『レインボーシックス エクストラクション』のアーキエンが近くに現れて明日倒しに行くことになるかもしれないので、我々編集部は教えを請うため埼玉の奥地へと向かった! | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『レインボーシックス エクストラクション』のアーキエンが近くに現れて明日倒しに行くことになるかもしれないので、我々編集部は教えを請うため埼玉の奥地へと向かった!

人間ばっかり相手にしてるゲームってそれは特殊なのだろうか?今度の『レインボーシックス』はバケモノが相手だ!つまり特殊部隊が必要なんだ!!しかも3人だけの!!!だから元特殊部隊員3人に教えてもらおう……任務への心構えってヤツをよ……。

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『レインボーシックス エクストラクション』のアーキエンが近くに現れて明日倒しに行くことになるかもしれないので、我々編集部は教えを請うため埼玉の奥地へと向かった!
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特殊部隊……どうして人々は特殊部隊への憧れを持ってしまうのでしょうか。特殊部隊の詳しいことなんか全然知らないのに、特殊部隊という言葉だけで誰もが楽しくなってしまいます。隣の部屋に特殊部隊が居るぞと思えば目が輝くし、いつも通ってるスーパーで特殊部隊がお惣菜を買ってると思えば今すぐ向かいたくなることは必定と言えるでしょう。

またはもう、特殊という単語がいけないのかもしれません。自分の仕事が特殊だと言われてみれば、なるほど確かにまんざらでもない気がしてきます。これはひとつの本が書けそうじゃありませんか。「職場で絶対成功する人心掌握 ~たった1つの特殊な方法~」なんてどうでしょうか。ちょっとしたお礼にひとこと……あなたの仕事こそスペシャリスト!すなわち特殊ですね、と添えるだけでみんなハッピーこちらもワクワクです。

だからこそ特殊部隊を題材としたゲームは毎年のように制作されています。自分があの特殊部隊になれるなんて楽しくない訳がありません。ゲームとは特殊な体験をするからこそゲーム足り得るのですが、その題材が特殊部隊ともなれば特殊に特殊が重なって有無を言わさず特殊になってしまいます。

しかし、人間が人間を相手にしている戦いというのは本当に特殊なんでしょうか?もう普通のことなのでは……?ですが安心してください。まもなく本当の特殊な戦いがやってくるのですから。

特殊な奴等が相手なら、特殊な部隊を投入せざるを得ない。

度重なる延期を乗り越え2022年1月20日(木)より、ついに『レインボーシックス エクストラクション』の発売となります。今度の『レインボーシックス』はなんとバケモノが相手なのです!つまりどうみても特殊な作戦、ということは特殊部隊の出番という訳であります!!

プレイヤーは3人の特殊部隊員となって、アーキエンと呼ばれるバケモノ達に挑みます。これまではテロリスト制圧といったテーマの戦いが描かれていた『レインボーシックス』シリーズですが、今作では外来種という明確な敵役が登場するという訳ですね。つまり、システムとしてはPvE(プレイヤーチームとコンピュータ側の対戦)ということになります。

『レインボーシックス シージ』が大ヒットとなり、今もその勢いは衰えません。今作『エクストラクション』にも『シージ』のオペレーター達が登場します。実は、過去に行われた「アウトブレイク」と呼ばれる『シージ』のPvEイベントが好評となり、これが今作の開発につながったとのことです。

『シージ』のスピンオフと捉えることもできますが、単なるひとつのイベントではなく、一本の作品として仕上げたということはつまり、本作は特殊であると言えるでしょう。

特殊な作戦は特殊部隊員に訊け!

世の中には様々な仕事がありますが、一見普通のことであっても、働いていればそれぞれ少なからず特殊な領域というものはあるものです。それはもしかしたら皿洗いのような地道なものかもしれませんが、その人ならではのやり方や、すぐには真似できない技術というものが隠れています。

そう……私達の中にも特殊なことは存在しているのです。しかしながら、あくまでもそれらは必要に迫られてのことであり、私達は私達の日常生活を送るためという大きな普通の目的を外すことはないでしょう。それは人間の中に暮らす、人間のための営為です。

ですが、確かに存在するのです。特殊なことそのものを仕事としている人たちが。まもなくやってくる人間じゃない奴等への戦いともなれば、今こそその力を頼るべきではないでしょうか!!!

