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中華ゲーム見聞録:ノスタルジックADV『随風而逝』仕事と時間に追われたビジネスマンの哀愁物語

「中華ゲーム見聞録」第32回目は、味のあるドット絵で表現されたノスタルジックな世界観の見下ろし型アドベンチャーゲーム『随風而逝(Story About Times)』をお届けします。

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「中華ゲーム見聞録」第32回目は、味のあるドット絵で表現されたノスタルジックな世界観の見下ろし型アドベンチャーゲーム『随風而逝(Story About Times)』をお届けします。

本作はcdhy interactiveによって、2月25日にSteamで早期アクセス版が配信されました。タイトルの『随風而逝』は「風と共に去りぬ」という意味。早期アクセスということもあり、ゲーム自体はまだ序章までしか開発されていないようです。古い写真のようなセピア色の見下ろし型アドベンチャーゲームで、Steamのストアページにある画像を見るだけでも何やら懐かしさが込み上げてきます。「戦闘のないRPG」とも説明されているので、名作インディーRPG『アンダーテイル』を思い出しました。『アンダーテイル』もどこか懐かしさのあるゲームでしたね。


本作のテーマは、英語タイトルの通り「時間」です。ストアページの説明では、「時間は私たちにとって、唯一抗うことのできないものです。人や出来事は一度失われてしまうと、永遠に取り戻すことができません」と書かれています。なんだか切ないストーリーが展開されそうな予感ですが、いったいどんなゲームなのか。さっそくプレイしていきましょう。

ゲーム開始から謎だらけ


序章オープニング


ゲームが始まると、サラリーマン風の男が登場します。彼が主人公のようですが、説明は一切ありません。それにここがどこなのかもわかりません。画面下から赤い提灯のようなものが現れ、空を飛んで男の前に現れます。「孔明灯」と呼ばれる、空を飛ぶ小型の熱気球です。諸葛孔明が司馬懿の軍勢に囲まれたとき、この空飛ぶ提灯を使って援軍を呼んだという伝承があります。


「周囲を探索すると、孔明灯が移動する」との説明があったので、言われた通りに周囲を調べてみます。点滴を調べると、点滴の使用方法についての説明がなされます。そして孔明灯が動き出し、道の先を照らしました。点滴があるということは、ここは病院なのでしょうか。


さらに進むと絵画があります。病院の中というわけでもなさそうですね。物を調べると孔明灯がどんどん先へと進んでいきますので、後についていきます。それにしても主人公の体が半透明なのが気になります。もしかして幽霊?


次は浴槽や本の山、心電図があります。浴槽は「引っ越しのときに捨てるものだった」とのこと。ここは主人公の記憶の中なのかもしれませんね。山積みにされた本は、主人公の娘のもののようです。主人公には家族がいたのでしょう。

影の人たち



古いテレビがあったので、点けてみると中国の国営チャンネルである中央電視台(CCTV)が表示されました。今でこそ中国には多数のチャンネルがありますが、昔は中央電視台ぐらいしか観るものがありませんでした。懐かしい感じの映像で、時間的に7時のニュースが始まるのかと思いましたが、途中で消えてしまいます。

影人のいる通り~謎の子供


調査を続け、やがて部屋の出口にたどり着きました。外へ出るかどうかの選択肢が出現します。探索は終わったので、部屋の外に出ましょう。


画面の上に向かってしばらく細い通路を進んだ後、影の人たちが徘徊する通りに辿り着きました。「1分以内にここから出なくてはならない。影人たちはあなたの時間を消耗させる」とメッセージが出てきます。言葉通り、影人に捕まらないようにしながらここを抜けなくてならないようです。急にアクション要素が入ってきましたね。


通路の壁には中華料理店やカラオケ、ゲームセンターなどの宣伝があります。繁華街でしょうか。途中で影人に捕まってしまいました。どうやら彼らの目的は、主人公をこの空間に引き止めることのようです。制限時間の1分が過ぎてしまったので、もう一度やり直しです。

失われた記憶を探して



影人の通路を抜けると、庭のようなところに出ました。奥のほうに、謎の人物が登場。話しかけると、「あなたの娘の誕生日は29日だ。絶対忘れないように」と言われます。それから「あなたはあのとき横たわって動かなくなった。私はとても悲しんだ」と言い、泣き出してしまいました。話しかけようとすると、謎の人物は消えてしまいました。


さらに奥へ進むと、袖なしシャツのおっさんがいます。どうやら主人公が通っていた学校の宿舎の管理人で、門限を守らないことを怒っています。どうも記憶が錯綜しているようですね。話しかけると、また先ほどの人物のように消えてしまいました。


先ほどのおっさんのそばにあるドアから建物の中に入ります。主人公が言うに、「昔の学校の宿舎のようだ」とのこと。ちなみに本作は、場面が変わるたびに哲学的な内容の日記が表示されます。ここでは「生活とは、空っぽの部屋に閉じ込められているようなものだ。人はそこから出たいと思う一方で、その場にとどまりたいとも思う。問題は、外に出ることができたからといって、それで何ができるのだろうか」という内容。なんだか人生に対する諦観を感じますね。


