『エースコンバット』へ至る道―『エアーコンバット22』と初代『エスコン』を繋いだものとは?開発スタッフがシリーズ初期を振り返る【特集】 4ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『エースコンバット』へ至る道―『エアーコンバット22』と初代『エスコン』を繋いだものとは?開発スタッフがシリーズ初期を振り返る【特集】

『エースコンバット』シリーズの原点を知るために、始祖の1タイトルである『エアーコンバット22』開発に関わった大村純氏と夛湖久治氏の2人にお話を聞きました。お二人は最新作『エースコンバット7』の開発にも関わっています。

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『エースコンバット』へ至る道―『エアーコンバット22』と初代『エスコン』を繋いだものとは?開発スタッフがシリーズ初期を振り返る【特集】
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■中・大型機開発者から見た格ゲーブーム―21世紀を目前にトレンドが変わったアーケードシーン


――もしかしたら『エアーコンバット22』と『エースコンバット』という名前が消えていた可能性があったのですね。『22』という名前の数字については、初めてみた時に何を意味しているのかなと思いました。

夛湖氏: (『エアリアルフォース』となったら『エースコンバット』という名前へ繋がらなくなる)可能性はあったかもしれないですね。ただ企画当初は『エアーコンバットII』という名前で練られていました。

(名前が直前で変わったことによる)変更の影響が大きかったのはタイトルロゴをデザインするデザイナーさんでしたね。最後大騒ぎで直した覚えがあります。

大村氏: 社内として名前はわかりやすさ優先で仮称として『エアーコンバットII(仮)』でしたね。

夛湖氏: 少なくとも社長の言葉だったので、そこまで深い考えはなかったと思うのですけれど。ただ初めて聴いたときの反応は「えっ!?」という反応だったかと、「2が一つ多い」みたいな。

大村氏: 今にして思えば(『22』という名前は)意表を突いたタイトル名で良かったかなと半分ぐらい思いますね。

夛湖氏: 「『22』って何だ?」というツッコミが出た時点で「勝ったな」と(笑)。ゲームセンターという派手な環境で目立たなくてはならないので、自然に溶け込んじゃ駄目なので、そのときタイトルに疑問を持たせた時点で勝ちかなと。実はこれは中村社長の光るセンスかもしれないですね(笑)。

――確かに『22』という数字は一目見ただけで色々な意味を考えてしまいますね。またコンソールで初代『エースコンバット』が発売された以降も、『エアーコンバット22』の続編を作る計画などはあったのでしょうか?

大村氏: 残念ながら無かったですね。『22』は会社としてはあまり優れた営業成績が出たわけではないですし。あ、でも、初代と『22』が存在し、「さあ、その次は何を作る」という話があったとき「次はヘリコプターかな?」という声が上からあって、「えっ!?」と驚きながら技術研究を始めたという逸話がありますね(笑)。

で、そのヘリコプターの技術研究の第1段階が終わったあたりで、当時ナムコがテーマパーク「ナンジャタウン」を作るので、そこのアトラクション用ゲームを開発して欲しいという依頼が新規事業系の部署から舞い込んで来たのです。

結局、その技術研究の成果を生かして「戦闘ヘリものを入れましょう」という話に自然と流れて行きました。これが、ナンジャタウンにあったアトラクションの『ファイヤーブル』です。かつて「ナンジャタウン」に設置されていましたが、ずいぶん前に撤去されてしまいましたね。

『ファイヤーブル』をもう少し詳しく説明すると、プレイヤーはコックピット筐体に乗り込んで、小型カメラ付きのHMDを装着します。、コックピットの中で窓に相当する部分が緑色に塗られており、ここにグリーンバック合成を使ってゲーム映像を合成して、窓の外に空を飛んでいる映像が見える、というのを表現しました。

この方法ですと同乗している人を映したまんま、その背景には空や敵のヘリコプターが映るという感じで、今のVRのように別のアバターキャラにする必要がないというのが特徴でVR感を出しました。開発チーム内ではリアルとバーチャルを組み合わせて、「R&VR」と呼んでましたね。

