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ギャルゲー百人百景:第十景『Screen』池柳彩女

季節は巡り、春、夏、秋、冬。季節の数だけ景色がある。そして景色の数だけ、ギャルゲーもまた存在する……この連載はギャルゲーのヒロインを百人攻略するという妄念に取り憑かれた男の飽くなき挑戦の記録である。

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季節はめぐり春、夏、秋、冬。季節の数だけ景色がある。そして景色の数だけ、ギャルゲーもまた存在するのだ。ギャルゲーの主役といえばなんと言っても多種多様なヒロイン達……。この連載はギャルゲーのヒロインを百人攻略するという妄念に取り憑かれた男の飽くなき挑戦の記録である。


2019年を迎え、当サイトの読者であられるようなゲーマー諸君は身を切るような寒さから逃げるように部屋にこもってゲームをする毎日を送っていることだろう。オレも『スマブラSP』をやったりしていたらなんか一週間ぐらい消えていたし、ゲームってほんとうに恐ろしいよね~。年をまたいたが、今回で『Screen』もようやく最終回だ。最後の攻略ヒロインは「池柳彩女」である。いろいろな攻めたストーリーをもったヒロインたちを差し置いてなぜ彼女を大トリにしたのかというと、彼女がどうやら「裏メインヒロイン」的な存在だからである。


「裏メインヒロイン」というのは造語であるが、噛み砕いて説明するなら「メインヒロインと同等かそれ以上に物語の根幹に関わってくるような設定を持つヒロイン」のことである。じゃあそいつがメインヒロインだろと思うかたもおられるかもしれないが、メインヒロイン以外に重要なヒロインを置いておくことで物語に多面的な深みを持たせようということなんだと思われる。わかんね。まあともかく「裏メインヒロイン」を攻略することによって、物語の真のテーマが明らかになる、というような構造をもったギャルゲーは結構多かったりするのだ。

この連載をじっくり読まれている読者諸君はわかっていることと思うが、本作には占いなどスピリチュアルなモチーフが頻出する。今回攻略する「池柳彩女」は『Screen』のスピリチュアルな側面を象徴するようなキャラクターというわけだ。


彩女とはまず神社の境内で出会うことになる。巫女服姿で神社を掃除する黒髪の美少女だ。巫女というのもギャルゲーのヒロインではよくいるタイプだと思う。ところで尼僧のヒロインはあんまりいないような気がする。なぜなんだろうか。


後日、たまたま出会った犬と遊んでいた書く彦は犬の飼い主である彩女と再会する。彼女のあまりの美しさに反語表現まで持ち出す書く彦。犬にはなんだか懐かれることに成功するが、彩女は常に物憂げな雰囲気でこちらに心を開いてくれる様子がない。なんだかミステリアスな感じだ。彼女との出会いに刺激されたのか、書く彦は妙な夢を見るようになる。


夢の中で書く彦は外国人の水夫(っぽい格好の人)であった。明治か大正のような風景の中で彩女と親しげに語る外国人の水夫(っぽい格好の人)という光景に、どこか懐かしさを感じる書く彦。体感的には彩女のシナリオのおよそ半分ぐらいが夢パートになっていて、かなりの比重だ。


夢に影響されてか、現実で彩女と出会ってもデジャヴを感じるようになってくる書く彦。こういう物語展開を持ったギャルゲーってめちゃくちゃ多いので、もうすでに大体どういう話なんだか察しがついてくる。


書く彦が見る夢には二種類ある。前述の大正ロマン風のものを夢Aとするなら、夢Bは戦国時代を舞台に繰り広げられる悲恋物語だ。だいたい「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦」からクレヨンしんちゃん成分を抜き去ったような話になっている。前世の夢を見ているのかもしれないと思い至る書く彦だったが、夢Aにも夢Bにも同じ姿同じ名前で彩女が登場するので、それは辻褄が合わないとも思うのであった。



