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「不思議のダンジョン」リスペクトな新世代ローグライクRPG『Crown Trick(不思議的皇冠)』【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第75回目は、「不思議のダンジョン」シリーズをリスペクトしたライトなローグライクRPG『Crown Trick(不思議的皇冠)』をお届けします。

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「不思議のダンジョン」リスペクトな新世代ローグライクRPG『Crown Trick(不思議的皇冠)』【中華ゲーム見聞録】
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中華ゲーム見聞録」第75回目は、「不思議のダンジョン」シリーズをリスペクトした新世代ローグライクRPG『Crown Trick(不思議的皇冠)』をお届けします。

本作はNEXT Studiosが開発し、Team17 Digital Ltdによって2020年10月16日にSteam/ニンテンドースイッチで配信されました。NEXT Studiosは中国の大企業テンセント(騰訊)内のインディーゲーム会社で、これまでに死神アクションパズル『Death Coming』や、古代中国を舞台にした横スクロール格闘アクション『Bladed Fury』などの作品を配信してきました(NEXT Studiosの詳細については、以前書いた『Bladed Fury』の記事を参考してください)。

今回はセリフパブリッシュではなく、Team17 Digital Ltdをパブリッシャーにしていますね。日本語を含めた多言語にも対応していますし、世界的な展開を目指しているのでしょう。本記事ではSteam版を使用します。


本作の内容ですが、「不思議のダンジョン」シリーズのようなターン制のダンジョン探索ローグライクゲームです。「ローグライク要素のある作品」は数多くありますが、そもそもの「ローグライク」という言葉が、大元となっているターン制のダンジョン探索RPG『ローグ』に似たゲームの意味なので、「不思議のダンジョン」シリーズが本当の意味での「ローグライク作品」と言っていいでしょう。本作は「今のプレイヤー」にとって受け入れやすい形のローグライクになっているようです。いったいどんなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう。

少女と不思議な王冠の出会い




ゲームを起動させると、本作の内容を表したアニメーションムービーが始まります。目玉のある王冠を被った少女がダンジョン内の敵と戦うシーンですね。セリフも説明も一切無しなので、初めて観るときは意味が分からないかもしれませんが、プレイ後にもう一度観ると理解できるかと思います。手書き調のイラストが良い味を出していますね。


ゲームはどこかのダンジョン内からいきなり始まります。プレイヤーが操作するキャラは、先程のムービーでも登場した少女。エリーという名前のようですね。謎の声が聞こえるので奥へ進んでみましょう。本作はパッドにも対応していますので、Xboxパッドでプレイします。


前へ進むと、王座の上に目玉の付いた王冠がいました。これも先程のムービーで登場していましたね。エリーを見て「洞察力があるものの無知」と評価。何だか偉そうな感じです。王冠の話によれば、彼(?)はこのナイトメア空間では全知の存在だとか。エリーの生い立ちや目的もすべて知っているようです。


エリーの世界では現在、ナイトメアによって人類が滅亡寸前の状態。エリーは世界を救うためにここへ来たようです。王冠が元凶のナイトメアではないかと聞くも、「お前の前にいるのはナイトメア空間の観測者であり、守護者である偉大な王冠だ」と答えました。

王冠が言うには、どうやら人類滅亡の元凶となったのはエリーの同族であるフラッドという人物だとのこと。フラッドはナイトメア空間において禁忌の奉納を行い、それが原因で狂乱したナイトメアの力がこの空間全域を包み、さらに現世にも災難を引き起こしたそうです。


フラッドに対抗する力は、もはや王冠にはありません(「全知」とは言いましたが、「全能」では無いのですね)。当然エリーも力不足です。しかし2人(?)が力を合わせれば(エリーが王冠を被って力を取り入れることで)、フラッドに対抗できるかもしれません。王冠は「世界の運命はおまえの手にある。旅立つのだ」と言います。


冒険が始まりました。他の(本当の意味での)ローグライクと同じように、キャラクターが動かない限りは時間が止まった状態になります。ここで左右に転がるブロックの間を抜けていくミッションですが、右アナログスティックを押し込んで、移動せずにターンを経過させることができます。他のローグライクで言う「足踏み」ですね。これを使って、ブロックがどいた時に前進していきましょう。


動くブロック地帯を抜けて奥に行くと、宝箱が。開けてみると、中からディフェンダースピアが飛び出してきました。初の武器ゲットですね。ただエリーは非力なので、王冠の超能力で武器を振り回しています(武器が空中に浮かんでいる状態)。

敵との戦闘!