夛湖氏: HMDとグリーンバックを組み合わせたアトラクションで、HMDに付いているカメラによって映像を合成して表現します。いわゆる天気予報番組の状態を思い浮かべていただくのが近いですね。

よく皆さん言うじゃないですか、VRゴーグルに可動ライド筐体を付けたらもっと面白くなると。それがそのままドリームとして実現したうえで、しかもグリーンバック合成も組み合わせていて、こりゃ凄いなと思って見ていましたね。どれだけ凝ったシステムなんだと。確か、あれ専用に特殊基板も作っていました。

大村氏: ただ、あれはレールシューターなので自分で操縦することは出来なかったんですよね。そうそう、『ファイヤーブル』専用基板のSYSTEM SS22 DSというのを使っていました。

夛湖氏: 基板を収める部分がとても大きいフレームで出来ていて、通常のアーケード基板より巨大だったんですよ。あまりに巨大なためオカモチ(出前などで料理を運ぶために使う箱)と呼ばれていました。描画性能やスケールも含めて「なんだこの化け物は…!」という想いで眺めていましたね。

大村氏: SYSTEM SS22 DSは、1つの基板で同時に2画面出力するために大きかったんですよね。

――『ファイヤーブル』のお話を聞いていると、今のMR(Mixed Reality)みたいですね。その当時からそういった知見があったというのが驚きです。『エースコンバット アサルトホライゾン』の戦闘ヘリパートや『7VR』にも繋がりそうなお話ですね

大村氏: HMD自体は技術として古くからありますからね。VR/MRも含めてですが、ブームって定期的に起こりますよね、テクノロジー的な発展をともなって、上昇螺旋を描きながら(笑)

夛湖氏: 10年弱に1回ありますね(笑)、『7VR』モードもそのループの1つなので、VRブームの合間にゲーム業界に来た人からすれば「VR凄い」となりますが、自分達の中では「技術が進化して、歴史がまた綴られていくんだなぁ」と思いましたね(笑)

――『22』がアーケードで稼働したのは1995年3月からで、当時はPS互換アーケード基板SYSTEM 11で誕生した『鉄拳』がPlayStationに初めて移植されたのと同時期です。中・大型アーケード開発者として当時の格闘ゲームブームをどう眺めていました?

大村氏: 当時は部署的に近いところで『鉄拳』を作っているのを見せてもらいましたが、「凄いものを作っているな」と素直に思いましたね。


夛湖氏: 私は中・大型機で特に『スターブレード』に憧れて入ってきたので、当時「中・大型機は最強だ!」と天狗になっているところがあって、『鉄拳』が動いているところをみて「うん!中・大型機はまだまだいけるな!」と(笑)

当時は本当に天狗になっていて、このままSYSTEM SUPER 22の次はSYSTEM 23とどんどん数字が発展してもっと凄い未来が…!っとか思っていましたね(笑)

同期が(『鉄拳』の開発に)行っていたのでアピールをしてくるんですよね「うちらもポリゴン基板が使えるようになったよ、こんな風に動くようになったよ」と。


大村氏: 『鉄拳』は(対戦で)勝ったらフルーツが増えていくじゃないですか。そのアイコンが『パックマン』のチェリーとイチゴ、そしてリンゴというのが、凄くセンスが良いなと思いましたね。

夛湖氏: 大村はやっぱり見ているところが違うな…!

