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日本語版声優はどう選んだ? 『Bright Memory』大型アプデの裏話を開発者&PLAYISMに訊いた【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第63回目は、個人開発のハイクオリティFPS『Bright Memory』の、大型アップデートによる日本語版配信後の開発者インタビューをお届けします。

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日本語版声優はどう選んだ? 『Bright Memory』大型アプデの裏話を開発者&PLAYISMに訊いた【中華ゲーム見聞録】
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中華ゲーム見聞録」第63回目は、大型アップデートと日本語サポートを迎えた『Bright Memory』の開発者インタビューを再びお届けします。

「中華ゲーム見聞録」では第19回目に開発者・FYQD(飛燕群島)氏へのインタビューを行いました。今回は以前のインタビューからどのような変化があったのか、日本語版の声優はどうやって選んだのか、今後の予定や新作などについてもお尋ねしました。また声優の選考についてはPLAYISMから補足コメントもいただいております。11月21日の大型アップデート後のプレイレポートについては第61回目をご覧ください。



――お久しぶりです。前回のインタビューは1月だったので、もうすぐ一年が経ってしまいますね。さっそくですが、11月21日の大型アップデートの特徴は何でしょうか。また開発にあたってとくに力を入れた点はどこでしょうか。

FYQD氏(以下、敬称略)今回のアップデートは、パブリッシャーPLAYISMと提携後の初めての大規模アップデートです。主に、日本語と英語の音声追加とテキストの翻訳です。日本語版では声優の石川由依さんに主人公であるシアの声を演じていただきましたので、ゲームファンたちは大喜びでしょう。

また開発中に力を入れた点ですが、私はゲームのグラフィック品質をとても重視しています。私は小さい頃から絵や美術デザインなどが好きなので、3D環境美術への処理技術や経験を持っています。そしてゲームプレイへのこだわりですね。本作は他のFPSゲームに対抗出来るように、プレイスタイルは非常に独特です。なのでゲームプレイについての内容にもかなり力を入れています。

――開発していて困難だったことは何でしょうか。

FYQD難しかった点は、ゲームプレイの仕組みと各種エンジンのバグ処理ですね。 本作は銃器だけでなく剣や特殊能力攻撃なども使えますので、高速な戦闘中に多くの動画エフェクトの処理が生じます。

「撃つ」「斬る」「スキル使用」など、様々なエフェクトが生じる高速戦闘

処理している際に、プログラムのロジック問題などで、スキルとスキルの間に不具合が生じます。例えば、
  1. キャラクターが走ってる時に剣を使って攻撃。
  2. 剣の攻撃が終わって銃に戻して照準する。

この切り替えをうまく処理出来なければ、画面では永遠に剣を持っている状態になり、銃への切り替えが出来なくなります。またプレイヤーのFOV(視界の広さ)にも遅延の影響が出ます。

エンジンの方は「Unreal Engine 4」(以下「UE4」)を使っていますが、UE4はおよそ3ヶ月に一度のアップデート更新があります。私は最新機能などを追求するため、いつもバージョンを最新にしています。そうすると、一部で古い機能のバグが出ます。それらのバグを修正するのに、結構な時間がかかりました。

――現在も一人で開発を続けているのでしょうか。また今後、人員を増やしたり、本格的にスタジオを構えたりする予定はあるでしょうか。

FYQD私は今年3月、FYQD-Studioを設立したことを公表しましたが、資金などの事情で、まだスタッフを募集する予定がありません。人員を募集すれば『Bright Memory: Infinite』の開発進捗に影響を与えると考えているからです。

『Bright Memory: Infinite』のトレイラー

私の知り合いの中にもゲーム開発をしている人がいますが、人員募集をして仕事をチームに分けていくと、やはり連携やコミュニケーション上で問題が発生し、結局開発進捗に悪い影響を与えてしまいました。なので、『Bright Memory: Infinite』の開発が終わるまでスタッフを募集する予定はありませんが、一部の美術リソースの作成に協力してくれる外注先は使用します。

――前回のインタビューでは「声優を探すのがたいへんだった」との話がありました。今回の日本語版では日本人声優が声を当てていますが、どのように探したのでしょうか。また声優に対して要望などはありましたでしょうか。

FYQD私はたった一人のインディーゲーム開発者に過ぎないので、人脈が少ないです。ゲーム発売前に自力で声優を探してみたのですが、資金の事情で報酬の安い声優さんしか使用出来ませんでした。

私はゲーム開発者ですが、映画もとても好きです。なので声優さんが十分に感情をキャラクターに没入出来るか、私はそれを非常に重視しています。具体的には、私は声優さんの声のサンプルをじっくり聴いて、厳選していきます。

PLAYISM:日本語版のボイス(英語版もそうなんですが)に関しては、我々PLAYISMの方で選考しました。実は、FYQD氏から具体的にどの人が良いという要望はなかったので、彼から「各キャラどういう設定なのか」を改めてヒアリングしました。もちろんゲームもプレイして、声優事務所さんからサンプルボイスを集めたりしつつ、特にシア役はウチのチームの皆に「誰に声優してもらったらいいか」をアンケートしたりしました。