スタートボタンを押して、エリーのステータスを確認できます。他にも図鑑や実績、事典を見ることができますが、まだゲームを始めたばかりなのでほぼ情報が無い状態です。


進路を塞ぐ箱などの障害物は、通過するだけで壊せます。中からはコインやアイテムなどが出てくることもありますので、拾っておきましょう。


敵が出現しました。Aボタンで攻撃ができます(攻撃によって1ターンが消費されます)。現在の武器は射程2なので、2マス離れた敵も攻撃可能。右アナログスティックを使うと、ターンを消費せずに向きを変更できます。


穴に落ちることができるのか試したところ、普通に落ちました。ゲームオーバー……というわけではなく、落ちる直前の位置から再スタートです。ただしHPが50も減ってしまいました。操作ミスには注意ですね。


敵にはHP以外に「ブレイク値」というものが設定されています。攻撃を受けるたびにブレイク値は減っていき、0になるとブレイク状態に。ブレイク状態中はスタンして動けなくなり、さらに被ダメージが20%増えます。この辺りのシステムは新世代ローグライクという感じですね。


本作では敵がチャージ状態(力を溜めている状態)になることもあります。攻撃を食らえば大ダメージですが、チャージ中の敵は無防備になり、ブレイク値を多く削ることができます。ピンチをチャンスに変えて攻撃していきましょう。

生き残るための戦術!



魔法ビンをゲット。いわゆる回復ポーションで、HP・MPを共に回復させます。使用するにはLBを長押しします。先程穴に落ちたので、体力を回復させておきましょう。


ブリンクのできるシューズもゲット。『リーグ・オブ・レジェンド』などMOBAをプレイする方ならお馴染みだとは思いますが、ブリンクとは短距離を瞬間移動することです。Xボタンを押すと、ターンを消費せずに4マス先までブリンクできます。ただし使用回数が限られているので注意。


ブリンクは敵の攻撃をかわすためだけのものではありません。画像のように行く手を壁が遮って進めない時に、ブリンクで壁の向こうに抜けられます。ブリンクの使用回数は、エリーの足元にある黄色のメーターで表示(現在3)。MOBAっぽさがある辺りは、MOBA大国の中国らしいですね。


炎は自分だけでなく、敵が踏み込んでもダメージを受けます。待機していると、やってきた敵が炎に突っ込んで炎上して勝手に死んでいくこともあるので、上手く利用していきましょう。炎はブリンクで回避できます。


しばらく進んでいくと、ボス敵としてファイアドラゴンが登場。近づくとチャージ状態となり、次のターンで炎を吐いてきます。炎の範囲は3マスなので、ぎりぎり武器が届きません。いったん横にかわしてから間合いを詰めていきます。


ブレイク値を奪ってスタンさせ、ファイアドラゴンを撃破!使い魔として、そのスキルを使用できるようです。


さっそくYボタンで使い魔スキルを発動。3マス先の相手に火炎放射を食らわせるスキルですが、周囲に可燃物があったため、一気に燃え広がって他の敵も巻き込んでいきました。ちなみにスキルを使用するとMPが消費されます。



奥までたどり着き、最初の試練をクリア。王冠からは「ギリギリ合格」を言い渡されます。まだまだ冒険は始まったばかりですね。この調子で次のダンジョンに挑んでいきましょう。

さらなる冒険の旅へ!



