先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。

先週のコラムで『マクロス』のゲームについて取り上げた流れを受け、今回は長年にわたりアートディンクが制作してきた「マクロス」および「ガンダム」の各種ゲーム作品についても触れておきたいと思います。
私自身、『カルネージハート』のシリーズから、『ドミノ君をとめないで。』のような個性的なタイトルに至るまで、アートディンクの作品を何十年にもわたり愛好してまいりました。同社の独自性あふれるゲーム作りの姿勢には、常に敬意を抱いております。
最近では、初代『ドラゴンクエスト』三部作のHD-2Dリメイクも非常に楽しませていただき、2作品ともプラチナトロフィーを獲得するほど没頭いたしました。
とはいえ、私が同社の作品に深い愛着を抱く決定的なきっかけとなったのは、やはり携帯機向けに展開された「マクロス」および「ガンダム」の数々の作品です。これらのシリーズは後に据え置き機向けの大作へと発展していきますので、その点については最後に改めて触れたいと思います。
携帯機で楽しむ「ガンダム」の魅力
東京ゲームショウにて、初代『ガンダム バトルタクティクス』の初期バージョンをプレイしたことをよく覚えております。本作は、短時間のミッションを中心とした戦闘型「ガンダム」アクションゲームで、非常に軽快で楽しい戦闘システムが特徴でした。特に、射撃ボタンを押し続けることで自動的に敵を先読みして攻撃が命中する仕組みは、従来のロックオンシステムを巧みに発展させたものとして、非常に印象的でした。
また、バックエンドではモビルスーツの耐久力を強化したり、武装の命中精度や威力を向上させたりすることが可能でした。ただし、強化ポイントが各機体ごとに固定されていたため、プレイヤーに対して各モビルスーツを段階的に育成させるという、やや制約の強い設計でもありました。
その後、『ガンダム バトルロワイヤル』、『ガンダム バトルクロニクル』、そして『ガンダム バトルユニバース』といった続編が立て続けに登場し、プレイ可能な機体数やミッション数は大きく増加していきました。
初期の4作品の中では、私は特に『ガンダム バトルユニバース』を最も楽しんだ記憶があります。プレイ可能なモビルスーツの数が非常に豊富で、Ξ(クスィー)ガンダムのような機体も使用できた点は大きな魅力でした。
その後に登場した『ガンダム アサルトサヴァイブ』では、ゲームの構造やフォーマットが大きく変更されましたが、個人的にはあまり馴染めず、初期の4作品の方を好んでおりました。

さらに、ニンテンドー3DS向けに『ガンダム ザ・3Dバトル』という独立した作品も発売されましたが、こちらは非常に楽しめたタイトルです。ゲーム性は初期4作品に近い形へと回帰しており、3D表現も効果的に機能していました。また、私の特に好きなデザインのひとつであるHi-ν(ハイニュー)ガンダムが大きくフィーチャーされていたため、この機体を頻繁に使用しておりました。
本シリーズの最終作は、PlayStation Vita向けの『ガンダムSEED バトルデスティニー』です。グラフィック面では大幅な進化を遂げていたものの、操作性にはやや癖があり、バランス面でも不公平に感じる部分があったと記憶しております。なお、本作は後年リマスター版として改良が加えられておりますが、こちらはアートディンクによる開発ではございません。
「マクロス」でエースパイロットを目指して
『ガンダムバトル』シリーズが大きな成功を収めたことを受け、アートディンクは同様のアプローチでマクロスのゲーム制作にも乗り出しました。先週取り上げた Sega AM2 による『マクロス』作品とは異なり、これらの作品は純粋なフライトコンバットを主軸としたものではありませんでした。
3形態(ファイター、ガウォーク、バトロイド)への変形は引き続き可能であるものの、特にファイターおよびガウォーク形態は横方向の移動を重視した設計となっており、戦闘はよりシンプルで親しみやすいものへと調整されていました。
私自身、PlayStation Portable向けの『マクロスエースフロンティア』を非常にやり込んだ記憶があり、その操作性やゲーム性を大いに楽しみました。本作に続いて、『マクロスアルティメットフロンティア』、さらに『マクロストライアングルフロンティア』が発売されています。
このうち『トライアングルフロンティア』には、恋愛シミュレーション的な要素も収録されていましたが、言語の壁もあり、個人的にはあまり触れることができませんでした。
これらのマクロス作品も『ガンダムバトル』シリーズと同様に、作品を重ねるごとに改良が加えられ、プレイ可能な機体やミッションのバリエーションが着実に増えていきました。
またこれらの合間に、アートディンクはPlayStation 3向けに、「マクロス」のBlu-rayに同梱される形の小規模なゲームも手がけています。具体的には、『マクロストライアルフロンティア』、『マクロスラストフロンティア』、そして『マクロス 私の彼はパイロット2012』の3作品です。
