【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く? | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?

家庭用ゲーム機/モバイル展開、格闘/FPS/カードゲームなどを立て続けに発表したライアットゲームズですが、『リーグ・オブ・レジェンド』から始まった彼らのe-Sportsシーンは今後どのように動いていくのでしょうか。

PC Windows
【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?
  • 【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?
  • 【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?
  • 【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?
  • 【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?
  • 【特集】10周年を迎えた『リーグ・オブ・レジェンド』e-Sportsシーンの今後を予想―FPS、格ゲー、カードゲーム…次はどう動く?

11月11日に2019年度世界大会「2019 World Championship」が閉幕した『リーグ・オブ・レジェンド』ですが、ライアットゲームズは10月中旬に同作の10周年を記念して新タイトルを立て続けに発表していました。モバイル版『チームファイト タクティクス』、『レジェンド・オブ・ルーンテラ』、『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』、『Project A(プロジェクトA)』、『Project L(プロジェクトL)』、『Project F(プロジェクトF)』の6作品は、MOBAやe-Sports系ゲームのファンならば続報が待ち遠しいところではないでしょうか。

この中でも『Project F(プロジェクトF)』はRPG系タイトルと見られており、e-Sports展開は考えにくく、これを除く新作5タイトルと『LoL』がメインに展開されると思われます。そこで本稿では、各タイトルのゲームプレイについても挟みつつ、気になるe-Sports展開まで予想してみます。



『レジェンド・オブ・ルーンテラ』



レジェンド・オブ・ルーンテラ』は『LoL』の世界観をベースにしたカードゲームです。登場するカードのフレーバーテキストには『LoL』の世界をさらに詳細に記しているものもあり、カードゲームファンはもちろん純粋な『LoL』ファンも楽しめそうなゲームとなっています。筆者の体感としては一回の試合にかかる時間は10分~25分ほどですが、デッキの構築内容により試合時間は大きく変わります。PC・モバイル間のクロスプレイに対応し、2020年初頭にはPC版のベータテストが予定されています。

■e-Sportsシーンへの展開

同じカードゲームということもあり、本作は『ハースストーン』のようなe-Sports展開が予想されます。『ハースストーン』の公式大会はマスターズ予選、マスターズツアー、グランドマスターズといった3部のリーグで開催されています。マスターズ予選シーズンの選手層は広く、ほぼ「プロアマ問わず」といった形式。その予選を勝ち抜いたチャンピオンは、マスターズツアーへの参加権を手に入れることができます。そういった下部大会を制し賞金を得た選手の中から、より良い成績を残している選手がグランドマスターズへ招待されます。

間違いなく多くのプレイヤーが生まれるであろう『レジェンド・オブ・ルーンテラ』。こうしたカードゲーム型e-Sportsの大きなテストケースがあるので、最初のうちは似たような展開をしていくと予想します。

■『ハースストーン』『MTG ARENA』プレイヤーも興味

見逃せないのは『ハースストーン』や『MTG ARENA』で活動するプレイヤー/チームです。特に「Tempo Storm」の参入は確実だと思われますし、カードゲーム型e-Sportsのノウハウを持ち合わせているであろう「G2 Esports」 も早期参入が見込まれます。


「G2 Esports」のThijs選手は、人気ストリーマーであり、『ハースストーン』歴代の生涯獲得賞金上位に入っています。『レジェンド・オブ・ルーンテラ』のクローズドテストにも参加していたので、今後の競技シーンでその活躍が見れるかもしれません。


「Team NRG」のAmaz選手は、『ハースストーン』と『MTG ARENA』のプレイヤーとして活躍。その知名度で「Amaz Team League Championship(ATLC)」をプロデュースしたりとゲームプレイ以外でも広く活動しています。Thijs選手と同じく『レジェンド・オブ・ルーンテラ』のテスト配信をしていたので、競技シーンに出てくるのは間違いないのでは。

『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』



PC版『LoL』のルールをそのままに、スマートフォンでプレイできるようになった移植モバイル版。チャンピオンの3Dが作り直されていたりと、かなりの気合の入りようです。ゲーム内課金要素もPC版と変わらず、Pay-to-Winのルールは完全排斥されています。