本作の拠点となる場所に到着したエリー。他のローグライクゲームで言うところの、町や村のような所です。デスクのそばでXボタンを押すと、ダンジョンへと向かえます。


ダンジョン選択画面。現在は一カ所しか選べません。とりあえず選択できるダンジョンに入ってみましょう。ちなみにナイトメア空間は「眠りの世界」なので、エリーが椅子に座って眠ることでダンジョンに入れます。


ダンジョンでは、いきなり武器が2つ落ちていました。1つは「海神の三叉槍」、もう1つは「ザ・ヘッドハンター」というライフル。武器は1つしか持ち運べませんので、どちらかを置いていくことになります。悩んだ末、先程槍を使ったという理由で、今回はライフルを選択します。


「使い魔クリスタル」では連れていく使い魔を選択可能。現在のところは先程のファイアドラゴンしか選べませんね。本作では、使い魔は2匹まで連れていけます。


新システム「ブレイクゲージ」が登場しました。敵をブレイク状態にすると溜まっていき、チェーンブレイク(連続ブレイク)するとエリーの攻撃力が上がっていきます。さらにはブリンク回数も回復。ただし一定ターン以内に次のブレイクを発生させなければ、ブレイクゲージは無くなります。


ライフルは射程4ありますが、リロードがあるため敵の接近を許しやすく、思ったよりも使いにくい。「重撃の巨斧」が落ちていたので、こちらと入れ替えましょう。斧は射程1ですが、周囲の敵を一気に攻撃してくれます。


斧は思った以上に強く一度に複数の敵を叩けるので、ブレイクゲージもモリモリ上がっていきます。ゲージが最高になると、攻撃力は2倍になりますね。筆者的には武器の中では斧が気に入りました。


テレポイント(テレポータ)を発見した場合、全体マップからテレポイントのある場所までテレポートができます。マップが広くなった場合には、活用する機会も多くなるでしょう。


敵に取り囲まれていた女性を救出。彼女はバーバラと言い、錬金術師のようです。仲間になってくれましたが、ダンジョン内で手伝ってくれるわけではなく、拠点でのサポートのようです。



遠距離範囲攻撃を仕掛けてくるダンジョンのボス「第二魔女」。HPもかなり多く周囲からはザコ敵も湧いてくるので、なかなか倒せません。やがてエリーのHPが尽き、ダウンしてしまいました。ミッション失敗です。


夢の中のダンジョンなので、ダンジョン内でダウンすると拠点で目を覚まします(武器やアイテムはすべてロスト)。先程助けたバーバラが拠点の一部を陣取って、錬金術を行っていました。ここではダンジョン内で手に入れたソウルクリスタルを消費して、魔法ビンのアップグレードを行えます。果たして次のエリーの冒険は成功するのか。続きは自身の手でプレイしてみてください。

遊びやすい新世代ローグライク


本作はローグライク要素を取り入れながらも、空腹度や複数の武器・防具の持ち運びなど、ゲーム的に面倒な部分(いわゆるリソース管理)を極力減らし、ローグライク初プレイの方でも遊びやすいように作られた作品です。ブレイク値やチェーンブレイク、ブリンク、使い魔スキルなどの要素があるのもいいですね。死んでもソウルクリスタルを持ち帰れるので、時間さえ掛けていろいろアップグレードしていけば、クリア自体は何とかなるかもしれません(多分)。

使い魔の図鑑。全部で20種類います。コンプを目指していきましょう。

本作の基となる『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』と比べるとだいぶカジュアルで、プレイ感覚も違ったものになっています。そのため、それら「不思議のダンジョン」シリーズの延長線上の作品を期待するのではなく、まったく別のオリジナルゲームだと考えた方がいいでしょう。

本作は日本語ローカライズもされており(多少日本語が変な所や、キャラクターの喋り方が統一されていない所もありますが)、アートスタイルも可愛らしくて取っ付きやすく、インターフェイスも使いやすいものになっています。ローグライク好きな人や、これから何かローグライク作品を遊んでみたいという方にはおすすめの作品と言えます。

製品情報


    『Crown Trick(不思議的皇冠)』


    開発・販売:NEXT Studios、Team17 Digital Ltd
    対象OS:Windows、ニンテンドースイッチ
    通常価格:Steam 2,050円/ニンテンドースイッチ 2,127円
    サポート言語:日本語、中国語(繁体字、簡体字)、英語など9言語
    ストアページ:Steamニンテンドースイッチ

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter「マイナーゲーム.com」Twitter
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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