そのように考えた編集部は元特殊部隊員の3名に教えを請うことにしました。『エクストラクション』は3名チームのゲームですからね。より真に迫ったアドバイスを頂けるに違いありません。

そこで私達は「田村装備開発」さんへ協力を依頼しました。埼玉県東松山市を拠点に各種トレーニングを開講したり、様々な装備品の開発、更にはアニメ・ゲームへの技術指導といった活動を行われています。ゲームトレイラーを実際に観てもらいつつ、アーキエンとの戦い方を教えて貰おうという訳です!!

田村装備開発は元警察官・元自衛官といった実際の経験を持つ方々で構成されており、それを基に様々な活動に取り組まれています。なんと最近はゲームキャラクターのモーションキャプチャーも担当しているとのこと。

早速お話を伺いましょう!


――本日はよろしくお願いします。

田村装備開発 田村氏

田村忠嗣氏(以下、田村):よろしくお願いします。田村装備開発の田村です。12年ほど前に田村装備開発をはじめましたが、その前は警察官でした。埼玉県の深谷警察署で勤務し、その後機動隊に行きました。RATS(Riot And Tactics Squad)というところなのですが、そこは対テロ・銃器対策といったものを担当します。RATSに数年ほど所属した後、重大突発事案対策班へ行きました。

こちらは指揮するといったところです。それまではRATSで現場に行っていたのですが、行け!という人になったということです。そこには1年半ほどいました。その後退職し、会社を立ち上げました。

田村装備開発は、自衛隊・警察官向けの訓練を実施したり、装備品を開発したり、ボディーガード……4号警備と呼ばれるものですね、あとは探偵業務とか、色んなことをやっています。浮気調査とかはしてないですけどね(笑)。

田村装備開発 長田氏

長田賢治氏(以下、長田):田村装備開発の長田と申します。よろしくお願いします。私は陸上自衛隊にいまして、13年間勤務しました。退職した後、田村と出会いまして、こちらで11年ほど勤続しております。

自衛隊時代、最終的には特殊作戦群として習志野で勤務させていただいたという流れですが、その前にはレンジャーを出たり、色々とやっておりました。特殊作戦群ということで、田村が所属していたRATSの特殊任務といった部分では共通したものがあると思いますし、何しろ田村装備開発に勤めてからの11年間は……奥さんよりも一緒にいる時間が長いかもしれませんね(笑)。

そのくらいはずっと動いています。まだまだこれからもやることはいっぱいありますが、先程田村が紹介したような諸業務を日々しっかりこなす、といったところを頑張っている状況です。

田村装備開発 五島氏

五島義識氏(以下、五島):田村装備開発の五島です。よろしくお願いします。私も長田と同じく陸上自衛隊におりまして、11年間勤務しました。静岡県の御殿場市にあります34連隊において狙撃をやっておりました。また、情報を集めに行ったりする斥候など、そうしたことをメインに行いました。射撃の教官という勤務も経まして、退職後は今に至ります。

弊社で担当していますのは、主に警備業……ボディーガードですとか、装備品のデザイナーもやっております。実は、自衛隊に所属していた頃から装備品のデザイナーとして開発に携わったこともありました。本日はよろしくお願いいたします。

特殊部隊っていつも何人で動くの?

御三方のご紹介だけでも次々と飛び出す特殊な経歴……!これは期待できそうです。きっとアーキエンなんぞちぎっては投げしてくれるに違いありません。早速教えを請いましょう!!

――今作は、前作にあたる『レインボーシックス シージ』の大枠を利用して、グラフィックやゲームシステムを組み替えて誕生したというものになっています。『シージ』の中でも人気なのは5人チームによるプレイヤー同士の対戦です。そこで、現実の特殊作戦という場面では様々なシチュエーションがあるかと思いますが、実際には何人体制で行うものなのでしょうか?

田村:毎回違いますね。現場の規模の大きさ、どれだけ人員を割けるのか、といったことで変わります。辺鄙なところであっても15人程度で向かったりもします。ただ、ラペリング降下(高いところからロープを利用し飛び降りていく行動)などで突入する限定的な場面で言えば、狭さの問題で4人だけで入ることはあります。ですので、絶対何人なんだ……と明確な決まりはありません。ただ、5人編成がどうかと言われれば、よくあるパターンではあります。

2人だけの突入をツーマンセルと呼びますが、それをいくつかの箇所から同時突入させたりといったこともありますし、予め何人でやるんだと決める訳ではありません。

長田:そうですね。自由にやると言いますか、田村が言いましたように適切な人数を割り当てていくというのが、柔軟な部隊運用としては大切なところだと思います。

田村:訓練としてならば、5人というのはよくやる編成ではあります。

隊列を組む時に役割はどうしているのか?