■e-Sportsシーンへの展開

モバイル向けMOBAのe-Sportsシーンといえば『Vainglory』が良い前例として挙げられるのですが、2019年現在ではその規模を縮小しています。開発元のSuper Evil Megacorpは、2014年のゲームリリース以来、e-Sportsプログラムの構築に多くのリソースを割いていました。それにより、ゲーム自体の開発に十分なリソースが回らなくなってしまい、結果としてe-Sports展開規模縮小という形になってしまったのことです。

そして2019年11月、Super Evil Megacorpは『Vainglory』の運営権およびパブリッシングの権利をRogue Gamesに譲渡。『Vainglory』は新たな局面を迎えようとしています。

一方で、ライアットゲームズに関してはすでに世界規模の基盤が用意されています。e-Sports展開においても同じく、多くのモバイル版MOBAプレイヤーが熱心に取り組めるタイトルとなっていくことは間違いないでしょう。

むしろ筆者が気になる点はゲームのバランス調整にあります。当然、モバイル版の操作性はPC版と大きく異なることでしょう。モバイル版ならではのメタ、ミクロ、知識などが新たに構築されていくため、PC版とモバイル版それぞれに対して個別の調整を行っていく必要がある、というポイントが課題になっていくと予想します。

■モバイル向けMOBAからの参戦は?


『Vainglory』や『Arena of Valor』など、モバイル向けMOBAの既存チーム/プレイヤーが多く流れてくる可能性は当然ながら高いでしょう。筆者が特に気になっているのは、2017年から『Vainglory』部門を設立、活動している日本のプロゲーミングチーム「SCARZ」。『LoL』部門は現在休止中ですが、『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』で再びプロシーンに帰ってきてもらいたいですね。


東南アジア地域では『Arena of Valor』のe-Sportsシーンは非常に活発。大きな賞金付き大会も多く開催されています。中国のテンセント社が提供していることもあり、活動のための豊かな土壌があることは確かです。

『Arena of Valor』国際大会Garena Challenger Series Summer 2019での優勝を果たしたHong Kong Attitudeは『LoL』競技シーンでも知られているチームで、『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』への参入が期待できます。『LoL』で見せる攻撃的なマクロをモバイル版でも見たい……!というのが筆者の本音だったりします。Hong Kong Attitudeだけでなく、東南アジア地域全体のモバイル向けMOBA参画チームにとって『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』が大きな存在となっていくのは間違いないでしょう。

モバイル版『チームファイト タクティクス』



チームファイト タクティクス(以下、TFT)』のモバイル版は、PC版とのクロスプレイが可能とのこと。「TFT」は8人のプレイヤーがフリーフォーオール形式で戦うストラテジーゲームであり、『LoL』のチャンピオンやアイテムを戦略的に活用し、他のプレイヤーを倒すことが目的となります。その戦いはサモナーズリフトとは異なる戦場で繰り広げられます。1試合にかかる時間は15分~40分ほど。バトルロイヤル形式でもあるため、生き残れば生き残るほどプレイ時間が長くなります。海外では「TFT」の賞金付き大会が既に開催されていて、なかでも「TwitchCon」での「TFT」大会の優勝賞金は16,200ドルと高額でした。

「TFT」は多くの主要国で大きな普及率を誇るスマートフォンをプラットフォームとして利用できるようになり、PC版をはるかに上回る数の潜在的なプレイヤーを手に入れることになります。ゲームにおける競技シーンは、プレイヤーの多さに比例して水準が上昇していきます。そしてプレイヤーが多ければ多いほど多くのプレイ統計からゲーム調整を行えるので、「TFT」のようなランダム性を多分に含むゲームは、プレイヤーからのデータ収集による調整が不可欠となります。


オートチェス系e-Sportsの前例としては、Dota2の有志制作カスタムゲーム『Dota Auto Chess』があります。こちらはプレイヤー数が減少傾向にあり、同作を遊んでいたストリーマー/プロゲーマーの多くが「TFT」に移動していました(HafuScarradogdog等)。

多くの新規プレイヤーの獲得を見込める「TFT」は、良質なチャンピオン、アイテム、シナジー、ランダム部分の調整を行っていけるでしょう。PC版『LoL』の大会と併催する形で、ライアットゲームズ公式の「TFT」競技イベントが開かれるのではないかと考えます。

■「TFT」のe-Sportsシーンの変化は?

