迷作?『ルドー』中国で魔改造され果ては女装主人公が活躍するギャルゲに。『真空戦姫』の魅力に迫る【デジボで遊ぼ!】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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迷作?『ルドー』中国で魔改造され果ては女装主人公が活躍するギャルゲに。『真空戦姫』の魅力に迫る【デジボで遊ぼ!】

今回は、ボードゲームによる敵との戦闘と、美少女アドベンチャーゲームを組み合わせた『真空戦姫』をお届けします。

連載・特集 プレイレポート
迷作?『ルドー』中国で魔改造され果ては女装主人公が活躍するギャルゲに。『真空戦姫』の魅力に迫る【デジボで遊ぼ!】
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デジボで遊ぼ!」ではボードゲーム要素やカードゲーム要素、テーブルトークRPG(TRPG)要素のある魅力のデジタルボードゲームを特集。今回は、ボードゲームによる敵との戦闘と、恋愛シミュレーションゲームを組み合わせた『真空戦姫』をお届けします。

本作はPEARFLOWERが開発し、同社とLoveStoryProjectによって、Steamで2022年7月11日に配信されました。本作のメインはビジュアルノベルパートですが、その合間に、ボードゲームによる戦闘が行われます。このボードゲームには、中国の国民的ボードゲーム「飛行棋」が使われています。

「飛行棋」は、有名な古典ボードゲーム「ルドー(Ludo)」の派生作品です。「ルドー」はニンテンドースイッチのゲーム『世界のアソビ大全51』に収録されたことで、日本でも広く知られるようになりました。ただ知られるようになった理由と言うのが、「クソゲーだから」というのがあります。ただこれは基本ルールに問題があるだけで、ルールを改良すれば楽しめる作品に変わります(後述)。

本作の内容ですが、4人の戦闘ヒロインを中心に、ストーリーが繰り広げられていきます。テキスト量は多く、マルチエンディング形式になっています。前述した『ルドー』の改良版を使っての敵とのバトルもあり、育成要素もあります。今回は「デジボで遊ぼ!」ということもあり、ボードゲームパートを中心にレビュー。まずは「ルドー」や「飛行棋」が何なのか、その歴史とルールを見ていきましょう!

そもそも「ルドー」って何?

Steamにある『Ludo Online』の画面。世界的に有名なボードゲームです。

『世界のアソビ大全51』で一気に有名になったボードゲームの古典的作品「ルドー」。元となるのは、インドの国民的ボードゲーム「パチーシ」です。その歴史は古く、6世紀頃から存在していたと言われます。

後の19世紀、イギリス植民地時代に世界へと広がり、イギリスでは「ルドー」、アメリカでは「アメリカ版パチーシ」としてアレンジされました。さらにイギリスの「ルドー」が中国に渡り、「飛行棋」としてアレンジされます。

「飛行棋」は中国の国民的ボードゲームとも言える作品で、書店や雑貨屋などで売られています。筆者もよく遊んでいました。ゲームボードは紙製で折り畳まれており、小さな箱に入っていました。本作で使われるボードゲームは、「飛行棋」をさらにアレンジした物です。

『Tabletop Simulator』でプレイ可能な「ルドー」。自分でコマを動かす必要があります。

「ルドー」のルールですが、2~4人までプレイできます。各プレイヤーはコマを4個、ボードの対角にあるコマ置き場に配置。それからコマを1個ずつスタート地点に置き、ボードを一周した後に、ボード中央を目指します。先に4つのコマすべてが、ボード中央にたどり着いたプレイヤーの勝ちです。

勝利条件自体は単純なのですが、このゲームがクソゲー扱いされている理由は、「ダイスで6の目が出ないかぎり、スタート地点にコマが置けない」という点です。つまり、6の目が出るまで、プレイヤーはスタート地点にも立たせてもらえないのです。全員が6の目を出せず、いつまで経ってもゲームが始まらないという展開になることもあります。

さらに追い打ちをかけるルールとして、「相手のコマがあるマスに自分のコマが止まった時、相手のコマをコマ置き場に戻せる」というのがあります。コマ置き場に戻ったコマは、また6を出すまでスタート地点に置くことができません。ゲーム時間だけが無駄に長引き、「誰でもいいからさっさとゴールしてくれ」というような殺伐とした気持ちになってきます。

『Tabletop Simulator』でプレイ可能な「飛行棋」。ルドーをアレンジした内容になっています。

中国の「飛行棋」は、「ルドー」をアレンジした内容になっています。ボードの作りから違っており、ワープができるマスも設けられています。あと「6の目が出るまでスタート地点に立てない」というルールですが、「偶数の目が出ればOK」という緩和ルールもあります。

筆者がプレイしていた時は「6の目ルール」は排除して、いつでもスタート地点にコマが置けるようにしました(そもそも「6の目ルール」があることを知っている人が少なかった)。「6の目ルール」を無くすだけで、テンポのよいゲームプレイになりますね。それでは本作と、中で使われているアレンジ版「飛行棋」を見ていきましょう。

「幽禍」から人類を守れ!