――5人での訓練をされる時、そこには理由があるかと思うのですが、それぞれ何か役割などが振られているのでしょうか?

田村:これが実は、部隊によって変わってきます。特殊部隊としてSAT(Special Assault Team)がありますが、同じSATでも県によって戦い方が違うんですよね。もちろん共通する部分はありますが、もう別の組織と考えたほうがいいかもしれません。

意外かもしれませんが、警察というのは県をまたぐと、それこそ作成する書類も違ってしまうほど別の組織になってしまいます。

例を出しますと、部隊の中で最初に突入する人物をポイントマンと呼びます。部隊の中で誰が何を担当するのかを決めている場合、1番員であるポイントマンは最も体格の小さい人を割り当てるということがあります。弾が当たりにくいなんていう理由です。

また逆にそれは違うという考え方もあり、突入要員である1番員は出会い頭に敵が現れた場合、確実に殴り倒せなければいけないから、最も体格の大きい人物を採用しよう……なんていうところもあるほどです。

この例だけでもわかるように、絶対的にこうだというものは実はありません。この例のお話を進めますと、5人編成の場合はチームリーダーにあたる人物を3番員か4番員に割り当てることが多いと思います。後方警戒はそのまま5人目ですかね。

物を壊すなどに使うブリーチング資材を持ち運ぶのは2番員や3番員が多いですが、これを5番員に担当させる部隊もあります。

ですがこれらは、担当である役割を決めている部隊のお話です。もう一つの考え方がありますが、それは自由です。誰もが同じことを行えなければならない……という考え方で、私達が採用している考え方でもあります。

当然、個々の練度が高くなければ難しいものなのですが、日々実施している私達の訓練でも自由形と呼んで取り組んでいます。

なぜそうするのかと言えば、また一つの例を出しますと……

突入した後に同じような部屋が左右に存在していた場合、どちらかに分かれる必要が出てきます。そこで、オレは1番員!と決めてしまっていると、その1番員が仮に右側の部屋へ突入した時に、今度は2番員が左側の部屋に対して1番員の役割を負うことになる訳です。

ひとつひとつの部屋を順次クリアリングしていくこともできるのですが、どんどんクリアリングを行おうとすれば、誰が何番員なんだ……などというのはすぐにグチャグチャになってしまうんです。

つまり、これらの役割を先に決めてかかってしまっているところは、右側の部屋を終わらせてから、次は左側の部屋へ取り掛かるというように、ひとつずつ進めていかなければ予め決めていた役割を果たせなくなってしまうことになります。

そうした理由から、誰もが全てのことを行えるよう訓練していく……というのが強い部隊の特徴となると私達は考えています。実際、決まりごとをやる派かやらない派か……その2つに大別されるのではないでしょうか。

――五島さんも頷かれていましたが、警察と自衛隊では訓練も似通ってくるのでしょうか?

五島:いや、そこはけっこう異なってくると思います。もちろん共通する部分はありますが、似ているということはないんじゃないでしょうか。

――興味本位での質問となるのですが、国内でテロ行為のような事件があった場合には対処しているのは警察というイメージが強いです。自衛隊が出てくる場合というのは、どういったシチュエーションが考えられるのでしょうか。

田村:警察部隊が壊滅した時ですね。

五島:うーん(笑)。

田村:警察ではもうどうにもならん……となった時には出てくると思います。自衛隊には防衛出動と治安出動という2種類の出動があります。防衛出動は外敵が来た場合のものです。反対に、国内で起こったものに対しては治安出動となります。本来は外からの敵に対しては自衛隊が、中で起こった敵に対しては警察が担うんですね。

――例えばテロ組織が爆弾を作っていた……といった場合も警察なんでしょうか。

田村:警察が行きます。治安出動を出すのは凄くハードルが高いと思います。そう簡単には出ないはずです。治安出動が出るって相当ですよね?

