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シングルFPS『メトロ エクソダス』はここが凄い!シリーズ初体験でも分かる世紀末モスクワの魅力

ロシアのモスクワ地下鉄を舞台にポスト・アポカリプスを題材とした、硬派なシングルFPSである『メトロ』シリーズ最新作『メトロ エクソダス』の注目すべき魅力を紹介します。

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2019年2月15日発売の『メトロ エクソダス(原題:Metro Exodus)』は、重厚なシングルキャンペーンFPSとして高い評価を獲得したシリーズの最新作です。昨今ではあまり姿を見なくなったストーリー主導型のFPSの登場を今や遅しと待ちわびる皆様へ、一足先にその魅力をお届けします。


『メトロ』シリーズの舞台は、地球規模の核戦争により荒廃した未来の世界。ロシアの地上も例外ではなく、危険から逃げ惑う(数少ない)一部の幸運な人々が、核シェルターの役割も果たすモスクワの地下鉄へ避難し、核戦争を生き延びることとなりました。地下での生活という過酷な環境にあっても、人々は粘り強く文明を維持していたのです。

そんな地下世界で、主人公アルチョムは希望を捨てずに走り回ります。最新作の『メトロ エクソダス』では「エクソダス(脱出)」というワードが示す通り、遂に地下世界の外へと旅立つ様子が描かれるのです。ということで、ここからはシリーズ未体験の方の心もくすぐるような『メトロ』の魅力をお伝えします。

ロシア人作家による重厚な小説が原典


『メトロ』シリーズは、ドミトリー グルホフスキー(DMITRY GLUKHOVSKY)氏によるモスクワ地下鉄が舞台のSF小説「Metro 2033」を原作とするシリーズです。

小説版「Metro 2033」はロシア国内で50万部を売り上げたベストセラー。ポスト・アポカリプスな世界を描き、SFのみならずホラー要素も絡むこのシリーズは、「Metro 2034」「Metro 2035」と続編が展開しています。


ゲーム版は同名の『メトロ 2033』でデビュー。原作とはやや異なるストーリーが描かれましたが、その雰囲気を上手に表現したことでヒットしました。続編『メトロ ラストライト』もシングルキャンペーンを貫き、多くのゲーマーに愛されることとなったのです。そして両タイトルは技術の進歩に合わせる形でリマスターされ、『メトロ リダックス』の名で現行機向けに2014年より発売されていました。

対戦モノやオープンワールドが主流となりつつあるFPSジャンルの中で、シングルキャンペーンを中心に勝負するタイトルは貴重となりました。特にオープンワールド制のゲームはプレイヤーの主導権が強く、クエストの時系列が弱くなるため、プレイヤーの頭の中で物語をうまく捉える必要があります。

これに対し『メトロ』シリーズは、「主人公の独白」といった表現で重厚な原作小説を強く感じさせる構成により、文学作品を読み進めているかのような高い没入感を実現しました。

『メトロ』シリーズ登場人物のこれまで


主人公アルチョム

アルチョムは、幼い頃に「最終戦争」の被害でメトロへ逃げ込むこととなりました。地上の出来事で覚えているのは、母親と共に出かけた思い出だけ……しかも母親の顔を正確に思い出せず、寂しさを募らせています。

天涯孤独の身となるも、義父に育てられながら、メトロの端にあるエキジビション駅(実在のモスクワ地下鉄における「博覧会駅(ヴィスタヴォチニ・ツェントル駅)」)で暮らしていました。エキジビション駅は地上から異形のモンスターが侵入しやすい位置にあり、駅を守るレンジャー達が命がけの防衛線を構築しています。


あるとき、新たなタイプのモンスター「ダークワン」が現れたことで、屈強なレンジャー達が次々と倒されてしまうことに。義父の友人であるハンターから、エキジビション駅の状況をメトロ最大の都市「ポリス」にいるミラーという人物へ伝える任務を受けたところから、アルチョムの冒険が始まります。

冒険の中で、アルチョムはダークワンの影響を受けない体質であることがわかります。ダークワンは精神感応の能力を持ち、何らかの方法でレンジャー達を同士討ちさせていたのでした。

