐらいかっこいい人を、僕らは主人公にしましたから。また本人にも、「出てよかった」と言ってほしいですし、「もうゲームなんて出たくない」って言われたら、悲しい。ユーザーのためにも本人のためにも、応えられるクオリティをキープするっていうのが、現場でも一番プレッシャーでしたね。

細川:
そうですね。本当にポーズであったりライティングであったり、表情であったり。桐生一馬を作っていた時もこだわりはあったんですけど、木村さんはより一層シビアにとらえて作っていきましたね。

名越:
「らしいかどうか」じゃ、すまないからね。

─その木村さんが演じる八神のファイトスタイルもかなり気を使われたのではないでしょうか?今回「円舞」「一閃」というスタイルになった理由も教えてください。

名越:
『龍が如く』シリーズのバトルはゲームの面白さの軸の一つを占めているんですが、本作ももちろん手は抜いていないです。ただ「調査アクション」にコストをかけると決めていた分、バトルをより細分化したり、コストをかけて作ることはしていません。元弁護士で探偵の主人公がゲームの開発のリソースとして、そこにコストをかけるのは少し間違っているなと思ったんです。


名越:
とはいえ、もちろんやりごたえはあります。『龍が如く』で積み上げてきた爽快なアクションを、ワイルドで見ごたえのあるものにしました。せっかくなら桐生一馬ではやらなかったことをやらせたいと思ったし、木村さんはイメージ的にもシャープな動きがマッチしていますから。似合いそうなパルクール的なアクションにして、フォーカスする部分を最初に絞って、気持ちよく遊べるようにしました。バトル班はそこをきっちり決めて作ってくれたので、方針として間違っていなかったと思っています。

─ストーリーについて、体験版をプレイしてかなりシリアスな内容だと思ったのですが、コメディ的な要素や、心温まるお話などはありますか?

名越:
いわゆる横道的なものは、我々もやりたいと思っていました。そういうコントラストがある方が盛り上がるし、ゲーム的ですよね。今回ゲームショウでも、垣間見れるところがあると思います。いい意味で『龍が如く』チームなんだなって思えるサービスは、旺盛にトライしました。

細川:
今回主人公が探偵という職業なので、街の人が悩み事を話したり、依頼をしてくることがあります。そこにハートウォーミングであったり、コメディテイストのストーリーがありますよ。本編がすごくシリアスでサスペンスタッチなので、箸休めというか、「龍が如くスタジオ」らしさは存分に味わっていただけるんじゃないかと思います。


名越:
ただやっぱり木村さんが主人公っていうのは、同じアクションアドベンチャーの中で一際存在感が違うと、改めて現状見て思いましたね。桐生一馬がちょっと面白い事をやるのと、木村さんがやるのではぐっとくる感じが違うと言うか……。ユーザーから見たら、よく木村さんの許可が出たねっていうのも結構あると思います。

ゲーム内ではコスプレがあるんですが、過去にご本人もバラエティでやっていた時期があったじゃないかという意見もありました。でもそこにドラマ性っていうのはなかったので、ドラマ性があるうちとはいい意味での違和感があると思います。でも何より、やると決めたら喜んでもらおうって応援をすごくしてくれたので、本当に感謝していますね。

─今回木村さんの出演も含めて、発表後反響が大きかったと思います。特に普段ゲームをあまりやらない、またはライトゲームしかやらない層にも響くものがあったのではないかと思いますが、そうした層は元々意識されていたのでしょうか?

名越:
強くは意識してないですが、そういう層から見てご本人がご本人らしく、それ以上にゲームらしい魅力を引き出すことに一番気を付けました。でも実際反響を見ていると、コアユーザーの意見はやはり多いんですけど、ライトなユーザーの意見が結構出ているんですよね。女性の意見も多いのですが、そういう人はPS4でゲームをするっていうところまでアクセル踏んでくれるのかなと。でも体験版の反響を見ていると、意外といそうな気がしてきました。なので、面白い結果が出そうな気はしています。

─インサイドではその体験版をプレイしたユーザーから感想を募集しました。その中からいくつか質問させていただこうと思います。体験版ではスクリーンショットや録画が可能でしたが、本編でも可能なのでしょうか?

細川:
まだ決まった情報はお伝えできないのですが、基本的に本作はサスペンスなので、プレイをされてない方にネタばらしにつながるようなものは我々もケアしなければいけないと思っています。その一方で、木村さんが出ているゲームってセンセーショナルなものだと思うので、できるだけ色々な人にご覧いただける、触れられる機会を作りたい。ということで、今回は他の『龍が如く』シリーズとは違った方針の配信規定を考えています。


─体験版と本編で操作性やモーションなど変わる部分はあるのでしょうか?

