「中華ゲーム見聞録」第6回目は、中国産ターンバトル武侠RPG『鴻源戦記(Tales of Hongyuan)』のプレイレポートをお届けします。
本作はHongyuan Game(上海弘原網絡技術有限公司)が開発・配信を行い、2017年9月1日にSteamで配信されました。タイトルの「鴻源」ですが、「事業拡大の源」を意味する経済用語として使われることがあります。本ゲームとなにか関係あるのかと調べてみたところ、まったく関係なかったようで、「鴻源」はゲームの舞台となる架空の世界「鴻土」から来ているようです。「鴻」は「大きい」「広い」の意味があるので、「大きな大地」という意味でしょう。
鴻土では多くの種族が暮らしており、「仞」「朔」という2つの大国が戦を繰り広げています。主人公はその世界に生きる普通の武侠者(「武侠」については「中華ゲーム見聞録」第1回『太吾絵巻』参照)。英雄ではない主人公の視点から、2大国の争いを見ていくというのがテーマです。さっそくプレイしていきましょう。
記憶喪失の主人公
イラストだけで展開されるムービーの後、突如主人公「名無し」が登場。どこかの家の中にいますが、記憶を失っているようで、なぜここにいるのかわかりません。
操作ですが、地面をマウスクリックすることでそこへ向かって移動。調べる場合も対象のオブジェクトをクリックします。MMORPGなどでよくある方式ですね。家の中には誰もいないので、外へ出てみましょう。
外には見知らぬ娘が。目が見えないようで、「具合はよくなりましたか?」と聞いてきます。娘の話では、主人公は裏山で強盗から娘を助けたのですが、そののち気を失い、ここへ運ばれてきたとのこと。娘の祖父が言うには、脳に毒が入ったらしく、そのせいで記憶に障害が出ているとか。
娘の祖父に会うため居場所を聞くと、「薬草を採りに山へ行きましたけど、会ったら叱られますよ」との答え。とりあえず行ってみましょう。
山へ向かうと、道端で尻餅をついている老人発見。姜(きょう)老伯というようです。主人公を見ると、「なにを歩き回っとるんだ!死にたいのか!さっさと戻って寝ろ!」と怒られました。質問できる様子ではありません。いったん娘のもとへ戻ります。
戻ると、「ほら、怒られたでしょ」と娘。名前は「若雪」というそうです。一方、主人公は自分の名前を思い出せません。しばらくすると、先ほどの姜老伯が登場。名前がないと不便なので、姜老伯から「姜源(きょうげん)」という名をもらいました。「鴻土」と「姜源」で「鴻源」――『鴻源戦記』のタイトル回収でしょうか。そして、姜老伯の仕事が医者だということがわかりました。
体力のあるザコ敵
数日が過ぎ、姜源の体調はだいぶ良くなりました。若雪は、足の悪い祖父のために薬を作りたいようです。しかし材料が足りない。材料の一つは村長が持っているとのこと。さっそく村長の家へ行ってゲットです。
残りの材料は山の倉庫。山道では、狼らしき敵がうろついていました。MMOっぽいので敵をクリックすれば自動戦闘になるのかと思ったのですが、戦闘はシンボルエンカウント方式。敵と接触するとターン制バトルが始まります。
戦闘で使えるコマンドは「攻撃」「スキル」「待機」「道具」、それと「自動戦闘」「逃げる」。のちのち仲間が加わるようですが、いまは一人。そして案外敵の体力が多い。スキル「断石斬」を使ってさっさと殲滅します。
経験値とお金を稼ぎつつ、山道を進んでいきます。しかし、最弱の敵でも通常攻撃で3発は殴らないと死なないタフさ。スキルを使いすぎたので、気力も残っていません。ちなみに、ゲームの評価として「結構難しい」のようなコメントも見られていました。無理は禁物。いったん戻りましょう。
家に戻ってベッドで休むと、夜になりました。休憩をとることで朝と夜が切り替わるシステムです。もう一度山へ向かいますが、このゲームはとにかく敵の体力が多い。スキル「断岩斬」(通常攻撃の3~4倍の威力)を使っても一発で倒せない敵もいますし、「逃げる」もそこまで成功率は高くありません。
ターン制バトルにおいて、相手を倒すまでターンがかかるのは、それだけ敵からダメージを受け続けるということ。しかも複数相手なら、ダメージの蓄積はかなりのもの。しっかりレベル上げをしないといけない手触りに、初期の『ドラゴンクエスト』を思い出します。瀕死になりつつ、何度か家と山を往復して着々とレベルアップ。セーブもこまめにしていきます。
村中を調べてみると、倉庫は村の西、小高い丘のようなところにありました。東の山かと思ってずっと探していましたが、完全に勘違いでした。レベル上げができたから良しとしましょう。
提灯祭りの材料集め
材料がすべて揃い、家に戻りました。若雪が薬を作っている間、村を散歩します。すると中央広場で行商人を発見。行商人は村人たちや子どもたちのために、ここで提灯祭りを開こうとしています。材料が必要なので、探すのを手伝います。