『メトロ 2033』でアルチョムはメトロの人々を救うべく、ダークワンの巣をミサイルで破壊します。しかしそれは、ダークワンからの精神感応で見る不思議な感覚に「果たしてそれが正しいことなのか」という葛藤の上での決断だったのです。

『メトロ ラストライト』では、壊滅させたはずだったダークワンの生き残りが発見され、アルチョムはこのせん滅の命を受けて再び旅立ちます。人類の敵だと誰もが認識しているはずのダークワンを捕獲する勢力が現れ、アルチョムは疑問と疑惑の中で、メトロの本当の危機を知り大きな戦いに挑むこととなります。

隊のリーダーであるミラー

ミラーはモスクワ地下鉄内で治安維持の役割を持つ「オーダー」の有役職者。厳しく生真面目な軍人で頑固者ですが、それは正義感の裏返しであり、常に自身も最前線で戦おうとする気概を持っています。

しかしメトロを守るという使命に様々な板挟みを受け、苦渋の決断を下さねばならない場面が多く、時に冷酷な面を見せながらも隊員からは大きな信頼を寄せられています。それでも娘のアンナには甘くなってしまうなど、最初に受ける印象からは意外な一面を見せることも。

また、ダークワンのせん滅やメトロの重要拠点「D6」の攻略などで活躍したアルチョムを高く評価しており、頼れる「上司」として様々なサポートをしてくれます。

ミラーの娘で、アルチョムの妻

アンナは軍人ミラーの娘にして、オーダーの中でトップクラスのスナイパーである勝気な女性。『メトロ ラストライト』で初登場し、『メトロ エクソダス』開始時点ではアルチョムの妻となっています。

出会ったばかりの頃は、まだ未熟であったアルチョムに対して先輩風を吹かせていたものの、とある作戦でアルチョムが囚われの身となったことで痛恨の念を抱き、再会後は真摯な態度を取るようになりました。

アルチョムが体験する不思議な話を最も信頼してくれる心強い存在であり、元々軍人ではないアルチョムにとっては目指すべき先輩でもあります。『メトロ エクソダス』でも頼れる仲間として、活動を共にします。

「地下鉄」を舞台にした魅力的な世界観



前述したとおり、『メトロ』シリーズは破壊的な戦争によって荒廃してしまった地上と、それにより地下鉄での生活を余儀なくされた人々の物語を描いていきます。

シリーズ作品にも登場するレーニン図書館駅(ビブリオチェーカ・イーミニ・レーニナ駅)

駅の間にある長く暗いトンネルは、常にモンスターや不思議な危険性に満ちており、人々は駅という広い空間を活用しなければ生きていけません。そのようにして生まれた「駅」というコロニーは場所に応じて様々な特色を持っており、実際のモスクワ地下鉄を題材にイデオロギーや文化が表現されています。

右上から左下にかけて伸びるのが「ソコーリニチェスカヤ線」

実際のモスクワ地下鉄には、日本の山手線に近い「環状線」が存在します。これを貫く形で、日本の中央線のようにソコーリニチェスカヤ線が走っており、赤い線で表現されています。

赤い線であるソコーリニチェスカヤ線は、モスクワ最初の地下鉄です。1935年に開通し、その建築様式は当時の社会主義リアリズムという芸術文化の影響を受け始めています。

『メトロ』シリーズにおいて、この「赤い線」は逃げ込んだ人々の性質から「攻撃的な共産主義的」駅群として成長した姿が描かれます。

限られた物資で危険なメトロを生き延びるため、環状線の駅達は同盟関係を築き上げました。このことで環状線を分断する「赤い線」はその思想も相俟って孤立し、狂暴性を強めてしまったのです。

地下鉄表示としての赤い線を、ゲームの中で赤い思想として表現するなど、「ロシア文学らしさ」を感じられる世界観です。ゲーム中においても、主人公アルチョムを苦しめる存在として登場します。

シリーズを通して描かれる独特な世界観はこれだけではありません。ポスト・アポカリプスは人気のあるジャンルで、良くも悪くも似たような世界観になってしまいがちです。そんな中『メトロ』世界の中で生き抜く人々から描かれる姿は強烈なオリジナリティを生み出しています。


地下鉄内の通貨は「軍用弾薬」が採用されていて、何を買うにしても質の良い弾薬が必要です。過去作のゲーム内では武器としても使用可能で、これらは通常の弾薬よりも威力の高いものとして利用できました。

