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国外脱出を目指すロードトリップADV『Road 96』最高のロードムービーを自分で作り上げる楽しさをあなたに!【爆レポ】

独裁主義の国から脱出を目指す若者たちの冒険―ランダム生成で待ち受ける毎回新しい体験がゲームシステムと上手く組み合わさって物語への深い没入感を与えています。

連載・特集 プレイレポート
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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。

今回は2021年8月16日にDigixartよりPC/ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『Road 96』について生の内容をお届けしたいと思います。



『Road 96』とは

若者たちが権威主義体制の国家「ペトリア」からの脱出を目指し、国境まで旅をするロードトリップアドベンチャー。プレイヤーは圧政やテロによって揺れる情勢の国に住む人々と交流し、ヒッチハイクや徒歩などさまざまな移動方法を駆使しながら「ゴール」を目指していきます。

高評価アドベンチャー『バリアント ハート ザ グレイト ウォー』『11-11 (イレブン イレブン) Memories Retold』を手掛けたスタッフが、HPのゲーミングPCブランド「OMEN」から支援を受けて制作した本作。独特で美しいグラフィックや、多数のアーティストが手掛ける90年代風のBGMが本作の雰囲気を盛り上げます。

すべてのプレイヤーが異なる体験を得られること」を目指したという本作。主人公の出自や旅のルート、発生するイベントなどの要素はほほすべてがランダムです。ひとりの主人公の旅が結末を迎えることで、その結果を反映した少し先の時間軸の物語で新たな主人公の物語が始まるオムニバス形式なのも特徴的です。

ゲーム内で間もなく開始される選挙では、現在の大統領に対抗する候補も登場しており、現政権の国民への締め付けと不安はますます大きくなっています。そんな中での個性的なキャラクターたちとの交流、そして選択次第で国の未来の道が変化するシステムなど、とても没入感の高いストーリーが楽しめる作品です。

新たな主人公はニュースショーでクローズアップされた中から選択する形式。

『Road 96』の実内容に迫る!

本作の目的はペトリアの国境がある「Road 96」までたどり着き、なんとしても脱出すること。ゲームはその回の主人公が立ち寄るエリアでキャラクターとの交流などのイベントで情報や物資を集めていきます。もちろん、プレイヤーの目的はこの国では違法なものなので、状況によっては逮捕やそれ以上の不幸な目に遭うことも……。

プレイヤーには「体力」「お金」のステータスが存在。体力はエリア移動やイベントなど消費し、低下した状態では旅を続けるのが困難になります。回復には「物を食べる」「安全な場所で寝る」などいくつかの手段があり、いかに体力を確保していくかが本作の大切なポイントです。しかし、たいていの場合、体力回復するため「お金」が必要です。

お金は仕事やイベント、もしくは盗むなどさまざまな手段で入手可能です。お金があればアイテム購入はもちろん、旅で出会った人物を助けたり、ピンチの際に相手に賄賂を渡して切り抜けたりすることもできます。地獄の沙汰も金次第、うまく利用すれば窮地から脱することができるかもしれませんね。

そのほか、旅の途中で出会ったキャラクターとのイベントで「ハッキング」「ピッキング」等のアビリティも習得可能です。会得した技術はそのプレイ中のすべてのキャラクターで共有されますが、保有しているアビリティによって新しい選択肢が登場するなど、イベントにも大きく影響を及ぼします。

何より目的地までたどり着くのが大切な本作では、移動手段も豊富に用意されています。トレイラーで印象的なヒッチハイクはもちろん、お金があればバスやタクシーの交通機関も利用可能。体力に自信があれば徒歩で移動するのも自由です。多様な手段で移動した先のエリアで、また新しい出会いが待ち受けているのです。

コレクタブル要素も。

さまざまな人物と交流!プレイヤーの選択が未来を変える

主人公は旅の途中、個性豊かなキャラクターたちに出会います。彼らもこの国で生活し、それぞれの思惑を持って行動している存在です。プレイヤーは彼らと交流し、ときに少しの間だけ旅をともにすることもあるのです。

人々との交流では、この国に関する重要な選択肢が出現することもあります。「暴力」「選挙(民意)」「自由」といった要素の選択肢があり、そこで選んだ項目によってストーリーに変化があります。例えば「選挙」の選択肢を選んだ場合、次の主人公のストーリー導入部で少しだけ対立候補の得票予測率が上がっていることがわかります。

また、以前の主人公の体験した事件が後のエピソードでプロパガンダとして利用されることも。無事脱出に成功したルートも風のうわさで拡がり、新しい主人公では対策されて利用不可になっていることも珍しくありません。この世界は、常に物語が進んでいるのです。

登場人物の中では、女性警察官「ファニー」、TVキャスター「ソーニャ」、旅の少女「ゾーイ」、トラック運転手「ジョン」、天才少年「アレックス」、2人のチンピラ「スタンとミッチ」、影のある男「ジャロッド」が特に重要な存在であり、彼ら彼女らにストーリーの中で出会うことでエピソードが進んでいきます。