大村氏: そういう小ネタが好きなんだよね、僕は。でも、知らない人にはとことんわからないかも(笑)当時はそういう小ネタにもまだまだ付いてこれる人達が多かった時代でしたね。

――他にも当時は格ゲーブーム最盛期でしたものね。ゲーム雑誌にあった当時のアーケード人気ランキングで、『エアーコンバット22』が10位以内にあったものの『バーチャファイター2』はその3倍の人気があったということにも驚きです

大村氏: 『バーチャファイター』とか人気でしたものね。『鉄拳』が出て、PlayStationと互換性があるSYSTEM 11を使ったため家庭用でも出せたし、リリースしたら家で練習したお客様がまたゲームセンターなどに戻って対戦に挑むというサイクルが出来たのが良かったですね。


夛湖氏: 懐かしい話ですね。(95年以降は)どんどん対戦格闘が発展していって、中大型アーケードとか、コア向けゲームから一般のお客様向けゲームや家庭用ゲームにシフトしていった時代ですね。。当時の私はコア向けゲームに、まだまだ天狗でしたが(笑)

私は『スターブレード』に憧れて中・大型機の盛り上がりの時期も経験しましたので、家庭用ゲーム機の発展には当時はちょっとした戸惑いを感じましたね。天狗になっている一方、「いつか家庭用を作るんだろうな」という思いもありました。結局、この後にPCゲームの方の開発にも触れることになるんですが(笑)。

――ナムコのPC展開…、もっと言及すればFPS『Counter-Strike NEO』を2005年近辺にLinux互換アーケード基板SYSTEM N2で展開していましたよね。当時Valveの『Half-Life 2』の存在を知ってPCゲームに入ってきた所だったので、「アーケードとPCゲーム文脈が合流する」ことに驚きました

夛湖氏: 『Counter-Strike NEO』はPCゲームかつ、FPSという完成されたジャンルをゲームセンターに持ちこむ実験的な作品でした。私はそれに続くタイトルとしてUGSF世界観のRTS『NEW SPACE ORDER』を作っていました。

「FPSが出来たから、次はRTSの対戦だろう」という感じでしたね。当時話があった時に、『CS NEO』の2番目という形で入れましょうかという話でしたが最終的に頓挫してしまいましたね。業務用のアーケードゲームでもRTSが成立するように作ってきたので、開発中止になったのは悔しかったですね。


徐々に時代がPCや互換基板など、量産しやすく性能も年々上がる基板が出てきたので、スペシャルな専用アーケード基板を1つ作っても…というような状況になりつつありました。

――UGSFと言えばO.R.B.S筐体を使った『スターブレード』新作がかつて開発されていたのも驚きでした

夛湖氏: 大村が先ほど言っていたHMDでのVRを開発している一方で、ゴーグル無しでも体験出来る没入感という目的で、半球体筐体のO.R.B.Sが誕生しました。「この手のゲームで乗り込みタイプとなれば『スターブレード』でしょう」という所から、最初は有志で開発されていましたね。

また私が『NEW SPACE ORDER』へ行く前に、このプロジェクトに拝み倒して参加したものの、『NEW SPACE ORDER』のプロジェクトに火が付いたため、入って1週間で出ざるをえなかったという悲しい思い出もあります(笑)。

最終的にO.R.B.S筐体は形にならなかったのは凄い悔しかったです。『スターブレード』の芽を消したくなかったので、後にP.O.D.筐体となった『機動戦士ガンダム 戦場の絆』は全力で取り組んで、なんとか筐体自体は転用できました。が結局『スターブレード』を未だに載せることが出来なくて悲しいですね……。


――そんな経緯があったのですね、いつか『スターブレード』の新作をプレイしてみたいです。また90年代後半からのアーケードではUGSFといったSF物から、『リッジ』など現実の延長線上にあるゲームが人気になっていったようにも感じます

夛湖氏: 90年代以降はより現実チックな方向性へと切り替わっていきましたね。『22』以後、私は『アルペンレーサー』の開発で「現実体験のゲーム化」という方向に方針がシフトしていきました。『22』などコア向けとSF系に寄るものは、当時のゲームセンターの市場的に難しいかなという感じでしたね。

これ以降「ゲームセンター」という呼び方から「アミューズメントセンター」へと変わりましたし、一般層にどうアピールするか会社自体も努力したなか、中・大型機もその層に応えるように作っていこうという雰囲気が出来上がっていました。時代の趨勢をダイレクトに食らっている感じでしたね。

――最後にアーケード向けとして独自に発展してきたハードウェアが、21世紀前後を境にコンソール互換に飲み込まれていってしまっていくのを夛湖氏や大村氏はどのように眺めていました?