核汚染によって荒廃した地上は人体には悪影響が強く、ガスマスクを装備しなければなりません。フィルターは短時間しかもたないので、定期的に交換する必要があります。このことで、過去作では地上から地下鉄へ戻ったときに安堵するという倒錯した体験を得られました。

また、暗い地下鉄を探索するためにはライトが欠かせません。しかし、限られた資源で作られたライトは充電が弱く、定期的に手動で充電しなければなりません。


更に、アルチョムが装備するブレイサー(手首の防具)には、ニキシー管の腕時計が装備されています。銃を構えていても常に確認できるよう、腕時計は内向きに装備されています。

このようにして、一見すると荒唐無稽に思える世界観の中でも「かっこよくて・ちょっとリアル」な要素が光ります。現実の日本でサバイバルゲームをたしなむ人の中には、『メトロ』シリーズを遊んで「試合中は腕時計を内向きに付けるようになった」なんていう方もいるとか。

過去作で体験できた「怖さ」


『メトロ 2033』より

荒廃した世界から逃げ込んだ先は地下鉄での暮らし……そこは、集まった人々が築いた不思議な生活感で満たされています。原作の小説もさることながら、ゲーム版『メトロ』シリーズはFPSのステージとして構築する上でも、その雰囲気を上手に表現していました。

居住空間である駅から1キロも離れてしまえば、そこは何が棲みついているのか予測のつかない危険なエリア。モンスターに壊滅させられた駅、迎え撃つための前哨基地を築く駅……先の「同盟」はこうした問題に対する一つの知恵であるとも言えます。

逆に危険を冒すことはチャンスでもあり、一攫千金を狙った商人が行き来する場面も描かれました。そして、駅の住民達は少なからずそうした商人たちに頼らざるを得ない場面もあるのです。

『メトロ リダックス』より

主人公アルチョムはトンネルを踏破しながら、数々の表情を見せる駅に立ち寄っていきます。駅に辿り着いた時の安心感は『メトロ 2033』『メトロ ラストライト』の大きな魅力のひとつと言ってよいでしょう。

『メトロ エクソダス』では、「エクソダス(脱出)」という名が示す通り「地下鉄からの脱出劇」が描かれます。過去作に比べて地上での活動が増えますが、暗い地下の探索は健在。今作でも孤独感との闘いからは逃れられません!!

長らく「地上での生存は不可能」だと思い込んできたアルチョム達ですが、今作ではその考え自体に疑問が投げかけられます。仲間も居る、地上にも出る……しかしながら「孤独」であるという、新たな形の孤独感の進化をお楽しみください。

絶妙なスパイスとなる「生き残る為の制限」


何度も握り込んで自家発電

こうした『メトロ』の世界観では、危険な場所を移動する場合には様々な制約がかかることとなります。汚染地域ではガスマスクが外せず、定期的にフィルターを交換しなければなりません。

前述のように暗い場所を歩く場合は、ライトがなければ何も見えません。充電をこまめに行わなければ、いざというときに視界が奪われてしまいます。

こうした制約はゲームプレイにおいて、ともすれば「不自由で面倒なもの」と捉えられてしまいます。しかしながらストーリー主導型の『メトロ』シリーズでは、この配分を上手に調整しており、決して理不尽なものとはしませんでした。

この制約によってプレイヤーは主人公になりきり、知恵を使って活路を切り開いているかのような体験を、気持ちよく味わわせてくれるのです。

バリエーション豊かな敵キャラクター



敵は、イデオロギーの対立により戦う人間だけではありません。『メトロ』シリーズは、核戦争による汚染が原因とみられる変異体(ミュータント)が多数登場します。

放射線の影響で生まれたミュータントと言えば、ポスト・アポカリプスでおなじみの設定ですが、『メトロ』シリーズはこれを単なる「敵」という設定では終わらせませんでした。

前述した「ダークワン」の存在によって、主人公アルチョムが主人公たる理由を持つことになります。ここにホラーだけではないSF的な要素が展開され、人類が様々な理由で戦わねばならない世界観の説得力に貢献しているのです。

『メトロ』シリーズが評価された要素のひとつに、エンディングへ向けた対比があります。『メトロ 2033』『メトロ ラストライト』ともに、プレイヤーの行動で変化するエンディングが2つずつ用意され、それらは「核戦争により壊滅した人類の行動」と「プレイヤーの行動」を鏡写しにする構成で描かれました。

その上でひとりの青年に過ぎない主人公の苦悩が、プレイヤーの視点で感情移入の理由に育ち、大きなテーマを投げかけてくるのです。ダークワンの存在が過去2作の重要な位置を占める強い理由がここにあります。

要求される多彩な戦闘!



