タンクトップを脱ぎ捨てて「ポルシェ」に乗った日 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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タンクトップを脱ぎ捨てて「ポルシェ」に乗った日

いつもタンクトップ着てるんですけど、ポルシェに乗れるということでちゃんとジャケットを着てみました。ゲームはほとんど関係なく、試乗記でもない、タンクトップおじさんのコラムです。

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「カイエン」に乗りたい――同世代のプロ野球選手がそうテレビで呟いただろうか。なんとなく自分の中で高級車のイメージであり、成功者のイメージであり、ちょっとした憧れのクルマが「カイエン」だった。

とはいえ海外ゲーム情報サイトをやっていれば、クルマとの関わりといってもサーキットを駆けるか、アメリカを自由きままにドライブするか、甲羅をなげつけたりバナナをまき散らしたりながらカートで競争するか、男4人で楽しく旅をするか、銃を突きつけて無辜の市民から強奪するか、まぁそんな指先程度のものだ。もちろん、カイエンいや「ポルシェ」に乗るなんて、夢のまた夢……そう思っていた。

ところが、運営会社であるイードには「レスポンス」という日本最大の自動車情報サイトがある。タンクトップを着た編集者はもちろんいない由緒正しい硬派なメディアだ。そんなレスポンス経由で、ポルシェの広報部長がイードの他ジャンルのメディアの編集長を招き、ポルシェを試乗させたいというお誘いが舞い込んできた。しかもゲームメディアの人間も招きたいという。トルクの話もステアリングの話も自動車ライターっぽいことは何ひとつ書けないというのにいいのだろうか……とほんの一瞬だけ後ろめたくはなったが、こんな機会一度逃したら二度とない。良心の呵責はまったくなかったので、二つ返事で快諾してしまった。

往復600キロ…ポルシェの旅


目的地は紅葉が鮮やかな野尻湖。東京から往復で600キロという長旅を、4台のポルシェを乗り継ぎ目的地を目指す。今回試乗したのは、ポルシェといえば大勢の人が想像する「911」。

真っ赤な「ポルシェ 911」


「718 ケイマン」


さらに「パナメーラ」


「カイエン」

そして「カイエン」の4台だ。

全くこの先の人生でも二度と無いであろう贅沢な時間である。そうゲームの中でも体験できない経験だ。

出発前に広報部長の黒岩真治氏は「走行距離が200キロを超えるあたりから下りたくなくなるはず」と話していた。全く眉唾な話で「そんなことがあるわけない」と内心小馬鹿にしつつ、カイエンに一目散に駆け込んだ。

今回の試乗ではクルマそのもののレポートは求められていないということで、プロの試乗記はレスポンスの記事に任せるとしよう。端的に感想を述べよと言われれば一言で済む。

下りたくなくなった。

この先の10キロ、20キロ、30キロ…まだ見ぬ地へ力まずとも連れて行ってくれる、そんなクルマたちだった。「高級車が良いクルマなのではなく、意のままに動くのが良いクルマ」というのはレスポンス編集長の言葉だが、それが「911」であり、ポルシェのクルマなのだというのは、理解するまでそこまで時間は必要なかった。



まったくこんな程度でいいのかとも思うが、素人が良いクルマを良いクルマと書き連ねてもなんの説得力もないのでこの辺にしておこう。

クルマ好きとコアゲーマーの共通点


今回の試乗会は1泊2日の旅程であった。600キロの道中では、途中「軽井沢マリオットホテル」でランチを挟み、ディナーと宿は野尻湖の湖畔に佇む「エルボスコ」で、といった超豪華ツアーである。この旅程をポルシェ4台を乗り継いでまわるというわけだから、その贅沢さは想像に難くないはずだ。

全力でスカしてしまいました。




100キロ超のスピードを出しても全くノイズのない「カイエン」の車内、そしてゲームのない静寂に包まれた「エルボスコ」の室内で、クルマ好きとコアゲーマーの共通点はあるのか、都会の喧噪を離れ思索してみた。

実は、1年ほどレスポンス編集部に在籍していたことがある。その当時Twitterのフォロワーを眺めていてひとつ気付いたことがあった。TwitterというSNSの特性があるにせよ、クルマが好きで、ゲームやアニメが好きという人達が想像以上に多いということだ。別にスーパーカー世代が多いというわけではなく、若い人ほどそうした傾向が強い。