舞台は3XXX年の未来。人類は「幽禍」という外来種によって、生存空間を脅かされていました。これに対抗できるのは、幽禍を倒せる武器「晴空装備」の使い手「空航員」達。ゲームの主人公は「立春」と呼ばれる男性で、記憶喪失状態でどこかの部屋に軟禁されていました。

立春がいるのは、大きな屋敷の中でした。屋敷の主人・エステルからの手紙には、「あなたは「古人類」と呼ばれる特別な存在なので、身分を隠さなければならない。この屋敷でメイドとして働き、名前も「光玉」と名乗ること」と書かれていました。またこの世界の人類は耳の形が違うので、変装用の耳も渡されます。立春は、行方不明になった光玉という女性の身代わりとして女装をし、メイドとして働くことになりました。

立春は以前、幽禍に襲われたことがあります。幽禍は飛行生物で様々な種類が存在します。立春は偶然「晴空装備」を手に入れ、謎の女性の声に従って、2体の幽禍との戦闘を開始します。

戦闘開始!元の「飛行棋」のルール同様、最大4つのコマを出撃させられますが、今回は立春のみです。各キャラにはHP・MPがあり、HPが尽きるとスタート地点の基地に戻され、ゲーム終了まで出撃不可の状態になります。MPはキャラスキルを使う時に消費されます。

「ルドー」最大の問題点である「6の目ルール」ですが、本作では「ダイスを2つ振り、合計が3以上」ならスタート地点にコマを置けます。このルールならほぼ失敗しませんね。いつまでもスタートできないという事態に陥らずに済みます。

ゲームの最終目的は、ボードを反時計回りに一周した後に、中央のゴール地点「幽禍核」にたどり着くことです。「ルドー」ではぴったり止まらなくてはならず、もしオーバーしたらその分マスを後退しなければなりません。本作ではその面倒なルールも排除し、たどり着いた時点でゴールになります。スピーディーな展開に改善されていますね。

今回、立春(光玉)はスキルを使えません。敵に捕まらないよう、ゴールを目指しましょう。ダイスが2つ振れるので、ボードを回る速度は速いですね。自分の陣営と同じ色のマスに止まったら、その先にある同じ色のマスまでワープ可能。このルールもゲーム展開を速くしています。

相手と同じマスに止まると、戦闘が発生。互いにダイスを振り、大きい目が出た方はそのマスに留まります。小さい目の方は、相手の目との差だけ後退します(画像は4-1=3マス後退)。「ルドー」だと捕まった瞬間に出撃地点まで戻され、また「6の目ルール」をやらされるという苦行なので、これも良い改善ですね。

中央のゴール地点「幽禍核」にたどり着いて勝利!勝利後には、戦闘結果によってショップで使えるポイントや、仲間との絆ポイントが加算されます。今回は敵からの攻撃が無かったので楽勝でしたね。

仲間とともに戦え!

立春の雇い主であるエステル。先程の戦闘の謎の声も、エステルからの指示でした。光玉のふりをして、メイドとして働くことへの不満を述べますが、「バレないように頑張ってください」と言われるだけ。

先程の戦闘で立春が使った「晴空装備」は、本来は光玉のものです。本人しか装着できないはずなのに、なぜか立春が装備できたことや、顔や髪の色が似ていることなど、色々と謎があります。また現在、発見された「古人類」は立春だけ。この世界の人類は、獣人のようですね。

マップ画面では、行動力を消費して各地に移動できます。キャラアイコンがある場所では、そのキャラと会話が行えます。ストーリーが進むと、買い物や部隊編成も可能に。今回は行動力が2しかないので、マップ上の全員と会話することはできませんね。

戦闘訓練開始!今回からスキルを使用できます。立春の「審判之手」は、前後8マス以内の敵に攻撃可能。互いにダイスを振って、敵より大きければ、2ダメージを与えます。スキル使用時にはカットインが入りますね。

入手したアイテムを使用することも可能。画像のアイテムは、「1マス進む」です。ワープできるマスの1マス前に止まった時にでも使うのが良いですね。

立春はエステルの部隊に入隊し、ともに戦うこととなりました。上の画像の右は、光玉の友人「谷雨」。狐のような耳を持っていますね。画像下は「ビスケット」。この4人で部隊を編成します。

出撃前の部隊編成画面。出撃順番やスキル・アイテム装備ができます。パッシブスキルは1つ、アクティブスキルは2つまでしか装備できません。よく考えてセットしておきしましょう。

敵味方入り乱れての戦い。敵は長距離から攻撃を仕掛けてきます。ダメージを食らい続け、谷雨が撃沈。しかも2体の敵に、先にゴールを許してしまいました。果たしてここから勝つことができるのか、続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。

テンポの良い改良版「ルドー」

本作は「ルドー」の派生作品である「飛行棋」を、さらに現代風にアレンジして遊びやすくした作品です。スキルやアイテムの使用、止まったマスによってはイベントが発生したりなど、ボードゲームとして楽しめる作品に仕上がっています。

絆ポイントを増やしていくことにより、キャラのスキルや能力を強化できます。ビジュアルノベルとしても楽しめる作品になっていますが、筆者としてはボードゲーム部分だけ抜き出してさらに改善し、対人戦も可能になれば面白いと思います。現在、中国語(簡体字)のみなので、今後の展開に期待しましょう。

製品情報

『真空戦姫』
開発・販売:PEARFLOWER、LoveStoryProject
対象OS:Windows
リリース日:2022年7月5日
通常価格:720円
サポート言語:中国語(簡体字)
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1954640/_/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字・繁体字を日本の漢字に置き換えています。

《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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