前述のように、敵は人間だけではありません。それは、戦い方をいくつも想定する必要があることを意味します。資源の限られた世界では、弾薬も決して十分ではありません。

人間ならば「頭に一発」で済む場面も、モンスターとなれば話は変わります。貴重なショットガンを連射するのか、遠くから安い弾丸で地道に攻めるのか……いや、突然現れたモンスターを相手にそんな選択の余地はないのかもしれません。

灯りを消せばステルスが有利に

時には人間の占領地を攻略しなければならない場面にも遭遇します。『メトロ』シリーズはステルスの要素が強く、影にまぎれて進むことも多くなるでしょう。

今作もプレイヤーの行動によってストーリーの変化が起こります。相手を無情にも排除するのか、情けをかけて気絶で済ませるのか、攻略中の判断はプレイヤー次第です。

作戦の幅を広げるカスタマイズ機能



『メトロ エクソダス』は過去作に比べて装備のカスタマイズが強化されました。多彩な戦闘に対応するためにも、カスタマイズを活用しましょう!

過去作では駅にある店で武器を購入する際に、いくつかのパーツを追加して強化するシステムでした。しかし今作はいつでもパーツを付け替えられるシステムとなり、状況に応じて武器の強みを変化させられます。

アルチョムは仲間から託されたバックパックを装備しており、探索中はいつでもアクセスできます。バックパックでは一部の簡易な弾薬やフィルター、回復アイテムをクラフトできるので、戦闘の配分を考える楽しみが生まれています。クラフトには素材が必要なので、攻略の道中でもすみずみまで目を凝らしていくことになるでしょう。

追加できるアタッチメントはオレンジで表示されている。解体して入手可能。

新たなパーツを入手するには、敵が落とした武器を解体して発見する必要がありますが、一度入手すれば常に利用可能です。

持ち出せる武器は3種類までですが、新たな武器を一度発見すれば仲間が管理してくれるので、拠点に戻りさえすれば必要に応じて武器を変更できるようになります。


拠点や一部の場所に設置されている「作業台」にアクセスすれば、弾薬のクラフトや銃の整備も可能です。クエストの区切りが良いタイミングで、物資と相談しながらコンディションを整えていく「やりくり」を楽しめます。

「半オープンワールド」の探索で新時代に対応



ストーリー主導型のFPSは「一本道すぎる」という側面があります。映画的な怒涛の体験ができる代わりに、プレイヤーの自由度が少ないのです。

『メトロ 2033』『メトロ ラストライト』も例にもれず、一本道(リニア)な構造でした。文学作品のような雰囲気や、駅での生活を表現するというメリハリから落ち着いた体験が生まれていたことで、デメリットとしての不自由さを感じることは少なかったかと思います。

しかし、トンネルの恐ろしさを感じる魅力として「一本道の狭苦しさ」が敢えて役立っていたという側面があったものの、開発者の思惑通りにしか進行できない感覚はどうしても拭えませんでした。

チャプターを進めると異なるマップに

今作では「オープンワールド」のように自由な探索を可能とする広めのステージが複数用意されています。ただし、近年のFPS/TPSタイトルに見られる超広大なオープンワールドとは異なり『メトロ エクソダス』のマップは比較的小さめです。

こうした少し広めの世界をある程度自由に探索しながらクエストをこなし、重要なクエストが終了すると「次のワールド」に移動していく、というのが今作のシステム。言わば「ステージクリア型のオープンワールド」です。そのときに位置しているワールド内では自由な探索を可能としつつも、メインのストーリーラインはきっちりと主導型で進んでいくスタイルになりました。