長田:まあ、総理大臣が判断されるものですからね。政府が判断して出すものですから、なかなか……。

田村:鉄砲を撃つか撃たないかという話ですと、自衛隊が撃つというのはそれこそ相当難しいことだと思いますよ。クマが自衛隊の駐屯地に入ってしまった事件がありましたが、あの時も自衛隊ではなく猟師が撃っていたかと思います。なんだかなと思いもしますが、それが現実であって、そうしたことも考えると仮に治安出動がされたとしても、そこからまた撃つ撃たないという部分は非常に揉めると思います。

長田:あったとすれば……不審船の事案の際、海上警備行動として不審船に対して発砲したことがありました。もう何年、20年以上前になりますかね……海上ではそれがほぼ初と言ってもよいくらいでしょうし、それほどのことということですね。

――そうなると、警察の訓練の中にも爆弾処理といったものがあるのでしょうか。

田村:あります。といっても配線をチョキンと切るようなことはしません。バッと凍らせてそれでおしまいです。液体窒素の中に入れてバッテリーを動けなくしてしまうという方法です。これはお話できることなので紹介しましたが、基本はこれじゃないでしょうか。

3人でアーキエンに挑むならどうする!?

――色々なお話をいただきありがとうございます。それでは実際に今作『エクストラクション』に沿った質問に入りたいと思います。今作ではチームは3名となり、アーキエンに挑むものとなります。実際の任務では3名となると、どのような形で運用されるのでしょうか?

真剣にゲームの設定を読み込む御三方

田村:そうですね。人間の視野は訓練していても180度程度と言われています。大抵の人はそれより狭いはずです。見えていない部分では戦えませんので、3人という少ない状況では前を見る人、右を見る人、左を見る人と担当しながら進んでいくことになるかと思います。背中を守り合う陣形を基本とするということですね。

ただ……資料を読んでみた上で、今回の相手となるアーキエンというバケモノを相手にする場合、射撃の一発で倒れてくれるのであればそれでも通用すると思います。しかし、何発も打ち込まなければいけないとか、囮を使って引きつけてから撃たなければならないということが考えられるならば、必ずしもそういった陣形にはならないと考えます。

――よくゲームでは後ろから忍び寄ってナイフで倒すといったことがありますが、実際にもできることなのでしょうか。

田村:あります。ありますよ。人が相手なのであれば、相手の肩よりも低い位置を維持しつつ近づいていきます。そのまま普通に歩いて近づいてしまうと、真後ろだとしても気配を感じるのか、けっこうバレるんですね。なので低くゆっくり近づいて、真後ろでサッと立ち上がり攻撃するという感じです。

見えてなくても意外と感じるみたいで、面白いですよね。遠くからじっと見られているとなにか感じるといったような。なので、人を監視する場合はその人を見てはいけないなんていう教えがあります。

五島:そうなんですよ、不思議ですよね。

田村:五島の方がより詳しいと思います。犯人的な人を双眼鏡でずっと見ていると、チラッとこちらを見てきたりして驚いたりとか……気持ちというのは飛んでいくなんて言われたりもしますけど、それも本当なのかななんて感じる瞬間ですね。

――失礼ですが、これまでの任務で人間以外を相手にしたことは……

田村:ないですね(笑)。

長田:私は演習中にイノシシがいたことなら(笑)。

五島:あ~…クマとかイノシシなら確かにそうですよね。

田村:クマあるんですか?

五島:直接はないですね。近くに出たよってのを聞いたくらいでしょうか。

――アーキエンが日本に出現したとしたらやっぱりまずは警察なんでしょうか?

田村:そうなると思います。で、メッタメタにやられてもう無理!!ってなったら自衛隊お願いします!!ってことになるんじゃないでしょうか。怪物だったらハードルさがりそうですよね。

五島:災害派遣ってことでいけるんじゃないですかね。

田村:それならガンガン撃ってくれとか言ってくれたりしてね。

――災害派遣の方が武器が使えちゃうんですか?

田村:むしろ人が相手だからこそ難しくなるというところです。

五島:災害派遣の方が意外と武器を活用することがあるかもしれませんね。どうしても、どかせなくなってしまったモノを壊すとか。

――そうした時も総理の判断が必要なんでしょうか?

五島:それなら都道府県知事の要請で出せますね。

――アーキエンは知事なら倒せるということか……。

厳しい日々のメンタル管理はどのように?