それで、実際呼べるか呼べないかもわからない中、強くて逞しくて美しくて、でも大人過ぎずかつかわいい、映画的クオリティの本作にふさわしいクオリティを出せる人……ということでいろんな声優さんのサンプルボイスをひたすら聞いていって、「よし、シア役は石川由依さんにしよう!」と勝手に決めました。

シア役の石川由依さん。主な出演作は『NieR:Automata』2B役やTVアニメ「進撃の巨人」ミカサ役など。

FYQD氏も「石川由依さんがやってくれるなら嬉しい」と喜んでくれました。それでPLAYISMは「アクティブゲーミングメディア」という会社の「パブリッシング部」という位置づけになるんですが、隣の「エンターテイメントローカライズ部」は音声収録を仕事でよくやってますので、そこの本部長さんに、石川由依さんはじめ、「このラインナップでボイス収録やるからちょっと連れてきてよ」と無茶ぶりでお願いした感じですね。スケジュール調整が大変でしたけど、ホントに連れて来てくれたのでとても助かりました。

――『Bright Memory』と『Bright Memory: Infinite』の違いについてわかりやすく教えてください。また『Bright Memory: Infinite』へのバージョンアップによって大きく変わることは何でしょうか。

FYQD『Bright Memory』の世界観は、かつてゲーム会社で働いていた頃に考えました。そのときは多忙で世界観構成などにあまり時間を費やしていなく、Bright Memoryを開発し、完成させるだけで十分嬉しかったです。でも、正直私は『Bright Memory』のストーリーはまだまだ不十分だと思っています。もう一度やり直せる機会があれば、完璧に仕上げたかったんですね。

『Bright Memory: Infinite』のゲームプレイトレイラー

『Bright Memory: Infinite』は全く新しい世界観になり、キャラクターと二つの世界の内容はそのままで、ゲームプレイに関してはデザインをし直します。『Bright Memory: Infinite』はもっと面白く、もっと遊びやすくなると思います。2019年6月に私は『Bright Memory: Infinite』の動画を公開しましたので、興味がある方は見てみてください。

――ゲーム開発をしていないときは何をしていますか。

FYQDもちろんゲーム関係のことです。普段は美術のレベルアップのため、3Dフィールドを作ったりしています。日本のアニメ映画もよく見ていますよ。

――最近のお気に入りのゲームは何でしょうか。

FYQD私はFPSゲームが大好きです。最近プレイしながら参考にしているは、『Call Of Duty:Modern Warfare』です。私はこのゲームの武器音効、武器を構える動作の演出やステージの設計がとても好きです。

――前回のインタビュー以降、中国国外からも大きな注目を集めたと思います。何か環境や心境に変化はありましたか?

FYQD様々な国の多くのプレイヤーから本作へのレビューや意見をいただいています。レビューの中にはプラス評価もマイナス評価もありました。海外のプレイヤーに認められたことはもちろん嬉しいですが、相当なプレシャーもかかってきていますね。でも、より良いゲームを提供出来るように頑張ります。

――日本でも中国のデベロッパーに注目する人が増えてきましたが、現在の中国のインディーシーンについてはどのような印象をもっていますか?


FYQD中国のインディーゲーム業界には成功例も失敗例も多数あります。みんな非常に努力しており、世界が認めてくれるようなゲームを開発したいと思っています。今、海外のプラットフォームが身近になってきて、世界中のプレイヤーの声が聞こえるようになりました。中国のインディーゲーム業界にビッグウェーブは無く、まだ楽観的だとは言えませんが、時間の経過と共に良くなっていくことを信じています。

――今後の予定を教えてください。また次の作品の構想や作ってみたい作品などはありますか。

FYQD『Bright Memory: Infinite』の開発が終わったら、私の初めてのインディーゲーム作品『War Storm』の続編を開発する予定です。『War Storm』もFPSで、私が2014年、学校に通っているときの隙間時間で開発した作品です。中国では多くのファンがいます。なので、『War Storm』のストーリーとシステムを完成させようと思っています。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

FYQD最近、本作はSteamの日本セールスランキング1位をキープし続けていますね。非常にありがたいことです。気に入ってもらえたことを本当に感謝しています。今回、石川由依さんに主人公シアの声を担当していただきましたので、皆さん、ぜひともゲームを楽しんで下さい。もちろん、今後の『Bright Memory: Infinite』についてもよろしくお願いします!

――ありがとうございました。



前回に引き続き、『Bright Memory: Infinite』も含め、ゲーム自体はまだ一人で開発しているというFYQD氏。人員が増えると逆に時間がかかるので、『Bright Memory: Infinite』の開発が終わるまでスタッフを募集しないとのことでした。

『Bright Memory: Infinite』の開発を始めた理由が「もう一度やり直せる機会があれば、完璧に仕上げたかった」というのには、熱い職人魂が感じられますね。完成度は現在20%ほどで、あと一年かけて残りを完成させるとのことです。今後のFYQD氏の活躍に大いに期待したいと思います。

製品情報


『Bright Memory』


※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字・繁体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

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