材料の一つ「紅葉草」は子どもたちが持っていました。「かくれんぼに付き合ったら渡してやる」と言われたので、村の中に隠れる子どもを探してゲット。
それから村の東へ行き、もう一つの材料「虫油」を猟師の兄弟から手に入れようとします。しかし兄弟げんかで弟がいなくなったとのこと。兄と一緒に、山へ探しに出掛けます。
山へ入って手分けして弟を探していると、2匹の猪に襲われているのを発見。すぐに助けに向かいます。この猪が結構強く、さらに必殺技持ち。なんとか倒したのち、今度は兄が巨大サソリに!またもや戦闘です。
移動画面では1匹だったサソリが、戦闘画面では2匹に。しかも2回攻撃してきます。レベル5になると覚える連続攻撃スキル「落葉式」を連打してぎりぎり勝利。このゲーム、通常攻撃が弱いので、基本的にスキルで殴っていかないといけません。レベル上げと気力回復アイテムは必須です。
村からの旅立ち
材料もすべて揃いました。夜になると提灯祭りが開催。姜老伯に会うと、「話がある。家に来てくれ」と言われます。家に行くと、「若雪を連れてこの村を出てくれ」とのこと。姜老伯は体が衰え、先も長くありません。
「この村は狭すぎる。若者がいつまでもいていい場所ではない。若雪を広い世界に連れていってやってほしい」。実は、若雪は姜老伯の孫ではなく、友人から預かった子なのだそう。「“月明城”に神医がいる。探し出し、目の治療をさせてやってくれ」と頼まれます。
翌日、村にいた行商人に、月明城のそばまで送ってもらいました。別れたのち、近くの集落で「このあたりに盗賊が出現している」との話。先ほどの行商人が心配です。急いで助けに向かいます。
山の入り口では、盗賊退治のために集まった者たちがいました。共に向かいましょう。彼らの作戦ですが、腕に自身があるのか「そのまま本拠地に乗り込めばいい」と、正面から行ってしまいます。大丈夫でしょうか。あとを追いかけます。
山道の敵は強く、1戦闘に3体出てくることもあります。ちなみにこの時点でレベル6ですが、最弱の狼相手でも3発殴らないと殺せません。その上、さっきまでのボスレベルの猪も混ざっています。
ターンがかかれば、被ダメージも大きくなります。しょせん主人公は一般の武芸者。数の暴力を前にして、楽に勝てるはずもありません。無双はできないのです。早く仲間が欲しいです。
盗賊のアジトに到着。ザコ山賊も強い上に1~3体。姜源の通常攻撃では1体倒すのに6~8回殴らないといけません。相手の数が多ければその間にボコボコにされます。スキルでの大ダメージ攻撃は必須。薬を使って気力を回復しつつ、スキル「落葉式」を連打。このアイテムがぶ飲み感は『Diablo』を思い出します。
心の折れそうな戦闘を続けながら進むと、アジトの奥に、姜源たちを送ってくれた行商人がいました。「助けてくれてありがとう」と先に引き返してしまいます。体力も気力ももうないし、いったん集落へ戻りましょう。
初めてのゲームオーバー
道中の敵から逃げ回り、集落のところまでたどり着きました。しかし「仲間を放っては戻れない」と無情の言葉が出てきて、通れません。じゃあもう回復できないじゃん!
ええええええっ!体力も気力もほとんどないのですが……。回復アイテムもあんまりありませんし、詰んでませんか、これ。せめて回復だけでも……。しかしどうにもならないので、また逃げ回りながら盗賊のアジトへ引き返します。
……が、駄目!道中、3匹の狼につかまりました。「逃げる」を3回連続で失敗。3匹からボコボコにされ、初のゲームオーバー。タイトル画面に戻され、セーブしたところからやり直しです。最近ぬるいRPGばかりやっていたので、ザコ敵に屠られるこの感覚を忘れていました。気合いを入れて再スタート。
やり直してレベル8まで上げ、スキル「巻雲式」を覚えました。待望の全体攻撃!消費気力は55と大きいですが、これでだいぶ楽になります。レベルアップ時に体力と気力が回復するので、計画的にレベルアップすることで道中における完全回復を戦略に組みこめます。
アジトの東に洞穴があるのを発見。奥へと進んでいきます。そこで盗賊たちのボスと遭遇。正々堂々1対1で戦ってくれるのは助かります。なんか道中に出てくるザコ複数のほうが明らかにきついような……。数の暴力、ランチェスターの法則は偉大ということでしょうか。倒すと盗賊たちは逃げ出します。
盗賊たちを追いかけて外に出ると、謎の男が登場。かなりの腕前で、盗賊たちをあっという間に倒してしまいました。いったい何者?質問をする前に、どこかへ消えてしまいました。とりあえずマップの奥へと進みます。
月明城へ
全体マップに出ることができました。盗賊たちがいなくなったので、これで目的の月明城に行くことが可能に。このゲームではスキル攻撃が重要で、気力切れは命取り。先ほどさんざんひどい目にあったので、気力回復アイテムを十分に買いこんでから月明城へ。
月明城に到着。結構大きな城で、なかなかにぎやかなところです。若雪の目を治すことができるという神医を探すため、城内の人たちに聞きこみをしていきます。
強敵出現!