PC版とのクロスプレイに対応しているため、大きな変更が加わったり、プロシーンに出てくる選手層などは大きく変わらないと思われます。それでも、スマートフォン対応によるプレイ人口の大量増加は間違いないでしょう。「オートバトラー」とも呼ばれるこのジャンルはPC/モバイルで大きくユーザー数を広げてきましたが、「TFT」がどういったチーム、選手、ストリーマーが台頭してくるのか非常に楽しみです。

『Project A(プロジェクトA)』(仮称)



Project A』はキャラクターベースのタクティカルシューティングです。執筆段階では公開されている情報が少なく、ゲーム内容のヒントは断片的なプレイ映像からしか得られません。

キャラクターごとのユニークなスキルによってマップ構造を有利に立ち回ったり、味方への支援や敵プレイヤーへの攻撃が行えることから、『オーバーウォッチ』や『レインボーシックス シージ(以下、R6S)』のようなプレイ体験を予想できます。これら2タイトルの競技シーンはどちらもメジャーなので、『Project A』も世界規模での大会を期待できます。

その一方で、こうしたキャラクターベース対戦型FPSは大きな問題を抱えています。それはOP(オーバーパワー、「強力過ぎる」の意)キャラクターの存在です。『Counter-Strike: Global Offensive』のような作品では、プレイアブルキャラクターの格差がない状態で対戦できますが、各キャラクター毎の強い部分、特徴的な部分が大きいキャラクターベースを採用するということは、その能力調整がハードルになり得ます。キャラクターベースの作品では、マウスコントロールの技術差(エイム)やマップ理解度以外にも、より複雑なメタの理解が求められるでしょう。

今回例に挙げている『オーバーウォッチ』『R6S』に関しては、エイムとマップ理解度に加え、キャラクター性能の理解、キャラクターマッチアップが競技シーンに大きく影響しています。ライアットゲームズは、キャラクターを選ぶところから戦いが始まるプレイ体験を細やかな調整で解決していく必要があります。これは『LoL』におけるBan&Pickと同じ課題ですね。

『R6S』でのプロリーグ等では1試合ごとにマップ選択を行ったのち、使用不可キャラクターを選ぶ「BANフェーズ」を行います。そこから、各チームごとに使用キャラクターを選ぶ「Pickフェーズ」へ移行。使用可能/不可能になるキャラを選ぶことで、プロシーンでの戦略性は深みを増しています。

競技シーンのファンであればご存知と思われますが、すなわち「このマップではこのキャラクターが強い、相手のチームにはあのキャラクターの操作が非常に上手なプレイヤーがいるからBANしよう」など、ケースバイケースでの柔軟な戦術選択がゲーム開始前から始まるのです。『Project A』も同様、参入プロチームに多くの戦術を求める競技シーンが広がりそうです。

■「オーバーウォッチ リーグ」参加プレイヤーにも注目


開発中の映像からも『オーバーウォッチ』との類似点が確認できるため、『Project A』競技シーンには「オーバーウォッチ リーグ」のチームが参入してくるのではないかと筆者は予想します。

しかしながら、Blizzard Entertainmentは『オーバーウォッチ2』を発表済み。ナンバリングタイトルに選手が移行していくスタイルは、『Call of Duty』『バトルフィールド』シリーズでも頻繁に見られます。「『Project A』と『オーバーウォッチ2』のどちらを選ぶか?」といった選択に直面するプロゲーマーも出てくるかもしれません。独自の味付けでキャラクターベースの対戦FPSをどう進化させるのか、あるいは競技シーンにどのような変化を与えていくのか。『Dota』『LoL』『HotS』とは経緯も背景も異なりますが、どちらの動きも要注目です。