夛湖氏: 自分の中で天狗の鼻が折れてしまった気持ちがありましたね…。基板のコストが高いことは知っていましたが、もはや「コストの高い基板や筐体=スペシャリティ感が通じないのだな」という寂寥感はありました。

当時は、他のメディアでも言及されたことがありますが、未発表のSYSTEM 30系列が内部研究されていた事に加え、SYSTEM 20系列が改良され続けたため、自分の中で「(後々)30系に行くだろう」と思っていました。

しかしながら結局30系列の開発が中止となり、PS互換の10系列の系譜が更新され続け、やがてPS2互換のSYSTEM 256などに伸びていきました。中・大型機の開発が以前よりも厳しくなってきたなか、PS互換基板が主流になりつつもあり「時代は変わるのだな」と思いましたね。

10系列もそうですが、ドリームキャスト互換のNAOMI基板も含めて、家庭用ゲーム機器からの流用が多くなった時代でもありましたね。

大村氏: 時代の流れですよね。90年代前半はアーケード基板の方がスペック的にも上でしたが、コンピュータ・ハードの技術的な進歩が大量生産される家庭用ゲーム機にまで波及しましたし。

PS互換のSYSTEM 10基板が量産出来るまで技術も進歩したので、少量生産の業務用基板が持つ優位性を示すのが、なかなか難しくなってきてしまったなと当時思ったことを覚えています。後にPS2が出たときにも同じように思いましたし、「やはり、これは時代の流れだな」とつくづく思いました。

――時代の流れに影響されてしまいやすいのですね……。ただ昨今のアーケード事情を見ていると、バンダイナムコなら2018年12月に『ジョジョの奇妙な冒険 ラストサバイバー』を発表していたりと、まだまだアーケードで挑戦的なタイトルを出しているなと感じました

夛湖氏: アーケードは、多少挑戦的なものを出しても、お客様が受容してくれる強みがありました。コンソールだと投資額が大きすぎるので、あまり実験的なタイトルを出しづらいですが、(アーケードは)新しい試みや新しい挑戦をお客様がダイレクトに評価していただける良い場所でもあるので、まだまだ手垢が付いていないところが結構あると思いますね。(少し間を置いて)とはいえ、ナムコは癖が強いハードを作るのが好きなので、使い方が少し特殊過ぎだったと思わなくもないんですよね(笑)。

大村氏: なんていうか、ピーキーなんだよね!いい意味で。どこか何かしら、とんがっていると言うか。

夛湖氏: そうピーキーですね!基板だけじゃなくて筐体も「こんな豪華な化粧板が必要?」や、「コストをかけすぎじゃないか?」というぐらいのピーキーっぷりを見せてくるので。飾りやハードウェアにしても、使い方を1歩間違えば大変だなと思いましたね。でも、きっとお客様はそういったところにも惹かれて、遊んでくださったし、これからも遊んでくださるんじゃないかなと思っています。

――貴重なお話本当にありがとうございました。



以上が『エアーコンバット22』に関するインタビューです。今まで『エースコンバット』シリーズのアーケードタイトルを含めた初期作品に関しては、その発端に至るアイデアを含め詳しい話が出ていなかった事もあり、ユーザーが原点を振り返ようとしても出発地点がわかりませんでした。今回のインタビューで、初代『エアーコンバット』から現在の『エースコンバット』が持つ「ヒーロー体験」が盛り込まれていた事が大きな発見です。

加えて、『エースコンバット』と『エアーコンバット22』、そして『7』への繋がりだけでなく、90年代のアーケードゲームシーンも語られたため、当時を知る貴重なインタビューとなりました。一方で『エースコンバット7』に関しては、初夏からDLCが配信される予定なので楽しみに待っていましょう。
《G.Suzuki》

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