――また話は変わりますが、特殊部隊としての任務は極めて危険なものだと思います。そこへ向けた訓練も当然ながら厳しいものだと思いますが、普段はどのようにしてメンタルを管理されているのでしょうか?

田村:普段の保ち方と、強化の仕方との2つの視点でお答えします。

まず、メンタルは自分に自信がつかなければ強化はありません。部活の試合会場で先輩が力を抜けよなんて言ってみたところで、そう簡単にいけば苦労しませんよね。ドラクエで例えてみれば、はじめはスライムと戦うだけでも危うく緊張感がありますが、レベルが上がればそんなこともなくなります。単純なようですが、自分が強くなれば勝手にストレスはコントロールされるといいますか、無くなっていきます。

また、日常では装備品の手入れなどもしっかり行います。ホルスターひとつを取ってみても、最も自然に銃を取り出せるような位置を細かく調整して、しっかり固定するといったようなことです。そうしておけば、自然に手を下ろすだけで取り出せますし、見る必要もありません。しかし、その固定や整備が甘いと、ちょっとした瞬間に手間取ったり迷ったりといったことが発生します。そのように、気にしなくてはならない要因が増えるほど、行動が遅くなることにつながっていきます。

更に、ロープでの降下にしても現場では新品のロープを使いますが、パッと見た時に切れそうなロープだな……と思えてしまう状況なら、それだけで体が固まっちゃう訳です。ですから、装備品の手入れや整備は大切なんです。

そして……これが最も難しいと言われていますが、自分の私生活をできるだけ整えるようにすることです。例えば、現場へ行く前日に彼女と大げんかして別れ話になっていたなんてことがあると、気になっちゃったりして動きに出てきてしまうかもしれません。

銃のトリガーを引く時、1ミリでもズレれば離れた相手には大きく外れてしまいます。ちょっとした不安が大きく影響する恐れがあるということです。ある部隊では、前日に大きな生活の変化があった場合、当日の訓練はさせないなんていうところもあると聞きます。それくらいには影響があるんですね。

また、訓練をやれるならものすごく理不尽な訓練をやっとけばいいんですよ。パワハラだ何だということも言われるかもしれませんが、最も理不尽なのは現場なんですよ。その最も理不尽な現場へ向かうための訓練であるならば、やれるうちに理不尽を経験しておけば、そんなのも当然だと思えるようになるわけです。つまり、気持ちが折れなくなります。

私達が提供する訓練の中でも、互いのチームが突入をした時に指揮者である私が突然、撃つな!などと指示したりするんですよ(笑 撃たなかったら勝てるわけないですよね。ですが、実際の現場ってそういうのがよくあるんですよ。上司が心変わりして、いざ現場に出てみたら指示が変わる、なんてことですね。

そうした理不尽な指示を出すと、当然その訓練は失敗します。そうしてやられることによって、そんなこともあるんだということを知ります。そんな体験をしてはじめて、撃たずに相手を捕らえるにはどうするかを考えはじめるんですね。そうして新しいものが生まれてくるんです。

戦いやすい状況の訓練ばかりをやっていても、それ以上のものにはなりませんよね。ですから、訓練でやれるうちに理不尽なことをやっとくと良い、なんていう風に思います。

長田:理不尽な訓練をやっておくのは大事ですね。疑似体験をしておくことで、実際の任務に赴く時の心構えにもなりますし。訓練のハードルを上げるほど、安全管理も重要になってくる訳なのですが、どんな訓練も知った同士の仲間でしか行えないんですよね。実際の現場の相手はそうではなく、全力で理不尽な抵抗をしてくる訳ですから。なので、理不尽さをコントロールして訓練を行うというのは重要だと思います。

結局、そうした訓練ができていないのならば、実際の現場に対して強くなったとは言えない。強くなっていないということは不安が生じます。不安が生じれば現場でうまく動けないという風に、マイナスのループに入ってしまいますよね。それをプラスに打開するなら、そこで理不尽な訓練に挑むしかないんじゃないかなと思います。

田村:自衛隊は相手がそれこそプロだったりしますから、それに比べれば……警察は楽なものです。理不尽な訓練をしておけば、実際の現場は理不尽だとしても、それでも相手は素人なのが大半ということになります。