探索をそこそこに、さっさとメインストーリーを進めてしまうのか、後述するサブクエストやアイテム探索をじっくり行うのか、プレイヤーが選択できるようになるわけです。

サブクエストと豊富な「キャラクター反応」



『メトロ エクソダス』は「半オープンワールド」化したことで、ストーリー主導型のFPSでありながらサブクエストを充実させました。

メインストーリーの攻略に有利となるサブクエストもあれば、一見して大したことのないサブクエストまで、いろいろと存在します。他作品のように、クエストリストのようなものはなく、あくまでもキャラクターとのやりとりの中でサブクエストの存在が匂わされるという設計になっています。

メインストーリーが進むクエストについては、マップ上に大きなマーカーが付くので意図せず進めてしまうような状況は防がれています。キャラクター達とのやりとりで出てきた「注目すべき場所」は小さなマーカーが付くので、サブクエストのアタリを付けることは可能です。


サブクエストの状況によっては、キャラクターの反応が少しずつ変化します。あれを取ってきてほしい!というお願いを聞き入れたあとは、別のキャラクターがそのことに言及してきたりと細かく作りこまれていて、サブクエストの魅力を高めています。

『メトロ エクソダス』は設計方針として、ひたすら繰り返して稼ぐタイプのクエストや、単なるボリュームアップのクエストは採用していません。このため、サブクエストの数は決して多くありません。

しかしながら、全てのサブクエストは何らかの形でメインストーリーに絡むように用意されており、ストーリー主導型のFPSを世に送り出す開発者たちの「意地」を感じられるでしょう。

没入感を高めるローカライズは実績ある布陣で


渋い声で朗読される!

映画は字幕派という人も多い中、「街の喧騒」といった音声による環境音の表現は難しい実情があります。字幕の場合、騒がしい場所で背後に流れる言葉はほとんど聞き取れないのです。

『メトロ』シリーズの世界観を構築する重要な要素に、「駅の人々の生活」があります。駅の中を歩くとき、物語には直接関わらないちょっとした会話や、道はずれの独り言などを聞くこととなります。

メインのセリフ以外に「喧騒」の一つとして描かれるこうした言葉の数々にも、丁寧な日本語化で高い評価を獲得していたのが、スパイク・チュンソフトによる過去作のローカライズでした。

FPSとしては異色の文学的な雰囲気を持つ主人公アルチョムを演じるのは、てらそままさき氏です。シリーズでは他の登場人物と直接発話する形のセリフが無いものの、ステージの幕間に表示されるアルチョムの「独白」を読み上げます。シンプルな場面での演技でありながら、若さだけではないアルチョムの不安や決意を渋く深く演じたその実力は、いぶし銀のラジオ朗読のようでもあり、今作でも遺憾なく発揮されています。

独白はチャプター間だけではなく、ストーリーの進行に合わせて細かく用意されている。こまめにセーブ&ロードしてチェックしよう

ミラー役の間宮康弘氏、アンナ役の田中敦子氏と、メインキャラクターもおなじみの配役。実績ある布陣で『メトロ エクソダス』の確かなローカライズがプレイヤーを待っています。





文学作品に裏打ちされた『メトロ』は、トンデモ設定になりがちなFPSというジャンルを引き締め、味のあるタイトルを生み出しました。『エクソダス』は、最新世代のゲーム性に合わせながらも、ストーリー主導型という魅力をブレずに追及して開発されています。個性的な世界観の空気を存分に味わうために、「日本語ローカライズ」の素晴らしい仕事もぜひ堪能してください。

製品情報


    『メトロ エクソダス(METRO EXODUS)』


    プラットフォーム: Xbox One/PlayStation 4
    ジャンル: シネマティック・サバイバルシューター
    発売日: 2019年2月15日
    希望小売価格(通常版): 7,800円+税
    プレイ人数: 1人
    CERO Z(18歳以上対象)

    ■ダウンロード専売 『メトロ エクソダス ゴールドエディション』 収録内容
    配信価格: 11,000円+税
    Xbox One版
    ・ダウンロード版『メトロ エクソダス』
    ・シーズンパス

    PS4版
    ・ダウンロード版『メトロ エクソダス』
    ・「Spring」ダイナミックテーマ
    ・サウンドトラック
    ・シーズンパス


※記事内に挿入している『メトロ エクソダス』のスクリーンショットは、国内PS4版のものです。
《Trasque》

一般会社員 Trasque

会社員兼業ライターだけどもうすぐ無職になりそう

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