この主要人物との交流でユニークなのは、本作の「主人公が変わっていく」システムを活かしている点です。プレイヤーが彼らの事情を知っていても、その回の主人公にとって彼らは「初対面の人物」でしかありません。だからこそ別の主人公との交流で見られる新たな側面やエピソードもあり、キャラクターを多面的に描写できているのです。プレイヤー的にはさまざまな面が見られてキャラの理解がより深まるのも嬉しい部分です。

前の主人公で捕まったキャラクターを、次の主人公が助ける。天才少年「アレックス」と調整して作ったゲームが、その後の主人公のプレイ時にゲームセンターで遊べる。時間が進むにつれて複雑化していくキャラクターの関係性など、彼らの物語を追っていくのも本作の醍醐味です。

違う物語で出会ったゾーイ。

一般キャラクターもいいキャラが揃っています。

初プレイはちょっとビターに……。

ここで筆者の初プレイを振り返ります。最初に降り立ったのは国境まで1,700マイルほど離れたガソリンスタンド。近くにはヒッチハイクをしている若者がいて、プレイヤーとの会話で国境に向けてのちょっとしたアドバイスをくれました。ああ、いい奴だな、このペトリアにもまだ希望はあるんだな。

その後は若者と別れ、ガソリンスタンドへ。そこのオーナーに「国外脱出を目論む若者」と疑われ、警察を呼ばないかわりに仕事を手伝わされることになります。次々と給油をこなし、チップももらえるのでまあ悪くないかな……と思っていると一台のパトカーが給油に現れました。

乗っていたのは本作の主要人物のひとりである女性警察官「ファニー」。パトカーに給油しながら会話をする限り、彼女はこの国でもかなり穏健な人物であるようです。しかし、給油が終わった頃にスタンドにもう一台のパトカーが登場。さきほど出会ったヒッチハイク中の若者を捕まえようとしているのです。

どうやら、ここのオーナーは国外脱出する若者を許さない体制派。すでに警察には通報済みだったようです。プレイヤーはここで逃げる若者を「助ける」「黙っている」2つの選択肢が与えられます。筆者は「…」を選び、見守ることしかできませんでした。

結果として若者は警察に捕まってしまいます。主人公も連行されそうになりましたが、ファニーが供述を取るという名目のもと助けてくれました。ファニーいわく「あの警官たちはやりすぎ」とのことで、この国の警察も決して一枚岩でもないことがわかります。

自分のために、若者がひとり犠牲になったことは決して忘れてはいけませんが、主人公は止まっていられません。旅を続けるためにヒッチハイクしていたところ、なんと拾ってくれたのはプロパガンダ放送のキャスターでおなじみ「ソーニャ」のリムジンでした……。

初イベントから己の無力さを感じるやりとりやちょっとしたサプライズ、さまざまな出来事が発生します。初プレイ時に選んだ選択肢が、他の主人公でのプレイ時にエピソードで登場したのは驚きました。そして、そのシステムに気付くと本作はどこまでも濃く、どこまでも面白くなっていきます。

色々あったけど目的地へたどり着きました。さあ結末は?

ここまで紹介してきた『Road 96』。プレイヤーの選択が大きく影響を与え、それでいて主人公の旅はあくまで「ひとりの若者の旅の記録」である独特なシステムがとても印象的で面白い作品です。開発者も語るように、オムニバス形式のロードムービーを自身で作り上げられる楽しさがあります。

ひとつだけ惜しいのは、日本語の翻訳精度が高いとは言えないこと。人物名なども直訳している様子があり、突然「外を見る」という名前のキャラクターが登場したときは笑ってしまいました。翻訳のせいで一部の選択肢が曖昧すぎる内容になっているのも、もったいないポイントです。

プレイしていてとにかく驚かされるのは、以前の主人公の旅のエピソードが、後の物語で人々の噂やプロパガンダの形でストーリーに組み込まれている点。一人の主人公のプレイ時間はそこまで長くないのですが、彼らの旅が確実に世界に影響を与えていることでゲームに厚く、そして深い物語性を与えています。

主人公は「Road 96」に落書きを残せます。
次回プレイの主人公はそれを見て何を思うのか。

ゲーム自体は決して難しいものでなく、ストーリーを楽しみながら発見と驚き、出会いや青春などさまざまな要素を感じられる『Road 96』。トレイラーなどで雰囲気が気に入った人ならきっと楽しめる素晴らしい作品です。なお、ニンテンドースイッチ向けには体験版もあるので、そちらで作品の雰囲気を試すこともできますよ。

タイトル:Road 96
対応機種:PC(Steam/Epic Gamesストア)/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:Steam
発売日:2021年8月16日
記事執筆時の著者プレイ時間:12時間
価格:2,196円

《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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