そんなこんなで親交を深めていく書く彦と彩女。途中おみくじを引くミニゲームがあり、「凶」を出すとCGが回収できるとのことなのでセーブロードで粘ってみたが何回やっても中吉しか出ないので断念した。運でCG回収ってなんなんだよ。神社に行くのがめんどくさいゲーマー諸君は、このゲームを通販サイトで購入し、おみくじのかわりにしてみてはどうだろうか。


夢Bはどんどん進行し、ガンガンに死亡フラグを立てる前世書く彦(仮)。大方の予想通り約束は果たされることなく前世書く彦(仮)は死んじゃうのであった。夢Bパートはおそらくかなり時代考証や資料集めなどしたであろうと推察される書き込まれっぷりなのだが、シナリオライター以外は誰もノッていないのだろうか、CGが「城の遠景」と「抱き合う二人」という二種類しかない。


とうとう我慢できなくなり、彩女に夢Bの話を打ち明ける書く彦。そこで明かされる衝撃の事実。夢Bはやはり書く彦の前世であり(まあそうだろうと思っていたが)夢の中に登場する彩女も彩女であった。なんと彩女は不老不死の女だったのである。たしかになんかそんな気はしていたが、明かされ方があまりに呆気なかったので虚を突かれてしまった。この世代のギャルゲー(『Screen』の原作である『Campus ~桜の舞う中で~』が発売されたのは1999年)ではこういう前世モチーフが非常によく登場したので、メッチャ懐かしく、正直ちょっと感激した。戦で死にかかかっている前世書く彦と再会した彩女は秘術である不老不死の儀式を前世書く彦に試すも前世書く彦は死に、なんか自分が不老不死になっちゃったとのことである。


ということで四百年越しの再会を果たし、めでたく結ばれる二人なのであった。輪廻転生って神道じゃない気がするんだけどそんな細かいことはどうでもいいんだ。日本は神仏習合の国なんだ。



それからしばらくは平穏な日々が続いたが、ある日、彩女は「不老不死やめるわ」的なことを言い出す。え、そんなことできんの……?決行は今夜。ものすごく急な展開である。



ものすごく現実離れしたことが身の回りで展開しているにもかかわらず、「軍艦マーチ」を歌い出す能天気な書く彦なのであった。なんの意味があるんだこのくだり。



と、いうことで始まった儀式パート、なんだか儀式っぽい一枚絵に儀式っぽい描写が延々続くと、急速に成長しだす彩女。そう、不老不死の解呪は不完全なものだったのだ!


儀式の反動かなんだかで爆発的に成長した彩女は、年老いた姿を書く彦に見せたくないからと自害してしまう。「ザ・フライ」みたいな話だ!(全然違います)

唐突な悲劇的展開にお口あんぐりであるが、これはもちろん真エンドではない。真エンドにたどり着くための鍵は、しばらく登場していない夢Aのほうにあった。


夢Aの金髪の水夫「クレーベル」もまた書く彦の前世であったのだ。彼は世界中を放浪し彩女の解呪方法を探す中で非業の死を遂げていた。そして夢の中で正しい解呪方法を思い出す書く彦。『Screen』は三代にわたる大河的な物語だったのだ!オレが彼女のことを「裏メインヒロイン」と評したのもご納得いただけるかと思う。チベットとか前世とか、やっぱり仏教なのでは?


その後、異様なほどにあっさりと不老不死の呪いはとけました。壮大なんだか投げやりなんだかよくわからないがまあ良かったんじゃないスかね……。


その後、普通の人間になった彩女と前前世の城に出向く二人なのであった。最後のヒロインだけあって盛りだくさん……というより詰め込みすぎに思える展開だったが、ともあれ『Screen』、これで完全攻略達成である。次回からは、もっと古典的な恋愛シミュレーションゲームのようなものが出来たらな、などとぼんやり考えている。残すところ九十人。まだまだ先は長いが、ギャルゲー百人百景は2019も気ままに連載していく予定なので、どうか長い目でお付き合いください。
《文章書く彦》
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