建物の中は学校の宿舎ではなく、主人公の家のようです。ここで主人公の過去に関する情報を集めていきます。主人公はビールに対する執着のようなものがあるので、冷蔵庫を調べます。中にあったビールを一気に飲むと、めまいを感じました。「最近は仕事の付き合いで、酒を飲む量が増えた」とのことを思い出します。

家族との思い出



冷蔵庫に貼っていたメモを見ると、「小熊のヌイグルミ」と書いていました。部屋を探し回り、ヌイグルミを見つけました。ボロボロになっていますね。どうやら娘が5歳のとき、誕生日プレゼントとして買ったもののようです。「ひっくり返った車のトランクから見つけたのだろう。汚れていて、破れてしまっている」と言っています。


その後、また日記が。妻が主人公に、娘と一緒に誕生日を過ごすよう電話をします。しかし主人公は忙しすぎて、どうにもならないとのこと。先ほどのヌイグルミから考えるに、その後、主人公は娘に誕生日プレゼントを贈ろうとし、運転中に事故にあってしまったということでしょうか。


今度はどこかの公園です。石碑には妻からのメッセージが。「いったんあなたの元を離れます。探さないでください」とのこと。どうも夫婦仲が上手くいっていなかったようですね。仕事ばかりで家庭を顧みない主人公に愛想が尽きてしまったのでしょう。


公園を歩くたびにかかってくる会社からの電話。主人公はかなり多忙で、常に時間が無いようですね。奥のほうにいた娘は、誕生日プレゼントを催促してきます。主人公は「忘れていない。明日の朝に渡す」と言います。


妻からの電話がかかってきました。娘の誕生日を一緒に祝うよう釘を刺されます。さらに酒を飲んで運転しないよう言われました。中国で仕事をすると、宴会は避けられませんからね。近年は政府の腐敗防止運動の一環で「贅沢禁止令」が出て宴会をすることは少なくなりましたが、以前は基本的に何かあるたびに宴会でした(筆者体験談)。

崩壊する家庭



場面はまた室内に。スーツ姿だった主人公がカジュアルな服装になっていますね。どうやら若いころの姿のようで、この空間には母親も登場します。また書棚にある古新聞には「飲酒運転で交通事故」の見出しがありました。


母親に頼まれ、昔の写真を探しにいきます。主人公が子供のころの写真ですね。妹は大人になってからは、遠く離れた都市に住んでいるとのこと。妹も結婚していて、子供もいるようです。忙しいのであまり会っていないようですね。

病院内~妻との不和


部屋のベッドで寝ると、場面が病院内に変わりました。いや、自宅かもしれません。車いすや点滴が見えますね。画面下の2人は妻と、成長した娘さんでしょうか。推測するに、主人公は死んだわけではなく、交通事故の後、意識が戻らずにベッドの上で何年も過ごしているのかもしれません。


先ほどのシーンの後、話がまた過去に戻り、夫婦仲が悪くなっていく描写が入ってきます。やがてベッドで寝ているのは妻だけ。おそらく夫は仕事で家に戻ることが少なくなっているのでしょう。


やがて妻から離婚を言い渡されます。主人公は離婚を避けたいので「娘のためにも、もう少し冷静になってくれ」と言います。しかし妻は「よくも娘を持ち出せたものね。どれだけの時間、娘と一緒にいてあげられたの?」と問います。主人公は「仕事が忙しくて時間がなかった」と答えますが、妻は聞く耳を持ちません。「もう酔っぱらって戻ってくるあなたを見たくない。あなたのとても貴重な時間を私との会話に使ってくれてありがとう」と、離婚届にサインするよう迫ります。この後の展開は、あなた自身の目で確かめてみてください。

現代小説を読むようなストーリー展開


本作は家庭を顧みず、仕事一筋で生きてきた男の物語です。ゲーム自体は探索型アドベンチャーですが、メインとなるのはやはりそのストーリーでしょう。いつも「忙しい」「時間が無い」と言い続け、家に帰るのも遅く、娘と触れ合う時間もほとんどない。やがて妻に愛想をつかされ、娘の誕生日には飲酒運転で事故ってしまう。しかしその後の、記憶の世界においても主人公は時間に追い回されます。ゲームをやっているというよりも、現代小説を読んでいるかのような感じでした。

後半の影人避けは人数が多く、そこそこ難しいです

影人を避けて1分以内にたどり着くというミニゲームも、考えてみればこの「時間制限」は他から強制されたものではなく、主人公自身で設定して勝手に急いでいるだけとも言えます。「時間がもったいない」「他人は邪魔」という気持ちが、影人の妨害という形で現れているのかもしれません。

前述したように本作はまだ早期アクセスで、序章しかありません。序章は30分~1時間もあればクリアできるかと思います。そのため、現時点ではボリューム不足は否めません。開発者によれば、半年で早期アクセスを終了させるとのこと。トレイラーでは後半の場面も登場しているので(操作できるキャラも変わっている)、ある程度はすでに開発済みなのではないかと思います。このストーリーをどう終わらせるのか気になりますので、ぜひとも完成させてほしいです。「信じてほしい。すべてのつらい出来事は、最後には風と共に去っていく」との言葉がトレイラーにありましたので、ハッピーエンドも期待できそうです。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
《渡辺仙州》

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