あちこち歩き回って情報を集め、それらしい屋敷を発見。神医の噂を聞き、大勢の人たちが列を作っています。入り口にいた人は、「排号(整理番号)がなければ駄目だ」と言い、どこで手に入れるか教えてくれません。賄賂を渡すと、「角にいる物乞いからもらえ」と。物乞いのもとへ向かうと、「酒をくれたら排号をやる」と言われました。酒を渡します。
ようやく神医に会えました。しかしこの医者、若雪の目が見えないということも見抜けず、でたらめな病状ばかりを言い、どうも信用できません。「もう行きましょう」と若雪。
すると突然、一人の好漢が門番を蹴散らして殴りこんできました。「インチキ医者を成敗する!」とのこと。医者は「助けてくれ!ただで娘の眼を治してやる!」と土下座。仕方ないので助けてやりましょう。
門の外に出ると、好漢がいました。なんか強そうな雰囲気。「あのインチキ医者はたくさんの人から多額の金を騙し取った。許されるはずがない!」と引き下がりません。結局戦闘に。
しかし戦闘が始まった瞬間、好漢の連続攻撃によって即死。そしてタイトル画面へ。一瞬の出来事だったので筆者はなにが起こったのかわからず、突然の死を前にただただ呆然。……コマンド入力すらさせてもらえなかったのですが。戦闘に入っただけで死亡?どういうこと?
『シャドウゲート』などアドベンチャーゲームで即死する展開はよくありますが、この手のRPGで直面するとは……。このゲーム、隙あらば殺しに来ます。どこで判断を間違ったのでしょうか。街中だから死なないと高をくくっていたので、セーブしたのが結構前。一瞬の油断が命取り。まだ筆者の思考に甘えがあったようです。もう一度やり直します。
テイク2。またもや敵の先制攻撃でしたが、今度は耐えました。どうやら先ほどは、敵のクリティカル攻撃による大ダメージで即死したようです。運が悪かっただけですね。気を取り直して戦闘続行。先ほどのようなクリティカルが来ないことを祈りつつ、スキル「落葉式」連打でなんとか勝利。
新たなる仲間!
戦闘をしている間、あの医者がどこかへ逃げてしまいました。やはりインチキ医者だったようです。屋敷は役人たちによって取り調べを受けています。先ほど戦った好漢は盧雲(ろうん)。姜源のことを気に入ったようで、お詫びに酒をおごってくれると言います。
酒を奢ってくれた盧雲の兄貴。なんでも腕のいい医者を知っているとか。兄貴に頼んでその医者を紹介してもらうことにしました。そして、ついに初めての仲間加入!即死させられた相手だけあって、味方だと心強いです。
盧雲の兄貴を仲間に加えた姜源。一人で戦わなくてもいいという心強さ。しかも盧雲の通常攻撃は2回攻撃のうえ、防御力も姜源より段違いに高い。これはかなり楽になりました。本物の神医を見つけ、若雪の目を治すことができるのか?姜源たちの戦いはこれからです。
骨のある高難易度RPG
前評判通り、なかなか高難易度なRPGでした。特に、ザコ敵の体力多いうえに、姜源の通常攻撃が弱い。基本的にはスキルで攻撃しないといけません。スキルを何回か使うと気力が尽きてしまいますので、気力回復アイテムも多めに持ち運ぶ必要があります。敵は強いですが、ゲーム自体は遊びやすくできています。セーブはどこでも可能なので、こまめにやっておけば問題ないでしょう。コアゲーマーからの評価は高いです。
今回のプレイレポートではお見せできませんでしたが、このゲームの特色である「家園システム」がのちのち登場します。自分の領土を持つことができ、資材を使っての建築が可能。領土を育て、強力な装備品や戦闘支援アイテムなどを開発していきましょう。
本作のレビューでは「仲間が増えてから楽しくなる」という意見が結構多いご様子。実際、盧雲が加わってから戦闘がだいぶ楽になりました。やはり数は正義、ランチェスターの法則は真理です。序盤を乗り切って仲間が増えれば、冒険の幅も広がっていきます。言語を英語にすることもできるので、最近のRPGに物足りなくなったらプレイしてみるのもいいかと思います。
製品情報
『鴻源戦記(Tales of Hongyuan)』
開発・販売:Hongyuan Game
対象OS:Windows
通常価格:1,520円
サポート言語:中国語(簡体字・繁体字)、英語
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/678560/__Tales_of_Hongyuan/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。