なんとなくゲーマーとクルマというのは関係性が薄いように捉えられがちだが、レースゲームというジャンルは古くから存在していて、根強い人気を誇っているし、実車が登場するゲームも多い。『グランツーリスモ』シリーズのようにドライブシミュレーター的に愛好される作品もあれば、『ザ クルー』シリーズのように新規のフランチャイズも登場し、もちろんポルシェのクルマにも乗れる。日本ではレースや自動車の人気が低迷していることもあり、新規のフランチャイズが立ち上がるほどではないとはいえ、両者の間に超えがたいキャズムなどはなく、むしろ昔から隣あう存在だったともいえるだろう。

やや話が逸れてしまったが、前段の問いに戻ろう。クルマ好きとコアゲーマーには共通点があるかだ。長らく静寂の中で思索に耽った結果、「本物への憧れと追求」というキーワードが浮かび上がってきた。

ゲームをするにせよ、クルマに乗るにせよ、その行為自体は、運転には免許が必要であれ、そんなに難しいことではない。このご時世、オンボロPCでもそこそこ動くゲームもあるし、家庭用ハードも中古で買えば大した金額はしない。

とはいえ、コアゲーマーなら最新のCPUやGPUを常にウォッチし、快適な動作環境を追い求めるのが常で、その先は4Kのゲーミングモニター、ゲーミングマウスにキーボードときりがない。さらにはサウンドシステムやゲーミングチェア……より没入できる環境を求めてしまうものである。

クルマも同じで、簡単にクルマを借りることができるし、年式の古い中古車なら下手すればPCよりも安い値段で持つことも可能だ。とはいえクルマ好きはより良いクルマを求める。意のままに動くクルマを、力強い走りを、快適な空間を。

最低限の環境でゲームをすること、単なる移動手段としてクルマに乗ること……それは何ひとつ悪いことではないし、否定されることでもない。むしろメディアの人間としては接点を持つ人が増えることだけでも嬉しいし、そうした人たちが増えていくことにやりがいを感じるところだ。

ただ、その先の“本物”への憧れ、追求にコアゲーマーとクルマ好きの共通点を感じざるを得なかった。それはシートの革ひとつにも深いこだわりをもつ「911」をはじめとしたポルシェという“本物”に出会ってしまったからなのかもしれない。



ミライのクルマ…エンターテインメントとの邂逅


東京への帰路で渋滞に巻き込まれた。帰りは「パナメーラ」に乗ったのだが、このクルマにはACC(アダプティブ・クルーズ・ コントロール)などのADAS(先進運転支援システム)が搭載されている。細かい原理や仕様は割愛するが、これらの機能群をオンにすると高速運転時など、走行レーンを補足して自動でステアリングを操舵してくれたり、加減速をしてくれたりする。渋滞時にいちいち自分で全部運転しなくてもいいというわけだ。

ADAS自体は他社のクルマにも搭載されているし、ポルシェの専売特許というわけではない。しかしながらさすがポルシェ、さすが「パナメーラ」。はっきりいって自分が加減速するよりも遥かに快適でスムーズなのだ。ポルシェを自分で運転しないなんて……とお叱りをうけそうだが、そもそも渋滞中にポルシェの走りを十分に堪能できるはずもない。

現在の日本の法律ではこうした機能があっても、ハンドルから手を離すことは許されていないし、もちろんゲームをすることもできない。しかしながら、ほぼ勝手に運転してくれるとなるとどうしても“自動運転”というキーワードが頭をよぎる。

これは個人的な意見だが、もし完全な自動運転が実現する未来がくるとしたらクルマとゲームを含むエンターテインメントが人類の歴史上で最も接近するのではないかと思っている。

自動運転に必要なのは超高性能なGPUと5Gの高速かつ低遅延なネットワークだ。その自動運転の頭脳の開発に注力するのはNVIDIAという謎の半導体メーカーである。高性能なGPUと低遅延なネット回線……眼前には巨大なフロントガラス……もしこの環境でコントローラーを握れたら……。単なる移動体からゲームを楽しむパーソナルゲーミングスペースになるかもしれない。

いささか論理の飛躍が過ぎるかもしれないが、今まで家でしかプレイできないゲームが絶対に乗り越えられなかった「クルマでの移動」という時間ですらゲームで埋められるという未来を空想すると興奮せざるを得ない。

わざわざ「911」に乗ってゲームなんかしないというのはごもっともだ。しかしながら先にも述べたように別に渋滞にまで付き合う必要はない。走りを最高に楽しめるまではゆっくりゲームを楽しんで、渋滞を抜けたら最高のクルマで“本物”の走りを楽しむ。そんな自分の歓びがシームレス味わえる未来…大それた夢物語をわざわざ「パナメーラ」の中で妄想するというのもなんとも贅沢なものである。



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《宮崎 紘輔》
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