それでも私が最初に現場へ出た時はかなり緊張してしまいました。当時、現場へ到着していざ突入するぞとなった時に、まだほとんど動いていないのに、まずゴーグルが曇ったんですね。呼吸が荒くなり、発汗して曇ったんです。その時はじめて、ああこれがストレスというものかと知りました。

ただ、その後しっかり訓練を積んでいくと何ともなくなっていきました。ストレスも感じないしゴーグルも曇りません。何なら、これは当然良くないことですが、現場で寝てたなんてこともありました(笑)。

すぐそこに武器をもった犯人がいるんですが、状況的に動けないような指示が来てしまいまして、待機となってしまったんです。仕方ないからバリケード立てさせてしばらく寝てしまいました。ほんとこれは良くないんですよ(笑)。メチャメチャ悪い例でタルみすぎなんですけど、そういうところまで訓練する……というお話です。

自分への落とし所をうまく作る

五島:もう大体出てしまいましたね。理不尽への耐性と、極限のストレスへの管理なんですが……私が持論としているのは屈折したユーモアを持つ、というのがあります。田村が例にした現場で寝てしまうなんていうのもそれにあたるかもしれません。どう考えたって悪ふざけするところじゃないだろって場面で寝てしまう。

海外の突入部隊も、突入予定の建物の屋上で待機中に寝てたなんて話があったりします。というのも、どっちみちそれまで訓練してきたことしかできない訳ですよね。ならば、いざ現場でジタバタしたって仕方がないじゃないですか。そういった心持ちのことです。

適度な無責任さと言い換えてもいいと思います。訓練してきたことをやれればいいという自分への落とし所をうまく作るんですね。任務を成功させなければとか、うまくやらなければとか、国家の存亡、人質の命、そうしたものをワーッと重圧に感じてしまって自分でストレスにしてしまうんですね。そんなことを考えようが考えまいが、訓練してきたことをやりましょうということには変わらない、だから今は寝ましょうみたいな。

田村:現場行くときなんか芸能人の話とかしてますからね。リラックスを作るってのはありますけどね。向かってる最中に作戦の話なんかをしてても、どうせ着く頃には状況なんていくらでも変わっているので意味ないんですよ。ブリーフィングなんてのもやりすぎてしまう人は、逆に自分で足枷を作ってると言ってもいいのかもしれないですよね。

こういう作戦で行こう!!と話をしている時なんて、その5秒後にはもう別の状況になってたりして。でも、こうしようって決めちゃってるから、想定した状況と変わってしまっているのに、それとは関係なく決めたことをやってしまう、やろうとしてしまうんですね。

本来なら、敵を見て自分を見て戦術というのは組み立てるものです。その時その時で立ち位置というのは変わってしまうものなんです。

これもよく陥りがちな話なんですが、部屋の図面に障害物などを描いて、オレはここに行くからオマエはそこにいけ……なんていうのを決めちゃう、ということがけっこうあります。訓練の分析という意味でならいいと思いますよ。しかし、これをやってしまうと大体失敗してしまうんですよね。

なぜなら、いざその作戦をやろうと思ったら最初に出てくる障害物の場所がもう違ってるかもしれない。相手だって人なので色んなことをやってきます。バリケードだってどんどん作るだろうし。大家さんが持ってきた図面をみているだけでは中の状況なんて全然わかりません。ですから、決めてかかって動こうとすると失敗するんです。

結局、私達が現場に行くまでにやっていることというのは、いかにしてリラックスするかなので、バカな話をしてたらいいんですよ。

五島:ブリーフィングをやるとしたら、確度も精度も高い情報を共有するくらいですかね。

田村:やるとしたらそうでしょうね。犯人の人数は何人で確定であるとか。それですら完全には信じませんけどね。

ストレスというのは、物理的ストレッサーと、認知的ストレッサーというものに分けられます。大抵の人は認知的な方、情動ストレッサーというものを自分で溜め込んでしまうんです。やらなくちゃいけないとか、オレがやらないと目の前の人を助けられないとか。もちろんそうした気持ちは大事だと思いますが、そのままではやればやるほどストレスは際限なく溜まっていってしまいます。ですから、できるだけフラットに捉えられることが大事ですし、結局それが任務の成功率を高めることにつながっていきます。

終わった後に……そういうことは感じていけばいいんですよ。

――大変に貴重なお話をいただけました。ありがとうございます。そういえば、今作のゲーム映像はご覧になられましたか?