これらはいわばコンパニオン的なミニゲームであり、後に発売される『マクロス30』の開発コストを分担する意図もあったものと考えられます(本作については最後に触れる予定です)。
携帯機向けとしてアートディンクが手がけた最後の「マクロス」作品は『マクロスΔスクランブル』ですが、個人的には同社作品の中でも屈指の完成度を誇るタイトルだと感じております。多数のプレイアブル機体が登場し、ミッション内容も豊富で非常に楽しめるものでした。
また、PlayStation Portable向けの『バトルロボット魂』についても触れておきたいと思います。本作はこれまでの携帯機向け「ガンダム」および「マクロス」作品と似たゲーム設計を採用しつつ、「ロボット魂」シリーズのフィギュアとして展開されている多彩なメカが登場する点が特徴でした。さまざまな作品から機体が集結する点では、『Another Century’s Episode』シリーズを思い起こさせる部分もあり、機体の多様性という意味でも新鮮で楽しめる内容となっていました。
据え置き機での大作への展開
数多くの携帯機作品を経て、アートディンクは据え置き機向けに「マクロス」および「ガンダム」の大規模作品を2本手がけることとなりました。
まずその一つが、PlayStation 3向けに発売された『マクロス30』です。本作は「フライトアクションRPG」と称されており、ミニオープンワールドのフィールドを自由に飛行しながら、各地でミッションを受注・遂行していく形式が採用されていました。
個人的には、この仕様はこれまでの携帯機作品で確立されていたミッション重視のゲーム性の魅力をやや損なってしまっているように感じられました。『マクロス30』自体のビジュアルや操作感は非常に良好であったものの、自由度の高い構造はやや方向性として異質に映りました。
とりわけ、オープンワールド型のゲームは技術的にも開発コスト的にも非常に高いハードルを伴うジャンルです。アートディンクが比較的小規模なスタジオであることを踏まえると、本作は同社にとってやや規模が大きすぎたのではないかという印象も受けました。
それでも、私は本作を最後までプレイし、随所に散りばめられた「マクロス」アニメへのオマージュを大いに楽しみましたが、やはり小規模スタジオにとっては少々野心的すぎる挑戦だったのかもしれません。
それから長い年月を経て、アートディンクは再び『ガンダムバトル』系作品へと回帰し、『SDガンダム バトルアライアンス』を世に送り出しました。
本作における大きな特徴は、モビルスーツがSDデザインで表現されている点です。特に海外の新規ファン層にとって、こうした親しみやすく可愛らしいデザインは非常に良いアプローチであったように思われます。
ゲームとしての完成度も高く、Unreal Engineを用いて開発されていましたが、発売当初はバランス調整がやや極端で、後のアップデートにより難易度が緩和されました。この過度な難易度設定は、本来SDデザインによって取り込もうとしていた海外プレイヤー層を遠ざけてしまった可能性もあると感じています。
とはいえ、本作は非常に優れたゲームであることに変わりはなく、私はPlayStation 5版およびニンテンドースイッチ版の両方で、追加コンテンツも含めすべてを遊び尽くしました。なお、ここでも主に使用していた機体は、やはりHi-νガンダムでした。
また、本作に関して興味深い点として、海外のファンの間で戦闘におけるロックオンやスタンの仕組みが 『アーマード・コアVI』 と非常によく似ているという指摘が多く見られました。『SDガンダム バトルアライアンス』の方が形式上は1年早く発売されているものの、『アーマード・コアVI』も長期間にわたり開発が進められていたことを考えると、この類似性は偶然の一致と見るのが自然でしょう。同様のゲームデザインの発想が並行して生まれた、一例と言えるかもしれません。
アートディンクによるさらなるメカゲームを望んで
アートディンクがこれまでに手がけてきた数多くの携帯機向けメカゲームの歴史を踏まえると、今後再びこうした作品に取り組んでくれることを強く期待しております。私がこれらの作品を遊んでいた当時は、いずれも海外では発売されておらず、日本版を輸入してプレイせざるを得ませんでした。
しかしその後、「ガンダム」や「マクロス」といったアニメ作品の多くが海外でも視聴可能となり、ゲーム側の難易度さえ過度に高くなければ、こうした作品を待ち望んでいる大きな海外市場がいまだ開拓されずに存在しているように感じられます。
また、短時間で区切りながら進められるミッション重視型のメカゲームは、現代のように時間が細分化されがちな生活スタイルにも非常に適しているジャンルであると言えるでしょう。
少なくとも、アートディンクには今後もメカアクションゲームの開発を続けてほしいと願っております。現在であれば、これらの作品も正式にグローバル展開が可能であり、私自身を含め、多くの海外ファンがその登場を心待ちにしているはずです。
オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。