『Project L(プロジェクトL)』



Project L』は『LoL』の世界を舞台にした格闘ゲームの仮称です。本作の開発は初期段階であり、現時点では情報がほぼ出ておりません。

オーソドックスな対戦格闘ゲームのようなゲーム体験をもたらし、類似したe-Sports展開を広げていくのだとしたら、世界最大規模の格闘ゲーム大会「EVO」などに種目が追加されていくと考えられます。『ストリートファイター5』をメインとして活動しているプロゲーマーたちが『Project L』へ参入したり、プロモーション活動を行っていくかもしれません。

■日本の格ゲー競技シーンを担うプロゲーマー参入の可能性も

「Team GODSGARDEN」所属のプロゲーマー・かずのこ氏は、『ストリートファイターIV』や『GUILTY GEAR』『BLAZBLUE』各シリーズはもちろんのこと、2012年ごろに『LoL』をプレイしていた経験があります。ランクマッチではゴールドランクまで上っていたこともあり、参入が楽しみなプレイヤーです。

『ストリートファイターV』や『SOULCALIBUR VI』で活躍する板橋ザンギエフ氏も気になるところ。『LoL』10周年イベントにも参加していたようで、かずのこ氏とあわせて『Project L』に向けた動向に注目したい選手です。『Project L(プロジェクトL)』は間違いなくビックタイトルとなり格ゲーシーンに大きな影響をもたらすと思いますので、日本の格ゲープレイヤー達も多くの注目を集めているはず、続報に期待ですね!



10月の発表を観た筆者は、Blizzard Entertainmentの『Warcraft』シリーズを思い出しました。『Warcraft』シリーズは、その世界観を引き継ぐMMORPG『World of Warcraft』を始めとして、『Dota』系ゲーム、『ハースストーン』、『Dota Auto Chess(Dota Underlords)』と様々な影響を与えてきましたが、このタイミングで『LoL』にも似たような系譜が作られるかもしれません。Blizzard Entertainmentとライアットゲームズの間にはこれまでも様々な経緯がありましたが、2社の作り出していく大規模なe-Sportsシーンはプレイヤー達にどう影響してくるのか、今後も見守って行きたいと思います。
《Magical_oiso》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

PC アクセスランキング

  1. 「最初から始める」がプレイ途中でも選択可能に!Steam版とPS5版『ドラゴンズドグマ2』仕様変更/不具合修正アップデート配信

    「最初から始める」がプレイ途中でも選択可能に!Steam版とPS5版『ドラゴンズドグマ2』仕様変更/不具合修正アップデート配信

  2. 超ジャンル複合FPS『Outpost: Infinity Siege』アプデでバグ修正&最適化!マルチプレイ周りの変更も検討、TDパートだけをもっと遊びたい人向け情報も

    超ジャンル複合FPS『Outpost: Infinity Siege』アプデでバグ修正&最適化!マルチプレイ周りの変更も検討、TDパートだけをもっと遊びたい人向け情報も

  3. どうやって英語にしたの…?『ウーマンコミュニケーション』英語版のデモ映像が公開され大きな話題に

    どうやって英語にしたの…?『ウーマンコミュニケーション』英語版のデモ映像が公開され大きな話題に

  4. クレーンゲーム、「ゲームの中」ならやり放題!200種以上の景品をひたすら狙え、物理シミュレートされたクレーンゲームシム『Claw Machine Sim』Steamでリリース

  5. 老若男女、NPCたちを“湯気たっぷり”にして街の中に放り込め!『ドラゴンズドグマ2』温泉エリアのとある挙動で肌色空間ができちゃう?

  6. 史上最悪のクエストだ!『ドラゴンズドグマ2』あるステルスミッションにプレイヤーたちの批判集中

  7. オープンワールド牧場シム『Ranch Simulator』販売本数100万本突破―引き続きコンテンツを追加予定

  8. 日本語対応の新作RPG『テラ メモリア』PC/XSX|S向けにリリース―戦闘、謎解き、料理、村作りで仲間の絆を深めながら不思議な世界を大冒険

  9. ほのぼの巨大ロボ農業ADV『ライトイヤーフロンティア』早期アクセス初週でのプレイヤー数は70万人以上―開発からは感謝のコメントも

  10. 相棒の動きをプログラミングして作業を自動化!ボス戦も楽しいオープンワールドクラフト『Omega Crafter』早期アクセス開始

アクセスランキングをもっと見る

page top