Skystone Games Inc.とVanimalsによって、2021年10月19日にSteamにて早期アクセスを開始したサバイバルゲーム『UNDYING』。本稿では、その気になる内容をプレイレポートにてお届けします。
また注意点として、本作は未完成となっており、ストーリーも完結していません。現時点では29日目までプレイでき、本稿ではその部分までの内容を含みますので、ネタバレにはご注意ください。
『UNDYING』とは?
未知のウイルスなどによってゾンビが蔓延る世界を題材としたゲームは、感染を逃れた者を主人公に据えた作品が多いでしょう。しかし、本作はそれらとは少し違います。
ある臨時の難民キャンプにその親子はいました。しかし、次の目的地への移動中にゾンビの襲撃に遭い、その時に息子のコーディを庇った母のアンリンはゾンビに噛まれてしまいました。
本作は、物語の開始時からすでに死へのカウントダウンが始まっているサバイバルアドベンチャーです。母親は自分がゾンビ化するまでの限られた日数で、幼い息子に生き残る術を教えなければなりません。工作や料理、採取から戦う姿まで、息子は母の背中を見ながら成長していきます。各地での人々との出会いや発見、そして尊くも悲しい親子愛。冒頭からすでに悲壮感漂う本作ですが、さっそくプレイしていきましょう…。
まずは生活の基盤を整えよう
ゾンビの襲撃後、自分たちの家へと帰ってきた親子。家の中に残っている物資をかき集めますが、到底生きていくには足りなそうな物量しかありません。
辛うじて電気は通っていますが、キッチンや水道、作業台などは修理する必要があります。まず、生き残るためにこれらの設備の修繕を目標とします。
しかし、そのためにはゾンビが跋扈する外の世界に向かう必要があります。母アンリンは、いつ自分が襲う側になるかわからない状況の中で、その時までに幼い我が子に生きる術を学ばせることを決意し、外界の探索に息子を連れ出します。もちろん安全な家に置いて出かけることもできますが、その間はなにも学べません。
外の世界ではあらゆる物にインタラクトし、物資を集めることができます。ゴミの山や立ち往生した車、鍵のかかったスーツケースに食材など、決してどれも無駄にはなりません。
ですが、無駄遣いもできません。序盤の投入順を誤ると詰んでしまうこともあります(実際に筆者は詰みました)。
そして、息子は母のあらゆる行動を見て学んでいきます。はじめは簡単なゴミ漁りくらいしかできなくても、経験を積んでいくとスキルを習得できるように。そうして成長すると、廃車からガソリンを抽出したり、固く閉じたスーツケースをこじ開けたりできるようになります。
また、本作は親子に残された時間同様、1日も短くあっと言う間に過ぎていきます。朝は8時からはじまり、夜は2時まで活動できますが、真夜中に活動を続けると虚弱状態に陥ってしまいます。その時間が過ぎるまでに就寝できなければ、突然死してしまいゲームオーバーです。
本作はストアページでローグライクと謳われている通り、生き残る難易度はそこそこ高いです。ゾンビとの戦闘では簡単に死亡し、物資の優先度がわからなければすぐに生活がままならなくなります。母もしくは息子のどちらかが死ぬとゲームオーバーになるので、常に2人分のステータスに気を使う必要もあります。
遠征して物資を集めよう
近場のエリアを漁り尽くしてしまうと、ほとんどの物資はリポップしないため必然的に遠くの地へ向かうことになります。そのためにはまず車を修理しましょう。車は2段階修理でき、それによって行ける場所が増えていきます。
他のエリアには自分たち以外の生存者が拠点を構えており、彼らと交流できます。
物資を渡すと拠点を利用できたり、物々交換によって自分たちに足りない物も手に入れられます。しかし、この世界には友好的な人間だけではないということをくれぐれも忘れてはなりません…。
日々蝕まれていく身体
親子2人で暮らしはじめて数日後の朝、母親の身体はウイルスに侵され感染症があらわれます。感染症は3つのうちから1つ、毎朝必ず選択しなければなりません。また、症状にはメリットとデメリットがそれぞれあり、それを参考にどの感染症を受け入れるか選択しましょう。
感染症は永続ではなく制限時間があります。また、特定の薬によってもいつでも治療できるので、デメリット効果についてはそれほど心配しなくてもいいでしょう。むしろ付加価値となるメリットを見て選ぶのがおすすめです。
20日を過ぎた頃、ついに恐れていたことが起きてしまいました。とつぜん操作を受け付けなくなり、画面は赤く染まります。そして近くにいたコーディに手を上げてしまったのです。
狂化とよばれるこの状態は、通常では深夜になると発現し、アンリンを苦しめ続けます。狂化中は、左右上下の操作が数秒ごとにランダムに入れ替わるので歩くのも満足にでず、さらに無意識に攻撃をすることもあるので、コーディにも危険が及びます。狂化を防ぐためにも、必ず深夜までには家で眠るようにしましょう。
また、21日目からはさらに症状が悪化し永続発動の衰退効果を選ばなくてはなりません。こちらにもメリットとデメリットの効果があるので慎重に選びましょう。
さらに、蝕まれた身体は発症する感染症も増え、毎日2つの選択を迫られます。怪我を負って寝たきりの息子と、日に日に自分の変化を痛感する母。もう見ているだけでしんどくなります…。
その親子の行く末は…
食事と薬を充分に与え、献身的な看病の結果コーディは再び元気を取り戻しました。しかし、反対にアンリンの変化は加速していき、感情さえも荒んでいきます。
そんな時、親子はワクチン製造の噂を耳にします。その情報に縋ってやってきたのはある港の倉庫。しかしそこに待ち受けていたのは“友好的ではない人間達”。母は身体を治すため、そして息子を守るためにはじめて生きている人間に手を掛けます。
ここまで息子は母の背中をずっと見てきました。そして人を殺す姿を間近で目撃した息子は、今までの母との違いに嫌悪し、ついに心が崩壊してしまいます。コーディの感情は褒めることで良くなり、間違った選択や行動で悪化していきます。そして一定以上悪化してしまうと、家出をしてしまいます。
30日目となりゲームもここで終了。家出はストーリーとは関係ないですが、とてもいいところで終わってしまいました…。どこに行ったんだコーディィ!
「お母さん、なんで怪物が怖くないの?」「お母さんも怖いけど、お母さんはコーディが傷つけられる方がもっと怖い」。ロード画面にて表示されるこの会話は、まさに本作においての母の気持ちを表しています。息子が襲われれば身を挺して守り、思いを必死に託そうとする姿勢は涙を誘います。
今後のアップデートではマップやNPC、サイドクエストの追加を予定しており、最終的には60日までプレイが延長されるようです。また、現状の機械翻訳についても改善を予定しているとのことです。
果たしてこの先、親子に待ち受けているのは悲劇か、それとも希望か。見たくないけど、それでも見届けたい。ゲームを終えた今、そんな複雑な気持ちが渦巻いています。やっぱつれぇわ…。