田村:まだ拝見してませんが、過去にシリーズを遊んだことがあります。

長田:『シージ』は息子がハマってますよ。

――こちらが今回のトレイラームービーです

『レインボーシックス エクストラクション』ストーリーゲームプレイトレーラー
『レインボーシックス エクストラクション』解説トレーラー「敵、戦略」
真剣に視聴する御三方

田村:(動画を見ながら)こんなとこ……3人で行くのがスゲーな……。

長田:絶対イヤですね(笑)。

田村:10倍……いや居るだけ人員くださいってお願いしたい。

田村:これは人を助けてるのかな。

――そうですね。プレイヤーがやられたときに、捕虜を助けにいくような形のミッションが発生します。

田村:スゴイ便利だなこれ。

長田:フィールドウォールか……。

田村:(視聴を終えて)こちらはもう遊べるんですか?

――1月20日に発売されます。

アーキエンへの具体的な対策を訊く!

――ご覧いただいた上で改めて伺いたく思いますが、このようなアーキエンが現れた場合に、皆さんの経験はどのように活かされるでしょうか。

田村:私だったらどうするか……といった視点でお答えします。3人で突入するしかないという状況ですので、先程お話したのと同様に基本は前・右・左をそれぞれ見ながら進んでいくことになると思います。

そして、敵が出てきたらすぐに広く散開します。すると、相手はどれかに攻撃をしてきますが、狙われた人間はとにかく逃げ回り、他の二人で敵をやっつける……これを繰り返すことになるんじゃないかと考えますね。

なぜ開くかと言えば、今回のアーキエンは飛び道具も使いますし、集まった状態を狙われれば損害が大きくなるからです。また、私は銃の振りと呼んでいますが、散開した相手を狙う時に、アッチからコッチへと狙いを移そうとするとどうしても遅れを生じさせられる訳です。それがコンマ数秒のことであったとしても、相手へその遅れを誘発できるなら、他の二人が倒すチャンスとしては大きいということになります。

ゲームのステージも危険箇所が多く見えますから、見るところはしっかりと見ていないとリスクは高いですね。後ろから攻撃されるようなことはイヤですので、やはりはじめのうちは全員で全体の視点を確保しながら進んでいき、敵が現れたら散開するということになるかと思います。

長田:そうですね……私が見た限りでは、全体が見渡せるので(チェックすべき危険箇所が多いことから)そこがキツイと感じましたね。ひとまず人間に近い程度のバケモノということではありますが、そうしたサイズですと扉や窓や穴といった開口部が一番大変です。その開口部があればあるほどたくさん敵が入ってきてしまいますので、まずはどうにか閉じたりといったことをしたいと考えます。見たところ、色んなガジェットもあるみたいですしね。

できるかぎり一箇所を見れば済むといった状況を作りだして、ひとつクリアしたら次、またひとつクリアしたら次といったことができれば……四方から攻撃されるのは怖いですからね。

そして、動きとしては田村が話したように、ひとつをクリアするためにすばやく動いて、開口部をクリアしていき次に進むという大きな流れはやはり変わりませんね。

田村:メッチャ動き回ると思いますよ。

長田:そうなるでしょうね。

田村:3人で進んでいて、目の前にドアなどの危険箇所が3個だけなのであれば、1人が1つずつ見ていればいいのでゆっくり進めるんですよ。でも、これが何個もあるということであれば、ゆっくりしているだけ危険になってしまいます。つまり、危険箇所が多いほど素早い動きが必要になってくるという訳です。チェックできていない危険箇所から奇襲されてしまいますからね。

それこそ、動画のようにあっちこっちから敵が出てくるということなのであれば、素早く動いて相手から飛んできた攻撃が当たらなかった……からこそ気づく、というくらいの動きになると思います。もうそこでゆっくりしていれば、やられてしまいますからね。

五島:私が拝見した感じだと、相手は身体能力が凄く高いですし、飛び道具も近接攻撃も使ってくる。そうした相手であるなら、同じことの繰り返しになりますが、とにかく流動性を高く確保した戦い方になると思います。

その中で要所要所……入れ食いにできるような場面があるならば、爆発物であるとか、そうしたものを使って効果を高めていく。そのように、我々の方から向きを限定させていって戦える場所を確保する、という風になるんじゃないかなと思いますね。