細川:
体験版では短い時間である程度魅力を感じていただくために、通常ゲームプレイを始めた段階よりもレベルを高めに設定して遊びやすくしています。それ以外の違いはないですね。

─あと……神室町以外の街は出ますか?

名越:
他のフィールドはもちろんありますが(笑)。

細川:
本編をお楽しみにというところですね(笑)。

─ありがとうございます。あとこれは編集長からぜひ聞いてほしいと言われた質問なのですが、どうすれば桐生さんや八神さんのように強い男になれるでしょうか?

名越:
小学生みたいな質問をする人ですね。

─すみません、ここにいる僕です……(カメラマンをしていた名越さんと同じ下関出身の編集長)

名越:
いやー、そんなピュアな質問に答えられる年じゃなくなっちゃった……(笑)。

細川:
こんな質問は想定してませんでしたね(笑)。僕らが桐生一馬みたいに強ければ、色々アドバイスできると思うんですが……。今の若い子は違うかもしれないですけど、僕が若い頃ってかっこつけるのがちょっと気恥ずかしかったんです。逆にかっこ悪いと感じて、あまり気を張らない方がいいみたいな。でもこういう仕事をするようになると、「かっこいいってなんだろう?」と考えることがあるんですよね。桐生や八神のようになれるかは分からないですけど、「かっこよくなりたい」っていう欲求や望みを叶えていくためには、ひとつひとつ違う事、選ぶ道を決めていく。そうすれば自分が誇れる自分になれるんじゃないかなって思います。

名越:
桐生も八神もそうですけど、出だしから彼らは結構苦労するんですよね。心に傷を持っていたり、トラウマがあったり、闇を抱えていたり。でも最後は「明日も頑張って生きていくぞ」ってなるんです。プレイヤーがゲームを終えた時に何かを感じて、その感じたもので「明日も頑張って生きていこう」っていう気持ちになる、そんなモットーを僕らは作りたい。僕らも、明日も頑張って生きていかなきゃいけない世界にいますから。


名越:
強さって、精神的にも大変な時代の中で、ハートが強い。強くあろうよ、みたいなことだって僕は思うんです。ゲーム的な見た目もあるかもしれないですけど、結局その伝え方、語り口が違うだけの話なんですよ。世代で価値観は違うと言われながらも、そういうところは普遍的な感覚があるんじゃないか。そう信じてるんです。僕はもう五十ですけど、二十歳の子にも「そうだよな、頑張らなきゃな」って言ってもらえるもの、通じるものを作りたいと思ってますし、今回の『JUDGE EYES』っていう切り口のゲームの中で、プレイして見つけてほしいなと思いますね。

─では最後に、「これを聞いたら『JUDGE EYES』をやりたくてたまらなくなる!」というおすすめポイントやメッセージをお願いします。

細川:
本作は大きな陰謀に巻き込まれて、その謎を解いていくという話になっています。映画やドラマでもできない、ゲームというメディアだからこその長くしっかりとしたストーリー展開とギミックが用意できました。特に今作で言うと「調査アクション」はゲーム要素としてのおすすめポイントですね。ストーリーも引きこまれるような内容で、続きが気になると思うので、引き込まれること請け合いだと思います。

名越:
木村さんが出演したことでカジュアルな部分があったり、キャスティングを主にしたセールスポイントを感じられることが多いと思うんですけど、基本的には僕らは何にしてもサプライズがないといけないと思っています。本作が木村さんじゃなきゃいけない理由として、まず木村さんの中の予定調和の部分にはこのゲームはなかったと思うんですよね。そんな色々なアーカイブがある方の中に、新しいアーカイブを入れることができた。極端な言い方をすると、ゲームってそんなことができるんだっていう意味で、エンターテインメントとしてのアプローチができました。エンターテインメント業界って色々ありますけど、ゲーム屋もたくさんチャレンジするんだなっていうところを、見届けてもらいたいですね。

─ありがとうございました!


インタビュー終了後、先日Game*Spark編集部より発売された「じゃんげま」の単行本を献本させていただき、名越総合監督にはなんとサインをしていただきました。ということで、こちらの「名越稔洋氏サイン入りじゃんげま」を、抽選で1名の方にプレゼントいたします!

ご応募される方は、下記注意事項と株式会社イードの「個人情報保護方針」に同意の上、応募フォームよりご応募ください。


【必要事項】
・名前(ペンネーム可)
・メールアドレス
・備考欄に、「名越稔洋氏じゃんげま希望」とご記入ください。

【応募期間】
9月24日19:00~9月30日23:59


【注意事項】
※応募はお一人様一回までになります。
※当選したプレゼントの転売等は 固く禁じられております。
※不正な応募を確認した場合は当選を取り消させていただきます。
※当選された方には、後日メールにてご連絡を差し上げます。
《タカロク》
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