ゲームの範囲は超えるのかもしれませんが、可能なら遠くから爆撃するとか、狭くても車で突っ込むとか……アーキエンの戦い方を見る限りは、とにかく距離を取ったほうが良いなと感じます。

――ミッションの中には捕虜の救出なんてのもありますが、そうすると力技は使えませんよね。

五島:……そうなんですよね~(笑)。

長田:ゲームの制限を無視できるなら……やっぱりとにかく人が欲しいです(笑)。要人確保ということであれば、とにかく多量の人間を浸透させてサッと確保し、もうあとはボカーン!とやってしまうなんてことをやりたくなります。

田村:人とそこまで遜色がないということであれば、後ろから忍び寄れるってことなんですかね?

――ゲーム上それは可能となっています。

田村:隠密ができるなら、バレるまではとてもゆっくり行くと思います。そうした歩き方とかもあるんですけど、そうした近づき方をします。

――動き方のお話がでましたので、ぜひ実践でみせていただきたく思うのですが……

田村:いいですよ、やりましょう。訓練所がありますので、そちらへ行きましょうか。

元特殊部隊員による実技指南を見よ!!

田村装備開発の野外施設のほんの一部。他にもトレーニングタワーや道場もある。

インタビューを終えていよいよ田村装備開発に併設されている専用トレーニング施設へと移動することになりました。『レインボーシックス』シリーズは、入り組んだ屋内戦が多い傾向にありますので、そうしたシチュエーションにはもってこいの訓練施設となります。

訓練の無い日はサバゲーフィールドとしても貸し出しを行っており、野外と屋内のハイブリッドな施設として人気があるようです。こちらは半ば屋外の状況から地下の屋内へと侵入するような構造のフィールドですが、後で3人での突入シチュエーションを実演していただきましょう!

その前に、先程のお話に出てきた静かな忍び寄り方について、田村氏から直伝の動画を御覧ください。

忍び足を伝授され、そのまま指導は突入方法へと移行します。実演場所は半屋外の状況からはじまり、3名でクリアリングをしながら進行していくというものです。次の動画では、まず田村さんによる解説を交えつつ、ひとつひとつ確認していきます。

インタビューにあった通り、その場での役割はあるものの、常に誰かがひとつの役割を専任し続けているといった動きにはなっていません。ひとつのチェックポイントで動きが発生すれば、当然ながら隊列の順番が入れ替わることもあり、そのまま流動的に役割が入れ替わっていきます。

説明されればなんてことはないように思えますが、これはプログラムのように決められた動きさえすれば良いわけではないことを意味します。どの場面であっても、常にどの役割もこなせるという自信がなければ、変化が起こった時に身動きが取れなくなってしまうに違いありません。

それでは、今度は解説を抜きにして一息に突入していきます。カメラマンが必死ですがご容赦ください!!

これまでに多くの対戦FPSが生まれてきましたが、その魅力はやはりプレイヤー同士のシナジーが効果的に生まれた瞬間にあると言えます。特殊能力を備え、個性の尖ったキャラクターが登場する作品が増えてきたのも、その魅力を強化するためのものでしょう。

しかしながら、私達は今日学びました。その個性に縛られてはならないと!!役割を決めたつもりになり、かえって自分を動きにくくしているのは他ならぬ自分なのだということを肝に銘じたく思います。そう考えれば、どんな風にゲームへ打ち込めば良いのかも見えてくるような気がしますね。

田村装備開発の皆様、この度は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。ハードコアゲーマー向けニュースサイトとして、さらなるゲーム業界へのご活躍を楽しみにしたく思います。


レインボーシックス エクストラクション』は2022年1月20日(木)より発売です。PS5/PS4Xbox One/Series X|S、Xbox Game Passに対応し、PC版はUbisoft ConnectEpic Gamesストアでも購入可能です。

さあ今度こそ、特殊部隊である俺たちが特殊なヤツらをブチのめす番だ!!

『レインボーシックス エクストラクション』で今日から君も特殊部隊だ!
取材協力:田村装備開発
装備品や戦術戦技の研究・開発・販売、タクティカルトレーニング開講、アニメ・ゲーム等での技術指導、学校・企業等への出張指導、サバイバルゲームフィールド運営など、多岐にわたる事業を展開されています。詳しくは公式サイトをご覧ください。

《Trasque》
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